今にも堕ちてくる空の、奇妙な街で ~ジョジョの奇妙な冒険、異伝~   作:たんぺい

12 / 50
11話『A・C』後編

さて、『現場』についた三人は事件解決の為に準備する。

 

と言っても簡単な事だ、封鎖されてる現場に立った三人の立ち位置の打ち合わせの様なものでエ(・)ル(・)と(・)優(・)姫(・)の(・)二(・)人(・)は(・)影(・)と(・)日(・)の(・)光(・)の(・)境(・)界(・)に(・)立(・)ち(・)、(・)陸(・)部(・)が(・)二(・)人(・)か(・)ら(・)一(・)定(・)の(・)距(・)離(・)を(・)と(・)り(・)『(・)向(・)か(・)い(・)合(・)う(・)』(・)だけ。

要するに、元凶のスタンド『A・C』をおびき寄せる。

それ以外にない事だ。自動操縦のスタンドなど、そもそもたねが割れたなら極端な話『此方から呼ぶ』ぐらい造作もない。

 

 

「…さて、蛇が出るかなんとやら…」

 

エルがボソッと呟いた言葉に反応するかの様に、対面にいる優姫の指示でパンツ一丁になった陸部が準備オッケーっス!などと軽く確認を取るのを皮切りにその元凶は突如として顕れる。

 

狐面の宮司の様な姿をした細身のスタンド。

その能力は下品極まる『レイプ魔生成』、その名も『A・C』。

そのスタンドがギロリと陸部を睨み付けるなり、その能力を遺憾無く発揮する…

 

すると、やはりと言うべきかなんと言うか。

流石にスタンドに引っ掛かるのは二度目かつ覚悟の上と言う事もあり、いくぶんかの精神的抵抗を陸部は見せるものの、12秒もすれば好青年風だった彼は正気を失って目(・)の(・)前(・)に(・)あ(・)る(・)エ(・)サ(・)二(・)人(・)に(・)食(・)ら(・)い(・)つ(・)く(・)ケ(・)ダ(・)モ(・)ノ(・)となる。

目は血走り、口から涎も垂らしながら『穴』を探して…陸上部のエースも裸足で逃げ出すような全速力のスピードを以て、エルと優姫に襲い掛かるのだ。

 

とはいえ所(・)詮(・)は(・)、(・)人(・)間(・)レ(・)ベ(・)ル(・)の(・)ス(・)ピ(・)ー(・)ド(・)と(・)パ(・)ワ(・)ー(・)に(・)は(・)変(・)わ(・)り(・)な(・)い(・)。

『本能』にあてられてか肉体もリミッターが外れてるとは言え、結局それらは常識的なそれとは比較しても変わらないだろうし、そもそも服(・)を(・)着(・)て(・)い(・)な(・)い(・)。

 

 

「『スリラー』…陸部さんを取り押さえといて」

 

要は『生命エネルギー』の無い布で出来てるパンツ以外、全身触る事が可能な『スリラー』の万力の様なパワーと新幹線みたいなスピードを以てすれば羽交い締めにするなり踏みつけにするなりと、まあ幾らでも対処する事は出来る。

優姫はスタンドで覆い被さるよう陸部を取り押さえあっさり無力化するのをエルが見届けつつ、『レディオ・スター』で状況を確認する。

 

そう、エルのスタンドたるレディオ・スターは『スタンド』に触れたら『スタンドを持つ本体』の視界もジャックできる。

これは先に言った様に『レディオ・スター』自身の特性だ。

そして今までこ(・)の(・)特(・)性(・)で(・)読(・)み(・)取(・)れ(・)な(・)い(・)モ(・)ノ(・)は(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。

 

例外は無い、このはた迷惑なスタンドの持ち主が何処に居るか…学校か、家か、勤め先か、公道か。

何れにせよ、推理の『大前提』を知るために、『レディオ・スター』で『A・ C』に触る…

そ(・)の(・)瞬(・)間(・)、(・)エ(・)ル(・)は(・)あ(・)り(・)得(・)な(・)い(・)モ(・)ノ(・)を(・)見(・)た(・)。(・)

 

厳密に言えば、それの『あり得る』状況に気づいたエルはすぐにある『推理』に行き着くが…

そ(・)の(・)可(・)能(・)性(・)こ(・)そ(・)あ(・)り(・)得(・)な(・)い(・)と(・)気(・)付(・)き(・)、『スタンド』と言う概念その物の前提が成り立たなくなる状況だと思い至り、思わずとんでもないことを絶叫するのだ…

 

「このスタンドおかしい…『本体』が、居ないわよぉ!!?」

 

 

 

Case11『A・C』後編

 

 

 

スタンドには、必ず『本体』が存在する…これは、まあ原則だ。

少なくとも、『無』からスタンドエネルギーは発生する事はない。仮に自動操縦においてでも、だ。

もちろん、原(・)則(・)か(・)ら(・)離(・)れ(・)た(・)何(・)か(・)と(・)言(・)う(・)スタンドは無いことはないのだが、例えば『道自体が本体』と言うパターン等は観測されているが、少なくともその場合『(・)生(・)命(・)エ(・)ネ(・)ル(・)ギ(・)ー(・)の(・)自(・)体(・)の(・)探(・)知(・)と(・)抹(・)殺(・)』(・)に(・)特(・)化(・)し(・)て(・)い(・)る(・)『(・)ス(・)リ(・)ラ(・)ー(・)』(・)を(・)保(・)有(・)す(・)る(・)優(・)姫(・)が(・)気(・)付(・)か(・)な(・)い(・)わ(・)け(・)が(・)無(・)い(・)。

 

つまりはこの『A・C』と名付けられたスタンドの本体は、必ず何処かに、数メートル先か数キロ先かはわからないが居ることは間違いない。

だが、しかし起(・)こ(・)っ(・)た(・)こ(・)と(・)は(・)複(・)雑(・)怪(・)奇(・)な(・)状(・)況(・)で(・)…

 

「…ス(・)マ(・)ホ(・)に(・)『(・)本(・)体(・)』(・)の(・)視(・)界(・)が(・)映(・)っ(・)て(・)な(・)い(・)!(・)?(・)『スタンド』…『A・C』だったかしら、あれがぼんやりと背景全体を360°ぐるりと視界に映してるのはそ(・)う(・)い(・)う(・)能(・)力(・)だからかも知れないけど、本体の視界が真っ暗なのよぉ!」

 

…と、エルが絶叫する様に、探知に絶対の能力を誇る『レディオ・スター』が全(・)く(・)機(・)能(・)し(・)て(・)い(・)な(・)い(・)。

『能力』を使っている筈のスマホに映る画像は真っ暗だ。

電池は切れている訳ではないし、それこそ今すぐにだって優姫や陸部に触れたら視界はジャックできるだろうと言う事は考慮すると…能力自体がなくなった訳でもないだろう。

実に不可解な状況が起きている。

 

「へっ!…ちょっ!とりあえず、陸部さんを…こうっ!」

 

エルの報告を受けた優姫は『A・C』の能力に引っ掛かった陸部をスタンドで日陰に叩き込み能力から解放しつつ。

とりあえず、焦っているエルの元にかけより話を聞く事にした。

 

 

「えっと…つまりは、スタンド使いの視点に切り替えたら『何も見えない』って事よね」

 

ちょっと涙目のエルを宥めながら優姫は状況を整理する。

つまりは、エルが焦っている原因は一点、そこに集約されるからだ。

なら『答え』こそ簡単じゃないか…そう思い至る優姫は、いつかと違ってエルに呆れながらこう告げる。

 

「要するに『犯人は盲人』、これでだいたい解決するんじゃない?」

 

と、実にシンプルかつ実(・)に(・)正(・)解(・)に(・)限(・)り(・)無(・)く(・)近(・)い(・)解(・)答(・)を提示する。

エルの視界をジャックする能力自体に狂いがないのに『本体』の視界が映ってないと言う事はつまりは本(・)体(・)は(・)視(・)界(・)が(・)無(・)い(・)存(・)在(・)と言う事になる。

つまりは盲人、または一時的に視界に障害を持つ病気やケガをした人あたりが該当する…

 

…と言う推理自体は、実はエルも既に行き着いていた。

だが、『そういう』相手とは一度あたったことが有るのだが、だ(・)か(・)ら(・)こ(・)そ(・)『(・)異(・)常(・)』(・)に(・)気(・)が(・)付(・)き(・)状(・)況(・)が(・)呑(・)み(・)込(・)め(・)な(・)い(・)の(・)だ(・)。

 

「…仮に、犯人が『目が見えない』人、あるいは動物って可能性は考えているんだけどぉ…そう考えてみたらス(・)タ(・)ン(・)ド(・)の(・)視(・)界(・)が(・)変(・)なのよぉ。

普通、本体が『生まれつき視力』が無いとかなら…スタンドに『視野』って概念が有ること自体がおかしいし、少なくとも自(・)然(・)を(・)ま(・)る(・)ご(・)と(・)映(・)す(・)よ(・)う(・)に(・)周辺の色や形を正確に把握するなんて『自動操縦』には絶対ならない。

逆に『視力を一時的な病気やケガで失った』人が本体だったとしたら…スタンドのデザインがちょっと変な気がするのよねぇ。

スタンドと本体は繋がりが弱い自動操縦でも、本体のケガや病気はス(・)タ(・)ン(・)ド(・)の(・)デ(・)ザ(・)イ(・)ン(・)に(・)直(・)結(・)す(・)る(・)って可能性を考えてみたら、あのスタンドのデザインが五体満足なのが気になってねぇ…」

 

 

と、エルが言うように。

本体の視界が映ってないと言う事は気付いたのと同時に『本体』の『視野』が無い時点でだいたいの状況下は察する事はしていた。

優(・)姫(・)の(・)推(・)理(・)自(・)体(・)は(・)エ(・)ル(・)も(・)行(・)き(・)着(・)い(・)て(・)い(・)た(・)のだ。

そして『(・)そ(・)の(・)可(・)能(・)性(・)』(・)を(・)考(・)え(・)て(・)み(・)て(・)も(・)当(・)て(・)は(・)ま(・)ら(・)な(・)い(・)か(・)ら(・)こ(・)そ(・)頭を抱える羽目になっていた。

 

スタンドとは本体の在りかたその物であり、あるいは生き様や才能。

そう捉えるとするならば、本体に『視界がそもそも無い』とするならばその化身であり存在自体の延長たる『スタンド』が「視界」と言う概念を持つ事は…少(・)な(・)く(・)と(・)も(・)『(・)自(・)然(・)物(・)の(・)正(・)確(・)な(・)色(・)や(・)形(・)』(・)と言う概念を持つ事はおかしい。

あるいはケガか何かで視界を失ったとかならば、スタンドにも『そういう』破損や欠損と言う形のデザインになりやすいがあのスタンドにはそうしたものは見付からなかった。

 

「つまりは…何か!?『自然物』とか言う概念は完璧に把握している犯人で有りながら、『目が見えない』なんて矛盾している犯人で、しかもそれが犯人にとって何の障害も持たない状態ですってぇぇえ!!?」

 

…と思わず優姫は絶叫する事になる。

『推理』しようにも、その前提条件もその推理可能な状況もハチャメチャだ。

ど(・)う(・)足(・)掻(・)い(・)て(・)も(・)矛(・)盾(・)す(・)る(・)、エルがもう自然現象自体がスタンドになったのかと思い至り、思わず『本体が無い』と叫びたくなる気持ちがわかると言うものだ。

もうそ(・)う(・)考(・)え(・)た(・)く(・)も(・)な(・)る(・)…二人は頭を抱えるなかで、『そうでない』男が一人居た。

 

 

彼には『スタンド』と言うものはわからない、二人の美少女が何を話しているかなんて半分さっぱりだ。

だ(・)が(・)、(・)言(・)い(・)た(・)い(・)こ(・)と(・)は(・)な(・)ん(・)と(・)な(・)く(・)わ(・)か(・)る(・)。そして彼は『スタンド使い』ではないからこそ『前提条件』を除外した上で思考を巡らせていた。

 

(何がなんだか良くわからないっスけど…つまりは、状況を整理するとこう。

犯人は能力的に考えて、『太陽が好き』で『雄と雌の区別に拘り』、『セックス』にやたら興味や執着をする。

『自然現象自体と繋り』が強くて『目を持たない』…)

 

そう、状況を整理する彼は『犯人』に思い至った。

 

普通の人なら…少なくとも思慮深い人だったら自分で否定してしまうかも知れない『その答え』、しかし実(・)に(・)短(・)絡(・)的(・)な(・)彼(・)だ(・)か(・)ら(・)こ(・)そ(・)辿(・)り(・)着(・)い(・)た(・)。

偶然ではあるが…叔父からその『犯人』は何度も知らされていた、あるいはあの婦警達二人こそ馴染みある『犯人』かも知れない。

そしてその答えが正しいならば『スタンド』の本来の目的も…だ。

下(・)手(・)し(・)た(・)ら(・)『(・)犯(・)人(・)』(・)こ(・)そ(・)が(・)一(・)番(・)の(・)被(・)害(・)者(・)の可能性に、思い至りながら、彼は口を開いた。

 

 

「あの、ちょっといいスか?」

 

その男…陸部は、頭を抱えてあーでもないこーでもないと思考を巡らせる二人に向かって声をかける。

『スリラー』に吹っ飛ばされ日陰に叩き込まれ『A・C』から解放された体勢のまま、彼はこう告げるのである。

 

「犯人…俺、わかったかも知れないっス。今から一緒に、ついてきてください!」

 

…そして、間抜けな体勢のままにこう言われたエルと優姫は、彼の体勢以上に間抜けな顔をしながら唖然とするしかなかった。

まさか、『スタンド』にまるで関係ない男にこそ、それも『A・C』の呼び水役以上の期待をかけていなかった彼が犯人を割り当てたなんて豪語した事に…だ。

 

 

そして、そ(・)の(・)答(・)え(・)を(・)知(・)る(・)時(・)に(・)、(・)優(・)姫(・)も(・)エ(・)ル(・)も(・)『(・)エ(・)ゴ(・)イ(・)ズ(・)ム(・)』(・)の(・)意(・)味(・)を(・)知(・)る(・)事(・)に(・)な(・)る(・)の(・)だ(・)…

 

 

 

to be continued

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。