今にも堕ちてくる空の、奇妙な街で ~ジョジョの奇妙な冒険、異伝~   作:たんぺい

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19話『ファイナル・カウントダウン』前編

ややこしい事になったなぁ…

 

守屋の話を聞いたエルは、頭をかかえる事となる。

と言うのは何故かと言うと、『犯人を知っている』から…と言う事は前回書いた通りではあるが。

 

もう少し厳密に言うと知り合いの知り合い、と言う間柄か。

ちょっと遠い間柄故に噂や人となりぐらいは知っているし顔は付き合わせた記憶はあるがそれ以上ではない、そんな感じだろう。

社会人で言うと、上司の付き添いからの成り行きで名刺交換はしたな、ぐらいの間柄だと思えば良いかもしれない。

…とまあ、遠回りな事を言うのはこのぐらいにして、単刀直入に言えばその犯人、()()()()()()()()()()

 

エルの後見人兼友人の更に友人、まあある事件をきっかけに顔を付き合わせた後に一度お歳暮にエルのリクエストからオリーブオイルとサラダ油の詰め合わせをくれた事があり、それが縁で年末年始に年賀状を律儀に互いに出し続けていると言うそう言う距離感の間柄か。

 

『ファイナル・カウントダウン』の能力のほんの一端でも知っているならば、今回の事件は()()()()()()()()()()()()

エルはそう感じていた話である、コーラを飲めばゲップが出ると直感するように、今回の犯人の女医がやりたい事や起きた状況の予想が想定内程度の話だからだ。

だが…もしそう言う事情を知らない事情であるならばそうもなるだろう、とエルは頭をかかえる。

 

スタンドによる事件は証拠が残らない、とは誰が言ったが知らないが。

それ故にこういう出会い頭の事故みたいな状況に陥ったりすると()()()()()()()()()のだ。

 

 

「はぁ…もう…なんて守屋さんに説明したら良いのやらぁ…」

 

エルは、思わず声に出してしまうぐらいだった…

 

 

 

 

Case19 『ファイナル・カウントダウン』前編

 

 

 

 

そんなエルのセリフを聞き咎めた守屋は、軽く問い詰めるような口調でこう切り出す。何か知っているのか、と。

 

それに対して、エルは()()()()()()()()()()()()()とだけ前置きして、こう返した。

 

「ぶっちゃけねぇ、私は今回の事件の全容なんかぜんっぜんわからないわぁ。

あの人…木藤叡花(きどう・えいか)って言うんだけどね、木藤さんの考えなんてわかんないから…だから守屋さんがあんなひどい目にあった理由は答えられない。

もう一つ言えば、私と木藤さんの共通の友人との約定みたいなのがあってねぇ…貴女に『ファイナル・カウントダウン』の能力を教えるつもりはない…これに関しては私も、さわりと言うか簡単な概要しか知らないんだけどねぇ。

だから言えない事ばかりでわからない事もけっこうあるから、我ながら…要領得ない回答でごめんなさい。

それでも、わかる事を踏まえて一つ言えばぁ…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そうエルが言うや否や、守屋は血相を変えて激昂し、そのままこう叫ぶ。

 

「…『職務』?職務が何だって言うの!!

…パパも、ママも、私も…あの時は病室に居合わせた無関係な患者さんだって!何かしたの!!何か、あんな怖いスタンドで襲われるような悪いこと、私達が何かしたの!!答えて!!」

 

そう言うと…防衛本能による無意識なのだろうが、『ステルス・オブ・デイズ』を出現させて右手に握りしめながら。

守屋はより強い語気で、今にも余計な刺激したら爆発しそうなぐらいの勢いで、顔を林檎のように紅潮させて問い詰める。

 

しかして、問い詰めれる側のエルは涼しい顔をしながら、こう返したのだ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と。

それに対して反射的に怒気を昂らせた守屋を制するかのように、エルは更に続けてるのである。

 

「本当に『何もしていない』から、こうなったと言うか…強いて言えば、貴女のお父さんが優しすぎる人だったって事ぐらいかしらぁ。

それ以上を知りたいなら、それこそ私の答えられる範囲は越えているのよぉ、だからあの人にまず連絡取らないと…」

 

と、言うや否や己のスマホに手を伸ばそうとしたエルは…少し、ためらいを見せる。

『あの人』こと有栖川、エルの一番大事な人。だが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()人でもある。

 

元々が…もう殆んどエル自身の思い込みだが、有栖川に嫌われたり見限られたのではないか、と言う不安がまだ消えた訳ではない。

以前の事件での役に立たなさからくる周囲への期待に答えられない不安や自分への苛立ちが、そう言う弱い部分全てが向けられる相手ではあるから尚の事ではあるだろう。

しかし…それよりも、だ。

 

(ああ、守屋さんの足…あんな震えてぇ…)

 

内心、エルがこう独白するように。

目の前で恐怖に負けてもう心が完全にへし折れた状態で震えて怯えながらも、虚勢を張りながら、それでも真実を前にし真実の為に立ち上がる他人の姿と言うものの前では、そんな己の虚栄心や依存性からくる弱さによる躊躇いなどゴミ同然である。

相手が善人故に、それこそ尚更だ。

 

 

「本当に、ごめんなさいねぇ…」

 

そう思うと…何故か、エルはこう守屋に無意識に謝罪の言葉を口にしていた。

 

何故かはわからない、今回の事件に関して、エルに何一つ何処にも落ち度もありはしないから本当に何故かは自分でもわからない。

それでも、エルは守屋の知らない『真実』の一端を断片的にでも掴んでいるせいで、ある程度の事件の概要を把握出来てしまったと言う部分だけは()()()()()()()()

 

ならば、知ってしまった以上は事件に対して責任と言うモノは背負いたくなくて背負う義理すら無い状況でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それこそは、ある種の運命の奴隷と言う側面を持つ考える葦、人間と言う生き物が営み生きていく社会へのカルマでありノルマだと10代の若い身空でありながらも悟っていたエルだからこそ。

 

 

ふと気が付くと…彼女は守屋を抱き締めていた。

 

守屋は、この件においては徹頭徹尾被害者だ。それだけは動かない。

そして、被害者である事情を聞いてしまった以上はエルは助けてあげたい…否、被害者加害者関係なく、助けた以上は最後まで彼女の味方をしなければならない。

エルは約定に縛られてる身ではあり木藤の事情をある程度加味できる立場の人間とはいえ…今回の件に関しては心情的にも道義的にも守屋の味方である。

理屈云々や立場からくる建前も大事でかつそう言う部分にプライドを持つエルは最初はそこに固執してしまったが、冷静に考えてみたら順繰りが逆で、まず伝えるべきは己の本心のハズだろう。

 

だから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「私は、私は…ごめんなさい、最初にちゃんと言うべきだったわぁ!

私、守屋さんの味方だからぁ!絶対、裏切ら無いからぁ!貴女を、助けるからぁ!!だから…私を信じて!貴女の見てきた私を信じてぇ!!」

 

そう、エルにしては一切の何の打算もなく…本心から告げるなり、守屋も無言の更なる強いハグでそれに返す。

 

守屋はエルから見たら7つ歳上の女とは思えないぐらいの子供っぽいリアクションであるが、そうしたくもなるぐらい怖かったのだろうし寂しかったのだろう…辛くて悲しくて、無力さで嫌だったのに()()()()()()()()()()()()と聞いて人間不信になりかけていたのだろう。

 

…だからこそ、何もかも疑っているからこそ嘘か本当かの『答え』か否かはわかる。

守屋に対しての行動だけ見たらエルの動きは徹頭徹尾誠実かつ優しすぎるぐらい優しいものであり…少なくとも、騙したり傷つける様な言動も行動もなかったし、そのつもりならもっと幾らでもエルならば立ち回れるだろう。人間性が不器用な守屋とは違って。

 

そう理解すればこそ、一時エルに見せた苛立ちの感情はすっかり消えていた。

何か、事情が有るのだろう…少なくとも、仮に知り合いだとしても両親に酷いことをした事件には何の関わりもない優しい少女なのだ、と守屋はそう結論つけるなり。

気のすむまで、二人はハグの体制のまま…まるで言葉ではなく体温で会話するかのように、傷付いた守屋の心をエルの暖かさで埋めるように、小一時間は密着していたと言う。

 

 

…とはいえ、いくらなんでもそれでは話が進まない、と我に返った守屋はエルをハグから離してこう告げる。

 

「…大事な人に、連絡するんでしょ?」

 

そう言われて、エルの方も若干呆けていたが我に返ったようで。

 

「あぁ…守屋さんやわらかくて、すっごくいい匂い…もっとぎゅっとしたい…圧迫祭りぃ…じゃなくてぇ!!そうだ!有栖川さんだぁ!」

 

…どうもこの主人公、荒れてた頃に有栖川にハグして更生した過去があって以来、歳上の女性とのハグに滅法弱いようだが本題はそうではなく。

事情を説明できる有栖川への連絡であり、いざ連絡するその瞬間、エルのスマホから()()()()()()()()()()()()()()

 

その場にいた二人は一瞬だけいきなりかかってきたコール音にえっと言う表情になりながらではあるが…とりあえず、反射的にエルは自分のスマホを取る。

その電話の主は、何故か優姫からだった。

 

「もしもし!繋がってる!?エルさん、大変なんだ!」

 

電話口から捲し立てるように喋る優姫を落ち着かせるように、とりあえず何があったのかと、ついでに立て込み中だから変な用なら即電話を切るぞと言う旨を簡潔に伝わるが…それを無視するかのように、優姫は衝撃的な事をいきなり口に出すのであった。

 

 

「有栖川先輩が……先輩が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!」

 

 

その優姫の絶叫を前に…エルは、全身から血の気が引く。

目の前が、まるで一瞬で雪化粧されたかのように真っ白になるのを感じた…

 

 

 

To be continued

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