今にも堕ちてくる空の、奇妙な街で ~ジョジョの奇妙な冒険、異伝~   作:たんぺい

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26話『堂々たる暗殺者』

さて、話は何処まで進んだかと言えばだ。

 

増田エルを倒す、とのたまった少女の立花しずく…を慌ててリーなる中年がズルズルと引き摺りながらフェードアウトする、そんな中で残った黒人男性のJと言う方がこうエルに対して語る。

 

「あ、ああ…ます、『増田エル』だったか、しず、しずくちゃんを探してくれた事に、かん、感謝を。

おん、恩義がある。ふせ、不(・)誠(・)実(・)な(・)事(・)は(・)し(・)た(・)く(・)な(・)い(・)。だか、だから…」

 

そう、何度も詰まりながら…しかし、この言葉だけは一切詰まらずにこう宣告するのだ。

『逃げろ』、と

危ない目には合いたくないだろう、そして恩人に対して義理は果たすべきだから、こう付け加えながら。

 

「逃げろねぇ、期限はぁ?そして何処まで逃げろ、と?」

 

エルは当然ながらそう聞き返すが、Jは少し困った様な顔を見せた後にこう返した。

 

「きげ、期限は…みっ、三日後の夜だ。ご、午後11時だと予告する。

ば、場所はこの街じゃ無ければ何でもいい、たと、例えば隣街でも遠くの県でも外国でもいい。

とに、兎に角今(・)の(・)財(・)産(・)と(・)立(・)場(・)を(・)全(・)て(・)捨(・)て(・)て(・)何(・)処(・)か(・)遠(・)く(・)に(・)去(・)れ(・)…なら、ならば俺(・)達(・)は(・)お(・)前(・)さ(・)ん(・)を(・)殺(・)さ(・)な(・)く(・)て(・)す(・)む(・)。

そう、そう約束する。いの、命は取らないと確約しよう」

 

 

有り体に言ってしまえば『脅迫』、着の身着のままで逃げ出すなら命は取らないと言う傲慢な内容である。

やはり『敵』、そう判断した優姫はスタンドを背後に召喚し、守屋も慌ててステルス・オブ・デイズを展開しようとする中で…それをエルが制止してJに対してこう質問をする。

それは立花しずくの意思なのか、と。

 

Jはそれに無言で頷き、簡潔にこう続けた。

立花は相棒の命の恩人であり、そして相棒のリーは自分の恩人で…そして彼女の意思を尊重する以上、自分はなにもせず引き下がるわけにはいかないのだ、と。

そう答えを聞かされたエルは満足げに薄く笑ったなり、こう返した。

 

「だとしたら文句は無いわぁ…三日後の午後ねぇ、私は逃げないからいらっしゃいなぁ。

鍵は空けといてあげるわぁ、『立花』だって言うなら私(・)を(・)殺(・)す(・)権(・)利(・)は(・)確(・)か(・)に(・)有(・)る(・)も(・)の(・)。

…それに、私はこの街も家も、全然捨てられないからどのみちそれは呑めないわぁ」

 

震えながらもこうのたまったエルに対して、Jは目を伏せながらこう呟く…すまない、と。

そして足早に立ち去ろうとするJに対して…優姫はスタンドを展開してずかずかと近付きながら横から嘴を挟む、逃げられると思っているのかと。

 

そう言われ、視線をエルから優姫に向き直したJは右手をかざすなり突(・)如(・)と(・)し(・)て(・)風(・)が(・)哭(・)い(・)た(・)と(・)思(・)っ(・)た(・)そ(・)の(・)瞬(・)間(・)、(・)ま(・)る(・)で(・)F(・)1(・)カ(・)ー(・)の(・)様(・)に(・)超(・)高(・)速(・)で(・)吹(・)っ(・)飛(・)び(・)消(・)え(・)去(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)う(・)

そして、その後Jはもちろんリーや立花の足取りもつかめなくなってしまったのだ…

 

 

Case26『堂々たる暗殺者』

 

 

 

さて、そうした形で呆気に取られる三人であったが、最初に口を開いたのはエルであった。

 

「あー…最後にケチついちゃったけど、これは私の問題よぉ。

夏休みの宿題は他人に任せたらダメな様に、これは私が決着つけなきゃいけない話

…多分四(・)日(・)後(・)の(・)朝(・)は(・)私(・)は(・)迎(・)え(・)る(・)事(・)は(・)出(・)来(・)な(・)い(・)、だから、ごめんなさい」

 

そう言って足早に駆け出していたと思いきや、ふと見たら今から走って追い付かないぐらい小さくなるぐらいの距離まで守屋や優姫から距離を離していた。

恐らくはスタンドを射程距離の長い自分のスタンドを利用して、いつの間にか『会話』から『スタンドの念話』へと切り替えていたのだろう。

小細工が得意なエルらしい器用さと言うとそうなのかも知れない、会話を途切れさせずかつエルに注意が行ってない状態で全員がスタンドを展開していたと言うとそうした応用はいくらでも出来るのだろう。

 

そういう意味では自分や守屋より上手だ…と、内心で優姫は舌を巻くがほ(・)っ(・)と(・)け(・)る(・)ハ(・)ズ(・)が(・)無(・)い(・)。

 

何かしら、エルは恨みを買ってきて立花と言う少女に殺意を向けられていると言う状況は理解した。

そして…エルがそうした殺意を向けられている事に納得していることもだ。

それはそうとエルが殺されねばならぬほどの悪人とは優姫は思っていない。ましてや警官として殺人予告を見逃してたまるものか、と。

故に、守屋に対して優姫はこう『お願い』をした。

 

「私には…『立場』がある、エルさんに付きっきりで護衛するって事は出来ない。悪いけど、それは私の役目ではないの。

代わりにあの三人組を追っかける…『捜査』と『逮捕』が私の使命だから、それが警察官だから。

だから、私の代わりにエルさんを守ってあげて欲しい、こっそりとで良いから支えてあげて欲しい」

 

そう、優姫が言うや否や、守屋もしっかりとした目でこう返す。

 

「…わかった、私は…私は凄く弱いけど、ちょっとだけなら力にはなれるかも知れない。

…私は『増田さんを守りながら戦う』、火々里さんは『あの三人組を追跡しながら戦う』…つまり、挟み撃ちの形になるわね。

…歴史書で読んだ事が有るわ、古今東西『(・)挟(・)み(・)撃(・)ち(・)す(・)る(・)側(・)は(・)負(・)け(・)な(・)い(・)』(・)、だから、負けない様に頑張ろう、ね」

 

そう言って、ススス…と言うオノマトペが付きそうな感じで守屋の姿がまるで今までそこに誰もいなかったかの様に消え去っていく。

これが『ステルス・オブ・デイズ』なのだ、と隠匿能力に舌を巻きながら、優姫はとりあえず有栖川へと報告する為にスマホを取り出した。

三人組の殺し屋が増田エルを狙っている、そういう内容の連絡を入れるためにだ。

 

しかし、それはタ(・)ッ(・)チ(・)の(・)差(・)で(・)そ(・)う(・)し(・)た(・)予(・)定(・)が(・)狂(・)う(・)事(・)に(・)な(・)る(・)。

なぜならばそれは優姫のスマホの方に一本の電話が入った事がきっかけになったからだ。

 

 

…リー・ファン&J・ガンド、今までさんざん出てきた『リー』と『J』なる二人の男。

この二名についての話を有(・)栖(・)川(・)の(・)方(・)か(・)ら(・)聞(・)か(・)さ(・)れ(・)る(・)事(・)に(・)な(・)っ(・)た(・)為(・)に(・)、だ…

 

 

To be continued

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