今にも堕ちてくる空の、奇妙な街で ~ジョジョの奇妙な冒険、異伝~   作:たんぺい

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29話『GY社のCEO』後編

「そうだな、もともとはヨーコ…俺の娘がきっかけだった」

 

アルダーはヨーコが立ち直るのをしばらく待ったあと、リビングに有栖川と木藤をソファに座らせるなり開口してこう語りだす。

 

「ヨーコを見たらわかるだろう?

まあ…誰がどー見たって『おめーはダメ人間だろーが』って言われそうな不健全な生活をしてるかもだが、そもそもがヨーコのせいではない。

俺はそう考えているよ、少なくともスタンドに目覚めてしまった事もコントロールしきれず家から出られない現状も、実質不可抗力みたいなもんだ。

引いては遠因の実の親の姉貴たちの死もヨーコは何にも関わって無い、それが理由で不健全な生活になったとしても全部が全部ヨーコのせいだなんて俺は言わせない、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう、力強い目で語るアルダーを前に、全員が言葉を失うなかで少しだけ声のトーンを落ち着いたものへと戻しながら彼はこう続けた。

 

「…『スタンド』と言うものはコントロールしきれなかったり使い方ひとつ誤るだけでまるで包丁で自分の指をザクッと切っちまうかのように()()()()()()()()()()()

良くある事って言われてしまえばそうなるのかも知れないが、少なくともスタンドによって社会生活が困難になってしまったり生活が出来なくなって日々を苦しめるのは自分も含むパターンって珍しくはない事で、俺はヨーコがきっかけでそういった連中への慈善事業やサポートに手を出すようになった」

 

そう、遠い目で語りだすアルダーは次のように続けるのだ…

 

 

 

case29 『GY社のCEO』後編

 

 

 

…まず、君たちが知りたがっている名前から教えよう。

そう切り出したアルダーは単刀直入にこう告げる、殺しかたから見て、彼等の名前はリー・ファンとJ・ガンドだと。

 

そう教えられた有栖川はひとつ質問をする、彼等はGY社とどんな関係なのかをだ。

かえってきた返答はこうだ、もともとは我々の嘱託の外部警備会社の社員のようなものだ…と。

その返答にいまいちピンと来ない有栖川と木藤を横目で見たヨーコは、やや嘲るかのような素の口調でさらりとこう補足と言うか訂正を入れた。

 

「…はっきり言いましょうよ、パパ。()()()()()()()()()()()()()()()()()って」

 

そう言われた有栖川は警官として血相を変え今にもアルダーへと掴みかかろうとし、対する木藤は混乱の極みのような表情でぼんやりヨーコを見ながら、しかしそれら二人の行動を両手でヨーコは制しつつ少し落ち着いたトーンになりながらこう続けるのである。

 

「正確には彼等は私達GY社の上層部お抱えの…まあ、私設部隊の護衛役、その隊長格と部下って所かしら。

『殺し屋』ってのはモノの例え、結果論みたいなものよ。

街中でミサイルを生成したり、他人を洗脳する能力を使ってマフィアを手駒にしたり…ああ、上水道と下水道の水を入れ換えて街中全部の水を雑菌だらけな食中毒にして町一つめちゃくちゃにしようとするスタンドなんかも居たっけ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()よ?

そういったスタンド使いからパパを筆頭にしたパパの会社のお偉いさんを護衛する過程でスタンドで殺した…きっと能動的に攻撃しないとどうしようもなかった場面もあったろうし全部が全部『正当防衛』とは言わないわよ、それでも殺さないと止められない相手から守ってくれていた二人だった」

 

そう言われ、なるほど暗殺者と言うよりはボディーガードやSPみたいなものか、と木藤は納得し有栖川もギリギリで自制するのを尻目にアルダーは更に娘の言に乗るようにこう続けた。

 

「…だが、我々が結果的に彼等の信頼を裏切ってしまった。

結論から先に言えば、天津のアホが会社の金を使い込んだ…と言うか帳簿の不正で脱税した上で、浮いた金で豪遊したのを監査部に感づかれた事が事の発端だ。

国税局もウチの監査部にも目をつけられて、天津は後が無くなったと感じたんだろう。

秘書に濡れ衣を着せて『俺は悪くない、アイツに騙された』なんて言い訳する魂胆だったんだろーな、兎に角、書類を偽装して責任が秘書にあるように見せかけた書類を作成したようで、その後秘書にこういったらしい。

『しばらくほとぼりが冷めるまで海外に逃げてくれ』…こう秘書にアメリカに渡るように勧めた上で、一方でリー氏たちにはこう連絡した様だ、『アメリカに逃げた凶悪な脱税魔を始末してくれ』…と」

 

こう言われた有栖川は起こった事態が整理できたなり、呆れた顔になりながらも怒気は増した口調になりながらこう相槌をうつかのように語りだす。

 

「…成る程、それで裏をとったリー達が騙された事を知った、或いは貴様にでも直接的に問いただしたのかもしれないな。

何れにせよ依頼に虚偽や偽装があったと気付いた彼等は、問いただした中で天津氏とソコでトラブルがあった。

或いは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う可能性もありうるか。

口封じ、依頼料の支払いの拒否…パッと考えられる動機はそんな感じだな、下衆が…」

 

そう有栖川が整理すると、アルダーもおそらくはと前置きした上でこう返す。

曰く、もともと…特にJ・ガンド、本名はジークフリート・ガンドと言うが、彼は生来のスタンド能力で学校や親類から爪弾きにされ日常生活が極端に不都合で荒れていた所をリー氏に拾われて、ソコで社会復帰を目指していた所を我々がコンタクトをとってからの付き合いだ…と。

ソコで一拍おいて、アルダーは遠い目をしながらこう続ける。

 

「故に個人的にも知った範囲で語らせてもらうなら彼等はもともと悪い連中ではない、誠実な人間だが()()()()()()()()()()()()

…少なくとも、そういう気質を俺が利用したのだと君たちが謗るのならば、俺はそれに返す言葉は無い。

そして、彼等が天津を始末して尚()()()()()()()()()()()と言う報告がある…詳しい事情はわからないが、もしかしたらまだGY社への恨みが有るのか、或いは日本に別な目的が有るのか、何れにせよ発端は我々が巻いた種なのだから俺が自ら止めるのが筋だろう」

 

そういったアルダーは、何を考えたかいきなり自らの背中にスタンドのヴィジョンを展開する。

 

人型の、筋骨粒々なマッチョマンのアメコミヒーローじみたマントを翻すそのヴィジョン。

名を『トップ・オブ・ザ・ワールド』…彼はそう明かした上で、自らをこう定義する。

今の俺は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そう何の脈絡もなく高らかに宣言した上で自らを鼓舞するかのようにカララと笑うアルダーに驚き、木藤は咄嗟に反射でファイナル・カウントダウンを展開しようとするなり…違和感に気付く。

()()()()()()()()()()()()()() と言う異常事態に、だ。

 

有栖川も慌ててザ・ポリスを展開しようとしても出てこない。

まるで鍵つきのドアを無理矢理開けようとしても動かないかのように、スタンドが動かないのだ。

その異常事態に、ケラケラとまるでうけをとった漫才師のギャグを見たかのように笑いだすのは…ヨーコだ。

彼女はひとしきりゲラゲラ下品に大笑いした上で、深呼吸するなり急にスンと落ち着いた顔に戻るとこう語りだすのである。

 

「あー、笑った笑った…じゃなくて、『トップ・オブ・ザ・ワールド』は()()()()()()()()()()()()()()()、今この場ではパパがこの空間の法律そのもので国家そのものよ。

少なくとも、今の貴女達はパパに従うしかない…そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()少なくとも、貴女達はパパに招き入れられた時点で協力するしかない。

…それに、あれでしょう?」

 

そう娘に振られたアルダーはこう告げるのだ。

リー氏やJ氏に対してこの能力は使うつもりは無いし、今すぐにでも君たちに仕掛けた『トップ・オブ・ザ・ワールド』の戒めを解く。

あくまでもこの能力の一端を見せたのはある種の誠意でデモンストレーションに過ぎない。

それはそれとして、我々が追っている人間と君たちが追っている人間は同じはずだ、だから彼等を止めるのに協力してくれと、頭を下げながら…

 

 

To be continued




『トップ・オブ・ザ・ワールド』


破壊力:不明
スピード:不明
射程距離:不明
持続力:不明
精密動作性:不明
成長性:不明


限定的な状況下において『支配者』としての宣言を行った本体が支配領域を定めた後に権能と文律を裁定し一方的にふるう能力。
細やかなスタンドの能力は不明。
近接パワー型に見える。
スタンド名の元ネタはカーペンターズの『トップ・オブ・ザ・ワールド』とジョジョの奇妙な冒険で最も有名なあのスタンド。
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