今にも堕ちてくる空の、奇妙な街で ~ジョジョの奇妙な冒険、異伝~   作:たんぺい

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47話『墓守』その③

話は…どれだけ昔の事になるだろうか。

 

 

19世紀末、アメリカ。

大陸横断レース『スティール・ボール・ラン』開催の時期、そしてその顛末から話が始まる。

 

表向きは単なる冒険野郎達の騎馬を中心にした賞金つき超長距離走ではある。

しかし、その実態は『聖なる遺体』を巡る勝負であった。

そう、スティール・ボール・ランとは時に悪魔の手のひらと呼ばれる奇跡を起こす地をなぞるかのようなコースを駆け抜けながら、スタンド使いを生み出す分割された聖人の遺体を巡る策謀渦巻く争奪戦である。

それを持った国は1000年は続く王朝を築き上げ、その所持者は絶対の支配者になりうると言う。

 

そして、その奇跡の遺体の行く末は─『誰のものでも無い』。

 

文明と科学と軍事と経済による開かれた世界において、絶対の支配者それ自体が存在する事こそ悪である。

それには誰も異論はなかった、概ねその通りだと当時を知る者たちは誰もがそう信じ、遺体は封印された。

だが─

 

 

 

Case47『墓守』その③

 

 

「それは、『ジョット』ないしは『ドロローサへの道』とも呼ばれる『特異点』。

ジャパニーズ・ビートルの湧いた畑の様に、それが現れた地は荒れ果てる災害と化す…『カブトムシ』と、誤訳されることも珍しくはないが、ね。

そして、それをネイティブ・アメリカン達は『悪魔の手のひら』とも呼んでいたらしい」 

 

アルダーは、いきなりスティール・ボール・ランなる過去のレースの話をしたと思いきや、唐突に悪魔の手のひらと言う用語について解説を始めた。

曰く、『スタンド使いを産むとされる特殊な砂漠の地』との事。

人を選別し、生き延びる事ができるものだけに力を与えるパワースポット。

その地に迷い込んだ殆どの凡人は消えて居なくなるにしても、ほんの僅かな一匙の才あるものはスタンドと言う才覚に目覚めるのだ、と。

そして、アルダーはこう続ける。

 

「そのレースについての記録の中にも、悪魔の手のひらについても詳しく書かれているのさ。

正体は聖人の遺体に依るものが理由なのか、或いは地球その物のエネルギーに依るものが理由なのかは俺はわからないが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と推察されている。

日本にだって、幾つかの地で似たような事例は確認されているし、大小問わず『悪魔の手のひら』を手中にもし収める誰かが居たとしたら世界は滅茶苦茶になってしまうだろう…」

 

そう言った後に一区切りをつけたアルダーは、ため息をつきながらこう話を変えた。

 

「故に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と取り決めをした、戦争の火種にしかならないからだ。

それが1920年に発足した国際連盟結成の真の理由、今の国際連合の前身が生まれた理由の1つでもあるのさ。

まあ、肝心のアメリカが色々揉めたせいで加入が出来なかったり…我が国の情けなさを羅列するのは忍びないが、兎に角も『表向きの理由をつけて悪魔の手のひらや聖人の遺体を誰にも渡さない管理人』が必要になった」

 

それがリダン家なのだ、彼はそう一旦〆た。

 

 

そう、墓守。

悪魔の手のひらと言う、聖なる何かか眠る地の番人。

それがアルダー達リダンの一族の真の使命なのだという。

そして、アルダーは更にこう続ける。

 

「順番が前後するのだが…その、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

断っておくがアメリカが所持してるんじゃあ無い、ただアメリカに保管されているに過ぎないだけだ。

誰にも触れられない場所に封印され、()()()()()()()()()()()()()()()()()()…そうだ、仕舞われていたのは金庫だったのだ。

…偶然、無から突然都合の良い金庫や何やらが生えてくるなんてあると思うか?

そうだ、それは当時たまたま騒動があった際に近くにあった銀行の地下だったに過ぎない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そして、それは…偶発的な現象、『本体の居ないスタンド』を産み出してしまった

それが『マネー!マネー!マネー!』、銀行の店長をしていた俺の先祖がたまたま持っていた金庫だった」

 

アルダーはそう告げると、その右手の先には…確かに百年以上は昔の型としか思えない、錆びついた鉄を樫の木の部分が仰々しく飾る大型の金庫がある。

アレこそが、『マネー!マネー!マネー!』とやららしい事は、初見の人間にも理解できる。

 

そして、アルダーはその能力についても触れていく。

 

「このスタンド…と正確に言っていいかは分からないが、とにかくコイツは『悪魔の手のひらの場所を教えてくれる』。

対価は必要になるが、反応があるとしたらそれだけの対価を支払い『悪魔の手のひらを生み出すであろう聖なる何かを最初に見つける権利を得る』事だ。

何万ドルか何億ドルかは俺にも分からない、俺は便宜上このスタンドの所有者であるだけで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そしてGYコンツェルンなんて大仰な企業なんてのもこのスタンドを管理する為に国連が予算流して維持してるに過ぎないのさ。

ウチは安くていい商品や良心的なサービス機関が多いだろう、手前味噌ながらな。営利目的なんかじゃあ無いからなんだよ」

 

そう言ってカラカラ笑う後に…いきなり彼は皆を向いて土下座して、アルダーは最後にこう言った。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と。

 

 

「取り返しのつかない、か。

ここまで聞かされた中で推理すれば、大方予想はつく」

 

有栖川はアルダーの長い独白を黙って聞いていたが、不意に口を開く。

 

()()()()()()()()()()()()使()()()()?」

 

 

その通りだ…と、アルダーは力無く呟くが、有栖川はそれは無視し淡々と状況を整理し直していく。

 

「私達の街『柚木町がスタンド使いが急に増えだしたのが、だいたい15年前ぐらい』。

そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そのヨーコ嬢のスタンド、『カントリー・ロード』だったな。()()()()()()()()()()()()()だ。

憐れんだか、助けたいと思ったか…人の良いだろう貴様の事だ、焦っていたのだろうな。

娘のスタンドをなんとか出来るスタンド使いを探す為だけに『マネー!マネー!マネー!』を起動してしまった…要は、そう言った事だろう?」

 

有栖川はそう言って、ヨーコの方へと目配せをする。

そして、とうのヨーコは力無く頷くのを有栖川は見届けるなり…有栖川は、続けてこう〆た。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()?と

 

 

to be continued…




『マネー!マネー!マネー!』

破壊力:無し スピード:無し 持続力:A
精密動作性:無し 成長性:無し 射程距離:A


古ぼけた、ただの金庫。
ダイアル式の樫の木と錆びついた鉄で出来たそれが『便宜上のスタンド像』とも言える。
どういうことかと言うと、『GY社としての振込・融資ができる銀行への何か』がスタンドの実態とも言える一種の現象であり、言い換えるとあくまでも原初の発現が記録された金庫を便宜上のスタンドとしてアルダーの持ち家のひとつの自室に飾っているに過ぎない。
何なら、仮に普通の通帳とATMでも全く同じ現象は起こり得ると言うが、誰もこの金庫を破壊する事が無いために便宜上の形としてある種の本体として鎮座させている。

そのスタンド能力…と言うと難しいのだが、とにかく、『一定の金額を支払う事で悪魔の手のひらの中心を支払う者へ教える』事である。
あくまでもその能力に善悪は無く、差別も無い。
支払う者へ支払っただけに見合った金額に応じ、その金額に見合った内容で在処を突き止める…公正にて、公平。
ただし『1度の場所に対し支払う金額は1回のみ』、チャンスもシビア。
そして、支払いすぎても金は返っては来ないし、金が足りないならばどうなるか…
まさに、金!金!金!としか言えないスタンド能力…と言うより、ある種の聖なる遺体により発現したスタンドと言う名を借りた現象そのものとも言い換えても良いだろう。

名前の由来はABBAのシングル『マネー・マネー・マネー』より
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