『ヘイ!鎧武!デュアルタイムブレーイク!』
「これで、最後です!」
「ゲコォッ!?」
ズバッ!と脇腹を切り裂かれたジャイアントトードは大きな断末魔をあげて絶命しました。
あたりに、ミカンの香りが広がります。
……風味をつけてしまったようです。
「どうやら終わったようですね。まさか私の助けもなしにここまでやるとは想定外ですよ」
「いえ、いざとなったら助けてくださるめぐみんさんがいてくださったからこそですよ。心に余裕が生まれてやりやすかったです」
それと、スキルの恩地が大きいですね。
ジャイアントトードを倒していくらかレベルが上がり、スキルポイントが発生したので取らせていただきました。
『片手剣』スキル、これがあると無いとではヘイセイバーの扱い方がまるで違ってきます。
ライドヘイセイバーは両手持ちと片手持ち、どちらでも使用可能。
ですので、今後お金が貯まったら盾を購入する為に、今回は片手剣スキルにしました。
「これで5匹討伐完了ですね。ジャイアントトードの運搬はギルドに任せて今回は街に帰りましょう……っと、その前に、私の魔法を見ていきませんか?」
「めぐみんさんの魔法…!ぜひ見せてください!」
確か、最強の攻撃魔法と謳っていましたし、きっととんでも無く強力なものなんでしょう!そういうのはロマンがあって大変よろしいと思います!
「ふっふっふ…! ここまで熱意を持って見たいと言ってくれたのは貴方が初めてです!いいでしょう!今日は特に気合を入れて撃たせていただこうか!」
おお!これは楽しみです!…あれ?でも何かひっかかりますねぇ…?
「……あっ、でも、この辺で撃ってしまったらその、クレーターとかで賠償金求められません……?」
最強の攻撃魔法がどれ程のものか分かりません。
用心に越したことはないでしょう。
「………少し、的を探します」
ですか、やっぱりですか!
めぐみんさんも自分のことだけあって自覚はお有りだったのですね。
……それから数十分かけて、壊しても問題がなさそうな廃城を発見しました。あの城なら盛大に破壊しても誰も文句は言わないそうです。
ふわっ、と心地よい風が吹く中、めぐみんさんは最強の攻撃魔法…『爆裂魔法』の詠唱が響き渡ります。
『黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法!』
一文字一文字すぎる毎に辺りの空気がビリビリと震え出していきます。
そして、めぐみんさんが一旦詠唱に区切りをつけた時、あれだけ騒がしかった空気がシン…と静まり返りました…!
『エクスプロージョン!!』
瞬間、自分の視界は眩ゆい光に包まれます。
ですが、めぐみんさんの杖から閃光が走り抜け廃城に向かっていったのはわかりました……!
そして、爆破の余韻がズシン、と骨身に響き渡り、熱風が自分の頬を撫でます…。
あぁ…これが…!これが爆裂魔法!!
「めぐみんさん!これ、すっっっっごいですね!ってど、どうしたんですか!?」
自分はめぐみんさんを賞賛しようと声をかけますが、彼女は今日出会った時のように仰向けで倒れており、
「ふふ…我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力ゆえ、消耗魔力も絶大。……要約すると限界を超える魔力を使ったので身動き一つ取れません……あーすみませんが街までおぶっていただけませんか?」
そんなこと呟いたのでした。
因みに廃城は一部を除いてほぼ全壊してました。
☆☆☆☆
街への帰り道に、自分は僭越ながらめぐみんさんをおんぶさせていただきつつも世間話をしていました。
「いやぁ!めぐみんさんの爆裂魔法すごかったですね!」
「ふ、当然です。何せ最高最強の魔法ですから!例え使用後に倒れようが、私はこの魔法を使い続けますよ!」
「1日に一度きりの大技なのもロマンがあっていいですよね!んもぉ、さいっこうです!」
「あ、あなた分かってます!そう!私の魔力量では1日に一度きり…ですが、その代わりにあの攻撃力!堪りません!」
…訂正。爆裂話ですね!
「おい…なんか小さい子をおんぶしながら頭のおかしい会話してるぞ」
「爆裂狂と爆裂魔法で会話が広がるなんて…まさかあの変な服着た男も頭のおかしいのか…?」
「いや、間違いねぇだろ。だって冒険に行く前からあの格好だぜ?センスがどうかしてるやつと気があったんじゃねーか?」
「「成る程」」
なんか失礼な物言いですね!ヒソヒソ話してるつもりでもかなり聞こえてきますよ!?
あっ!もしかしてギルドで女性に凝視されたのってこの服装が原因ですか!
めっちゃ変なやつだって思われてたんですか!?
………いかんです。
爆裂魔法のことを理解してくださらないのは個人個人の価値観が違いますからまだいいとして、『センスがない』はシンプルに傷つきます!
……まぁ、それは後日しっかりとした装備を買うとして…。
「あの…めぐみんさん。差し支えなければこれからも一緒にクエストを受けてくれませんか…?」
「えっ…?」
自分のレベルではライドヘイセイバーの能力をフルに扱えないでしょう。
万が一今の自分の火力では足りない敵が出てきた場合の切り札が欲しいのです。あと、単純に爆裂魔法を毎日見たいってのがありますが…。
その日のクエストで強敵が出たらめぐみんさんのロマン砲でかっこよく決めてもらい、出なかった場合も今回の様に的を探せばいいだけです。
「…ですので…自分とパーティを組んでいただけないでしょうか?」
と、自分の独白を伝え、しれっと要求をランクアップさせました。
果たして、めぐみんさんは承諾してくださるのでしょうか…?
「ふ、ふふ…!いいでしょう!我が名はめぐみん!紅魔族髄一の魔法使いにして爆裂魔法を操るもの…!これからよろしくお願しますよ?我が同士よ!」
「……はいっ!」
————かくして、ここに後の爆裂コンビが爆誕したのだった…!
主人公は返信する機会があるなら…
-
するべき
-
しないべき
-
そこは変身だろがボゲェ!変身しろぉ!
-
そこは変身だろがホゲェ!変身するなぁ!