▽前回のあらすじ
▼コロッケ見逃した。
▼ドMに遭遇した。
▼痴女の店を見つけた。
…ど、どうやらお腹が空きすぎたせいで幻覚が見えてしまったようですね…。
一度深呼吸をして、心を静めて中に入りましょう。
「あっ、カロリーメイト食べれば…って、ないですねぇ…トードとの戦いの際に落としてしまいましたか」
心が落ち着つきを取り戻すと、最初に持っていた栄養補給剤の存在を思い出しました。
が、自分のポケットにはその存在はすでに消失していたようです。
…さて、いい加減に入るとしますか。
▽扉を…
▼ゆっくりと恐る恐る開ける
邪魔するぜぇと言いながら開ける
バーン!と開ける
「い、いらっしゃいませー?」
すると、先程自分に
…あっ、そうか。
自分が入店したと思ったらいきなりドアを閉められたから困惑してらっしゃるのですね?
…それなら謝罪も含めてここが本当に飲食店なのかの確認もとってみましょう。
「先程は急にドアを閉めてしまい申し訳ありません。…あの、ところで、ここって飲食店、ですよね…?それにしては、その、従業員の方の服装が…」
「…なるほど。お客様はここに来るのは初めてなのですね?」
「はい」
「では、私たちが何者かもご存知ではないと」
「少なくとも破廉恥な格好をしても平気な人種だとは思ってます」
あ"っ"。
しまった!失言を!
「フフッ…あ、改めて正面から言われるとすこし堪える物ですね…」
「っ!す、すみません!」
自分はババッと頭を下げました。
はっ!もしかして、店長の趣味でこのような格好を無理矢理させられているのでは…!?それならば、この店員さんの態度にも説明がつきます。
……なんという事だ!これは立派なセクハラ及びパワハラではないか!
そもそも飲食店なら食欲が失せてしまうような色彩は避けることを徹底させるのが常のはず!なんて怠慢なんだ!
…いや、そこは異世界なのだから価値観が違うのでしょうか?
……でも、自分に出来ることは…。
自分はこの世界に来て一日も立っていません。
なんの権限も無いし、お金だってトードを狩った時の報酬金くらいしか無いです。
グググ…ッ!
何も……出来ないッ!
……あれ、しかしそれだと『私たちが何者かもご存知ないと』と言う発言はどうなるのでしょうか?
「あ、頭をあげてください!堪えはしましたがそこまで気にしていませんので!」
「で、ですがっ」
「それに、無理矢理着せられてるわけでもないですから。これは私たち種族にとって普通の衣装なのですよ」
「……………種族?」
破廉恥な服装が普通の衣装………まさか、この人の種族は……!?
「私たちはサキュパス。男の方の精気を吸い生き長らえている、モンスターです」
▽…………。
なぁにぃ!?モンスターだぁ!?確保ォー!!
な、なんだってー!
▼……ワォ。
「……ワォ」
「フフ、驚くのも無理はありません…詳しい内容はお席にて説明いたします。どうぞこちらへ」
自分はまさかこの世界にて会えるとは思わなかった、しかし、いつかは会ってみたかったモンスターさんに手を引かれながら席に着いたのでした。
……それにしてもお腹すきましたねぇ…。
☆☆☆☆
「————以上が当店の成り立ちと役割となっています。何かご質問等はありませんか?」
「あなた方は天使か何かですか」
「や、やめてください縁起でもない!」
大まかに説明を聞いた自分は、無意識的に天使か、と呟いていました。
彼女たちの行いをザッと纏めると、『割安なお値段で男たちの欲望を静め犯罪減少に貢献』
と言ったところでしょうか。
めぐみんさんのような方が2日も何も食べられないほど追い詰められてしまう世知辛いこの世界で、一つ光を見つけたような気分です。
それに料理も美味しい。
流石に限界だったのでいくつか注文してみたのですが、どれもプロ顔負けと言っても過言ではないほど
ただやはり日本と価値観が微妙に違うのか、パスタを頼んだら蕎麦擬きが出てきたのは驚きましたが。
なんですかあのワサビみたいなもの。積極的に口の中に突っ込んでくるとか嫌がらせの塊みたいですね。
思わず叫んでしまい恥をかいてしまいました。
が、不幸中の幸いですね。
ここが人の多いギルドでなくてよかった。
これ以上変質者として広まりたくないですし。
そして、自分の奇行にも触れないで下さるサキュパスの皆さん…やはり天使か。
しかし、今の自分にはそこまで財布の余裕はない為、今日は食事だけで済ませます。
もう少し生活に余裕を持てるようになってから、ここにまた来ることにしましょう。
「今日はこのような素晴らしい店舗を開拓できて良かったです。またお金が貯まったらお邪魔させていただきますね。あ、料理とっても美味しかったです!」
「いえ、こちらこそ!この店で初めて料理の注文が入ってこちらも新鮮な体験でした。フフッ、シェフの子がとっても喜んでいましたよ?『やっと皆の役に立てるっ!』って気合いを入れてましたし」
「…それは、まぁ…このお店の都合上そうなりますよねぇ…」
「えぇ…それはもう号泣しそうな勢いで」
な、なんというか…お疲れ様です…。
「それでは自分はこれで。今日はありがとうございました!」
「ありがとうございましたー!またのご来店をお待ちしておりますね!」
自分はドアを開け、その店を後にしました。
外の日は落ちかけていて、暗くなる寸前、と言ったところでした。
異世界に来てからの一日目が既に終わりの時を迎えようとしているのです。
「これはさっさと帰った方が良さそうですね…」
『ライドヘイセイバー!』
『ヘイ!カブト!デュアルタイムブレイク!』
自分はライドヘイセイバーのカブトを起動させクロックアップ状態で宿屋への道を走って行きました。
……今日は生きてきた中で一番濃い一日でした。
これが夢オチでないことを祈るばかりです。
長かったなぁ…。
これデストロイヤーまで何話かかるだろうか…?