なんというかもう……『平成』が四方八方から殴りかかってくるような映画でした…。
メチャクチャ面白かったです。
翌日。
夜が明けて、まばゆい光が自分の体に注がれます。
起き上がって窓の外を覗いてみると、名前も知らない花が綺麗に咲き誇っていました。
「今日はいい天気ですねぇ…。鳥はさえずり、花は咲き誇っている。こんな日には何かいいことが起きるかもしれません」
ライドヘイセイバーとディケイドライドウォッチを持ち、ポケットにお金を突っ込んで宿からチェックアウトします。
その際店員さんに
「ありがとうございました。また来ます」
とだけ伝えて自分はその場を後にしました。
さて、今日は異世界生活2日目。
今日は同じ日本出身のカズマさん達と合同でカエル狩りをするつもりです。
まあ、めぐみんさんが嫌だと言ったらそれはしょうがないです。
今回は御縁が無かったということで。
……それはともかく、まずはお風呂入りましょう。
昨日カズマさんから聞いた大浴場に向かいます。
何せ昨日はさっさと寝てしまって体を洗えていませんからね。エチケットが無いのは失礼に値します。
なので合流前にサッパリしておきましょう。
☆☆☆☆
「かぽーん」
大浴場ではなく大衆浴場でした。
普通に勘違いしていて一人で恥ずかしい思いをしつつもお風呂を堪能します。
朝早いこの時間には自分しか人はおらず、完全に独り占め状態となっていました。
ここだけ日本の銭湯の施設と余り変わらなくて驚きましたがそんな事はどうだっていいのです。
「あぁ…いい湯ですぅ……」
熱い湯船に肩まで浸かり、じっくりと体を温める。
これを贅沢と言わずしてなんと申せましょうか!
ありがたい…ありがたい…!
そしてお風呂から上がったのならキンキンに冷えた飲み物が最適。
まさにBest Match!
「おじさん!冷えたクリムゾンを!」
「あいよ!クリムゾンネロイドね!」
石焼き芋の、車で売っているアレのようなスタンスのクリムゾンネロイドネ売りのおじさんに注文し、グイッと飲み干します。
グビッグビッ……。
「ッアァァッ!」
これが至高である!
「これ、お代です!美味しいクリムゾンをありがとうございました!」
「あいよ!兄ちゃんもいい飲みっぷりだなぁ…しばらくはここらに滞在するからまたこいよ!」
「はい!」
おじさんと別れ、ギルドへと足を向けます。
幸先の良いスタートを切れた気がしますね!
☆☆☆☆
「めぐみんさーん!おはようごさいまーす!」
「あ、おはようございます。時間ぴったりですね」
ギルドに着くとそこには既にめぐみんが待機していました。
「では揃いましたし、早速クエストと行こうじゃないか!」
めぐみんさんは興奮した様子で杖を構えています。
心なしか目が紅く光っているような…?
「あの、すみません…もしかして既にクエスト受けちゃいました?」
「…いえ、そんな事はしませんよ。ただ、クエスト後の爆裂魔法披露が楽しみで仕方がないのです!」
「あっ、そうなんですね!…それなら、今日は観客があと2人…いや3人増えますよ」
「はい?」
自分はめぐみんさんに別れた後起こった出来事を説明しました。
☆☆☆☆
「いいんじゃないでしょうか。人数が増えると取り分は減りますがその分負担が少なくなりますしね…永続的に稼ぐにはこのくらいのデメリットを背負うのは仕方ないでしょう」
「ありがとうございます!では早速行きましょう」
めぐみんさんの了承を得てホッとしつつも自分達は冒険者ギルドの中へと入って行きました。
朝から元気に挨拶してくださるお姉さんに会釈をしながら、カズマさんとアクア様を探します。
アクア様はなかなか派手な髪色(ダクネスさんもですが)をしているので見つけるのはそこまで難しくなく、一回見渡した程度で見つけることができました。
「カズマさん、アクア様。おはようございます」
「おうカンタ!おはよう。今日はよろしくな」
「あら、私に様付けなんてやるじゃない。この調子でどんどん崇めて……って、その後ろの子は?」
「昨日話していた自分のパーティメンバーのめぐみんさんです!」
「……なんだめぐみんて、バカにしてんのか」
「ち、ちがわい!」
▽このすば!▽
そこまでおかしな名前では無いような気もしますが…たしかに日本では馴染みの無いですね…恵とかなら結構ある気もしなくもないですが。
「ンッンッ!気を取り直して……我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者……!」
「……その赤い瞳、もしかして、あなた紅魔族?」
めぐみんさんの名乗りにもはや無反応だったカズマさんに変わってアクア様が疑問を口にしました。
その問いにめぐみんさんはコクリと頷くと、アクア様に冒険者カードを手渡します。
「いかにも!我は紅魔族随一の魔法の使い手、めぐみん!我が必殺の魔法は山をも崩し岩をも砕く……!」
あれっ!?バージョンアップしてる!
「あっ、自分の時よりパワーアップしてますね!」
「フッ…人は日々進化するのですよ…!」
「いいなぁ…自分も何か考えてみるのもいいかもしれません!……しかし…今の自分には大した称号はないですし厳しい物がありますね…」
…せめて変身できたら何か違うのですが…。
「フッフッフッ…慌てることはないですよカンタ。何故なら!カッコいいとは……自然に身につくものなのだから!」
「おぉ!名言!」
「フッ、そうでしょう!そうでしょう!」
そうか…!
それなら自分はこれからの冒険で成果を上げればきっと自分だけの名乗りができるかもしれません!
よぅし!
やる気がバリバリと湧いてきましたよーっ!
「…なあアクア。俺、ちょっとこいつらに声かけたの間違いだった気がするんだが」
「いいじゃない!紅魔族の子はさっきみたいな名乗りをあげるのが普通の習慣だし、私はとても良いと思うわよ?」
「……お前が同意している時点で嫌な予感しかしねぇんだよ…!」
「ちょっとそれどういう意味!?」
「すまない遅れたッ……す、既にパーティとしての空気が整っている!?…そんな中私は出遅れて1人阻害され……ンンッこれはなかなかの快感…!」
「……なんだこいつ!?」
……あっ!今日もう1人来るのを忘れてました!
▽このすば!▽はアニメ版のアレの再現です。