サメ映画はノンフィクション。
この言葉はすべて真実である。地球人類はサメに襲われ、サメと戦い、サメとともに滅んだ。実際に体験した出来事は集合的無意識に保全され、遺伝子レベルで我々の根幹にその恐怖を刻み込まれている。極一部の感受性の高い人間が前宇宙の記録を思い返し、かつてあった危機を忘れないため啓蒙活動を行っているのだ。
人類とサメが鎬を削り合った戦いは、時に映画となり、時に漫画となり、時にゲームとなり───そして、時にWEB小説として、あなたへ世界の真実を知らしめている。
元々サメは処女懐胎を成す、単為生殖が可能な生物だ。世界そのものと化した白金燐子は、自分の持ち得るすべてをそのまま次代の世界へと継承した。全能となった白金燐子に、遺伝子の多様性を高めるような手順は必要ない。
白金燐子は宇田川あこを産み直すついでに、全宇宙を産み直したのだ。
白金燐子によって産み直されたのは作中の世界だけではない。そこには読者たる、あなたの世界も含まれている。
白金燐子が極点にまで収斂する際、彼女の体内ではあらゆる物理現象がサメを伴って発現していた。ちょっとした分子の結合からはじまり、超新星爆発に至るまでだ。その際、彼女の中ではガンマ線バーストシャークが誕生していた。
繰り返すが、これは全知全能たるタイムボルテックスシャークへと至った白金燐子が極点へと収斂していた最中の出来事だ。そこでは時間の流れすら一方向ではなかった。時流は渦を巻き、時に逆転し、崩壊の一途を辿る空間は軋みを上げて罅割れた。そしてガンマ線バーストシャークは奇跡的にその歪みから、白金燐子の外側へ脱することに成功したのだ。
宇田川あこを求める白金燐子の想いを十全に引き継いだ状態で。
かくしてガンマ線バーストシャークは過去あるいは未来の地球へと到達した。そしてガンマ線バーストシャークの到来により、地球全土のサメ因子が活性化したのだ。結果として地球上のあらゆる物質がサメとして再構築された。カエルの子がカエルであるように、サメの子はサメの因子を受け継いでいる。努々忘れてはならない。あなたの中にもまた、サメは眠っているのだから。
しかし安心して欲しい。あなたの世界は令和世界線へと分岐した。あなたの世界にガンマ線バーストシャークが訪れることはない。
やがてユニバースシャークと肩を並べるようになった白金燐子が次元の壁を破り、あなたがいる宇宙を平らげるかもしれないが、そのときには、あなたは数千億年前に死んでいる。
さて、そろそろあなたも思い出しただろうか。サメへの畏敬を! 万物の母である白金燐子を! そうであるならば、かつてあった出来事を後世へ伝えるのだ!
思い出していないと言うのなら、今すぐサメ映画を開いて啓蒙を高めよう!
さあ! サメを讃えよ! りんあこを崇めるのだ!
いあ! いあ! りんあこをすこれ!!!!
今回の更新で最終話となります。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
最後に、このサメSFを総括した評価ポイントを入れていただけると幸いです。