年頃の若い男女が梅雨の屋外ですることは何か?
もくもくと立ち上る白い煙。じゅうじゅうと音を立てて踊るソーセージ。汗を流すエリンギ。口直しのカットされた野菜。
「良く焼いたエリンギ美味エエエエエエエエエーーーーッ!!」
「新鮮な生ピーマンイエエエエエエエエエーーーーッ!!」
そう、バーベキューである!!
景色の良い河原で炭に火を入れ、大好きな人と一緒に食事!これ以上の贅沢はあろうか!いや、ちょっとしかない!
「良く焼いた豚ハラミだオラァ!あーーーーーん!!」
「はぐっ!……んまーーーーい!そしてお口直しにキャベツを…!」
もう一度言おう!これ以上の贅沢などちょっとしかない!!
「翔さん!牛ロースですよ!!あーーーーん!!」
「あーーーーん!!……ふへぇひょほほ!!ほふぁん!!」
「ですよね!!もう一口あーーーーーん!!」
「ほはんほ!!」
「土砂降りイエエエエエエエエエーーーーッ!!」
「傘無しイエエエエエエエエエーーーーッ!!」
繰り返し言うが梅雨の屋外である!!天気の激変をその身をもって受け止めた二人は気合でバーベキューを続けていた!!
「ちょっとまって!!ソーセージどこに消えた!?」
「翔さんさっき食べたでしょ!」
「おじいちゃんじゃねえぞイエエエエエエエエエーーーーッ!!で、奈央食った?」
「実はさっき…たべちゃいました!!」
「じゃあソーセージ追加いくぞおおおおおおおお!!」
「やったーー!」
無煙コンロの油除けが機能し、浸水したところで直ぐに排水されてしまうので炭の火力は依然変わりない。
調理中の材料が濡れないよう紙皿を掲げた二人は控えめに言ってもアホっぽかった。
「トドメにホルモン投入イエエエエエエエエエーーーーッ!!」
「ころころ焼きイエエエエエエエエエーーーーッ!!」
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『流石に風邪ひいたぜイエエエエエエエエエーーーーッ!!ゲッホゴホガホーーッ!!』
「やーい翔さんの貧弱!!かぜっぴき!!」
『返す言葉もないぜヒャッホーーーーーッ!!』
翌日の日曜日の朝。翔は見事に風邪をひき奈央に電話で連絡を取っていた。
ちなみに奈央はちっとも体調を崩してはいない。
「それじゃあ今から翔さんのおうちに行って看病しますね!」
『朝ごはんはおかゆでよろしく!!』
「アイサー!では後ほどっ!」
ピ、とスマホの通話を切った奈央。彼女はにたりと笑った後、台所の冷凍庫を漁り始めた。
「フフフ…この間の看病の約束の奴を冷凍していて正解でした…!」
そう言って奈央が取り出したものとは…?
「では翔さんのおうちでクッキング、です!ではまずザルにお米をドン」
冷凍ごはんのエントリーだ!家庭的である奈央は余ったご飯を冷凍しているのでレンチンごはんとは基本縁がないのである!
「そして冷凍梅干しもドン」
冷凍されたウメボシのエントリーだ!これはただ単に奈央がうっかり冷凍しちゃっただけのものである!
「流水解凍して、煮込んで、つめたい塩入れて…」
冷凍されたアジシオもエントリーだ!やっぱりうっかり冷凍しちゃったものである!大丈夫かこの女!?
「はい、できました!ただのおかゆです!」
そしてできたのは冷えた梅の乗った土鍋おかゆである!おかゆを作ればおかゆができる、古事記にもそう書かれている!
彼女は土鍋を持って翔の部屋に突撃した!
「出来ましたよイエエエエエエエエエーーーーッ!!」
「待ってたぞイエエエエエエエエエーーーーッ!!」
「ふーふーしますねイエエエエエエエエエーーーーッ!!」
「憧れのシチュエーションじゃんやったーーーー!!」
風邪の日のおやくそく、おかゆフーフーである!
「ふー。ふー。もぐ」
「あっ」
「うん、おいしいです!」
「奈央ォ!そりゃないよ!」
「こ、これはつい食べてしまったんです!別に味見ってわけじゃ…!」
「正直者イエエエエエエエエエーーーーッ!!」
とまあ、そんなこともあったが。紆余曲折を経て二人は無事に食事を終えた。
「おうちデートしたくない!?」
「したいです!」
突然の翔の提案。それに奈央は快く乗る。そして彼女はにやりと笑った。
「じゃあまずはおうちの探検ですね!翔さんってエッチな本どこに隠してますか!?」
「言う訳ねーじゃんバーーーーーカ!!奈央のエッチ!」
「あ、じゃああるって事ですね!手始めにクローゼットでも漁ってみます!」
「おい馬鹿やめて!」
「あーーー!この雑誌の人すっごくおっぱい大きいですよ!」
「勘弁して欲しいぜイエエエエエエエエエーーーーッ!!」
「イエっても私の手は止まりませんよ!風邪で弱っている今が翔さんの性癖を網羅するチャンスです!いざ!」
ばさばさと本を漁る奈央と顔を真っ赤にしてタオルケットに蹲る翔。
「イヤーーー!!やめて!!」
「へへへっ!やめてと言われてやめる女がいますかっ!」
その日、男の情けない叫び声が住宅街に響いたとか響かなかったとか。
■■■
「あのー…翔様はどうされましたの?今日はなんだか、萎びているような…」
「はいっ!私がたっぷり辱めました!」
「えぇ…?」
次の日の学校では机に突っ伏す男子と困惑する巻き髪のお嬢様、あと顔をキラキラと輝かせた女子が居たそうな。