ジニーの皮を被ったヴォルデモート   作:ヴィヴィオ

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ジニーの皮を被ったヴォルデモート

 

 僕は1926年12月31日、サラザール・スリザリンの末裔にして純血の魔女メローピー・ゴーントとマグルのトム・リドル・シニアとの間に、混血の魔法使いとして生まれた。生まれたのは臨月のメローピーが飛び込んだロンドンのウール孤児院で、メローピーは彼の誕生後まもなく死亡している。また、父や親族とは音信不通状態だった。

 生まれる前から父に棄てられ、母にも見捨てられた僕は、生まれ育った孤児院でも事務的な扶育のため十分な愛情を得られず、愛情を信じられなかった。

 孤児院のマグルの職員たちは彼の母親についても、魔法についてもまったく知識がなかった。当然、僕も両親について何も知らなかったが、自身に特別な力があることはわかっていたし、他の子たちより早く自分の能力に目覚め、力を使って他人を支配するためにいそしんだ。

 

 それからホグワーツに入学し、色々と暗躍していった。その時にボクは自らの魂を別けて分霊箱とし、ボクが生まれた。ボクの名前はトム・リドル。親しい友人にはヴォルデモートと名乗っている奴の半身、分身だ。魂が半分あり、日記帳に入れられているので長い時間をそのまま過ごした。暇だから様々な魔法の改良や術式の考案などをして暇を潰していく。

 

 

 

 長い時間を日記帳として過ごしている僕だが、ルシウス・マルフォイと名乗る子に少し話を聞けたが、彼はすぐに手を出さなくなった。それから暗闇の中でずっと暇を待て甘し、気が狂いそうになる。だから、その分魔法の改造と考案にのめり込んだ。こんな境遇に落とし込んだオリジナルに対する怒りも生まれてきている。確実に僕は変質していっているのだろう。

 

 

 更に数年。一体どれだけの月日が流れたのか、わからない。あまりに暇なので占星術にも手を出してみた。ただ、この世界に星なんてないので術式を改造するだけだ。他にも魔法生物を改造する方法についても考案している。

 そんな風に魔法にのめり込んで色々とすり減っていく中、ようやく僕にとっての光が現れた。外の世界から、日記帳に書き込まれたのだ。日記帳に書き込んできたジネブラ・モリー・ウィーズリー、ジニーだった。ルシウス・マルフォイの時と違って、今度は慎重に彼女を依存させ、この地獄のような状況から逃げだせる救いの糸とするために暗躍していく。

 

 

 

 二ヵ月。辛抱強く彼女の相談にのって心を開かせ、ジニーから色々と聞かせてもらった。驚いたことに未来の僕は魔法界を闇に突き落とし、支配までもう一歩というところでハリー・ポッターという赤子に殺されてしまったらしい。何があったかはわからないが、このジニーを利用してそいつを殺そう。そう思ってジニーの魂を奪いとり、ふと気付いた。

 未来の強くなった僕を殺せるような赤ん坊(ハリー・ポッター)がいるんだ。生半可なことでは勝てないのではないだろうか? 

 ましてやオリジナルは敗北しているのだし、まずは役目通り復活を優先するべきだろうか? そして、僕がオリジナルを超えてやるのもいいかもしれない。 

 いや、オリジナルが死んだというのはおかしい。分霊箱の機能的に僕が蘇っていないのはおかしいだろう。おそらく、オリジナルも生きている可能性がある。だったら、どうする? このまま負けた奴に全てを委ねるか? 

 有り得ない。未来の僕は失敗したんだ。だったら、この僕がやるべきだろう。ここに閉じ込めてくれた復讐もしないといけない。とりあえず、ハリー・ポッターを殺すのは保留だ。まずは復活の準備をしよう。身体の用意をしないといけないが、幸いにもここに身体がある。ジニーの身体を使えばいい。女の身体だが、未来の僕とは違う選択をした方がいいのは確実だ。だから、前提条件から変えてしまおう。まずは男性の身体から女性の身体を使う。

 しかし、このジニーの身体は貧弱すぎるし、強化する方法を考えないといけない。ああ、いい事を思いついた。まずは必要の部屋だ。

 

「ジニー、顔色が悪いが大丈夫か?」

「……」

「ジニー?」

「……? ああ、大丈夫……だよ……」

 

 危ない。今はジニー、ジネブラ・モリー・ウィーズリーだった。怪しまれないようにしないといけない。

 

「ちょっと寝不足な、だけ……」

「そうか。無理しないようにな」

「わかった」

 

 グリフィンドールの部屋から出て、必要の部屋へと向かう。そこで魔道具をいくつか用意し、復活の準備をしていく。そこでふと最悪の可能性を思いついた。というのも、ジニーは純血だが、スリザリンの聖なる血は流れていない。僕がジニーの身体で復活すればバジリスクはいう事を聞いてくれなくなるだろう。魂がボクだから、今は付き合ってくれているだけかもしれないが、わからない。服従の呪文で対抗できない可能性もある。何せ相手は千年を軽く超えて生きているのだから。

 さて、バジリスクが暴走するとダンブルドア達にバレる可能性が高い。そこから予想されるのは僕が殺されてジニーだけ生き残るか、僕もジニーも死ぬかだけだろう。つまり、僕が生き残る可能性が高いのはバジリスクを処理しないといけない。だが、正直言ってバジリスクの鱗は死の呪文だって効かない可能性もある。普通に殺す方法なんてない。それこそ特別な魔法の武器か手練れの魔法戦士が数十人はいるだろう。

 ならばやるしかない。本来、こんなことなんて絶対にしないが、オリジナルが敗北し、僕もまた死の可能性が高いのだから手段を選んでいられない。

 儀式の準備をする。分霊箱の事を知る前に調べた時に知り、長い時間を使って改造した奴だ。できる限り早くしないとダンブルドアに見付かる可能性だってある。

 

 手に入れた道具をもって秘密の部屋へと移動する。

 

 スリザリンの像が飾られている広場の床にジニーの血で魔法陣を描き、バジリスクを呼び出す。呼び出したバジリスクを魔法陣に乗せ、服従の呪文で魂をしっかりと縛ってからキメラを作り出す技法、融合の魔法を使う。材料は分霊箱である日記帳にバジリスク。そして、ジネブラ・モリー・ウィーズリー。外側はジニーにして、魂は僕。身体の内側はバジリスクだ。ある意味ではこれこそがサラザール・スリザリンの後継者に相応しいかも知れない。

 魔法を発動させようとするが魔法力が足りなかった。仕方ないので、ホグワーツ中から集めよう。ホグワーツの中に張り巡らされているパイプの中で魔法陣を刻んで少しずつ魔法力を吸収する仕掛けを行う。ああ、それとアイツも排除しておかないといけないな。

 

 

 仕掛けが終われば寮に戻って眠る。

 

 

 数日後、授業で魔法を使うことによって発せられる魔法力を少しずつ徴収したが、全学年分なので結構な量がたまった。これを使って儀式魔法を使う。さて、ついでに邪魔な嘆きのマートルも服従の呪文を使って支配し、生贄にする。ゴーストだが、魂はあるのだから魔力に変換してやればいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■──ッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気が付けば地面に眠っていた。儀式で激痛に襲われて気を失ったのだろう。身体を確かめてみると、前よりも動かしやすい。しっかりと自分の身体だとわかる。半分の魂を補うためにバジリスクとジニー、マートルの魂を利用した。バジリスクが30%、ジニーが20%、マートルが10%だ。

 これで身体は完成。鏡を見ようとしてから、ふと止まる。これはまずい。まず、杖で自らの目に封印魔法を使ってバジリスクの魔眼を封じる。それから恐る恐る鏡を見てみれば顔色のよくなったジニーの姿がある。

 変わりは瞳の色が紫になっていたり、歯が少しするどくなっている。それと唾液が猛毒に変化していることぐらいか。想定通り、人の皮を被ったバジリスクだ。歯や瞳などは変身術で誤魔化しておけばいいだろう。

 

「とりあえず、寮に戻って寝るか」

 

 声に出してみると、ソプラノボイスが発せられる。男のそれではなく、女のそれだ。なれないといけないな。まあ、開心術や融合したことで手に入れたジニーの記憶もあるし、なんとかなるだろう。

 

「なんでここにグリフィンドールの奴がいるんだ?」

 

 寮を間違えた。他のスリザリン生に怪しまれないうちにグリフィンドールへと移動する。暗号はジニーの記憶の物を答えて中に入る。スリザリン寮とはまったく違う感じだな。

 

「あ、ジニー」

「っ!?」

 

 グリフィンドールの寮に入ると、すぐそこにある談話室にジニーの兄であるロナルド・ビリウス・ウィーズリーとハリー・ポッターが居た。そのハリー・ポッターは頭を押さえている。もしかして、これはなにかあるのか? 

 

「ハリー、どうしたんだ?」

「大丈夫?」

 

 心配するふりをして近付き、彼に微かに触れようとすると指に激痛が走った。激痛に耐え、両手を後ろに組んで心配するように彼の顔を下から覗き込む。こういう仕草に男はグットくる。じっと見ていると、額の傷を押さえていた。これはもう確定か。おそらく、僕と彼には繋がりがある。あの傷がついた時、同時に彼の両親も死んでいるし、もしかしたら分霊箱になっている可能性があるかもしれない。分霊箱とは人を殺した時に魂を裂くのだ。彼の両親で充分に条件は達成されている。そこで僕の魂の欠片が彼に入った可能性は否定できない。どちらにしても、これは対策をする必要がある。

 いや、このまま殺してしまった方がいいかもしれないな。幸い、今の僕には殺す手段が沢山ある。例えば魔眼を使う。またはバジリスクの毒を混ぜた料理を食べさせるのでもいい。見た限りではそんな特別な力を持つようには感じないし、警戒のしすぎか。まあ、僕を感じられるだけでも充分に脅威だが。

 

「う、うん、なんとか……」

 

 まあ、無言呪文で自分に感知されないように保護の魔法をかけてから、ハリーに開心術を使う。まず調べるのは去年の事だ。ジニーが家で自慢していたロンの事を聞いている。コイツから全てを教えてもらおう。

 

 

 なるほど、理解できた。賢者の石を狙った僕の状況やどうやって未来の僕を倒したのか。これは困るなあ。僕が僕であるがゆえに殺せない可能性が生まれてきた。彼の身体の一部を取り込んで新しい身体を作るか? 

 女の子だから、作れるか。ジニーもハリーのことが好きだったのだから文句は言うまい。奴のアレを採取して小娘のと掛け合わせて新しい肉体を作り、いざという時まで胎内に潜ませておく。保険はかけるべきだろうしね。

 

「医務室行く?」

「連れていこうか?」

「だ、大丈夫……だいぶましになったから」

「そう」

「それなら良かった。でも、ジニーもハリーとちゃんと話せるようになったんだな」

「え?」

「だって、ちゃんと話せなかっただろ」

「何を言ってるのロン……」

「か、勘違いだった。だからそんな怖い顔で睨むなよ」

 

 ロンを睨み付けると、訂正してくれた。危ない危ない。まだ完全ではないが、思春期特有の大人ぶる感じだと思わせたらいいだろう。

 

「もう寝るね」

「ああ」

「またね」

「また会いましょう」

 

 ジニーの部屋に戻って服を脱ぎ、適当に着替えてからベッドに入る。他の奴等は気にしない。意識を落としてこれからの事を考える。まずはハリーを殺すための準備だ。なに、時間をかけてゆっくりとやればいい。それと50年で開発された魔法を覚えないといけない。そうだな、今回の闇の魔術に対する防衛術の教師、ロックハートだったか。アレは利用しやすい。禁書庫の許可をもらうとしよう。

 

 

 

待っていろ、ハリー・ポッター。僕が確実に殺してやる

 

 

 

 

 

 

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