今回はタイトル通り、新聞回です。
第〇季 〇の〇 山の哨戒部隊に期待の新人入隊?
〇月〇日、妖怪の山の哨戒部隊に新たな隊員が加わった。哨戒部隊の構成員は基本的に白狼天狗たちなのだが、今回入隊した隊員は異色の人物(?)であったため紹介させていただく。
新たに加わった隊員の名前はDOGポリス。並外れた体躯を持つ帽子を被った狼に、首があるべき部分が謎の光源に置き換わった騎士が跨るという異様な風貌の人物である。
白狼天狗の犬走椛によれば「いつの間にか山に住み着いており、始めは我々も警戒していた。だが幸い理知的で話も通じ、高い能力を持っていたのでスカウトすることにした」とのことである。烏天狗である私には獣の鳴き声としか受け取れなかったが、白狼天狗は意思の疎通ができるらしい。できると言い張っているだけかもしれないが。
巨大な獣というものは、古来より神や妖怪として扱われやすいものだ。首なしの騎士が騎乗しているとならば尚更に。しかし幻想郷においてこれまでDOGポリスの姿は確認されたことはなく、最近幻想入りしてきたと考えられるが、筆者は別の可能性に思い至り新勢力であるカルデアの戸を叩いた。
事実確認を行ったのはカルデアの技術顧問であるレオナルド・ダ・ヴィンチさん。彼女(彼?)によれば、以前修正した特異点の一つで確認された特異個体に酷似しているらしい。
「治安維持システムという概念がとあるサーヴァントをモデルにした殻を被った存在。本物はとっくの昔に役目を終えて消滅しているけど、その残渣のようなものが幻想郷という特殊な環境下で新たに形を得たのかもしれない。DOGポリスと縁深い女王メイヴがスカサハ=スカディを伴って幻想郷観光に行っていたから、その辺りで因子が入り込んだのかも。かつてほどの力はないようだし、一夏の残り香のようなもの。そっちに馴染んでいるのなら、受け入れてもらえるとありがたい」
幻想郷には未だ都市伝説異変の影響が残っており、それが残渣と結びついてDOGポリスが顕現したというのはありうる話だろう。白狼天狗たちにも懐いているようだし、哨戒部隊からの評判も上々だ。
しかし私はあえて警鐘を鳴らしたい。即ち、DOGポリスがカルデアから妖怪の山に対して送り込まれたスパイであるという可能性だ。ダ・ヴィンチ氏は素直に天狗側に対して説明を行うことで、DOGポリスを受け入れさせる下地を作り上げ、そして今なお堂々と情報を抜き出しているのかもしれない。白狼天狗たちにもこのことを説明したが、彼らの反応を芳しくない。どうやら既に骨抜きにされているようだ。
本説を裏付ける証拠は今のところ見つかっていないが、本件に対しては引き続き調査を続行していくつもりだ。
◇
第〇季 〇の〇 邪仙危機一髪!? 意外な救いの手が
超常的な身体能力と寿命、そして妖怪にも匹敵する力を持つ者達――それが仙人である。彼らには妖怪や地獄の使者から狙われるという災難もつきまとうが、それでも人間たちから一種の羨望を浴びる存在であることは間違いないだろう。そんな仙人の中でも邪仙と呼ばれる霍青娥さんが、予想外の理由から襲撃にあった。
犯人はカルデア所属のアルトリア・ペンドラゴン〔サンタオルタ〕さん、ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィさん、アルテラ・ザ・サン〔タ〕さん、並びにケツァル・コアトル(サンバ/サンタ)さん。事の発端はなんと、以前私が書いた記事であるらしい。
問題の記事は「第百二十六季 師走の四」にて掲載したクリスマスに関する記事である。詳しい内容は割愛するが、興味がある方はぜひ手に取っていただきたい。簡単に説明すると、青娥さんがクリスマスに乗じて独自の商売に手を出したという内容だ。
「我々の行うクリスマスとて、本来のものからかけ離れているという自覚はある。だがそれでも人々を楽しませるために行ってきたことだけは事実であり、誇りだ。だがあろうことかあの女はサンタに扮し、クリスマスを利用して窃盗を行っていた。到底見逃せる問題ではない」
そう語ったのは、犯人一味の代表であるアルトリア〔サンタオルタ〕さん。彼女たち4人はサンタサーヴァントと呼ばれる存在であり、毎年師走になるとクリスマスイベントを開催しているそうだ。その為彼女たち視点においてクリスマスを悪用する邪仙は放置できなかったらしい。
青娥さんはこれまで何度も地獄の使者を追い返してきた力ある仙人であるが、執拗な追跡を前にとうとう追い詰められた。「南米の女神から『アナタの胃袋をプレゼント袋代わりにしてあげマース!』と笑顔で詰め寄られた時はもうダメかと思った」とは彼女の弁。そんな彼女の前に現れた救いの手は、驚くべきことに同じカルデア所属のサーヴァントであった。
「いやぁ……。遠目に見ても美女だったので、つい」
インタビューに対してそう答えたのは、泉の騎士ランスロットさん。
「ええ、あどけない容貌の下に巧妙に隠していますが、精霊の加護を得た私の目は誤魔化せない。内面に秘められた確かなマダム圧――見た目のギャップと相まって実に素晴らしい。歴戦の騎士たる私が目の前に立たれただけでクラクラ来るとは、久しぶりの経験でした」
彼は熱弁をふるったが、その半分も理解できなかったのは筆者の理解力不足を恥じ入るばかりだ。しかし私にもジャーナリストとしての誇りがあり、取材を続行した。
「しかし女性を巡る一件で、またもや我が王と対峙することになろうとは……これは私の業の深さ故か」
深刻そうな顔で語ったランスロットさんであったが、結論から言えば事件は両者の和解という形で収束した。青娥さんがサンタに扮した窃盗行為を今後中止し、今年の冬はサンタサーヴァント達がプロデュースしたサンタ活動に従事すると約束したからである。
「カルデアには興味がありましたし、これを機に交流を深めてきますわ」
いい笑顔で言い切った青娥さんであるが、いつも通りその内飽きてふらふらと遊びだすことだろう。今年の冬はまたひと騒動あるかもしれないので、注意して見守っていきたい。
◇
第〇季 〇の〇 注意喚起! 怪人ビーム男の出現!?
「ビームの撃ち方知っちょるか?」
最近、そんな言葉と共に現れる編み笠を被った男の目撃情報が相次いでいる。知らないと答えれば舌打ちとともに去っていき、知っていると答えれば戦いを挑んでくるそうだ。こちらの言論によって行動が変わることから具現化した都市伝説の一種かと考え、外の世界にも詳しい二ツ岩マミゾウさん(化け狸)に取材を行ったが「いや、そんな都市伝説は聞いたこともないのぅ」とはぐらかされてしまった。あるいは彼女こそがこの現象の黒幕であり、それ故に言葉を濁した可能性もありうる。
また実際にビーム男と対峙した霧雨魔理沙さん(魔法使い)に対しても取材を行った。
「うん? ああ、会ったよ。噂通りビーム撃てるかって聞かれてな。もちろん答えはイエスだぜ! 戦いを挑まれたから受けて立ったが、ただなぁ……飛べないみたいだったし、上から一方的に撃つばかりだったぜ。妙にすばしっこいからなかなか当たらなくて、最後はお望み通りマスタースパークで薙ぎ払ったんだけど」
話によれば刀を使う相手であり、魔理沙さんは地の利を生かして立ち回ったようだ。ただ結局は仕留めきれなかったようであり、飛べない身ながらもしのぎ切ったビーム男の実力を褒めるべきか、魔理沙さんの力量不足を嘆くべきか判断に迷うところである。
何にせよ不審人物には間違いなので、仮に出会ってもむやみに刺激しないよう「ビームの撃ち方なんて知りません!」とはっきり断りを入れるのが正解だろう。
◇
第〇季 〇の〇 博麗神社のお祭り――目玉は何と鬼の腕!?
〇月〇日、博麗神社にてお祭りが開催された。主催者はお馴染み博麗霊夢さん(巫女)であるが、集客の為用意されていたのはなんと鬼の腕のミイラであった。透明な箱の中に閉じ込められながらも、ひとりでにカサカサと動き回る姿に人間たちは驚き怖がりながらも興奮していたが、天狗である私から言わせればアレは正真正銘の鬼の腕である。あんなものをどこで見つけたのかは知らないが、封印こそされているものの色濃い妖力を纏った鬼の一部を展示品にするとは、果たして博麗の巫女としての自覚があるのだろうか。
しかし発想を逆転させることもできる。妖怪にとって人から認識されることは重要な事であり、霊夢さんは鬼と共謀して今回の祭りを開催したという可能性だ。霊夢さんは多額の金銭を得て、鬼は里人から強く認識される。鬼とは基本的にプライドが高い妖怪なので、自分の腕を切り落として見世物にするとは考えにくいというのも事実であるが、仮にこの説が事実だった場合、巫女は既に鬼と手を組んで更なる企みを目論んでいるのかもしれない。
尚、会場に遊びに来ていた見慣れぬ鬼から話を聞くことができた。
「ううむ……アレは紛れもなく鬼の腕だな。我も昔腕を切り落とされて困ったからな。できれば本体を探し出して送り届けたいところだ」
祭りを堪能していたのはカルデアの茨木童子さん(鬼)。態度こそ尊大であったが、話していると周りによく気を使っているという印象を受けた。今度の宴会の時、彼女の爪の垢を煎じて酒に混ぜ込み、幻想郷の鬼たちに振舞いたいと思ったものだ。
◇
第〇季 〇の〇 月からの襲撃発生! 原因は勘違いからの嫉妬
〇月〇日、幻想郷に凄まじい神気の塊が降り立ったことは記憶に新しいだろう。その正体は月の都在住の綿月依姫さん(月人)。幻想郷を揺るがす凄まじいパワーと共に彼女が現れた理由は何と、勘違いから生じた嫉妬だった。
そもそもの発端は本件が発生する少し前、カルデアがインド異聞帯の攻略に成功し帰還したことだった。私はその件に関する直接の取材は出来ていないが、藤丸立香さんより蓬莱山輝夜さん(ともに人間)に対し説明が行われたそうだ。又聞きにはなるが、カルデアがインド異聞帯で遭遇した敵はインド神群を全て統合した超存在であったらしい。インド神群といえば我々天狗にとっても無関係とはいえない存在であるが、これが事実ならば何故カルデアが勝利できたのか甚だ疑問である――が、このとこは割愛する。
問題は輝夜さんが永遠亭に還った後、薬師である八意永琳さん(人間〔自称〕)にある質問をしたことだ。曰く「依姫にも同じことができるかしら?」という内容だったらしい。依姫さんは巫女のように神霊を身に宿す力を持っており、それを指しての質問だったようだが永琳さんは即座に「無理ね」と答えたそうだ。
ここまでなら内輪の話で終わったのだが、この話は現場に居合わせた鈴仙・優曇華院・イナバ(兎)によって雑談として月の兎に伝わり、伝言ゲームのような形で変形していき最終的には「八意永琳は地上で藤丸立香という、インド神群を統合させられる弟子をとったから、もう綿月姉妹からは興味を失った」となって依姫さんとその姉である綿月豊姫さん(月人)に伝わったようだ。
更に間が悪い事に、確認の為急遽幻想郷を訪れさりげなく探りを入れてきた豊姫さんに対し、永琳さんはそっけない対応をとってしまったらしい。
「だってアポもなしに来たし……その割には歯切れが悪くって。こっちもちょうど色々考えているところだったから、あんな対応になっちゃったの」
永琳さんは自称人間であるが、こうコメントした時の顔は珍しく本当に人間らしいものであった。ともあれこうした誤解と勘違いの積み重ねから、本当に永琳さんから見限られてしまったと思い込んだ綿月姉妹。特に依姫さんの方は元々真面目な気質の為か深刻だったようで、思い詰めた末自分も同じことを出来ればもう一度認めてもらえると判断したようだ。
その結果彼女の手を染めたのが、過度な神降ろしの行使。あろうことか、八百万の神々全てをその身に降ろそうとしたようである。これは完全に暴走していたと言えるだろう。元々数柱の神々ならば一度に降ろす事が出来たようだが、さすがに規模が違い過ぎた為案の定制御不能に。
「とにかく真面目だから、いつかとんでもない失敗をやらかすと思っていたわ」とは輝夜さんからのコメント。大量の神霊を降ろして暴走状態に陥った依姫さんに対し、豊姫さんは「月の都で暴れられる訳にはいかない」と咄嗟の判断で幻想郷に送ったそうだ。はっきり言って迷惑千万である。
依姫さんは暴走しながらも元凶(勘違いだが)である立香さんをターゲットとして攻撃。幻想郷とカルデアの有志の手によって魔界に送られそこで交戦し、最終的には永琳さんからの熱い抱擁と接吻によって正気を取り戻し、その後気を失った。
「王子様の目を覚まさせるのは、お姫様のキスだと昔から決まっているからネ。もっとも、少々配役は違うのだが」とは作戦立案のジェームズ・モリアーティさん(サーヴァント)。これに対し永琳さんは「まあ、医療行為としては別に珍しくないわ」と淡々とした反応だった。
最終的に誤解も解け、元の鞘に収まった今回の騒動。幻想郷やカルデアに対しても謝罪が行われ、事態は解決した。ただ依姫さんは謹慎ということになり、現在は永遠亭に身を寄せているらしい。果たしてこれは謹慎になっているのだろうか?
今回の一件から分かるのは、高度な技術力と文明を築き上げた月の都でさえ、情報の扱いを一つ誤ればとんでもない失敗を引き起こすということだ。その点我々天狗の情報網は正確且つスピーディ。今後とも是非「文々。新聞」へのご愛顧を賜りたい。
◇
第〇季 〇の〇 バトルインニューヨーク2019開催! 幻想郷からも参加者が!
先日カルデアにおいて闘技会「バトルインニューヨーク2019」が開催された。主催はギルガメッシュさんとネロ・クラウディウスさん(共にサーヴァント)。ネロさんは以前より幻想郷各地で、闘技会開催の為の下準備をしている姿が確認されており「最終的にはあの金ぴかがちょうどよい特異点を見つけてきたから、会場はそちらになった」とコメントしている。
大会の様子はモニターを通して紅魔館でも中継され、紅魔館には連日多くの客が訪れ大賑わいだった。大会にはネロさんの仲介で幻想郷からも複数の選手が招かれており、熱い戦いを見せてくれた。
「いやぁ、あそこまで戦い詰めなのは久しぶりだったよ。道化師はうざかったけど、うざかったけど!」
晴れ晴れとした笑顔で語ったのは大会終了後の星熊勇儀さん(鬼)。
「どいつもこいつも強い強い。強くない奴も何かしら一癖あるから油断できない。いやぁ、参加してよかったよ。――それに、私たちが地底に潜っている間に人間たちがあんな街を築き上げているとはねぇ……」
会場はアメリカという国のニューヨーク。幻想郷では外国まで渡った事のある妖怪は少数派なので、物珍しく映ったのだろう。先のオカルトボールの一件では何名かが一時的に外の世界に弾き出されたが、あそこまでの大都市ではなかったはずだ。
盛り上がった大会だが、その決勝にて状況が一変。突如巨大宇宙船が襲来し、スペースイシュタルなる謎の神霊が大会を乗っ取ったのである。このことに対し八意永琳さん(人間〔自称〕)に確認を行ったが「無関係です。月はあんなの、一切、知りません」とコメントし何から考え事に耽ってしまった。
明らかな異常事態にも関わらず大会は何事もなかったかのように進行。大した図太さである。結果としてスペースイシュタルは討ち取られたが、多くの謎が残る大会だった。カルデアによる自作自演であるとの意見もあるが、慎重に見極めていきたい。
「楽しかったよ。ああ、すごく楽しかった。――自分だけじゃなくて、みんなが楽しめるように、か。そこが抜けていたんだな、かつての私は」
最後に勇儀さんが残したコメントが、わたしとしては印象的であった。
〇射命丸文
「最近は筆の先が渇く暇もありませんね」
〇霍青娥
「フランケンシュタイン――死体を繋ぎ合わせた人工生命。両儀式――あの在り方はまさに……」
〇精霊の加護
「人妻識別機能はあの人の自前です」
〇霧雨魔理沙
「ビームの撃ち方を知ってるかって?」
〇茨木童子
「ほら、だって腕ないと困るであろう?」
〇綿月依姫
「証明してみせる……私にだって全神統合できるっていうことを!」
――というわけで今回は新聞ネタ。東方SSを書いている以上いつかはやりたいと思っていたので、ささやかなネタ集となりました。ところで東方キャノンボールも予想より早く配信され、ボチボチプレイ中。☆5キャラは引けませんでしたが、最初の10連で☆4フランは来てくれました。レミリアは☆3でした。のんびりとやっていく予定。