落枝蒐集領域幻想郷   作:サボテン男爵

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番外編16 半人半霊の探し物 下

『さーて始まりました! 妖怪の山を舞台とした大サバイバル大会! 実況は真実と迅速の“文々。新聞”でお馴染み。清く正しい射命丸と――』

 

『はーい! おしゃまで悪魔でイケイケな月の女王、BBちゃんです! 聖杯戦争の運営と校内放送、そしてBBチャンネルで鍛え上げたトーク術を駆使して盛り上げていきまーす!』

 

『はい。BBさんは月の女王と仰いましたが、幻想郷出身の方々の為に補足しておくと、彼女は月の都の住人という訳ではないので勘違いにはご注意を! あっ、匿名希望の某人類最後のマスターさんからコメントが入っていますねー。ええっと、「彼女がテンション高いのは人前で無理やり自分を高揚させているからで、一人になると割と自己嫌悪したりする。もしそんな姿を見かけることがあってもソッとしておいてあげてほしい」とのことです! 皆さーん、聞こえましたかー? いやー、優しさが身に沁みますねー』

 

『ぶっ!? ちょっ、開幕早々何を言っているんですか!? 今の私はグレート可愛いアイドル枠なんですから、プライベートの暴露はCCC級に厳禁ですよ! というかソレ、全っ然匿名の意味がないですよね!? センパイは今、微小特異点の修復に向かっていたはず。――さては先にコメントだけ残していきましたね。オモチャの癖に猪口才な真似を……帰ったら覚えておいてください!』

 

 姦しい少女二人による実況の元、サバゲー大会の幕が開く。

 

『それではまず初めに、観客の皆さんの為に簡単なルール説明を』

 

『私BBちゃんから。――とは言っても長ったらしい説明なんてテンション下がるだけでしょうし、簡潔に行かせてもらいます! ずばり、参加者全員によるバトルロワイアル! 最後まで立っていたヤツが一番だ! イエーイ!! 戦いの様子はドローンとちびノブ撮影隊が随時撮影して特設モニターに映りますので、そちらでも確認できます』

 

『エリアとしては守矢神社の敷地一部を含む、妖怪の山の一角になります。詳しい範囲は会場にある掲示板をご参照ください。いやぁ~、しかし頭でっかちの上層部がよくこんな事許可しましたね~』

 

『そこは隠岐奈さんの交渉の結果らしいですね。参加者はチームでも個人でも可! 普通に考えればチームの方が有利ですが、最終的には景品である聖杯の奪い合いで仲間割れになる可能性もありますからね。一長一短というやつです。――おおっと? 早速派手な動きがあったようです! これは守矢神社横の八坂の湖だー!』

 

 

 

 

 

「『アン女王の復讐(クイーンアンズ・リベンジ)』!!」

 

「『高貴なる海賊準男爵の咆吼(ブラック・ダーティ・バーティ・ハウリング)』!!」

 

 そよ風に揺れる静かな湖面に、激しい水しぶきが立ち昇る。

 湖の上に顕現する、この場に似つかわしくない2隻の巨大な木造船。

 各々の艦上でにらみ合うのは、名だたる二人の海賊。

 

「サーヴァントになってからは陸の上でも船を使えるようになったもんだが、海賊たるもの水の上が本領――まあ幻想郷にゃあ海はねぇが、船を浮かべられるスペースがあったのは僥倖ってもんよ。さぁーて、一丁派手に開幕の砲を撃ち合うか? それとも手を組んで他の連中から蹴散らすか?」

 

 挑発気味に笑って見せるのは、ボサボサの黒髪と長く黒髭が特徴的な男。

 大海賊黒髭――エドワード・ティーチ。

 

「月に行けばそこには海が広がっていると聞く。フランシス・ドレイクすら踏破せぬ海――そそられる物だね。私はまだ見ぬメカクレ属性との出会いを求めて参加したのだが――君はどうなのかな?」

 

 優雅な仕草の伊達男――バーソロミュー・ロバーツ。

 柔和且つ余裕のある態度に、黒髭はニヤリと笑う。

 

「ククク……目的だと? そんなもの――幻想郷の美少女たちと合法的にくんずほぐれつする機会があると聞いたからに決まっているでござるよ! ひゃっほーい!!」

 

 一瞬にして態度を翻した黒髭に、バーソロミューは分かっていましたとばかりに首を振る。

 

「やれやれ、大方そんなところだろうとは思っていたが……だったら陸に降りたまえ。陸に」

 

「いやぁ、拙者ってば水場があったからつい」

 

「おーい! お二人さーん! 暴れるのはいいけど湖を汚さないようにねー! 祟るよー!」

 

「了解でござるよ諏訪子ちゃ~ん! ところで拙者の船でランデブーとかどう? んん?」

 

 湖の畔から声を張り上げる諏訪子に対し、にこやかに手を振る黒髭。

 その様子に肩を竦めるバーソロミューであるが――次の瞬間背後に向かってピストルを構える。

 

「おっと素敵なお嬢さん。前髪を伸ばせば素敵度数増し増しなお嬢さん。あいにくと招待状を送った覚えはなかったのだがね」

 

「見つかっちゃったかー。なかなかいい勘してるじゃない、海賊さん」

 

「何、これでも人を容易く呑み込む大海原で生きた男でね。直感スキルとは別ベクトルだが、危機にはそれなりに聡いのさ。……君からはこう、特に危険な香りがするね」

 

「まっ、そうだろうね。水と船の上なら、私は幻想郷でも有数の危険さだよ」

 

 セーラー服を纏った少女は、にこやかに笑って答えた。

 

「おうおう嬢ちゃん! 海賊船に乗り込んでくるなんぞいい度胸してるじゃあねえか! 捕まって捕虜にされて、あんなことやこんなことになっても知らないでござるよグフフ……」

 

「おかしなことを言うな、エドワード・ティーチ! 私の海賊団ではその手の行為はご法度だ! だが度胸があるという点には同意しよう。容赦をするつもりはないがね」

 

「うんうん、その方が私も後腐れがなくていいわ! 私は村紗水蜜――舟幽霊!!」

 

 にっこりと、楽しそうに、御馳走を前にした少女のように――宝船の船長は錨と柄杓を構える。

 

「合法的に沈めていい船があると聞いて、飛んできました!!」

 

「「え」」

 

 

 

 

 

『おぉーっと!! バーソロミュー選手の船が転覆したー!? 絵になる派手な光景なので私としてはウハウハですが、村紗選手ここまで強かったですっけー!? 大変楽しそうな様子です!』

 

『あちゃ~、これはもろに相性差が出てしまいましたね。村紗選手は舟幽霊。私たち風に言えば、船特攻及び水上補正というところでしょうか? テンションアゲアゲな状態なので、その辺りも関係しているかもですねぇ……イベント補正ってやつです。あっ、黒髭選手は宝具を解除して泳いで逃げています。この辺り、さすがに判断が早いですね。それとも単に、自分の船が沈められるのが嫌だったのか』

 

『しかし水の上は村紗選手のテリトリー! 黒髭選手、追い付かれて捕まったー! 見事な十文字固めをくらいそのまま水中に沈んでいきます。しかしこれは――黒髭選手、笑顔でサムズアップしながら沈んでいく! いや、これは笑顔というかにやけているのか!? 気持ち悪いぞー!!』

 

『その気になれば振りほどけそうな気もしますが、ゲームでの勝利よりも実利をとったってことでしょう。己の欲望に忠実ですねー』

 

 文とBBによる好き勝手な――身もふたもない批評交じりの実況。

 しかし戦場は湖だけではなく、他の場所でも戦いは始まっていた。

 

 山中を木々が蠢く――否、木々を模した迷彩服を着こんだ一団が駆け抜ける。

 慣れた様子で足取りに迷いはなく、時折ハンドサインを駆使しながら一つの生き物のように行動する。

 彼女たちは山童。山に住み着いた河童の一団であり、普段から趣味としてサバイバルゲームに興じているため練度は高い。

 元が河童である彼女たちに協調性などないが、短時間且つ利益が被っていれば話は別。

 各々が手に持った自作の武器を構え、周囲を警戒しながら狩るべき獲物を探す。

 

「総員構え――撃てー!!」

 

 そんな少女たちに襲い掛かるは、幻想郷では珍しい銃による攻撃の嵐。

 山童たちは慌てて木の幹や茂みに飛び込み、一斉掃射をやり過ごす。

 

 銃撃をお見舞いしたのは、ウサミミが突き出たヘルメットをかぶるブレザーの少女たち。

 地上では滅多に見ることのない月の兎――玉兎の一団である。

 玉兎たちを指揮するのは、近年綿月姉妹によってレイセンの名を与えられた少女。

 

 上司からの無茶振りで急遽参戦することになったのだが、その上司が見ているので適当にやり過ごすこともできない。

 聖杯を手に入れることができればボーナスとして使っていいと言われているので、兎ながらに捕らぬ狸の皮算用をしているところでもある。

 

 お互い障害物に身を隠しながらも、時折衝突を繰り返す山童と玉兎たち。

 一進一退の戦い――否、山童たちの方が幾分か有利に動いている。

 それはサバゲープレイヤーとしての練度の差であり、地の利であり、この日の為に雇い入れた軍師の策によるものであり。

 

 しかし玉兎たちも負けておらず、数人の玉兎が一人の山童の後ろから襲い掛かり、その身を拘束して無力化する――その時だった。

 

「頃合いですね……そこです、自爆しなさい」

 

 拘束された山童が、拘束した玉兎諸共に爆発する。

 唖然とする玉兎たち。

 同じく呆然とする山童たち。

 

 そんな彼女たちを尻目に、怜悧な表情の男が独り言ちるように呟く。

 

「妖怪というのは、物理的なダメージには非常に強いと聞きます」

 

 淡々と――悪びれることもなく言葉を紡ぐ男。

 

「反面精神的には打たれ弱いようですが、それはそれ。肉体的に強いということは、自爆要員には最適ということでもあります。なんせ、うまくやれば数度にわたって運用できるので」

 

 その言葉が耳に届いた山童たちは「はっ!?」と事態を察する。

 勝利の為に雇った軍師から渡された、詳細不明の秘密兵器の存在を。

 

「勝利の為とはいえ少女の(なり)をした者たちを自爆させるのは、私としても些か気が進まないような気がしなくもない行為ですが――勝利を望んだのは彼女たち自身。私も心を鬼にしてその覚悟に応えるのは吝かではありません。妖怪用に自爆装置をチューニングするのには多少手間がかかりましたが、各種のデータ取りとしてもいい機会。現代風に言えばwinwinというやつですか、ハハハハハ」

 

 朗らかに笑う男は「そこまで言ってない!!」と、敵どころか味方まで慄かせるのであった。

 しかしそんな彼の足をツンツンとつつく感触が。

 

「はい?」

 

「ノッブ!!」

 

 視線を落とせば平蜘蛛を抱えたナマモノの姿が目に移り――

 

 

 

 

 

『おおっとー!? 血も涙もない鬼畜戦法を繰り出した陳宮選手! 因果応報とばかりに自爆に巻き込まれたー!?』

 

『いえ――陳宮選手健在! アレは無敵礼装――“月霊髄液”ですね。さすがは軍師、予めこのような事態に備えていましたか。信勝選手チームのちびノブたちが包囲にかかりますが、うわぁ……近くにいた瀕死の山童にタゲ集中かけて逃げましたよ、あの人』

 

『信じられない所業だー! はっきり言って私射命丸文、先ほどからドン引きです! まさに鬼か悪魔としか言いようのない所業だーー!』

 

「鬼はあんな真似しないぞー! 風評被害だー!」

 

 鬼っ娘からの文句を文はどこ吹く風でスルーしつつ、BBはその隣で実況を続ける。

 

『しかしアレは月の兎でしたか。基本幻想郷にはいない種族だと聞いてはいますが、なんであんなに大人数が参加しているんでしょう?』

 

『確かにそれは気になりますねー。あっ、そちらにいらっしゃるのは綿月依姫さんじゃないですか! ちょっとお話を聞かせてもらっても?』

 

 文が声をかけると、観客に紛れ込んでいた依姫は律儀に解説席までやってきた。

 

『――先ほどご紹介にあずかった綿月依姫です』

 

『はい、ご登壇ありがとうございます。早速ですがなぜ月の兎のチームが参加しているのでしょうか? てっきり地上のことは毛嫌いしているものとばかり。やはり聖杯が目的で?』

 

 文からマイクを受け取った依姫は首を横に振り、連動するようにポニーテールも揺れる。

 

『いえ、聖杯には特に興味はありません。私は普段月で兎たちを鍛えているのですが、故あって現在はその任から離れています。その為彼女たちには自主訓練をさせているのですが――』

 

 依姫は呆れ交じりのため息を小さく吐く。

 

『内情は置いておくとして、その成果の確認といったところですね。模擬戦とはいえ実戦に近い感覚で戦いを経験できる場は、月では貴重です。その意味ではカルデアのシミュレーターには興味があるところですが――いえ、話が逸れましたね。いつも同じ訓練だけではマンネリ化します。せっかくの機会だったのでこの新しい環境下でどれだけ戦えるのか、未知の敵を相手にどれだけ動けるのか。その経験を積ませるために参加させました』

 

『なるほど、非常にまじめな理由だったのですね。素直に感心しました。ところで、あちらに永遠亭の方々と一緒にいらっしゃるのはお姉さんの豊姫さんでしたよね? 彼女もわざわざ月から観戦に?』

 

『――ええ、まあ。視察の一種とお考え下さい。「私は月で誰かさんのやらかしの後始末で忙しいのに、あなたはお師匠様の下でのんびりできて羨ましいわねぇ」などと通信越しに笑う姉上が怖くて無理やり地上に降りてくる機会を作ったとか、決してそういう訳ではないので、勘違いはなさらぬよう』

 

『……はい! 月の都の内情がよく分かる貴重なコメント、ありがとうございましたー!』

 

 

 

 

 

「おおおぉぉぉぉーー!!」

 

 逆立つ髪の偉丈夫が、ウォークライの如き雄たけびをあげながら異形の螺旋剣を振り回す。

 

「はっ――甘いわっ!」

 

 異形なれど膨大な神秘と質量を秘めた剣と打ち合うのは、あろうことか一本の日傘。

 地形すら破壊する暴威を前に、花の大妖怪は楽し気に笑う。

 

「はっはっは! 女人ながらにこの剛力無双、全くもって見事としか言いようがない! いやはや、お主のような好い女に出会えた幸運を噛みしめようというものだ!」

 

 戦場に酔うケルトの戦士――フェルグス・マック・ロイに風見幽香も攻撃の手を止めず、むしろ一層に激しさを増しながら好戦的な笑みを返す。

 

「お褒めにあずかり光栄っ、ねっ!! 暇つぶしに参加してみたけど、英霊とはいえ人間上がりが“力”で私とやり合えるなんてねっ!」

 

 日傘による豪打に紛れて放たれる弾幕を、フェルグスは僅かに開放した螺旋の虹霓にて打ち払う。

 

「時に一つ提案があるのだが――!」

 

「何かしら! 共闘なんて水を差すような真似は願い下げよ!」

 

「俺とて空気くらい読む! ――今晩、お主さえよければ夜の相手をお願いしたいのだがっ!」

 

 一瞬だけ幽香の手が止まり、次の瞬間には倍の手数となって猛打が放たれた。

 

「なんなのよ急にっ! たった今空気を読むって言わなかったかしら!?」

 

「はっはっは! 好い女だったのでつい、な。何、この国には一期一会という言葉があるのだろう? 俺もそれに則って、その時その時の出会いを後悔のないものにするつもりだ!」

 

「つまり?」

 

「好い女には片っ端から声をかける!」

 

「妖怪相手に物好きなっ!」

 

「俺の妻は森の女神! 種族など気にせんっ!」

 

「思いっきり浮気宣言じゃないのっ! せめてムードと建前を考えなさい!」

 

「しまったっ、藪蛇であったか! しかし男フェルグス、この手の事柄は隠し立てせん!」

 

 

 

 

 

『幽香選手とフェルグス選手、派手に打ち合っております! 激しい討論となっていますが、そこは自主規制ということでひとつっ!』

 

(幻想郷の貞操観念的に禁則事項なんですか?)

 

(個人的には垂れ流しにしても面白いんですけど、子供もいるのでワーハクタクが後から怖いんですよねぇ。異種婚姻も、幻想郷の仕組み的にはあんまり推奨するものでもないですし)

 

(大抵は不幸な結果に終わりますからねー。その積み重ねから奇跡のような存在が生まれるのもまた、人理の妙というやつですが)

 

(へぇ、BBさんはそんな奇跡みたいな存在が好きなんですか?)

 

(――いいえ。誰に価値を見出すか、何に意味を求めるかは私次第です。例え他の誰もが大勢の中の一人に過ぎないと言っても、私が重きを置けばその人はもう、宇宙の中心と同義なのです)

 

(大きく出ましたねー。というかむしろ重い?)

 

(それでフワフワ飛んでいきそうな誰かの重石になれるのなら、幾らでも重くなるんですけどねぇ)

 

(……興味をそそられますが、気軽に新聞のネタに出来る話題ではないようですね)

 

(そりゃあ乙女の秘部ですから)

 

 

 

 

 

「フッフッフッフッフ」

 

 山の中で上機嫌に笑う赤い麗人。

 ネロ・クラウディウスは出陣の刻に胸を高鳴らせていた。

 

「飛び入り参加は祭りの華よ。誰からも注目されていなかった者が颯爽と現れ、並みいる強者たちを打ち破り華々しく勝利を飾る――これほど注目を集める所業もないであろう。惜しむらくは、例え参加者でなくとも余は最初から目立っていることであるが――くぅ、フィン殿ではないが、この時ばかりは自らの輝きが恨めしいなっ!」

 

 恨めしいなどと口にしながらも、整った顔立ちに浮かべるのはドヤ顔。

 自信満々を服に、尊大さを装飾にしたかのような少女は、誰もいないにも関わらず得意げに語り続ける。

 

「そろそろ新しい霊基(クラス)霊衣(ドレス)も欲しかったところ。聖杯を手に入れたらEXクラスとかなっちゃうかな、余っ!! マスターも惚れ直すどころか惚れ重ねること間違いなし!」

 

 薔薇色の未来を夢想しながら、歩を進め始める。

 そして少し進んだところで目をクワッ! と見開き――

 

「「いざ、出陣である/よ!!」」

 

 有頂天な天人と思いっきり目が合った。

 

 

 

 

 

『新たな戦いが始まりました! けど……アレ? あの二人、参加者の中にいましたっけ?』

 

『あー、飛び入り参加っぽいですね。お二方。大方目立とうとしてやったんでしょうが……それでちょうどブッキングしたようです』

 

『それは何というか――お間抜けなお話ですねぇ。あっ、お互いにいいのが入った。ダブルノックアウトでしょうか?』

 

『ネロさんはガッツで復活しましたか。相変わらずしぶといですねー、あの赤い王様は』

 

『しぶとさでは不良天人も負けていませんよ。半分くらいやせ我慢な気がしますが。ほら、涙目で立った。うわぁ、脛が真っ赤になってて痛そうです。何というか泥仕合な気配が既に漂い始めました』

 

『おや、現場で大きな動きがあったようです。そちらにカメラをうつしましょう!』

 

 

 

 

 

「ゴーゴーゴー! 主催者を甘く見るなよー!!」

 

 折り紙部隊を率いて一人――また一人と順調に黒星をあげていくのは刑部姫。

 ミニチュア兵士たちが小銃を撃ち、ヤドカリ戦車が地を這い、オビウオ戦闘機が空を舞う。

 一つ一つの戦闘能力は大したものではないが、数が馬鹿にならない。

 「戦いは数だよ」と言わんばかりに、数の優位を生かして戦場を駆ける。

 

 ――が、そんな彼女の前に立ちはだかるのもまた無数の小さき影。

 

「戦符――リトルレギオン」

 

 宣告と共に現れたのは小さき軍団。

 七色の魔法使い――アリス・マーガトロイドによって操られる人形劇が折り紙部隊に襲い掛かる。

 

「うわわわわ! アンブッシュ!?」

 

「一人軍隊はあなただけではなくてよ?」

 

 得意げに薄く笑うアリスは踊るように両手を動かし、それに連動して人形たちが縦横無尽に舞う。

 普段はエプロンドレスを身に纏う人形たちだが、サバゲーを意識しているのか迷彩服姿。

 この辺りにアリスの几帳面さを感じることができた。

 

「人形の軍隊なんてファンシー!」

 

「あなたの折り紙部隊も変わらないと思うけど」

 

「言い返せないっ! でも数ならこっちが上よ!」

 

「質はこちらが上。それに、こんな手札もあるわよ?」

 

 アリスの人形たちが手にした小銃を構えると、その銃口に魔法陣が展開されボウッっと炎が吐き出される。

 

「ギャー! (わたし)の折り紙がー!?」

 

 刑部姫の折り紙は、当然ながら紙だ。

 軽く量産もしやすいという利点はあるが、当然ながら簡単に燃える。

 

(ヤバいヤバいヤバい! 相性が悪い! 数をもって炎付きで包囲されたらあっという間に灰になっちゃう。虎の子の耐火コーティングの折り紙たちはさっき巴さんとの戦いでほとんど使いきっちゃったし、このままじゃじり貧!)

 

 部隊の一部を犠牲に一旦距離を開けたが、追撃の手は緩まない。

 仮にこの場をしのぎ切ったところで手札は大幅に削られ、今後の戦闘に支障をきたす。

 ネガティブな思考に傾きだした刑部姫であったが、光明が鈍色を伴って現れる。

 

「ターゲットロック――蹴散らすわ」

 

 突如空から殺到したミサイルの群れ。

 チェイテ城の鋼の守護者――メカエリチャンⅡ号機。

 獲物に食らいつかんと飛び交う弾頭だったが、事前に察したアリスは余裕をもって回避行動に入る。

 

「少し離れた間に何を追い込まれているの、刑部姫。援護するわ」

 

「助かった! でもうまく躱されちゃったかー」

 

「生憎と弾幕を相手取るのは得意なのよ。幻想郷の住人はね」

 

 距離をもって対峙する2組――そんな中で、刑部姫は素早くメカエリチャンⅡに目配せする。

 

「そっちはどうだった?」

 

「ええ、作戦通り危険度の高い勢力の位置は確認済よ。そこかしこで小競り合いしているわ」

 

「よーし、じゃあ奥の手行っちゃいますか!」

 

「あら、もう少し潰し合うのを待たなくていいの?」

 

「いーのいーの、スポンサー様は派手なのをお望みだからね!」

 

 メカエリチャンⅡ号機からの無機質な問いかけに、刑部姫はやけくそ気味に叫ぶ。

 明らかに何かやらかす雰囲気の刑部姫に対し、それを止められる唯一の立場にいるアリスは敢えて静観する。

 ――というかむしろ興味深そうに、メカエリチャンⅡ号機を観察していた。

 

「実物は初めて見るけど、面白いわね。あなた」

 

「見る目があるわね、魔法使い。そんな柔らかそうな人形じゃ戦闘には不向きでしょうが、優れた職人には私も敬意を払うわ」

 

「だったらもっと面白いものを見せてあげるわよっ! 主催者特権――《背中の扉(ポータルユニット)》起動! 概念集積――巨大ロボの集団幻想を元に疑似フレームを形成。Ⅱ号機(ケッテー)!」

 

「ええ――ドッキングシークエンス開始! 霊基情報――疑似骨格に投射。同調率――50、75、100%!」

 

「カムヒアっ! 巨大メカエリチャン!!」

 

 宙に浮かび上がったメカエリチャンⅡ号機を中心に魔力の光が集い、巨大な異形の人型を形成する。

 メカエリチャン・ギガフレーム――チェイテ城の守護像を。

 

 戦いが繰り広げられていた戦場が、静まり返る。

 唖然とする観客・参加者たちを満足そうに眺め、刑部姫は意地悪く笑って見せる。

 

「ふっふっふー。さすがに“そのもの”を持ってくることは出来なかったけど、幻想郷の環境と隠岐奈さんから貰った“背中の扉の魔力”、そして核となるメカエリチャンⅡ号機が揃えば疑似的な再現くらいは可能――まあ、上等なシャドウサーヴァントだとでも思ってちょうだい」

 

 先ほどまでとはうってかわって立場が逆転とばかりに、アリスに向かって余裕を持った態度で挑むのだが――

 

「あなた、脂汗かいてない?」

 

「え゛っ……な、何のことかなー?」

 

 あからさまに明後日の方向へと目を逸らす刑部姫に、アリスは冷ややかにジト目を向ける。

 

「よく見たら体も小刻みに震えてるし」

 

「うっ」

 

「ぶっちゃけ無理してるわよね?」

 

「し、仕方ないじゃないのー!」

 

 度重なる容赦のない指摘に、刑部姫が吼えた。

 

「思った以上に魔力がガリガリ削られてるのっ! ぶっつけ本番だったし、多少の想定外は付き物なのよっ!」

 

「まあ、技術屋としてその辺り、理解はあるつもりだけど」

 

「ああっ、こうしている間にも魔力がー!? 光の巨人よりは幾らかもたせて見せるけどー!?」

 

「十分よ、刑部姫」

 

 巨躯と化したメカエリチャンⅡ号機が、山中に声を響かせる。

 

「3分もあれば、この山を丸ごと灰燼に変えられるわ」

 

「それはダメー!? もっと穏便に! ねえっ!? 最近は環境問題には厳しいんだからー!」

 

 余裕の仮面はどこへやら。

 慌てふためく刑部姫に、巨大メカエリチャンはやれやれと肩を竦める。

 それだけの行為でも、この巨体では威圧感のある行動だ。

 

「慌てないでシャキッとしなさい、刑部姫。チェイテジョークよ。やらないわ」

 

 出来ないとは言わないあたりが色々と危険を感じるのであったが――

 刑部姫は気を取り直したように叫ぶ。

 

「とにかく、時間が限られているのは確かッ! 速攻で仕掛けるわよ! まずはあなた! 恨むんなら(わたし)の前に立った不幸を恨んで! 後で丑の刻参りとかしないでねっ! ホントにお願いだから!」

 

 ビシィ! とアリスを指差すが、当の魔法使いは危機感など感じていないかのようにどこ吹く風。

 

「くっ、何この嫌な感じの余裕感は……」

 

「都会派は簡単に取り乱したりしないの。巨大メカエリチャン――とても興味深い存在ね。確かに何の前情報もなしに見れば、白目をむいて泡を食ったかもしれないけど――」

 

「何それちょっと見てみたいかも」

 

「私にだって尊厳があるのよ――でも事前に過去ログ(イベントデータ)で予習済み。出でよ――ゴリアテ!!」

 

 妖怪の山に、巨大メカエリチャンに匹敵するサイズの西洋人形が立ち上がった。

 

 

 

 

 

『なんだかもう訳が分からなくなってきましたー! 巨大な絡繰りと巨大な人形が取っ組み合いを始めました! ちょ、コレ妖怪の山はホントに大丈夫なんですよねー!? サバゲーとはここまで危険かつ魔境な競技だったのかー!?』

 

『本当にいざというときは私と隠岐奈さんで何とかしますのでご心配なく。しかし参加者が参加者な分、スケールが大きくなっていますねー。あの引きこもり姫も随分とまあ無茶な真似を……』

 

『アリス選手もですよ。あの人形、前はあそこまで大きかったですっけ?』

 

『ウチの子なんです! すごいでしょう?』

 

 突如横から割り込んできた神綺に、文はマイクを掻っ攫われた。

 そしてフーっと息を吸い込み――

 

『アリスちゃーん! 頑張ってー! ママがついているからー!!』

 

 会場に響き渡る大声量。

 画面越しのアリスが思いっきりズッコケた。

 

『アリス選手、顔を真っ赤にして口をパクパクさせながら睨んでいます! これは貴重な画だー! 撮影班、バッチリ撮影お願いします!』

 

『アリスちゃん可愛いわー! 私にも焼き増しお願いね!』

 

『ところであなた誰です? ママと言っていましたが、アリスさんに母親がいたとは初めて知りましたが』

 

『義理の母だけどねー。アリスちゃんとの出会いはねー――』

 

 文がマイクを取り返そうとし、されど神綺も離さず、結局二人は頬をくっつけ合うようにして、一つのマイクで朗々とアリスのあれやこれやの過去エピソードを語り始める。

 勿論会場中に伝わる状況で。

 

「うわぁ、これはひどい。天然な分逆に悪辣ですねー」

 

 小悪魔を自称するBBでさえも、さすがに今のアリスには同情を抱いてしまうのだった。

 

『それでその日は一人じゃ眠れないっていうから、私が一緒に――』

 

『あっ、すみません。そのお話はまた後から詳しく聞かせてもらうとして、戦況に変化がありました! 巨大メカエリチャンとゴリアテが戦う戦場に乱入者だー! 片や巨大化した萃香選手! もう片方は――』

 

『カルデアのエウロペ神妃の守護人形――タロスですね。いよいよ怪獣大決戦の様相になってきました。……プロテアの参加を止めた己の慧眼に感心するばかりです!』

 

『萃香選手、楽しそうに殴り合っています。――ん? これは、更なる乱入者!? 巨大な馬の絡繰り――いえ、なんだアレは!? 人型に変形したー!?』

 

『最近召喚されたオデュッセウスさんのトロイの木馬ですね』

 

『……すみません、どのあたりが木馬なんでしょうか?』

 

『さあ? 後で本人に聞いてみて下さい』

 

「……ふーん、あの技術。カルデアの世界線じゃ、あいつらも地球に帰化してたのか」

 

 スウッと目を細める神綺。

 だが小声だった為か、文もBBも気づかずに実況を続ける。

 

『おや、アレは――誘蛾灯に誘われる蟲のように河童たちが集まっていきます! いくら技術屋とはいえ馬鹿なのかアイツら!? ああっ、まとめて薙ぎ払われたー! まぁいっか』

 

『冷たいですねー、文さん。お山の同僚なんでしょう?』

 

『どうせ数日もしたらケロリとしてますよ』

 

 

 

 

 

 轟音、振動、閃光――。

 

「――くっ! ここが地獄の一丁目か!」

 

「いや、地獄はあなたの所の上司の職場でしょう」

 

 大木を背に身をかがめる妖夢に、一時的に共闘している鈴仙・優曇華院・イナバは冷静に告げた。

 

「言葉の綾というやつです」

 

「まあ、確かに地獄よりカオスかもしれないわね。この状況」

 

 鈴仙は赤い瞳を細め、少し離れたところで暴れ回る巨大な影たちを見る。

 

「あなた、アレ斬れそう?」

 

「あのサイズの斬鉄はちょっと……アレってそもそも鉄なんですかね?」

 

「さあ? どうなのかしら。純粋な機械なら波長を狂わせれば機能不全を起こせるかもしれないけど……正直真っ当な機械にも見えないのよねぇ」

 

 参ったと言わんばかりにヘタリと耳を畳む鈴仙。

 

「少し様子を見るのが正解なんでしょうね。ああやってお互いに潰し合って――!?」

 

 鈴仙が突如、銃を象った指を何もない空間に向ける。

 その反応を見た妖夢も、無言で刀に手を添えた。

 

「3秒だけ待ってあげる、姿を見せなさい。3、2――」

 

「OKOK、分かりましたよお嬢さん」

 

 空間が翻るように一人の男が姿を現す。

 両手をあげて降参のポーズを示す緑衣のアーチャー・ロビンフッド。

 

「いやまいったねこりゃあ。まさか“顔のない王”が見破られるとは」

 

「半分はカマかけよ。空間における波長の行き来が妙だったから」

 

「……あちゃー。見事に釣り出されちまった哀れな獲物って訳ですかい。オレは」

 

 軽薄な様子で首を振るロビンフッドに、妖夢が剣を向ける。

 

「隠れてこちらの隙を窺っておいて、哀れも何もないでしょう。恨みはないですが、ここで斬り捨てます」

 

「おー怖い怖い。でもお嬢さん方、その前にちょっと話を聞くつもりはないかい?」

 

「時間稼ぎなら付き合うつもりはないわよ」

 

「何――単に組まないかって話さ」

 

 突然の提案に、妖夢と鈴仙はチラリと視線を交わす。

 その仕草に脈ありと感じたのか、ロビンフッドは素早く話を続ける。

 

「森の中でのゲリラ戦なら分があると思っていたが、今はこんな状況だ。得意の毒もロボ相手じゃ効きゃあしないし、かといって正面から向かっても踏み潰されるのがオチって話だ。その暁にゃあ数少ない取り柄のハンサムな顔も、潰れた柘榴みたいになっちまう」

 

「……私たちと組めば、勝率を上げられると?」

 

「少なくとも、各々でやるよりは幾らかマシってもんさ。――あのバカでかい人形、ゴリアテっつーんだってな? だったらこっちにも適任者がいる。性格には多少――いや、多大な難ありだが巨人(ゴリアテ)退治の張本人がね」

 

 チラリと視線を背後に送るロビンフッド。

 どうやら他に仲間がいるらしいと、妖夢と鈴仙のコンビは当たりをつける。

 

「どうしますか?」

 

「波長からして嘘はついていない……乗ってもいいと思うわ。どの道このままじゃ勝ち目は薄いし」

 

「……いやはや、便利な力を持ったお嬢さんだな。じゃ、一丁よろしく頼むぜ」

 

「ええ、こちらこそ。――私たちの戦いはここからです!」

 

 組んだところで決して容易い相手たちではない。

 それでも妖夢は聖杯を送り届けると、決意を新たにするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冥界、白玉楼にて――

 ズタボロになった妖夢が息も絶え絶えに、半霊に乗った状態で帰還した。

 

「あらお帰りさない、妖夢。――今日はいつにも増してボロボロねぇ」

 

「ゆ、幽々子様……ただいま戻りました。か、勝った……勝ちましたよ。――いえ、正直なんで自分でも勝てたのか分かりませんが、とにかく勝ちました。むしろよく五体満足で帰って来れたものだと、自分で自分を褒めたいくらいです。最後の天草さんとの一騎打ちは、きっと私の胸の中に残り続けることでしょう……」

 

「ほらほら、無理に起き上がろうとしなくてもいいからゆっくりと休んでいなさい」

 

「え――? 幽々子様が優しい言葉をかけてくれるなんて、まさか夢――?」

 

「――あなたが普段から私のことをどう思っているのか後でじっくり聞きたいところだけど、本当にご苦労様だったわね」

 

「うっ……お、お言葉に甘えて休ませてもらいます。あ、その前にこれを――」

 

 妖夢が幽々子へと差し出したのは、黄金の杯――

 

「ご所望の聖杯です」

 

「――苦労して手に入れたでしょうに、本当に欲のない娘ねぇ」

 

 幽々子はあっさりと聖杯を手渡してきた妖夢に、愛おしそうに苦笑する。

 

「ありがとう――よくやってくれました。あなたの体が回復したら、早速始めましょうか」

 

「はい――ってそう言えば聞いていませんでしたが、何を願うんですか?」

 

「あら、言ってなかったかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖杯ご飯」

 

「……

 …………

 ………………はい? なんです?」

 

 妖夢はたっぷりの沈黙の後、何とかその言葉だけを絞り出した。

 

「だーかーらー! 聖杯ご飯! ほら、先日ハサンさんが見えたでしょう? その時前にウチに滞在していた武蔵さんの話になったんだけど、その武蔵さんが聖杯ご飯っていうのを編み出したみたいなのよ! これはもう、是非とも試すしかないなって!」

 

「聖杯……ご飯……」

 

「うん」

 

「……」

 

「妖夢?」

 

「…………」

 

「よーうーむー?」

 

「………………ガクリ」

 

 返事がない。ただの半人半霊のようだ。

 

「あらあら、眠っちゃったみたい。よっぽど疲れていたのね」

 

「それはそうでしょう。激戦だったんだから。後でちゃんと労ってあげなさいな」

 

 独り言に返された、聞きなれた声。

 振り返ればそこには、スキマから体を出す友人の姿が。

 

「ちょっと久しぶりね、紫」

 

「そうね、幽々子」

 

 幻想郷のスキマ妖怪は、呆れ気味の視線を幽々子へと投げかける。

 

「聖杯なんて求めて何を考えているのかと思えば……はぁ。心配して損したわ」

 

「あら、心配してくれたの?」

 

「当たり前でしょう」

 

「そう、ふふっ――紫も一緒に食べる? 聖杯ご飯」

 

「またおかしな異変になったりしないわよね?」

 

「さあて? どうかしらね。ふふふ……」

 

「何よ、変な風に笑って」

 

「べーつーにー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――そう、別にちゃんと心配してくれていたのならそれでいいのだ。

 彼女が大事な人に再会できたのは喜ばしい事だけど。

 それでも最近、ちょっと遠くに感じていた友人が自分にもきちんと関心を払ってくれていた。

 その事実さえはっきりしたのなら、それでいいのだから――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――後日。

 

「妖夢ー、ほらほら。この間のサバゲー大会の優勝者独占インタビューが記事になっているわよ!」

 

「え? 本当ですか幽々子様。いやぁ、照れますね……。アレ? でも優勝者インタビューなんかあったっけ……?」

 

「ほらここ。えーと、『此度の結果をもってしてこの魂魄妖夢が幻想郷並びに隣接する異界において最強なのは明白であり、いついかなる時、誰からでも挑戦を受け付ける所存――』」

 

「あの腐れ天狗めーーーー!!!!」

 




〇摩多羅隠岐奈
威風堂々たる神秘。幻想郷の賢者の一人。
今回サバゲー大会のスポンサーとなったのは、示威行為の一環。近年幻想郷に対する異界からの干渉が増えているため、各勢力に対して存在感を示すことが目的。……別の意味で存在感を示した方々がいたので、思ったよりはうまくいかなかったが。最近同僚に色々あったので、「ちょっとくらいなら自分がカバーに入ってやってもいいか」との考えもあった。ツンデレ。
ちなみに大会の景品が聖杯だったのは、刑部姫に景品について相談したところ「カルデアだったら聖杯とかかなー?」との冗談を真に受けた為。


〇西行寺幽々子
亡霊の姫にして、冥界の管理者。死を操る少女。
とある理由から聖杯を求め暗躍……暗躍?
最近友人との距離を(一方的に)感じており、宮本武蔵の事例から考えるに聖杯ご飯を食べて“たまたま”異変にでも発展すれば、自分にも関心を向けてくれるかなーと少しだけ考えたりもしていた。もうどうでもよくなったが。
死を操るという点からエルキドゥ相手には相性がいいと思われる。反面、亡霊である以上強制成仏の宝具を持つ武蔵坊弁慶は天敵となりうる可能性がある。





ちょっと間が空きましたが、前後編で番外編16は完結。妖夢の明日はどっちだ。
本編にて大事な人と再会できた紫さんですが、その影響は他の部分にもでてきますよねっていうお話。人間関係は難しい。亡霊と妖怪ですが。ちなみに聖杯ごはんを食べたかったのも本当。武蔵ちゃんの二の舞になってしまうのか――?
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