落枝蒐集領域幻想郷   作:サボテン男爵

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はい、かなりお久しぶりの投稿です。具体的には1年と数か月ぶり。
ちょっと創作意欲が自分探しの旅に出ていましたが、もうすぐお盆だからと帰省してきたので筆をとりました。正確にはキーを打ったのですが。
今回秋の話になっているのは、この話の雛形を書いたのが去年の秋ごろであり、手直ししてからの投稿だからです。
それでは本編の方へどうぞ。


番外編17 とある秋の日の宴

松茸――キシメジ科キシメジ属キシメジ亜属マツタケ節のキノコの一種

独特の香りを持つ、日本という国においては言わずと知れた高級食材の一つ。

なので国産の天然ものともなれば、相応にお高く取引されているのであるが……

 

「へえ、そうなのか? 幻想郷じゃあ別に珍しくもないキノコなんだがな」

 

霧雨魔理沙が背負っていた籠を、博麗神社の境内に地面に降ろす。

籠の中には溢れんばかりのキノコたち。

スーパーで見ることができるような一般的なものから、図鑑を見なければ分からないような種――もしくは世界中の資料を漁ったところでお目にかかれないような独自の固有種まで。

 

「松茸は日本では特に珍重される食材の一つだと聞きます。特異点の日本には何度もレイシフトする機会がありましたが、口にしたことはありませんでした。先輩はどうでしょうか?」

 

興味深そうにキノコを手に取りつつ、マシュ・キリエライトはマスターである藤丸立香へと尋ねる。

 

「オレも食べたことはなかったかな。庶民が気軽に買うには高いし、一般的な家庭出身としてはなかなか機会がね」

 

「でしたらお互い、初挑戦ということですね。土瓶蒸しに炊き込みご飯……楽しみです!」

 

期待に目を輝かせるマシュに、魔理沙がポンポンと三角帽子の埃をはたきながら話かける。

 

「私の戦利品にそこまで喜んでくれるのはキノコ狩り冥利に尽きるが、別に昔から食べられてる普通のキノコだぞ?」

 

「そうなのですか?」

 

「ああ、香りにクセがあるが、そこまで特別な食材って気もしないな。まぁあの白髪の兄ちゃんとか、狐なのか猫なのか犬なのかよく分からんメイド妖怪だったら、大抵の食材なら美味く調理するんだろうがさ」

 

博麗神社では本日、宴会が行われる。

その為調理班として数騎のサーヴァントが出向いていた。

 

「幻想郷ではよく採れるキノコなんだね」

 

「そうだな、むしろ最近じゃ昔よりも数が増えているように感じるんだぜ。もしかしたら、外の世界じゃその分減っているのかもな」

 

「あー、ありそう」

 

立香がカルデアに勤めるようになってから数年間、特異点以外の日本の地を踏んだことはない。

しかしながらカルデアに来る以前の時点でさえ、松茸の収穫量は減っていると耳にしたことがある。

この世界の“外の世界”については立香も直接は知らないが、八雲紫から聞き及ぶ限りでは、自分たちの汎人類史と表面的には変わらない文明と歴史を辿っているようだった。

ならばその手の問題も同一であるというのは、一定の説得力があった。

 

「まっ、その辺りは私らが考えても仕方ない事なんだぜ」

 

「そうかもね。――ところでこのキノコだけど……食べれるの?」

 

立香が籠の一角を指差すと、そこには全身で「毒がありますよー」と主張している印象すら受ける、複数の絵の具をぶちまけたような毒々しい色合いのキノコの姿が。

 

「た、確かに食べるどころか、触っただけでもどうにかなりそうな見た目ですね……」

 

「一応大丈夫そうなヤツから選んできたんだけどな」

 

「……あの、ちなみに判断基準はどうなっているのでしょうか?」

 

「経験と勘だぜ!」

 

マシュの問いかけに対してニカッと人好きするような笑みを浮かべる魔理沙に、立香は苦笑するしかなかった。

 

「エミヤに解析してもらえば、毒の有無は分かるんじゃないかな?」

 

「ほほう、この魔理沙さんの目利きは信用できないと?」

 

「いやまあその……この色合いはちょっと不安ですはい」

 

「正直でよろしい」

 

魔理沙は三角帽子の中から取り出した伊達メガネをかけ、魔理沙先生モードへと切り替わる。

 

「魔法の森は植生の変化が早いからな。新種の有用なキノコを見つけたかと思えば、次に行ったときにはもうなかったりもする。だから初見のキノコなんかもよく見かけるし、その辺りは注意が必要になる」

 

「魔理沙さんはそのようなキノコを多く取り扱ってきた、その道のプロフェッショナルなのですね」

 

「プロフェッショナル……良い響きだぜ。コホン、まぁそんな訳でさっき言った通り経験と勘に自信があるのは嘘じゃないぜ。たまに新種のキノコを食った後2~3日体がしびれることはあるが、そこまでひどい事になったことはない」

 

安心していいのか不安を覚えればいいのか、迷うところであった。

 

「その点じゃ、藤丸が羨ましくはあるけどな」

 

「オレ?」

 

急に名指しを受けた立香は首を傾げる。

 

「毒、効かないんだろ? 『あんなのずるい~!』ってメディスンが百面相してたぜ」

 

「ああ……」

 

その言葉に少し前に出会った妖怪の少女を思い出す。

メディスン・メランコリー――鈴蘭畑の毒人形。

 

自然界、そして人類史において毒というのは強大な武器だ。

物によっては指先ほどのサイズの生き物が、自身の何十倍何百倍もの大きさの生き物を十二分に殺傷しうる。

山の翁の一人として名を連ね、本来のアサシンクラスたる資格を持つ少女の使う武器でもあり、英雄と呼ばれる超人たちですら毒によってその命脈を断った逸話は少なくない。

故にあらゆる毒を操るメディスンは、生物にとって天敵と言ってもいい能力を誇るのであるが……藤丸立香はその例外であった。

 

生来のものではない、シールダー:マシュ・キリエライトとの契約によって獲得した後天的な対毒スキル。

毒性に対して極めて強力な防御力を発揮し、ぶっちゃけこのスキルがなければ立香はこれまでの旅路の中でとっくに命を落としていただろう。

 

「あの件では、メディスンさんには色々とご迷惑をおかけしましたね……」

 

目を伏せるマシュに、立香は頷く。

毒という物は使いようによっては薬になる。

となるとアクションを起こすサーヴァントもいる。

新たにカルデア医療班のトップに立った医神・アスクレピオス。

医者としての意識が極めて高い彼は、メディスンの噂を聞きつけると即座に行動に移った。

 

――実のところ、カルデアにもメディスンと同じようなことが出来るサーヴァントは存在する。

アッシリアの女帝・セミラミス。世界最古の毒殺者。

その逸話からあらゆる毒を生成する宝具を持つ彼女に対し、アスクレピオスは当然のように協力を迫っていた。

しかしながらセミラミスは非常にプライドが高い――ぶっちゃけ気難しい女帝様。

交渉は難航し、暗礁に乗り上げていたのだが、そんな時にメディスンの存在を知ったアスクレピオス。

セミラミスに比べればはるかにチョロそうなメディスンへと矛先を変え、ちょっとした騒動に発展した次第であった。

 

「その話は落ち着くところに落ち着いたんだろ? だったら別に気にする必要はないんだぜ」

 

「それはそうかもしれませんが……」

 

「大体昔の事を言いだしたら、幻想郷の奴らなんてどいつもこいつもやらかした連中ばかりだからな。まぁどうしても気にかかるんなら、偶にメディスンに付き合ってやればいいだろうさ。あいつも社会勉強中みたいだし、うっかり毒で殺す心配がない藤丸ならコミュニケーション相手にはピッタリだろう」

 

何気に物騒なことを語りながら、魔理沙は「よっこらしょっと」と籠を背負い直す。

 

「何にせよ今は目先の宴会だ。さっさと食材を運ぶとしようぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんでこの国の連中はこんなのを有難がるのかしら。ちょっと理解できないわ」

 

幼き吸血鬼――レミリア・スカーレットは七輪で炙った松茸に挑戦しようとし、「うーうー」と迷った末断念して隣に控えていた十六夜咲夜へと渡した。

 

「欧米人だと苦手な香りだって言うしね。レミリアは納豆が大丈夫だからいけるかとも思ったけど」

 

「それはそれ、これはこれよ」

 

「そう言えばバカマツタケっていうのもあるんだって」

 

「偽物かしら?」

 

「近縁種らしいよ。名前だけ見ると松茸よりも劣りそうだけど、実際のところバカマツタケの方が香りは強いってエミヤが言ってた」

 

「一生お目にかかりたくないものね。天邪鬼辺りは喜びそうな話だけど」

 

立香の言葉に目を細めつつ、松茸の代わりに受け取った深紅のワインを喉に流し込み、レミリアは視線を移す。

 

「マシュも別に無理しなくていいのよ?」

 

「いえ、私はそこまで苦手という訳では……」

 

「でも期待したほどでもなかったって顔ね」

 

「う、それは――」

 

言い淀んだマシュに助け舟を出したのは咲夜だった。

 

「香りというのは各国の文化が出ますから。ある国で好まれる香りが別の国では嫌われるというのは、よくある話です。慣れもありますし、合わないことを疚しく感じることはありませんよ」

 

「レミリアも結構好き嫌いが多いしね」

 

「私に飛び火させるとは小癪よ、立香」

 

小さな指でレミリアが立香の頬を抓る光景に、マシュは小さく笑いを漏らす。

 

「そうですね、まずは好き嫌いを認めるというのも大事なことでした」

 

「そーそー、食べ物の好み一つであんまり難しく考える必要はないわ」

 

「覚えておきます。――それにしても、最近は日が沈むのが早くなりましたね」

 

マシュが髪を梳きながら、辺りを見回す。

既に日が落ちた境内ではあちこちで篝火が焚かれ、集まった人妖たちで賑わっていた。

 

「吸血鬼の時間が長くなって良い事だわ」

 

「身も蓋もない意見……」

 

情緒もなにもない生態的なレミリアの意見に、立香は思わず突っ込んでいた。

 

「残暑はありますが、秋が近くなってきましたからね。人里でも秋の神を迎えて収穫祭があるでしょうから、良ければ行ってみては?」

 

「それは是非とも参加してみたいですね、先輩」

 

「確かに面白そう」

 

神事において本当に神々が駆け付ける辺り、幻想郷らしいというべきか。

咲夜からの提案に相槌をうつマシュへとレミリアが声をかける。

 

「随分と楽しそうじゃない、マシュ」

 

「はい、色々と新鮮で……」

 

マシュは柔らかく微笑む。

 

「私はカルデア生まれのカルデア育ちなので、今まで季節の移り変わりを肌で感じるということがなかったんです。ドクターから聞いた話やライブラリの映像記録で想像を膨らませるのが精一杯でした。マスターと契約してからは特異点や異聞帯に何度も足を運んでいますが、そこでの滞在は一時的なもの。こうして一か所で季節ごとの変化を感じ続けるというのは、初めての体験なんです」

 

デミ・サーヴァント用の調整体として生を受け、本来カルデアという匣の中で一生を終えるはずだった少女。

数奇な因果の果て、彼女は今、多くの変化を享受していた。

 

「なるほどねぇ」

 

感慨深そうにつぶやくレミリアの視線の先には、宝石の羽を持った吸血鬼の姿がある。

レミリアの妹、フランドール・スカーレット。

並みの人間の人生数回分の時間を、小さな匣の中で過ごしてきた少女。

紅霧異変を経てもほとんど外に出ることがなく地下の自室に籠っていたフランドールだが、最近はよく外に出るようになった。

彼女もまた、多くの変化を受け入れ始めている。

美鈴を引っ張り回しながらはしゃぐ妹の姿に、レミリアは頬を緩めた。

 

彼女はふと考える。

マシュとフラン。

種族も寿命も性格も違うのだが――

 

「……案外、境遇は似ているのかもね」

 

「どうかなさいましたか、お嬢様?」

 

「何でもないわ。益体もない独り言よ」

 

漏れだした小声にも敏感に反応した従者をレミリアは適当にはぐらかし、咲夜もまた深くは追求しなかった。

 

「この国はコロコロ季節が変わって忙しないとも思っていたけど、マシュやフランの目にはまた違って見えているんでしょうね」

 

「そうかもしれません……あっ、先輩! 流れ星です!」

 

急にマシュが声を張り上げ、空を指差す。

その先には言葉通り、夜の帳を切り裂く一条の光の姿が見て取れた。

 

「願い事を……あぁ、消えちゃいました」

 

「実際、流星群でもないと3回も願い事をするのは難しいよね。……まぁ、流れ星はもう一生分見た気はするけど」

 

肩を落とすマシュの横で立香はアトランティス――そしてオリュンポスでの戦いを思い出す。

神代においてのみ許される天体魔術の本領。

惑星轟と銘打たれた魔術によって雨あられと降り注ぐ隕石群。

落ちる先が自分たちであった故に、アレはアレで願い事をする余裕など全くなかったが。

 

「……ところで咲夜、どうしてあなたはすまし顔とドヤ顔を両立させているのかしら?」

 

「ふふ……私は時間を止めてきっちり願い事をさせて頂きました」

 

「うわぁ、ウチのメイドが大人気ない……ちなみに内容は?」

 

「内緒ですわ」

 

ふふんと胸を張る咲夜にレミリアがジト目を向けつつ、ふと思い出したように呟く。

 

「そう言えば昔、紅魔館目掛けて隕石が降ってきたことがあったわねぇ」

 

「へっ? そ、それは何というか――大丈夫だったのですか?」

 

何気なく放たれた爆弾発言にマシュがポカンとするも、レミリアは飄々としたものだ。

 

「もちろん。フランが軽く片づけたわ。『きゅっとしてドカーン』ってね」

 

レミリアがフランの真似をするように、空に掌をかざし握りしめる。

 

「やはりフランドールさんの破壊の力は凄まじいですね」

 

感心したような、呆れたようなマシュの声音。

 

「……そう言えば、ですが」

 

「うん? 何かしら、マシュ?」

 

「以前から疑問には思っていたのです。レミリアさんの“運命を操る程度の能力”とフランドールさんの“ありとあらゆるものを破壊する程度の能力”。姉妹なのに、全く別方向の力を持っているのだな、と」

 

フランドールの能力がとても分かりやすい結果を齎すだけに、レミリアの能力は反比例するかのようにその結果が分かりにくい。

なんせ運命という観測手段が確立していない代物だ。

故に一部では「適当に自称しているだけなのでは?」なんて噂もある。

 

「んー、そうねぇ。まぁ能力の名乗りなんて、結局は名刺みたいなものだけど。それこそフランなら別に“魔法を操る程度の能力”でもいい訳だし」

 

フランドールは魔法少女であるし、レミリアだって保有する能力は多岐に渡る。

幼い体躯に見合わぬ怪力と速力、高い魔力に吸血鬼としての様々な特性。

その中で“運命を操る程度の能力”を代名詞にしているのは種族に依らない固有の能力ということもあるだろうが――案外“格好いいから”とかそういう理由なのかもしれない。

 

「私も疑問には感じていても“そういうもの”だということで深く考えてはいなかったのですが――実のところ、お二人の能力は根っこの部分は同じなのではないかと、最近思ったんです」

 

「……へぇ」

 

レミリアは面白そうに口元を弧に歪めた。

 

「どうしてそう思ったのかしら?」

 

「きっかけはシオンさんがオルテナウスに組み込んだ『天寿』の概念武装――ブラック・バレルです」

 

「ああ、あのチラッとだけ見せて貰った、あんまりよくないヤツね」

 

得心がいったという顔で頷くレミリア。

異聞帯の中でも最大規模を誇るオリュンポス攻略の為に用意された、神殺しの切り札。

 

「地球有数の神話体系に君臨する主神。存在規模に至っては、汎人類史における全盛期すら上回る正真正銘の神をも殺し尽くす兵器。自分たちすらあっさり滅ぼしかねない力を生み出すのは、いかにも人間らしいわ。――たしか終末時計ってのがあったと思うけど、裏側の存在まで組み込んだらどれだけ秒針が縮むのかしらね?」

 

「どちらかというと、振り切った秒針を戻すために戦っているんだけど」

 

「あら、これは一本取られたか。でも無理やり巻き戻した時計が、その後も正常に動き続けるのかしら?」

 

「その時の事はまぁ、その時また考えるよ」

 

「行き当たりばったり……でも人類の歴史なんてそんなものかもね。良くも悪くも」

 

立香との問答にレミリアはクスクスと笑って、マシュに話の続きを促した。

 

「ちょっと話が逸れたけど、続きをどうぞ?」

 

「はい、それでは――ブラック・バレルは寿命を弾丸として撃ちだす兵装。前提として対象の寿命――大仰に言えば“終わりの運命”を観測します。巨大な銃という形態こそとっていますが、実態としてはむしろある種の“運命操作”を行うためのデバイスと捉えることもできます」

 

「つまりあなたは、フランの能力も似たようなプロセスをとっているんじゃないかと考えたわけね?」

 

「はい。フランドールさんは“目”というものに力を加えることで、対象を破壊すると言っていました。フランドールさんによると“目”は対象の最も緊張している部分とのことですが、カルデアの見解としては式さんの直死の魔眼に近い――“モノの終わり”を視覚情報として浮き彫りにしているのではないかと考えられています」

 

両儀式――特異点・境界式にて遭遇した少女。

「生きているのならば神様だって殺してみせる」と豪語するように、万物万象を殺しうる虹の瞳を持つ。

 

「フランドールさんの力がレミリアさんと全く別のものであると考えるよりは、破壊という方向性に特化した“運命を操る程度の能力”と考える方が自然なのではないかと――そう思ったんです」

 

「なるほどねぇ、面白い考えだったわ」

 

レミリアはふむふむと頷きながらワインを口に含む。

ゴクリの艶めかしく喉を鳴らし、10秒、20秒、30秒――

 

「えっと、あの……答え合わせなどは?」

 

唐突な沈黙に耐え切れず、マシュがおずおずと尋ねた。

 

「マシュ、いい?」

 

レミリアは生徒に向ける先生のような態度で語りかける。

 

「妖怪にとって“秘す”ことはそれだけで力なの。正体不明を売りにするアイツほど極端ではないにせよね」

 

「その、あまり話題に上げない方がいい事だったのでしょうか?」

 

「安易に踏み込むべきことでないのは確かね。妖怪とは闇と未知の中、現実と幻想の狭間に生きるもの。正体がつまびらかにされた妖怪ほど哀れなものはないわ」

 

「なるほど・・・・・・それは失礼しました」

 

「いいわよ、今後は気を付けるようにしなさい。世の中、私ほど寛大な妖怪ばかりじゃないのだから」

 

マシュからの謝罪に、レミリアは尊大な雰囲気で応対してみせる。

 

 

 

 

 

 

 

――とはいえ、だ。

実のところ、レミリア自身フランの能力を詳しく把握している訳ではない。

でもそのことを素直に口にすると沽券にかかわってくる。

だからこそ適当にそれっぽい理由を述べて煙に巻いたのだが、そのことは紅魔の王だけが知っていればいい事だった。

 

もっとも立香などは、詳細はともかく「今何か誤魔化したな」程度には勘づいたりしたので、咲夜にそっと目配せしてみる。

すると咲夜は苦笑しつつも人差し指を唇にそっと当て、シィーと返してきた。

 

「あら、マシュ見てみなさいよ。咲夜と立香が目と目で通じ合ってるわ。浮気よ浮気」

 

「ええっ!? せ、先輩……?」

 

「違います」

 

「初めてナンパされたかと思いきやバッサリと切られるなんて……所詮私は独り身の悲しいメイドということですか」

 

「そこノってきちゃうの!?」

 

よよよ……と弱々しくしなだれるふりをする咲夜に、思わず突っ込む立香。

十六夜咲夜――真面目に見えて割とお茶目なメイドさんであった。

 

その後も宴会は続き、余興代わりの弾幕ごっこがあったり、マシュが場酔いして色々と大胆になったり、それを見ていた魔理沙が顔を真っ赤にしたり、妖精たちが悪戯しに来て失敗したりと色々あったが、まぁ幻想郷では良くあるひと時であった。

 




○メディスン・メランコリー
小さなスイート・ポイズン。鈴蘭畑の毒人形。
人間に捨てられた人形が妖怪化した存在であり、その誕生経緯から人間を嫌っている。
人間からの人形解放を願っていたが、閻魔に説教され現在見聞を広げているところ。

・因縁キャラ

【ナーサリーライム】
「お仲間なのねっ! え? ご本なの? ・・・・・・本当に?
 わっ、本当にご本になった!」


【加藤段蔵】
「人形が人の子を育てる・・・・・・そんな事もあるのね。
 私も同じことをすれば人を理解できる?
 でもさすがにちょっと難易度が高い気がするわ」


【アスクレピオス】
「へんたーーーい!!」


【セミラミス】
「こんにちは、毒のおば様っ!」
(その場では寛大に対応しつつも、若干落ち込んでいる女帝様の姿を確認できる)


【異聞帯の王】
「もういらないからって、捨てられた世界の王様たち。

 ・・・・・・・・・・・・どうしてあなた達は、自分を捨てた相手の味方をできるの?」










改めましてお久しぶりです。
ちょっと創作意欲が低迷していたためしばらく筆を置いていましたが、その間にも感想を貰い励みになりました。
冒頭にも書いたように、この話は元々秋ごろに雛形を書いていたものです。
松茸ネタはその影響で、現実では絶滅危惧種になったので幻想郷では増えて貰いました。
今回は元々あった雛形に手を加えたものなので、もう一話新しく書いた話も投稿したいと思います。
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