―――グラウンド。
「バルパー・ガリレイ。僕は『聖剣計画』の生き残りだ。いや、正確にはあなたの殺された身だ。悪魔に転生したことで生きながらえている」
冷静にバルパーに告げる木場。
その瞳には憎悪が宿っている。
真っ黒黒だ。
バルパーの答えしだいでは殺すぞ!!って感じだ。
「ほう、あの計画の生き残りか。これは数奇なものだ。こんな極東の国で会うことになろうとは。縁を感じるな。ふふふ」
ふふふって笑うな!!
それはお姉さんキャラの特権だぞ!!
ジジイがやっていい笑い方じゃないぞ!!
「―――私はな。聖剣が好きなのだよ。それこそ、夢にまで見るほどに。幼小の頃、エクスカリバーの伝記に心を躍らせたからなのだろうな。だからこそ、自分に聖剣使いの適正がないと知った時の絶望といったらなかった」
……俺の約束された勝利の剣(エクスカリバー)は適正いらないよ。
って言ったら発狂するのかな?かな?
「自分では聖剣が使えないからこそ、使える者にあこがれを抱いた。その想いは高まり、聖剣を使える者を人工的に創りだす研究に没頭するようになったのだよ。そして完成した。キミたちのおかげだ」
「なに?完成?僕たちを失敗作だと断じて処分したじゃないか」
眉を吊り上げて、怪訝な様子な木場さん。
確かに失敗作と言われてたのにキミたちのおかげだ。って言われてもな……
木場の問いにバルパーは頭を横に振った。
「聖剣を使うのに必要な因子があることに気づいた私は、その因子の数値で適正を調べた。被験者の少年少女、ほぼ全員に因子はあるものの、どれもこれもエクスカリバーを扱える数値に満たなかったのだ。そこで私はひとつの結論に至った。ならば『因子だけを抽出し、集めることはできないのか?』―――とな」
「なるほど。読めたぞ。聖剣使いが祝福を受けるとき、体に入れられるのは―――」
あーあ……
イリナもいるのに……
イリナは信じられない!!って顔でバルパーを見ている。
いや……睨みつける。
「そうだ、聖剣使いの少女よ。持っている者たちから、聖なる因子を抜き取り、結晶を作ったのだ。こんな風に」
バルパーが懐から光り輝く……まぶしくてなにも見えない……
球体……か?球体だな。うん。
あれが因子か……たしかに聖なるオーラが感じられるな。
「これにより、聖剣使いの研究は飛躍的に向上した。それなのに―――」
―――バルパーの戯言がしばらく続きます。落ち着くまで少々お待ちください―――
バルパーは興味を無くしたかのように持っていた因子の結晶を放り投げた。
因子は木場の足元に行きつく。
木場は静かに屈みこむ。そして因子を手に取った。
「……皆……」
木場の頬に一筋の涙が……
木場の表情は色々な感情に染まっている。
悲哀。
憤怒。
この二つの表情がとてもわかりやすい。
因子の結晶が突然ひかりだした。
しだいに光は徐々に広がっていき、人のカタチになる。
木場を囲むように現れたのは青白く淡い光を放つ少年少女が現れた。
あいつらは木場と一緒に聖剣計画の被害者だ。
「この戦場に漂う様々な力が因子の球体から魂を解き放ったのですね」
朱乃が言う。
そうか……奇跡。って言ってもいいのかな。
「皆!!僕は……僕は!!ずっと……ずっと、思ってたんだ。僕が、僕だけがいきていていいのかって……。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしをすごしていていいのかって……」
光の少年が微笑みながら、木場になにかを訴えている。
俺はあえて見なかった。
アレは木場だけのモノだ。
「―――聖歌」
アーシアがそうつぶやいた。
あいつらは聖歌を……
しだいに木場も涙を流しながら聖歌をくちずさみだした。
きっとこれだけがあいつらの希望だったんだな……
あいつらの魂が輝きだした。その光がきばを中心にまぶしくなっていく。
『僕らは、一人ではダメだった―――』
『私たちは聖剣を扱える因子が足りなかった。けど―――』
『みなが集まれば、きっとだいじょうぶ―――』
俺にも聞こえる。
あいつらの声が……
想いが……
まだ続く……
あいつらは口にだす。
『聖剣を受け入れるんだ―――』
『怖くなんてない―――』
『たとえ、神がいなくても―――』
『神が見ていなくても―――』
『僕たちの心はいつだって―――』
「―――ひとつだ」
あいつらの魂がテンに上った。
そして、ひとつの大きな光となって木場に向かって降りてくる。
やさしく、そして神々しい光が木場を包み込んだ。
至ったか……
禁手(バランス・ブレイカー)に!!
「―――僕は剣になる」
どこぞ衛宮か!!
ってつっこみたくなるが、まぁ今はいいだろう。
「部長、仲間たちの剣となる!!今こそ僕の想いに応えてくれッ!!魔剣創造(ソード・バース)ッッ!!」
木場の神器とあいつらの魂が混ざり合う。
同調する。
カタチとなしていく。
『魔』の力と『聖』の力が混ざり合っていく。
「―――禁手、『双はの聖魔剣(ソード・オブ・ビストレイヤー)』。聖と魔を有する剣の力、その身で受け止めるといい」
木場はフリード目がけて走り出した。
木場とフリードがぶつかり合う。
結果はもうわかりきっている。
木場の勝ちだ。
「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」
ゼノヴィアがデュランダルを開放するために呪文を唱える。
いいねぇ……盛り上げってきたよ!!
「この刃に宿りしセイントの御名において、解放する。―――デュランダル!!」
「デュランダル!?」
「貴様!!エクスカリバーの使い手ではなかったのか!!」
バルパーもコカビエルも驚いているようだった。
「それに……聖魔剣だと……?ありえない……反発しあう二つの要素がまじりあうはずなどあるはずがないのだ……そうか!!分かったぞ!!聖と魔、それらをつかさどる存在のバランスが大きく崩れているとするならば説明はつく!!つまり、魔王だけではなく、神も―――」
神も死んだ。
そう言いかけたところでバルパーはコカビエルに殺された。
コカビエルはバルパーに何か言っている。
その時だった。
「聖魔剣よ!!」
木場がコカビエルに特攻していた。
バカか!?いくら禁手に至ったからって木場はまだまだなり立てだ。勝てる要素がない!!
案の定、木場の聖魔剣はコカビエルに人差し指と中指だけで受け止められていた。
「こんなものか」
ガッカリしたような声音で言うコカビエル。
二刀目をふるうがそれも受け止められる。
「しかし、仕えるべき主を亡くしてまで、おまえたち神の信者と悪魔はよく戦う」
コカビエル……このタイミングで言うのか。
でも言ってもらわないと物語が進まない。
「……どういうこと?」
リアスが聞く。
するとコカビエルは笑い出した。
「フハハ、フハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!そうだったな!!そうだった!!お前達下々まであれの真相は語られていなかったな!!なら、ついでだ。教えてやるよ。先の三つどもえ戦争で四大魔王だけじゃなく、神も死んだのさ」
その瞬間にイリナ、ゼノヴィア、アーシアの顔が驚愕に染まる。
だがコカビエルは続ける。
俺はそれを聞き流す。
「……ウソだ。ウソですよね?刃さん……?」
ゼノヴィアが俺に力なく聞いてくる。
本当のことだから否定のしようがないな……
「本当だ……二天龍を封印するときに、な」
「ぁぁぁぁぁぁ………」
「そん、な……」
イリナとゼノヴィアが力なく膝を地面につける。
俺は決めた。
イリナを連れて行こうと。
ゼノヴィアを連れて行こうと。
俺の使いにしようと。神使(シンシ)にしようと。
俺がこんなことを考えている間にもコカビエルはベラベラとしゃべり続ける。
俺はその間にイリナとゼノヴィアに聞いた。
「イリナ、ゼノヴィア。確かに聖書に記されし神、おまえたちの主は死んだ。だがそれがどうした?その主を創った俺がいる。これからは俺を支えにしろ!!そして、できれば!!俺の使い……神使になってほしい」
「え……?」「………」
まだ整理しきれていないようだ。
俺はまた口を開く。
今度は簡単に、簡潔に聞く。
「俺と一緒に来るか?」
「お、願します……」「わ、私も……頼む」
「よし!!コレをつけろ。!!あ、指輪は左手の薬指にね」
「「えぇ!?」」
最後の指輪は左手の薬指に。だけにはすごく反応してきた。
俺が今回渡したのは例の防御術式の入った指輪とネックレスだ。
イリナとゼノヴィアが付け終わるのを確認すると俺は二人にキスをした。
「「ふぇぇ!?」」
顔を真っ赤にして驚く二人。
でもそれは、別の驚きに変わる。
二人の背中から3対6枚の純白の翼が生えてきた。そして頭には純白の輪が。
その姿は天使のようだった。
「これでOKだ。ようこそ!!新たな神使!!これからは俺のために頑張ってもらうぞ!!」
「うん♪」「あぁ!!」
さて……
残る問題はコカビエルだ。
どう料理してやるかな?
イリナ、ゼノヴィア、刃の仲間になりました。
ここで、神使(シンシ)について少々説明を。
今までは『眷属』『御使い』などと呼ばれていたものが『神使』に変わりました。
今までのトランプシステムがなくなりました。
熾天使(セラフ)に似たような存在になります。力と見た目が同じってだけですかね。後に、設定で詳しく書こうと思います。