―――グレモリー城。
「お嬢様、そして眷属の皆様、お客様。どうぞ、お進みください」
グレモリー城に着いた俺たちを案内したのはクリスだった。
「さぁ、行くわよ」
リアスがカーペットの上を歩きだそうとしたときだった。メイドの列から小さな人影が飛び出し、リアスの方に駆けこんでいく。
「リアス姉様!!おかえりなさい!!」
紅髪……グレモリーの家の子供……あぁ、サーゼクスの子供か。
「ミリキャス!!ただいま。大きくなったわね」
おいおい、この身長で大きくなったって……前に会ったのは一体何年前だよ……
「あ、あの、部長。この子は?」
イッセーがリアスに聞く。
するとリアスが説明を始めた。
「この子はミリキャス・グレモリー。お兄様……サーゼクス・ルシファー様の子供なの。私の甥ということになるわね。ほら、ミリキャス。あいさつして。この子は私の新しい眷属なのよ」
「はい。ミリキャス・グレモリーです。初めまして」
「こ、これは丁寧なごあいsゴハァ!!」
キモイしゃべり方をしていたから俺が腹パンを入れた。
「よろしく。この一言でいい。ほら、さっさと案内してくれ」
正直言って、まったくもってつまらない。
幻想郷のメンバーも飽きてしまってきている。
「わ、わかったわ。さぁ、屋敷に入りましょう」
リアスはミリキャスと手をつないで門の方に進みだす。
やっと屋敷に入れるのか……
―――屋敷、玄関ホール。
まず目に入ったのは、無駄にでかいシャンデリア。
そして運動会もできそうな無駄に広いホール。
この屋敷は無駄だらけか!!
「あら、リアス。帰ってきたのね」
上から女の声が聞こえてきた。
階段から降りてきたのはドレスを着た……美少女?
だってだ、悪魔って自由に容姿を変えられるじゃん。
ものすごいババアでもピッチピチの姉ちゃんになれるわけじゃん?
しかしリアスに似ている。
髪の色が亜麻色で、少し目つきがキツい。
「お母様。ただいま帰りましたわ」
お母様ね……リアスのだろ?
……ババアか。
となりではイッセーが無駄に叫んでいる。
うるせぇな。
―――ダイニングルーム。
玄関ホールから数時間後、俺たちはダイニングルームにいた。
絶対に食いきれない量の豪華な食事が高そうな皿の上に盛られている。
……霊夢と魔理沙がものすごく興奮している。
よっぽど食いたいんだな。
「遠慮なく楽しんでくれたまえ」
リアスのお父さんの一言で会食が始まった。
俺やレミリアとフラン、パチュリーと大ちゃんはきれいに食べていく。マナーを守っているってことだからな?
対して、霊夢と魔理沙、チルノは家で食べるように効率を重視した食べ方だ。
別に汚らしいわけではない。
向こうではグレモリー眷属がコソコソしゃべっていた。
イッセーとか完全に縮こまってる。
まぁ、この会食も何事もなく終わった。
―――翌日、列車。
リアスたちがグレモリー城観光ツアーから帰ってきてすぐに俺たちは、例の列車で魔王がいる領土へ移動した。
俺はみんなが観光しているときにグレイフィアと温泉に入ってゆっくりしていた。
列車に揺られること三時間。
到着したのは都市部だ。
てか、何回も魔法陣くぐったのに三時間はかかりすぎだろ……
「ここは魔王領の都市ルシフェード。旧魔王ルシファー様がおられたと言われる冥界の旧都市だんだ」
……旧ルシファーか……あのイカれてるやつね。
あまり会いたくない。
どうやら地下鉄に乗り換えるらしい。
なんでも表から行くと騒ぎになるらしい。
地下鉄から乗り換え、さらに揺られること五分。
着いたのは、都市で一番大きい地下にあるホームだった。
若手悪魔、旧家と言う名のクソ共、上級悪魔のお偉いというなの肩書きをもつクソ共が集まるという会場がこの建物にあるらしい。
ボディーガードのやつらはエレベーター前までしかこれないらしく、そこで待機していた。
俺たちはリアスを先頭に地下からエレベーターに乗り込む。
「皆、もう一度確認するわ。なにが起こっても平常心でいr「無理だ、俺の家族をバカにされたらな」…まぁ刃はいいわ。ほかのみんなは平常心でいること。何を言われても手を出さないこと。上にいるのは将来の私達のライバルたちよ。無様な姿は見せられない」
俺の家族を若手の上級悪魔ごときにバカにされたら俺でもさすがに我慢できない。
リアスの言葉にはいつも以上に気合が入っていた。
エレベーターが停止し、扉が開く。
一歩踏み出すとまた広いホールだった。
ホールばっかだな冥界の建物は。
「ようこそ、グレモリー様、神浄様。こちらへどうぞ」
使用人のあとに続く俺たち。通路をしばらく歩くと、一角に複数の人影が見える。
しかも若手悪魔としては結構強い。
「サイラオーグ!!」
リアスはその人影の一人を知っているらしい。
サイラオーグか……
サイラオーグがリアスに近づいてきた。
そして、会話を始めた。
そして、サイラオーグがみんなに自己紹介をする。
リアスがサイラオーグに通路にいた理由を聞く。
そしたらくだらないだと。
なんでもゼファードルってやつとアガレスってやつが喧嘩してんだって。
ドオオオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
建物が大きく揺れた。巨大な破砕音が聞こえてくる。
そして、パラパラと天井から何かが落ちてくる。
「ケホッケホッ……」
フランがそれを吸い込んだのか、咳をした。
ブチッ
俺はキレた。
なんでかって?
だってさ、くだらない喧嘩のせいで俺のかわいいかわいいフランが咳こんだんだぞ!?
「大丈夫か!!フラン!!」
「だ、大丈夫だよ……お兄ちゃん」
ちょっとびっくりしながら答える。
よかった……
「リアス」
「な、なに?」
「ちょっとさ、お灸を据えてくるね」
「この建物を壊さないでね?」
「……努力する」
そう言って俺は元凶のいる部屋の扉を開ける。
刃さん、ささいなことで怒ります。
ちょっとストレスがたまりすぎているんです。
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