―――翌日、グラウンド。
「よっとよっとよよいのよいっと」
「じゅ、10秒89です……」
俺は今、100mハードルの練習をしていた。
いや~難しい。
手加減もここまでくるとキツイ。
本気だしたら1秒もいらないからな。
てか一回のジャンプで全部ハードル飛び越えられるし。
100mも9秒87となんとか9秒台まで落とせた。
「す、すごいね神浄くん……でもなんでこんなに速いのに陸上部じゃなくてオカルト研究部に入ってるの?」
俺のタイムを計ってくれた女の子が声をかけてくる。
「ん~?リアス先輩に頼まれちゃったからね、断るわけにはいかなくてね」
もちろん嘘だ。
「確かにリアス先輩に頼まれたら断れないよね……」
納得してくれたか。
それはなによりで。
「刃く~ん!!勝負しよ!!」
「私も頼めるかな?」
イリナとゼノヴィアが走ってきた。
「別にいいよ」
俺は承諾した。
だって断る理由がないし。
「ごめん、また頼むわ。今度は三人だけど」
「は、はい///」
なんでうつむいたんだ?
まぁ、気にしてもしょうがないか。
結果はもちろん俺の勝ち。
まぁ結構ギリギリだったけど。
二人も本気ではない。
「うし、ゼノヴィア。二人三脚の練習するか」
「わかった」
俺は右足、ゼノヴィアは左足を結ぶ。
こんなもんでいいだろ。
「んじゃ、1で結んでない方の足を出す。2で結んである方の足を前に出す。いいな」
「わかった」
「んじゃいくぞ、せーの121212121212121212121212121212121212121212121212」
まったく足並みを乱さない俺とゼノヴィア。
すげぇ……
さすがに俺もビックリだ。
初めてなのにここまでできるとは……
しかし……
ゼノヴィアの胸が隣で暴れる。
そして俺にあたる。
うれしい。
役得。
「どうしたんだ?そんなに考え込んで」
「ん?ゼノヴィアの胸はすばらしいなと……」
「そうか……もっと触ってみるか?」
「家に帰ってからだな。ここではちょっと視線がな」
そう言うとゼノヴィアはニカッっと笑った。
―――放課後、オカルト研究部、部室。
「どうかしたのか?」
先にきていたグレモリー眷属は顔をしかめていた。
俺が聞くと、リアスが言う。
「えぇ、若手悪魔のレーティングゲーム戦、私たちの相手が決まったの」
ふぅん……もう決まったのか。
結構早かったな。
「次の相手は……ディオドラ・アスタロトよ」
「げぇ……」
思わず声がもれた。
―――俺の家、鍛練場。
「調子はどうだ?」
「や、刃さま!!」
今はレイナーレの神器の修行を見に来ている。
もうかなりの使い手だ。
アーシアなんて目じゃねぇぜ!!
俺がレイナーレにあげた神器の『神々の祝福(ホーリーゴッテス)』は結構大変だからな。扱うのが。
でも扱えればものすごい力になる。
「焦んなくていい……あと、無理は絶対にするなよ」
「は、はい///」
俺はよしよしとレイナーレの頭を撫でた。
レイナーレはもう戦力として数えても大丈夫だな。