―――翌日、放課後、オカルト研究部、部室。
イッセーの顔が……いつも以上に腑抜けている。
さっきからポケーとしてる。
どうでもいいけど。
ちなみに久しぶりに顔を出した白音は俺の膝の上に座っている。
「皆、集まってくれたわね。あら?今日は白音もいるのね」
そうです、今日はいるんです。
毎日来てほしいんだけどな……いかんせんあまり悪魔が好きじゃないからな。
全員集まったことを確認すると、リアスがUSBメモリか?それらしきものを取り出した。
「若手悪魔の試合を記録したものよ。私たちとシトリー眷属と刃の『神使』のものもあるわ」
戦いの記録か……
別に困るものではないから撮られててもいいんだけどな。
どうやら今日は、全員で試合のチェックをするようだ。
巨大なモニターが用意される。
アザゼルが巨大なモニターの前に立って言う・
「おまえら以外にも若手たちはゲームをした。大王バアル家と魔王アスモデウス家、大公アガレス家と魔王ベルゼブブのアスタロト家、それぞれおまえらの対決後に試合をした。それを記録した映像だ。ライバルの試合だから、よーく見ておくようにな」
「「「「「はい」」」」」
俺と白音以外の全員が返事をした。
だが一応見ておこう。
どの程度の力量なのかをな。
「まずはサイラオーグ―――バアル家とグラシャラボラス家の試合よ」
サイラオーグと下品なクソ野郎の試合か。
そして記録映像が流れ始めた。
空気が少し変わったな。
いままではワクワクしていたのに真剣になった。さらに険しくなっている。
ふぅん……サイラオーグの取柄はは圧倒的なまでの『力』か。
サイラオーグとクソ野郎の一騎打ち。
一方的にクソ野郎がボコられていた。
でもまだまだだ。今のサイラオーグなら霊夢でも勝てるな。
もちろん、魔理沙や咲夜でもだ。うまくいけばチルノでも勝てそうだ。
それだけ幻想郷のメンバーも成長したってことなんだけどね。
「……凶児と呼ばれ、忌み嫌われたグラシャラボラスの新しい次期当主候補がまるで相手になっていない。ここまでのものか、サイラオーグ・バアル」
木場が目を細めている。
表情は険しい。
「リアスとサイラオーグ、おまえらは『王』なのにタイマン張りすぎだ。基本『王』ってのは動かなくても駒を進軍させて敵を撃破していきゃいいんだからよ。ゲームでは『王』がとられたら終わりなんだぞ。バアル家の血筋は血気盛んなのかね」
アザゼルが嘆息しながら言う。
リアスは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
確かにさ、イケイケすぎだよな。
この後もしばらくこの記録映像についての問答が続いた。
リアスも眷属のみんなに発破をかけた。
その時だった。
パアァァァァァ
部室の片隅に魔法陣が展開された。
あの紋様は……
「アスタロト……」
朱乃がぼそりとつぶやいた。
一瞬の閃光のあと、部室の片隅に現れたのは爽やかな偽物の笑顔を浮かべる優男だった。
そいつは開口一番に言う。
「ごきげんよう、ディオドラ・アスタロトです。アーシアに会いに来ました」
部室のテーブルにはリアスと優男、顧問としてアザゼルも座っていた。
俺は関係ないので、隅にソファを創ってそこで白音に膝枕をしてもらい寝ている。
あー最高だー。
ちょうどいい肉付きの太もも……しかも白音の……ペロエロしたいです!!
おっと……まずいまずい。自重せねば。
……なんか向こうが騒がしいな……
なんかイッセーもキレてるし。
パン!!
あ、アーシアがディオドラの顔を叩いた。
お?ディオドラが帰っていった。
おぉ……みんなの気合が入りまくってるな。
―――俺の家、鍛練場。
「なにやってんだ?おまえら……」
俺の目の前では、レイナーレが霊夢、魔理沙、咲夜、グレイフィアを治療していた。
「すいません……少し手合せをしていたんですが、歯止めが効かなくなり……」
グレイフィアが言う。
あのグレイフィアが少し怪我を負うか……
もう霊夢と魔理沙、咲夜は最上級悪魔に匹敵するのか?
いいねぇ……
これからは敵がどんどん強くなっていく。
だから『神使』のみんなには強くなってもらわないと。