第1話~平和、ね~
―――駒王学園、教室、昼休み。
「そういえば、もうすぐで修学旅行だなぁ。班を決めないとな」
俺はイリナとゼノヴィアに弁当を溜めながら言う。
「確か、三、四名で組むんだっけ?」
イリナが俺に聞く。
俺はそれにうなずく。
「なら、この三人で組めばいいじゃないか」
ゼノヴィアが言う。
それは俺も考えていた。
「あぁ、俺はかまわないが……イリナもそれでいいか?」
「えぇ、もちろんよ!!」
もう修学旅行か……向こうでミツキと合流して八坂にでも会いに行くかな。
―――放課後、オカルト研究部、部室。
イッセーはリアスや朱乃たちと修学旅行について話している。
俺はソファで緑茶をすすってる。
頭にはヘッドホンを装備。
だがこんなリラックスタイムも長く続かなかった。
朱乃にヘッドホンを取られた。
「どうした?朱乃」
「学園祭の出し物についての話し合いをするので、刃くんにも参加してもらいたいんです」
なるほどね。
「あいよ、で?今は何処まで進んだんだ?」
「向こうでリアスが去年のことを説明しているのでまだまだですわ」
その時だった。
イッセーたちのケータイが一斉になりだした。
それは、合図だった。
何の合図かって?
それは……
―――廃工場。
町にある廃工場。
そこにオカルト研究部のメンバーは来ていた。
あ、でも白音は帰ったよ。
なんかみたいアニメがあるらしい。
すでに日は落ちていて、空は暗くなりつつある。
薄暗い工場内に気配が多数。
しかも殺意と敵意に満ちている。
「グレモリー眷属か。嗅ぎ付けるのが早い」
暗がりから現れたのは、黒いコートを着た男だった。
男の周囲からは、人型の黒い異形の存在が複数姿をのぞかせていた。
十じゃきかない数だ。
てことはだ……工場内には百以上はいるだろう。
リアスが一歩前にでて冷たい声音で聞く。
「『渦の団』……英雄派ね?ごきげんよう、私はリアス・グレモリー。三大勢力にこの町を任されている上級悪魔よ」
リアスのあいさつを聞いて、男は口の端を吊り上げる。
それにしても眠い……
俺は今、人間の体だから夜は眠い。
さっさと殺って帰りたいんだが……
「あぁ、存じ上げておりますとも。魔王の妹君。我々の目的は貴様たち悪魔を浄化し、町を救うことだからな」
「あ、結構です。どうぞ、お引き取りください」
「「「「「………………………」」」」」
なんだよ……思っていることをそのまま言っただけだろ。
だいたいさ、こいつらバカすぎだろ。
こんなやり取りしないでさ、さっさと殺せばいいのに。
男の顔が引きつっている。
なんだ?本当のことを言われて、反応できなくなったのか?
そんなことを考えていると、人影が増えた。
仲間か……?
「まぁ、いいや。とりあえずさ……俺が直々に惨殺してやるから、迅速に死亡しろ!!」
俺は思いっきり腕を振り抜いた。
すると、拳が空気の壁にぶつかる。
その空気の壁は、拳が当たった部分のみ前に吹き飛ばされる。
簡単に言うと、俺が拳で空気を殴った。
それが空気の弾丸となって、男の方に飛んでいく。
そして、地面が吹っ飛ぶ。
こんな感じだ。
「うっしゃ!!どんどん行くぞォ、三下ァ!!」
俺は『念』を使う。
『発』を使う。
「弦術・修羅修羅々」
『念』でできた弦がまわりにいる敵を巻き込みながら張られていく。
「どうだイッセー、スゲーだろ?」
「あ、あぁ……俺は絶対にくらいたくない」
「ハハハ」
イッセーの顔が引きつっていた。
イッセーだけじゃない。グレモリー眷属全員の顔が引きつっている。
「私たち、あれゲームのときにくらったわよね?」
「あぁ、くらわせた」
「よかったわ……あれがゲームで……」
そんなことはどうでもいい。
「俺さ、すんげぇ眠いんだ今。昨夜さ、オールしちゃったんだよ。でね、さっさと殺したいんだけど……いいよね?」
「え、えぇb「答えは聞いてないけど♪」…はぁ……」
俺の『発』は次のステージに進む。
「殺取・刻死狂(あやとり・こくしきょう)」
その瞬間だった。
弦に縛られていたすべての人間の首から上がなくなった。
「ふぃ~、終わった終わった。んじゃ、俺帰るわ~」
その時だった。
「……ぬおおおおおおっ!!」
縛られるのを逃れたのか?
一人だけ立っていた。
だがそれだけではない……
「禁手か?」ボソ
禁手に至りかけている。
俺が行動を起こそうと、体を向けた時だった。
その男は転移されていった。
俺はリアスの方を向く。
「リアス……もっとイッセーたちを鍛えないと、死ぬぞ」
「え、えぇ……そうね……」
俺の言葉が耳に入っていないのか、そっけない返事だった。
はぁ……まぁいいや。
「俺は先に帰る」
それだけ言い残して俺は家に転移した。
―――俺の家、大浴場。
「あ゛~気持ちいい~」
俺は温泉につかっていた。
温泉最ぅ~。
温泉もいいが……
「刃様、お背中お流しします」
「頼むわ~」
グレイフィアが一緒に入っているのでね、もう大欲情だよ。
グレイフィアは俺の背中を優しく流してくれる。
黒歌と入るとな……理性が持たなくなる。
対してグレイフィアと入るとリラックスできていい。
「終わりました」
お?終わったか。
俺は一足さきに湯船に戻った。
あ、もちろん最初に入る前にも体は洗いましたよ。
「失礼します」
グレイフィアも湯船に入ってきた。
「刃様、最近忙しそうですね」
「まぁ、な。『渦の団』のやつらがこの町を襲ってきてるからな」
「こちらからもアプローチかけますか?」
どうしよっかな……
『神使』動かすとな~……ルシファーに目をつけられそうだ。
サーゼクスじゃねぇぞ。
一代前のやつだ。
「いや、いいよ。こうしてグレイフィアが癒してくれれば十分だ」
「あ、ありがとうございます///」
とりあえずなにか対策しないとな……
毎回夜に襲撃受けてたら眠れなくてしょうがない。