―――隔離室。
「検体、BM03。仮称、碇シンジさん。副長から説明があるそうです」
女の子が俺に声をかけてきた。
「へぇ……これが『EVA初号機』ねぇ……」
「えぇ、現在は―――」
だらだらと説明を始めた。
殆ど頭に入っていない。
「とはいえ、先に突如12秒間覚醒状態と化した事実は管下できない。ゆえに、あなたにはDSSチョーカーを装着させてあります」
「で?これはなに?ファッション?」
「私たちへの保険……覚醒回避への物理的安全装置。私たちの不振と貴方への罰の象徴です」
「結局さ、どういうこと?」
「EVA搭乗時、自己の感情に呑みこまれ、覚醒へのリスクを抑えられない状況になった場合、貴方の一命をもってせき止めるということです」
ふんふん、そう言うことね。
簡単に言えば……
「簡単に言えば、死ね。ってことか?」
「……否定はしません」
いいねぇ……死ねなんて言われたのは何百年ぶりだ?
でもね……
「ククク……無駄無駄、こんなの付けても無駄だよ」
「……それはどういう意味かしら?」
リツコではなくミサトが俺に聞いてくる。
そりゃ、知りたいよな。
「俺は死なない、だって不老不死だから。俺は死なない、だって神だから」
「何をバカなことを……」
「見せてやるよ」
俺は自分の胸に手を突っ込む。
「な、何をしているんですか!!」
女の子が声を上げる。
「ちょっと目をつぶってな。グロテスクなものを見せちゃうから」
「は、はい」
女の子は大人しくしたがってくれた。
「よっと……これなんだかわかる?これは俺の心臓。これを……」
「やめなさい!!」
「アハ☆」
俺は握りつぶした。
「ほら、なんともない。それにみなよ……もう再生してるだろ」
俺は胸の中を見せる。
徐々に胸の穴もふさがっていく。
ミサトとリツコは少し顔を青くしている。
「これで証明できたな」
「そ、そうね」
その後にリツコが続ける。
「少尉!!」
「は、はい!!」
「彼に官制名を」
「はい!!」
女の子が俺の方を向く。
「えと、いまさらですが……碇さんの管理担当医官、鈴原サクラ少尉です。よろしくです」
「うん、よろしくね。にしても……君、かわいいね」
「ふぇ!?///あ、ありがと……」
かわいいねぇ………
顔も真っ赤にして。
「そう言えばさ、君ってトウジの妹?」
「はい……へへっ」
「ふぅん……歳が合わないな……」
「あれから14年経ってるってことよ……バカシンジ」
あの赤いプラグスーツは……
「アスカ?」
アスカは無言で駆け寄ってきて、こっちと向こうを隔てている強化ガラスの壁を殴る。
すると驚き!!少しヒビが入った。
「おぉう……なかなかの力だ。けど俺の嫁のが強いな」
「嫁?碇さん結婚してたんですか!?」
「ん?あぁ、『碇シンジ』は結婚してないよ。『神浄刃』は結婚してたけど」
「へ、へぇ……」
「誰よ、神浄刃って」
「今の『碇シンジ』の人格……魂だ」
アスカは納得したのか、そのまま部屋を出て行った。
その後、リツコからカセットプレイヤーを返されたが、俺は処分してくれと頼んだ。
急にあたりが慌ただしくなった。
ミサトもリツコも誰かと通信しているようだ。
『碇くん……どこ?』
この抑揚のない冷たい声は……
「綾波……」
「準備できました!!碇さん、こっちへ」
サクラに呼びかけられる。
「大丈夫だよ、サクラ。EVAや使徒では俺に指一本すら触れられない」
「それってどういうことですか!?」
「簡単なことだよ。こういうことだ……ATフィールド展開……モード、エンジェル」
すると、俺の背中からはATフィールドでできた3対6枚の翼が、頭の上には輪ができる。
「碇さん……その姿は…」
「ん?あぁ……ATフィールドを改造しただけだよ」
「そんな……ATフィールドはEVAか使徒以外使えないんじゃ……」
「ATフィールドは心の壁だ。簡単に創れる。そろそろだね……綾波、ここだよ」
俺が綾波を呼ぶ。
ドガァン!!
すると、隔離室の壁が吹き飛んだ。
『EVA零号機』の手らしきものが入ってきた。
『碇くん、こっち』
「綾波、先に行っていてくれ。安心しろ、必ず行くから」
『……わかった』
おぉう、納得してくれたか。
『EVA零号機』は手を引っ込めて飛び立った。
「ダメよシンジくん!!ここに居なさい」
「アハハハハ!!なにバカなこと言ってんだおまえ」
「なに?」
「なんで俺がおまえの言うことを聞かないといけないんだ?ん?俺は俺だ。俺の自由に行動する」
「そうはさせられない!!」
関係ないよ……
だって勝手にするもの。
俺は『万華鏡写輪眼』を開眼する。
「なんなのその眼……」
ミサトが何か言っている。
だが関係ない。
周りの艦がうっとおしいな。
俺は翼を羽ばたかせて飛翔する。
「天照!!」
俺は艦を目視し、次々に黒炎に呑まれていく。
いいねいいね、サイッコウだねェ!!
まだ数艦残っているな……
それなら……
「最大の拒絶!!」
一気にすべての艦を弾き飛ばす。
よし、こんなもんだろ。
「綾波、頼む」
『わかった』
『EVA零号機』が俺の元に戻ってきた。
そして、手を広げる。
そこに俺は乗る。
それを確認したのか、『EVA零号機』はどこかに飛んで行った。
ククク、楽しみだ。
これからどんなことが起きるんだろ。
アザゼルに今回だけは感謝してもいいかもね。