―――料亭『大楽』。
俺、ミツキ、イリナ、ゼノヴィア、ロスヴァイセ、グレモリー眷属とアザゼルは夜、ホテルを抜け出してアザゼル先導のもと、街の一角にある料亭にいた。
ちなみに俺と、ミツキ、イリナ、ゼノヴィアとロスヴァイセは着物だ。その他のほかのやつは制服だったりスーツだったり。
和の雰囲気漂う通路を抜けると個室が現れる。
戸を開けると、そこには着物姿のセラが座っていた。
「久しぶり~!!刃く~ん!!ついでにその他大勢の者~この間以来だね☆あれ~?でも見たことない子もいるね☆誰?この子」
「ミツキだ、俺の妹」
「そっかー☆よろしくね☆」
「……ガキが」ボソ
ミ、ミツキ!?
なんか怖いよ!?
セラの着物……黒髪だから似合ってるな。
長い髪も今日は結ってるし。
これではっちゃけさえしなければな……
「お、兵藤たちか」
サジとシトリー眷属の二年生女子たちだ。先に来ていたようだ。
イッセーとサジは何か話しているようだ。
こうしてみると、シトリー眷属の女子もかわいい子が多いな。
「ささ、刃くんこっちにおいでよ!!ここの料理とてもおいしいの。特に鶏料理は絶品なのよ☆刃くんたちもたくさん食べてね♪」
セラは自分の隣の席をポンポン叩きながら言う。
仕方ないので俺はセラの隣に座った。
その隣にはミツキが座った。
「つーか、セラ。俺たちさっき夕食をさ、食べたばかりなんだけど」
「あー……まぁ、刃くんのお腹なら大丈夫よ☆」
「まぁな……おぉ、なかなかうまいな」
「でしょでしょ☆」
京都の料理にはまっちまうかも……
「そんなことより……本題に入ろうぜ」
「そうね……私は京都の妖怪さんたちと協力態勢をえるために来ました☆」
……そんな調子で大丈夫かよ……
「けれどね……どうにも大変なことになっているみたいなのよ」
「九尾の大将が行方不明、だろ?」
「うん、京都に住む妖怪の報告では、この地の妖怪を束ねていた九尾の御大将が先日から行方不明なの」
すこしミツキがピリピリしている。
そりゃ同族の……家族みたいな存在だもんな。
「まぁ、『渦の団』の仕業だろうな」
そう言った瞬間、全員の顔がこわばった。
「お、おまえら、また厄介なことに首突っ込んでるのか?」
「いや、現時点では俺とミツキ、イリナとゼノヴィアだけのはずだ。だが俺がアザゼルを紹介したからな。安心しろアザゼル、お前だけハブいたりしない」
俺はイイ笑顔でアザゼルに言ってやった。
すると、アザゼルは
「ふざけんなよ!!こちらとら修学旅行で学生の面倒見るだけで精一杯だってんだ!!わざわざ面倒事に俺を巻き込むな!!」
「ま、どのみち巻き込まれただろうよ。ここにいる全員が」
その後もアザゼルとセラが今後の対策についていろいろ語っていた。
俺はまったく頭に入っていない。
なぜなら……
「クソガキ共が……いっそ全員燃やし尽くすのも……」ボソ
って呟いてるんですよ!?
もう俺の黄金の弾がヒュンヒュンしてるよ!?
なのはを思い出すほどの………だよ!!
「そんじゃ、セラ。また今度な」
「えー……ま、しょうがないよね☆またね☆」
俺たちは料亭を後にした。
―――翌日、俺の部屋。
「みんな起きろ~、朝だぞ~」
俺はベットの上からみんなに言う。
そう、ミツキは俺の上で、イリナは右から、ゼノヴィアは左からおれに抱き着いていて起きられないのだ。
「ふぁぁい、刃お兄様」
「ふぁぁぁぁ……」
「むぅ……」
三者三様のアマアマボイスです。
ありがとうございます。
「ほ~ら、しっかりしろ。そうしないとどこにも出かけられないぞ」
ここまで言ってやっと全員起きる。
そして、各々準備を始める。
準備が終わると、みんなで朝食をとる。
時間かける必要がないので、俺が創造する。
「そんじゃ、行きますか」
「はい」「うん♪」「そうだな」
―――清水寺。
バスなどを乗り継ぎ、やっと着いたのは清水寺。
坂を上りきると大きな門が現れる。
門―――仁王門をくぐり、清水寺へ入る。
とりあえず清水の舞台まで移動した。
「ここから落ちても助かるケースが多いらしい」
「それはそうですね。この程度から落ちてもかすり傷すら負いません」
「そうね!!この程度の高さなら鍛練中に何回も落ちたわ!!」
「うむ、この程度なら受け身を取らなくてもまったく怪我をしない自信がある」
……女の子の言うセリフじゃないよな。
それからも色々見て回った。
とくにめぼしいものはなかったが。
あくまでも、俺の視点からだけど。
「次は銀閣寺だ。行こうか」
三人とも反論せず、ついてついて来てくれる。
―――銀閣寺。
またバスに乗り、銀閣寺に来た。
来たのはいいんだが……
「銀じゃない!?」
ゼノヴィアがバカなことを言いだした。
しかも叫んだせいか、周りにいた一般客がこっちを見ている。
「ゼノヴィア……このくらい中学生でも知っているぞ?」
「……え?」
この反応は……ガチで驚いているな。
銀閣寺も一通り回り終えると、近くのお店で昼食を済ませる。
そして、次の金閣寺へ向かった。
お土産?
ここで買ったらこのあと動くのに邪魔だろう。
―――金閣寺。
「金だっ!!今度こそは金だぞ!!」
金閣寺に着き、寺を見たゼノヴィアは開口一番に叫んだ。
またまた周りに一般客の皆さんがこっちを見ている。
「金だぞぉぉっ!!」
「だぁ、うるせぇ!!いい加減静かにしろ!!」
「は、はい……」
しゅんとするゼノヴィア。
な、なかなかかわいいじゃないか。
その後いろいろ見て回ったあと、お土産を買った。
そして、お茶屋で休憩していた時だった。
周りの一般人が眠りこけていたのだ。
「おまえら、妖怪さんたちのお出ましだ」
そう言うと、イリナとゼノヴィアの二人は体をこわばらせた。
俺は周りを見渡す。
すると、イッセーとアーシアがいた。
だがあえて無視をする。
「それで、オネエサンはなに?」
俺は獣耳のが頭から生えている女の人に聞く。
オネエサンが答えようとした時だった。
「刃くん、迎えに来ました。アザゼルから頼まれました」
む?アザゼルから……
あぁ、これから九尾の子に会いに行くのか。
「わかった、イッセー、アーシア。ついてこい」
「や、刃!?なんでここに?つか、どこに行くんだよ!!」
「九尾の子の所だよ」
俺の言葉を聞いたイッセーは周りを見渡す。
そしてオネエサンのところでその顔が止まる。
オネエサンが頭を下げて俺たちに言う。
「私は九尾の君に仕える狐の妖でございます。先日はお世話になりました。我らの姫君がくわしくお話しをしたいと申されておりますので、どうか私たちについて来てくださいませ」
そう言いきった時だった。
「うむ、もちろんじゃ。わらわも少しその姫君とやらに会いたくての。案内せい」
「ありがとうございます」
ミツキが大人の九尾の姿になっていた。
はぁ……あまり個人的には戻ってもらいたくないんだけどな。
状況が状況だしな。
イッセーなんて「ムッハー!!ミツキ様最高!!」とか言ってるし。
「さて、ミツキの言うように案内してもらおうか」
「つーかよ、案内ってどこに行くんだ?」
イッセーが素直に聞いてくる。
それにオネエサンが答える。
「我ら京の妖怪が住む―――裏の都です。魔王様と堕天使の総督殿も先にそちらへいらしゃっております」
アザゼルとセラはいい仕事をしてくれたな。
後でアザゼルには酒でもやるか。
セラは……どうしようか?