中間テスト。
全校生徒が本校舎で受ける決まり。つまり、俺らE組だけアウェーでの戦いになる。
コツコツコツコツ。
大野先生だっけか。
うるさいな。咳をするなり机を指で突いて露骨に集中乱しにきてやんの。
「E組だからってカンニングなどするんじゃないぞ。俺たち本校舎の教師がしっかり見張ってやるからなー」
コツコツコツコツコツコツ。このクソ教師め…。
他のクラスメイトは音など気にせずテストに集中出来ているだろうか。分かっちゃいたけど、うちの学校のテストは凶悪だ。
攻略のとっかかりが掴めないと…この問題たちにやられてしまう。
殺せんせーが言った全員50位以内。確かにこの間まで底辺だったこのクラスでは厳しいだろう。だが、今は殺せんせーの生徒たちだ。ピンチの時にもちゃんと我が身を守ってくれる、そういう武器を授けてもらったはずだ。
一ヶ所ずつ問題文を見極めて、それらをつないで全身を見れば、なんて事ない。
カリカリカリカリカリ。周りから鉛筆を走らせる音が聞こえる。
よし…どうやら順調に解けているようだな。殺せんせーのマッハの授業だ。まるでこの間とは違う自分が解いている感覚だろう。
この問題なら、殺れる!次の問題も…次の問題も…!そう思ってたに違いない。
(……っ!……)
俺は舌打ちをする。そうきたか、と。
ーーー次の瞬間E組は背後からの見えない問題に殴り殺されたーーー
テスト返却日。
「…これは一体どういう事でしょうか。公正さを著しく欠くと感じましたが」
テストが返却されたE組の教室では烏間先生が本校舎の教師と連絡を取っていた。
「伝達ミスなど覚えはないし、そもそもどう考えても普通じゃない。テスト2日前に…出題範囲を全教科で大幅に変えるなんて」
烏間先生の言い分に対し、本校舎の教師は『新学校だから』の一点張りらしい。また、本校舎では理事長自らが教壇に立って授業の変更部分を教えていたらしい。
あの理事長…自分の主義のためにそこまでやるか…!
「先生の責任です…この学校の仕組みを甘く見過ぎていたようです。君達に顔向けできません」
殺せんせーは背を向けて黒板の方を向いている。その背中からは俺たちが上位へ食い込めなかったことへの悔しさがにじみ出ている。
「………」
ガァン!
その後頭部に向かって対先生用のナイフが飛んでいった。
「にゅやッ!?」
後ろを向いていたが、ナイフに気づきとっさに避ける。ナイフを投げたのは…カルマだった。
「いいの〜?顔向けできなかったら、俺が殺しにくんのも見えないよ」
「カルマ君!! 今先生は落ち込んで…」
バサッ…カルマは殺せんせーに向かってテスト用紙投げた。それをキャッチした殺せんせーは…驚いた様子だった。
「俺問題変わっても関係ないし」
なんとカルマのテストは英語98点、社会99点、数学100点、国語98点、理科99点だった。
「俺の成績に合わせてさ、あんたが余計な範囲まで教えたからだよ。だけど、俺はE組出る気ないよ。前のクラス戻るより暗殺の方が全然楽しいし。で…どーすんのそっちは?全員50位に入んなかったって言い訳つけて、ここからシッポ巻いて逃げちゃうの?」
カルマが殺せんせーに顔を近づけていき挑発するように言う。
「それって結局さぁ、殺されんのが怖いだけなんじゃないの?」
ここまで言って他のクラスメイトもようやく理解できたようだ。今、カルマのしたいことが。
「なーんだ、殺せんせー怖かったのかぁ」「それなら正直に言えばよかったのに」「ねー」「怖いから逃げたいって」
ナイスカルマ。殺せんせーにはここで逃げられたら元も子もなく、この教室にいてもらわないと困る。そのための挑発行為とは…やっぱりあいつは頭一つ抜けてるな。
「にゅやーーーッ!逃げるわけありません!期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!!」
無事引っかかってくれて何よりだ、このタコも。
中間テストで俺らは壁にブチ当たった。E組を取り囲むブ厚い壁に。それでも俺は胸を張った…自分がこのE組であることに。
3年E組一学期中間テスト総合点(500点満点中)
5位ーーー神崎有希子、357点。
4位ーーー片岡メグ、364点。
3位ーーー磯貝悠馬、367点。
2位ーーー赤羽業、494点。
1位ーーー根本リンカ、500点。
テストは憂鬱だ。