瑠弾のネモ   作:ホウカ

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書き溜めてたストックがなくなりました。笑
読んでくださり本当にありがとうございます!


第21話 転校生の時間・二時間目

6月15日。

 

「みなさん、今日は転校生が来ることは知っていますね?」

 

朝のホームルーム。挨拶を終えると殺せんせーがそんなことを聞いてきた。実は昨日、一斉送信で烏間先生からメールが着たのだ。内容は今日、転校生が来るということ。

 

「あーうん。ぶっちゃけ殺し屋だろうね」

 

前席の前原がだるそうに答えた。

 

「律さんの時は少し甘く見て痛い目を見ましたからね。先生も今回は油断しませんよ。いずれにせよ、皆さんに仲間が増えるのは嬉しいことです」

 

また律の時みたく厄介なことにならなければいいけどな。

気になった俺は律に聞いてみることにした。

 

「なあ律、何か聞いていないのか?同じ転校生暗殺者として」

 

「はい、少しだけ」

 

律がそう言うとみんな気になったみたいで律に視線を送る。

 

「初期命令では・・・私と『彼』の同時投入の予定でした。私が遠距離射撃で彼が肉薄攻撃し、連携して追い詰めると。ですが・・・2つの理由でその命令はキャンセルされました」

 

「なんでだ?」

 

「ひとつは彼の調整に予定より時間がかかったからです。もうひとつは・・・私が彼より暗殺者として圧倒的に劣っていたからです・・・」

 

マジか。

皆同じことを思ったのか、殺せんせーも含め固唾をのんだ。

律以上の性能の暗殺者なんているのか?こいつは戦争に利用されそうになってたやつだぞ?

 

「私の性能では・・・彼のサポートをつとめるには力不足だと。そこで、各自単独で暗殺を開始することになり重要度の下がった私から送り込まれたと聞いています」

 

律がその扱いとはな。いったいどんな怪物がやってくるんだか。

 

ガララッ

 

「「「!!!」」」

 

静まり返った中で急にドアが開いた。

みんな驚いてドアの方へ振り向く。

 

「・・・!」

 

以外にもそこから入ってきたのは、全身白装束の男だった。

 

「ごめんごめん、驚かせたね。転校生は私じゃないよ。私は保護者・・・まあ白いし、『シロ』とでも呼んでくれ」

 

「いきなり白装束の人が入ってきたらビビるよな、キンジ」

 

びっくりした胸を押さえながら根本さんがそう言ってきた。

 

「ああ・・・殺せんせーでもなきゃ誰だってビビるに・・・」

 

「「「!?」」」

 

殺せんせーは教室の角の方に逃げていた。

奥の手の液状化まで使ってやがるし。

 

「い、いや・・・律さんがおっかない話をするもので・・・」

 

渚も渚で『殺せんせーの弱点15 噂に踊らされる』ってメモってるし。

気を取り直した殺せんせーは液状化を解除し普通形態に戻った。

 

「はじめましてシロさん。それで肝心の転校生は?」

 

「はじめまして殺せんせー。ちょっと性格とかが色々特殊でね。私が直で紹介させてもらおうと思いまして」

 

恰好からしてそうだが、つかみどころのない人だ。

 

(・・・ん?)

 

なんだ?このシロとかいう人。俺の目の前の渚・・・いや、その隣の茅野さんを凝視して。

 

「皆いい子そうですなぁ。これならあの子も馴染みやすそうだ。席はあそこでいいのですよね殺せんせー」

 

そう言うと空いている業の左の席を指さした。確かに後ろの席で律にも近いから連携が取れて都合がいいのかもしれない。

 

「ええ、そうですが」

 

「よし、では紹介します。おーいイトナ!!入っておいで!!」

 

新たに加わるクラスメイトがどんな生徒なのか。みんなドキドキしながらドアを見ていると・・・

 

ドゴオオオオオオオッ

 

なんと転校生はドアではなく後ろの壁から入ってきた。

 

「「「ドアから入れ!!!」」」

 

「俺は・・・勝った。この教室の壁よりも強いことが証明された。それだけでいい・・・それだけでいい・・・」

 

「「「なんかまた面倒臭そうなのが入ってきた!!!」」」

 

殺せんせーもリアクションに困ってるし!笑顔でも真顔でもない・・・なんだその中途半端な顔は!!

 

「堀部イトナ。名前で呼んであげてください。ああそれと・・・私も少々過保護でね。しばらく彼のことを見守らせてもらいますよ」

 

それだけ言ってシロは教室から出て行った。

白ずくめの保護者と話が読めない転校生。今まで以上に一波乱ありそうだ。

 

「ねえイトナ君。ちょっと気になったんだけど」

 

なんとなく気まずい空気の中、カルマがイトナに話しかけていた。

 

「今、外から手ぶらで入ってきたよね?外・・・土砂降りの雨なのになんでイトナ君一滴たりとも濡れてないの?」

 

「・・・」

 

イトナはカルマの質問をスルーし、クラスをきょろきょろと見始めた。

 

「お前は・・・このクラスで多分このクラスで2番目に強い」

 

そう言うとカルマの頭に手を置いた。

おいおい、カルマ絶対にイラっときてるだろ。頼むから喧嘩だけは勘弁してくれよ。

 

「けど安心しろ・・・俺より弱いから・・・俺はお前を殺さない」

 

いや安心できねーよ。駄目じゃねーか。

 

「俺が殺したいと思うのは、俺よりも強いかもしれない奴だけ。この教室では殺せんせー、あんたとそこの昼行灯、お前だけだ」

 

そう言って俺の方を指さしてきた。

 

「弱い強いって喧嘩のことかイトナ。力比べでは殺せんせーと同じ次元には立てないぞ?」

 

変なこと言ってきたからこっちは正論で返してやる。

だがその矢先俺たちは驚きの事実を知ることになる。

 

「立てるさ・・・」

「何を根拠に・・・」

「だって俺たち、血を分けた兄弟なんだから」

 

「「「!!!!!!!」」」

 

「「「き」」」」

 

「「「兄弟ィ!!!???」」」

 

「負けたほうが死亡な、兄さん」

 

殺せんせーの弟。顔も形も全く違うのに。

転校生のとんでも発言により一層騒がしくなる教室であった。

 

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