(兄弟・・・だと?)
先ほどのイトナの兄弟発言。そのせいで教室内はとても騒がしくなっていた。
それもそのはずである。まさか地球を脅かす超生物に兄弟がいただなんて。
「兄弟同士小細工はいらない。兄さん、お前を殺して俺の強さを証明する」
そんな某忍者漫画の一族の生き残りのようなことを言うイトナ。
「時は放課後、この教室で勝負だ。今日がアンタの最後の授業だ。こいつらにお別れでも言っておけ」
そう言って壊した壁から出て行った。
予想してたけど壊したまま行くんかい。
いや・・・今はそれよりも大事なことがある。
クラスのみんなに質問攻めされている殺せんせーだ。
「ちょっと先生兄弟ってどういうこと!?」「そもそも人とタコで全然違うじゃん!!」
みんなとても気になっているらしく、普段は弾が飛び交うこの教室で今日は多くの質問が飛び交っている。
「いや・・・いやいやいや!全く心当たりがありません!先生は生まれも育ちもひとりっ子ですから!!両親に兄弟が欲しいってねだったら、家庭内が気まずくなりました!」
そもそも親とかいるのか!?
ま、それはともかく・・・兄弟とは真実なのか。それとも殺せんせーを動揺させるための作戦なのか。
「なあキンジ・・・兄弟だって。どう思う?」
根本さんも気になるらしく聞いてきた。
「おそらくだが・・・血がつながっている兄弟とかではない気がする。でも機密事項中の人物だ。普通の人間じゃないんだと思う」
「となると?」
「そうだな・・・例えば触手を埋め込まれた人間兵器とか、かな」
「え」
「おぉ。ありえる!」
「殺せんせーとの共通点で、暗殺に使えそうで1番はっきりしているとしたらそんなとこだろ。ま、予想だけどな」
根本さんはなるほど!といった風に手をたたく。
それよりなんだ?いま茅野さんが「え」って言って固まった気がするが・・・?
まあいいか。
昼休み。
モグモグモグモグ。
「おい・・・すごい勢いで甘いもの食ってんな。甘党なところは殺せんせーと一緒だ」
「表情が読みずらいところとかもな」
今日来たばかりの転校生、堀部イトナを観察しながら前原と磯貝がそんな話をしている。
「にゅや。兄弟疑惑でみんなやたら私と彼を比較してきますね。ムズムズします」
教壇でお菓子の詰め合わせを食べながら殺せんせーがそんなことを言っていた。
いくら昼休みだからって教師が教壇でお菓子食うのはどうなのよ。
「気分直しに今日買ったグラビアでも見ますか。これぞ大人のたしなみ」
アホ!
俺が苦手なやつ!!
っていうか、中学生の教室でなんてモン読んでるんだこのタコ。
俺が注意しようと席を立った瞬間―――。
「「「!!」」」
なんとイトナまで同じグラビアの本を読み始めた。
これには俺も、クラスのみんなもびっくりだ。
「「「巨乳好きまでおんなじだ!!」」」
「・・・これは、俄然信憑性増してきたぞ・・・巨乳好きはみんな兄弟だ!」
カバンから同じグラビアの本を出しながら変態・岡島も叫んだ。
「「「3人兄弟!?」」」
「もし本当だとして・・・なんで殺せんせーは分かってないの?」
茅野さんがそんな当たり前の疑問を投げていた。
不破さんに妄想で説明されて「肝心なところが説明できてないよ!」と突っ込んでいたが・・・。
なんにしても兄弟のことを語るなら、過去についても必ず触れる。
殺せんせーの隠した過去が分かるかもしれない。
転校生暗殺者、堀部イトナ。あいつは俺らに何を見せてくれるのだろうか。
放課後。
「机のリング・・・!?」
騒ぎを聞きつけた烏間先生とイリーナ先生が教室に来た。
「ただの暗殺は飽きたでしょう。ここはひとつルールを決めないかい」
そしていつの間にか戻ってきたシロがルールについて打診していた。
内容はいたってシンプル。机で囲ったリングの外に出たらその場で死刑らしい。
「なんだそりゃ!誰が守るっていうんだそんなルール!」
男口調全開の根本さんがそう言うが・・・・そうじゃない。
「皆の前で決めたルールは・・・破れば先生としての信頼が落ちる。殺せんせーには意外と効くんだよ、この手の縛りは」
「・・・なるほど」
「いいでしょう受けましょう。ただしイトナ君。観客に危害を与えた場合も負けですよ」
あのアホエロタコ・・・ニヤニヤして舐め腐ってやがる。律にやられたのをもう忘れたのか。
先生にそう言われ無言でコクリとうなずくイトナ。
「では、合図で始めようか」
嫌な予感がする中、いよいよ始まるようだ。
シロが右手を上にあげ、音頭をとる。
「暗殺・・・開始!」
シロが右手を下ろした時だった。
ザシュッ!!!
「「「!!!」」」
今起こった出来事に、先生含めクラスのみんなは唖然とていた。
そして・・・俺らの目は、ただ一か所に釘付けになった。
斬り落とされた先生の腕に・・・ではなく・・・。
「・・・まさか・・・」
ガラにもなく先生が焦ってるのが分かる。ハワイに行った時にジニオンと遭遇したと並みに焦っている。つまりおふざけなしの本気の焦りだ。
(・・・やっぱりな)
イトナの兄弟という発言。小さいフィールドでのデスマッチ。舐め腐っていた殺せんせー。
十中八九最初のイトナの攻撃は当たると思っていた。なぜなら今、俺たちの前にいるイトナの頭から生えてきているものは
「触手・・・」
ヒュンヒュンと、音を鳴らしながら鞭のように己の触手を回している。
「良かったな、カルマ。疑問、解決できて」
「ああ・・・そりゃ雨の中手ぶらでも濡れないわ。全部触手で弾けるんだもん」
そんな俺らの会話をよそに、殺せんせーは震えながら顔を真っ黒に変化させていく。
「・・・・・・・・・こだ」
「!」
なんて殺気だ。グレネード事件の時よりもさらに強く、ヒリヒリした殺気が俺たちを襲う。
真っ黒。ド怒りだ。
「どこでそれを手に入れたッ!!その触手を!!」
普段めったに見せないような口調に、俺たちはたじろぐ。泣いている女子もいた。
そんな殺せんせー相手に、シロは淡々と答える。
「君に言う義理はないね殺せんせー。だがこれで納得しただろう。両親も違う、育ちも違う。だが・・・この子と君は兄弟だ。しかし・・・怖い顔をするねぇ。何か、嫌な事でも思い出したのかい?」
殺せんせーは数秒黙り込み、考えるそぶりを見せた。
(何か過去に・・・嫌なことがあったのか・・・?それも、触手がらみ・・・)
そう思わずにはいられない沈黙だった。
「どうやら、あなたにも話を聞かないといけないようだ」
真っ黒になった殺せんせーがシロの方を向くと、シロも挑発するように言った。
「聞けないよ、死ぬからね」
ピカッ
刹那、シロから紫色の光が放たれる。
「!?」
なんだ?殺せんせーがブルブルしながら固まっているが・・・?
「この圧力光線を至近距離で照射すると、君の細胞はダイラタント挙動を起こし、一瞬体が硬直する・・・全部知っているんだよ、君の弱点はね」
「死ね、兄さん」
―――直後、イトナの頭から4,5本の触手が出てきて
ザザザザザザッ
殺せんせーの体、正確に言うと頭、首、心臓、に向かってーーー
ーーー貫通するのであったーーー
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