瑠弾のネモ   作:ホウカ

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第24話 絆の時間

「黒い触手!?」「やべぇ!」「あいつキレてんぞ!」

 

暴走したイトナの触手の色は先生が怒った時と同様、真っ黒だった。

イトナの触手が暴れ狂っている。相当まずい状態だと見える。

イトナが暴走状態のまま一瞬で窓の外から教室まで戻ってきた。

 

「俺はッ・・・強いッ!この触手で!誰よりも強くなったッ!」

 

「は、速い!」

 

そのまま暴れようとするイトナを殺せんせーがマッハで止めた。

 

「にゅやッ!イトナ君・・・!お気を確かに!」

 

殺せんせーの言葉は届いていないようで、体を押さえられながらも、暴れている。

そして最悪の事態が起こる。

イトナの真っ黒の触手が生徒の方に向かってきたのである。

 

「はっ」

 

これは殺せんせーでも防げなかったらしく、完全に対応できてない。

真っ黒で歪な形をした触手が向かう先は・・・窓際にいた中村さんだ!

 

「にゅやッ!まずい!」

 

 

 

 

殺せんせーが叫んだその瞬間、俺の視界がスーパースローモーションの世界になった。

筋肉、体重移動を余すことなく使い、落ちているナイフを拾って中村さんのもとへ駆ける。

そして、左手で中村さんの肩を持ち、右手でーーー

 

 

 

(・・・やっちまった)

 

状況が状況とはいえ、派手にやっちまった。

中村さんを襲った触手は、細切れにされ床でぴちぴち動いている。

 

「えっ・・・遠山君!?なんで・・・」

 

「ナイスです遠山君!助かりました!」

 

殺せんせーはそう言うと、自身の触手でイトナを触手含め完全に抑えた。

どうやらさっきの1本だけ逃してしまったらしい。

 

 

プシュ

 

 

「!」

 

直後、イトナの首もとに、シロが発射した針のようなものが刺さる。

 

(麻酔針か・・・?)

 

イトナは気を失い、倒れてしまった。

 

「すみませんね殺せんせー。どうもこの子は、まだ登校できる状態じゃなかったようだ」

 

シロは机をどけ、イトナに近づきながらそう言った

 

「転校初日で何ですが・・・しばらく休学させてもらいます」

 

「待ちなさい!担任としてその生徒は放っておけません!一度ここに入ったからには卒業まで面倒を見ます。それにシロさん、あなたにも聞きたいことは山ほどある」

 

「嫌だね、帰るよ。力ずくで止めてみるかい?」

 

シロに向かって触手を伸ばした殺せんせーだが、肩に触れたとたん、溶けてしまった。

 

「対先生繊維。君は私に触手一本触れられない。心配せずともまたすぐに復学させるよ殺せんせー。3月まで時間はないからね。責任をもって私が・・・家庭教師を務めた上でね」

 

そう言って出て行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。恥ずかしい恥ずかしい」

 

殺せんせーはシロが帰った後、顔を赤くして手で押さえている。

 

「何してんの殺せんせー?」

 

「さぁ?さっきからああだけど」

 

殺せんせーがどうしてああも恥じらっているか、片岡さんと岡野さんは気になるようだ。

ちなみに今俺たちは机や椅子を片している最中だ。

 

「実は先生、シリアスな展開に加担したのが恥ずかしいのです。先生どちらかというとギャグキャラなのに」

 

「「「自覚あるんだ!!」」」

 

「カッコよく怒ってたね~。『どこでそれを手に入れたッ』だって」

 

「いやあああ言わないで狭間さん。改めて聞くと逃げ出したい!!」

 

そう言ってまた顔を隠す。

 

「つかみどころのない天然キャラで売っていたのに、ああも真面目な顔を見せてはキャラが崩れる」

 

自分のキャラを計算してんのが腹立つな。

 

「でも驚いたわ。あのイトナって子、まさか触手を出すなんてね」

 

「ビッチ先生・・・」

 

確かにその通りだ。あれにはみんな驚いただろう。

 

「ねえ殺せんせー説明してよ。あの2人との関係を」「先生の正体いつも適当にはぐらかされてたけど、あんなの見たら聞かずにはいられない」「そうだよ私たち生徒だよ」「先生のことをよく知る権利はあるはずでしょ」

 

みんな今日のやりとりが気になるらしく、また質問が飛び交っていた。

 

「・・・仕方ない。真実を話さなくてはなりませんねぇ。実は先生・・・」

 

ついに知れる殺せんせーの正体。俺たちは唾をのんで次の言葉を待った。

 

「実は先生、人工的に造り出された生物なんです!!!」

 

「「「・・・・・・・・・・」」」

 

「だよね、で?」

 

「にゅやッ、反応薄っ!!これ結構衝撃的な告白じゃないですか!?」

 

って言ってもなぁ。自然界にマッハ20のタコとかいないだろ。宇宙人でもないのならそんくらいしか考えられないわな。

 

「知りたいのはその先だよ殺せんせー」

 

「!」

 

珍しく渚が先陣を切って話を進めた。よっぽど気になるらしいな。

 

「どうしてさっき怒ったの?イトナ君の触手を見て」

 

この質問に先生もさっきまで騒いでいた生徒も静まり返ってしまった。

 

「殺せんせーはどういう理由で生まれてきて、何を思ってE組に来たの?」

 

ポタポタと、雨の降る音だけが聞こえる教室。

沈黙が続くこと数秒、殺せんせーは笑って答えた。

 

「残念ですが今それを話したところで無意味です。先生が地球を爆破すれば、皆さんが何を知ろうがすべて塵になりますからねぇ」

 

「「「・・・!」」」

 

「逆にもし君たちが地球を救えば、君たちは後でいくらでも真実を知る機会を得る。もう分るでしょう。知りたいなら行動はひとつ。殺してみなさい。暗殺者と暗殺対象、それが先生と君たちを結び付けた絆のはずです。先生の中の大事な答えを探すなら・・・君たちは暗殺で聞くしかないのです。質問がなければ今日はここまで、と言いたいところなのですが」

 

そう言うと殺せんせーは俺の方を見てきた。

 

「限界ですねぇ、遠山君」

 

「・・・?」

 

「君自身も気づいているでしょう」

 

「!」

 

「皆さんはきっと、先生の正体と同じくらい遠山君の正体についても気になっているはずです。これ以上は今後の生活に支障をきたしますよ」

 

「・・・」

 

そうか。さっきあれだけのことしてしまったんだ。気にならないほうがおかしいか。

みんなが気を遣って言いづらそうなので、俺から言おうかと迷っていると意外にもカルマが口を開いた。

 

「なあ遠山。君が転校してきたのは2年生の3学期。さっきの高速移動からの触手斬りもそうだけど、俺がいなかったグレネードの件、修学旅行で10人の高校生をボコした件、後は着眼点のヤバさ。どれもイカれてるよ」

 

俺らE組は暗殺者。銃とナイフで答えを探す。ターゲットは先生。

 

「ずばり、あの怪物が来るのを見越して送り込まれた殺し屋だろ?」

 

どうやら暗殺の前に、解決しなければいけない問題があるらしい。

 




〇6月の野外射撃テストの総スコア(200点満点)

男子
1位 122点 千葉龍之介
2位 103点 磯貝悠馬
3位  97点 赤羽業
4位  90点 村松拓哉
5位  84点 潮田渚

女子
1位 200点 速水凛香
2位 101点 根本リンカ
3位  91点 原寿美鈴
4位  84点 狭間綺羅々
5位  79点 中村莉桜 
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