瑠弾のネモ   作:ホウカ

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第27 先行の時間

球技大会エキシビジョンマッチ ルール

 

〇男子野球

・3イニング制(3回裏まで同点の場合、最大5回まで延長)

・10点差でコールドゲーム

※ハンデとして、E組は守備と攻撃を分担できる

 

〇女子バスケットボール

・3ピリオド30分(同点の場合、フリースロー対決)

・50点差でコールドゲーム

※ハンデとして、E組は何人でも交代できる

 

 

 

 

 

ズドン

 

「ストライーク!!」

 

おおおお、と進藤のボールに多くの歓声が上がる。

なんと140km出てるらしい。プロ並みだ。

身長も180cmはあるだろう。まさに『選ばれたもの』という言葉を体現したかのような人物。

野球部の監督の様子を見ると、呆れたように他の部員と話している。よっぽど眼中にないんだろう。

そんな中、殺監督によるサインが1番打者、木村に出される。

ヘルメットのつばを触り、承知の合図を送る。

そして進藤が2球目を投げる。

 

 

コン

 

 

「何ッ!?」

 

今木村がやったことは、野球の試合では良く見る光景、バントだ。本来ならランナーを進めるために行う技。だが、木村が1番打者なのでもちろんランナーはいない。

つまり、セーフティバントだ!

うまく一塁側に転がし、ピッチャーとファースト、どちらがとるか迷う。

だが、E組一番の俊足を持つ木村はその隙があれば十分だった。

 

「セーフ!」

 

楽々セーフとなり、幸先のいいスタートを切ることができた俺たち。

 

「チッ、こざかしい・・・」

 

一番最初の打者をいきなりランナーに出してしまう。点は取られていないが、進藤を動揺させるにはちょうどいいだろう。

 

『2番 キャッチャー 潮田君』

 

そうアナウンスされ、打席に入る渚。

すると先ほどとは違い、内野陣が前進守備をしてきた。さすがは強豪。もう見抜いてくるとは。

だが、こちらとしてもその展開は読んでいた。

 

 

コッ

 

 

今度は先ほどよりも鈍い音が鳴り、前進してきた内野陣の意表を突いた。

プッシュバントだ!

三塁線に抜け、渚も楽々セーフ。強豪とはいえ中学生。バント処理はプロ並みとはいかないようだな。

この想定外の変な流れに観客もざわざわし始める。

さっきまで余裕の表情をしていた野球部の監督も唖然としている。

監督は知っているからだ。一見簡単そうに見えて進藤級の速球を狙った場所に転がすのは至難の業だと。杉野では練習相手にならないはずなのに、と。

 

「こちとら・・・あれ相手に練習してるもんなぁ」

 

俺は苦笑しながら練習の日々を思い出す。

 

 

 

 

 

「殺投手は300kmの球を投げ!!殺内野手は分身で鉄壁の守備を敷き!!殺捕手はささやき戦術で集中を乱す!!」

 

 

 

 

3日間ほど竹林に偵察にいてもらい、9割方ストレートだということが分かる。

確かに中学生レベルじゃストレート一本で勝てるのだろうが、逆に言えばそれさえ見極めればこっちのものだ。

後は殺監督が進藤と同じフォームで投げ・・・それを繰り返してバントを極めるという練習だ。

先生の300kmの球を見た後だと

 

(・・・止まって見えるぜ)

 

3番の俺も三塁線にきっちりバントを決め、これでランナー満塁だ!

そして4番はもちろん・・・

 

「くッ・・・杉野!」

 

進藤はこの状況に完全にうろたえていた。

そして杉野はバントの構えに入る。

きっとこいつは今、普段とは一風変わった光景を見てるだろう。

まるで獲物を狙うよな躊躇ない目・・・今やっているのは野球なのか、と。

確かに杉野は武力では進藤に勝てないのかもしれない。

だが、たとえ弱者でも、狙いすました一刺しで、巨大な武力を仕留めることができる!

 

「なっ!」

 

杉野が滑らかにヒッティングに変え、バットを振りぬく。

打球は深々と外野に刺さり、走者一掃のスリーベースヒットとなった。

 

「ナイスバッチ!杉野」

 

E組のベンチは大盛り上がりである。それもそのはず。こうも狙い通りの展開になったのだから。

全校生徒に力を見せつけるはずだった進藤が、逆に屈辱を受けている。

そのようすを見かねたある人物が、グラウンドに入ってきた。

 

「「「り、理事長先生!?」」」

 

早速現れたラスボスに、E組のベンチも狼狽えてしまう。

 

 

 

―――その後タイムがかかり、理事長先生が指揮を執るとのアナウンスが流れるのであったーーー

 

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