瑠弾のネモ   作:ホウカ

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今回からカルマ参戦です


第4話 基礎の時間

 

 

いっちにー。さーんし。ごーろっくしっちはっち。

そんなありきたりな掛け声が響き渡る。ここは椚ヶ丘中学校3年E組…暗殺教室だ。

 

「四方八方からナイフを正しく触れるように!どんな体勢でもバランスを崩さない!」

 

烏間先生からの的確なアドバイス。俺たちは暗殺のためのナイフ術を教わっていた。

 

「晴れた午後の運動場に響くかけ声。平和ですねぇ」

 

なぜか体操服を着ている殺せんせーが、グラウンドにやって来た。ターゲットの目の前で暗殺の練習をしてるってどうよ?

 

「この時間は何処かに行ってろと言っただろう。体育の時間は今日から俺の受け持ちだ。追い払っても無駄だろうがな。せいぜいそこの砂場で遊んでろ」

 

烏間先生がそう言うと殺せんせーは涙を滝のようにダバダバ流し始めた。きもい。

 

「ひどいですよ烏間さ…烏間先生。私の体育は生徒に評判良かったのに」

 

「嘘つけよ殺せんせー」

 

呆れながら言ったこの男は菅野。あまり話したことがないが、高身長で暗殺にも積極的な男子だ。

 

「身体能力が違いすぎるんだよ。この前もさ…

 

『反復横跳びをやってみましょう。まずは先生が見本を見せます』

 

!?

 

『まずは基本の視覚分身から。慣れてきたらあやとりも混ぜましょう』

 

できるか!!!

 

的なことあったし…」

 

「異次元過ぎてね〜」とギャルっぽい中村さん。

「体育は人間の先生に教わりたいわ」と杉野が口々に言った。

 

生徒の声に先生は『ガーーーン』とショックをうけてから、シクシク砂場に移動していった。

 

「やっとターゲットを追っ払えた。授業を続けるぞ」

 

「でも烏間先生、こんな訓練意味あるんスか?しかも当のターゲットの目の前でさ」

 

やんちゃなイケメン、前原がごく自然な質問をした。

 

「勉強も暗殺も同じことだ。基礎は身につけるほど役立つ………例えばそうだな。磯貝君、前原君、そのナイフを俺に当ててみろ」

 

「え…いいんですか? 2人がかりで?」

 

「そのナイフなら俺たち人間に怪我はない。かすりでもすれば今日の授業は終わりでいい」

 

「え、えーと…そんじゃ!」

 

そう言って前原も磯貝もナイフを振るうが…当たらない。

 

「さあ」

 

「くっ!」

 

バッ ヒュ ガッ ヒュ ビシ

ナイフは全て空を切るか、さばかれていた。

 

「このように多少の心得があれば素人2人のナイフ位は俺でもさばける」

 

「おお」「すげー」クラスメイトからも感嘆の声が漏れる。

 

最後は2人同時に優しく投げ技を決めて倒した。

 

「俺に当たらないようではマッハ20の奴に当たる確率の低さが分かるだろう。見ろ!今の攻防の間に奴は…砂場に大坂城を造った上に着替えて茶まで立てている!」

 

「「「腹たつわぁ〜」」」

 

烏間先生は2人を起こしつつ

 

「クラス全員が俺に当てられる位になれば少なくとも暗殺の成功率は格段に上がる。ナイフや狙撃、暗殺に必要な基礎の数々。体育の時間で俺から教えさせてもらう」

 

キーンコーンカーンコーン。

そう言って授業が終わったのであった。

 

「烏間先生ちょっと怖いけどカッコいいよねー」

「ねー!ナイフ当てたらよしよししてくれんのかな〜」

 

前からはクール美女速水さんと、ゆるふわ天然美女の倉橋さんがそんな会話をしていた。なんかこのクラス可愛い人多くないですか?

 

「キィー!ひょっとして私から生徒の人気を奪う気でしょう」

 

「ふざけるな。『学校が望む場合…E組には指定の教科担任を追加できる』 お前の教員契約にはそういう条件があるはずだ」

 

後ろからはこんな会話が聞こえてきた。へぇー。って事はもしかしたら暗殺にかこつけて教師が増えたりするって事か。

 

「俺の任務は殺し屋達の現場監督だ。あくまでお前を殺すためのな」

 

「『奴』や『お前』ではありません。生徒が名付けた『殺せんせー』と呼んでください」

 

どうやら教師同士もバチバチのようだ。

 

 

 

「6時間目小テストかー」

 

「体育で終わって欲しかったよね」

 

一緒に戻っている渚に愚痴をこぼしながら帰っていると…

 

「…!」

 

「カルマ君…帰ってきたんだ」

 

校舎の入り口には赤髪の好青年とも言える見た目の少年が紙パックを飲みながら立っていた。

 

「よー渚君久しぶり。隣は…?」

 

「遠山キンジ君だよ」

 

「わ、あれが例の殺せんせー?すっげ本当にタコみたいだ」

 

どうやら俺の名前を聞いたにもかかわらず、興味はないらしい。

こいつの名前は赤羽業。業でカルマと読む。俺は関わりがないのであまり知らないが、かなりやんちゃして停学になったらしい。すぐに俺たちに興味を失い、殺せんせーの元へと向かっていった。

あいつ…殺る気か…?いや、おちょくりの方が正しいか。

 

「赤羽業君…ですね。今日が停学明けと聞いていました。初日から遅刻はいけませんねぇ」

 

「あはは。生活リズム戻らなくて」

殺せんせーが顔色を紫にして×印を浮かべた。

 

「下の名前で気安く呼んでよ。とりあえずよろしく先生!」

 

そう言って手を差し出した。

 

「こちらこそ。楽しい一年にしていきましょう」

 

先生もガッチリと触手で手を繋ぐ。

すると…

 

ドロォ。先生の手の部分が溶け出した。先生が動揺したその隙に、赤羽は隠し持っていたナイフを出し、思い切りぶち込んだが…先生は超スピードで距離をとった。

どうやら先生はマジでびびったらしい。その証拠に避けるんじゃなくて、超スピードでとにかく距離をとった。

 

「…へー。本当に速いし、本当に効くんだこのナイフ。細かく切って貼っつけてみたんだけど」

 

そう。すれ違う時に気づいたがこいつは手に対先生用ナイフを仕込んでいた。

 

「けどさぁ先生。こんな単純な『手』に引っかかるとか…しかもそんなところまで飛び退くなんてビビり過ぎじゃね?」

 

…初めて殺せんせーにダメージを与えた生徒。

 

「殺せないから『殺せんせー』って聞いてたけど…あッれェ?せんせーひょっとしてチョロイひと?」

 

ピキピキピキ。先生の顔が高揚して怒っているのがわかる。

 

「渚…俺、学校に来てから日が浅いからよく知らないんだが…赤羽ってどんなやつなんだ?」

 

「うん…1年2年が同じクラスだったんだけど、2年の時に続けざまに暴力沙汰で停学食らって、このE組にはそういう生徒も落とされるんだ。でも…今この場じゃ優等生かもしれない」

 

「…?というと?」

 

「凶器とか騙し討ちとかの『基礎』なら…多分カルマ君が群を抜いている」

 

赤羽はニヤリと不敵に笑いながら校舎に入っていくのであった。

 

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