進め!知恩大学超常現象調査研究会   作:パイン村

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なぜ自分は自分でも駄作だと思っているものを三万字近くもかいているのか。


FILE:02 ある呪いについての考察 後編

 

 部室で堀越の話を聞いたあと僕らは会長の案内でとある洋館の前にいた。

 

「でかいと聞いていたけど。本当に大きいな。まるで旧京都府庁舎みたいだ」

「その例え、他府県の人には全然伝わらないわよ。確かに良く似た感じの立派な洋館だけど」

 

 御子が僕のこの洋館を実良く表現した名句に文句をつけてくる。実際そっくりなのだから仕方がない。

 大体、他府県民に伝わらないというが日本すんでいる人間ならテレビで一度くらいは見ているはずである。

 何故なら、かの旧庁舎はドラマや映画の撮影スポットとして有名だからだ。恐らくは東京国立博物館の大階段と同じくらいには使われてるはず。多分。

 さて二階建てネオルネッサンス様式の絢爛豪華なこの洋館。本来、僕らのような庶民が入れるような物件ではない。

 しかし、今回は特別館の住人から特別に入る許可というか命令を受けた。つまり、住人とは会長のことなのだが。

 そうこの豪邸こそ会長、光藤薫のご自宅である。金持ちという噂は聞いていたがこの規模のトンデモ金持ちだとは思わなかった。

 というか、いるんだ。今時、こんないかにもな洋館にすんでいる金持ち。

 

「いやー、御子君だけでなく男子を三人も自宅に連れ込むなんて父上に起こられてしまうよ、ハッハッハ」

 

 会長は冗談のつもりかそんな事を言う。僕も人生初、知り合い女子の家訪問だが、性的な意味でのドキドキを感じない。

むしろやらかしたらやばいというドキドキを感じる。なんか壊したりしたら地下送りになったり行方不明になっちゃうのだろうか。

 

「そう、緊張せずに普通にしたまえ。ただちょっとでかいだけの家だから」

「会長、これ全然ちょっとないです。僕らの家が基準ならエレベスト級です」

 

 工藤が会長の庶民からかけ離れた感覚にたまらず突っ込む。本当、どんな悪いことをすればこんな家にすめるのだろうか。

 

「会長のご両親ってなにされてるんですか?」

「うーん?投資家もしくは資本家?」

 

 それは仕事なんですか。

 

「うちは元々京都で細々とやっていた弱小商人でね。だが、明治のおりに先祖がうまくやってね。京都の少なくい土地を手に入れてね。

 それを元手にいろんなとこに金を貸したみたいでね。今では京都に拠点を置く企業のほとんどの大株主さ」

 

 さらっというが京都には日本を代表する大企業も少なくない。任天堂とか日本電産とか。つまりはこの家、京都政財界黒幕ですよね。

 

「僕、決めた。一生会長には逆らわない」

「貴方、そんなプライドを捨てきった台詞を良く素面で言えるわね」

 

 御子は僕を見下すようにいうがどうとでも言え、世の中、強いものに逆らってもいいことなどなのだ。

 むしろ会長に付き従えばコネ入社で大企業も夢ではなく、人生安泰なのでは?

 

「あのう、僕、本当に家帰ったらいけないんですか?いや、こんな豪邸に泊まれるならむしろありがたいですけど」

 

 僕が未来に夢を馳せていると後ろからした声がそれを遮った。それは部室からそのまま連行された堀越の声だった。

 あの部室での聞き取りのあと、会長の発案で堀越を安全な場所で保護しようということになったのだ。

 どうせ向こうからやって来るのだ、こちらに有利な場所で迎え撃とうという計画らしい。

 呪いなんていうものをどう迎え撃つのか僕にはわからないが会長には秘策があるらしい。

 

「うん、うん。呪いの存在が証明されるまでは嫌でもここにいてもらうよ。さあ、ではいい加減なかには入ろう」

 

 その言葉ともに会長は屋敷の敷地と外を区切る門をあけ、屋敷の方へと進んでいく。

 僕は不安に思いながらも会長についていく、願わくば呪いなど存在せず、誰も死なないように祈りながら。

 

 

 屋敷の中は外からも想像できた通り、贅を凝らしたつくりだった。

 細部まで彫り込まされた装飾、一部は金色に輝やいており、金箔が使われていることが容易に想像できた。

 会長に案内された大広間には日本神話の神々が書かれた天井画まであり、一体どこの宮殿なのかと言いたくなる。

 

「あの、香ちゃん本当にここ勝手に使っていいの?この家下手したら文化財とか指定されてない?」

 

 御子はあまりの豪華絢爛さに正常な判断能力を失っているようではたから見てもわかるくらい慌てていた。

 迎賓館もかくやという調度品や装飾を見せられたのだから致し方ないが。

 

「大丈夫、大丈夫。親は忙しくってほとんど帰ってこないし、たまに文化庁の人とか府の教育委員会の人が来るけど適当にあしらっているから」

 

 どうやら、御子の懸念は当っていたらしい、この家は府の文化財、もしくは国宝に指定されかれないしろものらしい。

 だんじて、呪いの実証実験に使っていい場所ではないだろう。会長の言葉に工藤も堀越さえ呆れていた。

 

「で、ここでどうやって呪いを向かい撃つんですか会長?」

 

 工藤が当然の疑問を呈すると、会長はどこからか持ってきた縄や紙、そして筆と墨を広間の机においた。

 

「ここはだね、古典に習うべきだと思うんだ」

 

 会長はそう言って、般若心経とかかれた経典を机の上に置いた。

 墨と筆と般若心経、そして古典という言葉。僕には答えが思い浮かんでしまったが、出来れば外れていてほしいと願う。

 余りにもばかばかしいし、何より実行する場合どう考えても僕か工藤がそのための作業をやらされることになるだろう、それだけは絶対にごめん被りたかった。

 

「さすが、さすが。その顔から察するにもう、白石君には答えがわかったようだね?」

 

 会長はいつも通りの実に楽しそうな笑顔を浮かべる。ああ、女性でなければ今ごろ僕はこの人を殴っている気がする。

 

「耳なし芳一ですか」

「大正解、おめでとう。君には堀越くんへの写経をプレゼントだ!」

 

 嫌ですよ。何が悲しくて男の体に写経背値ならんのか。耳なし芳一というのは有名な怪談であり、江戸時代に実際にあった話だとされる。

 詳細省くが、芳一と言う琵琶法師が怨霊から逃れようとある方法で怨霊から見えないようになったのだが、耳がミスで見えるようなっていたため、怨霊に耳だけとられたという話だ。

 で、そこで怨霊の目からのがれる方法というのが体への写経である。耳なし芳一に出てきた和尚によれば、怨霊はお経がかかれたものを視認できないらしい。

 

「この人本気でいってるんですか?」

 

 堀越も期待していた秘策がこれだと聞き不安そうだ。当然だろう、これなら寺にでも泊まり込んだ方がましだ。

 

「全く、全く、なんだいその顔はちゃんと実績もある由緒正しい方法なんだぞ」

 

 怪談や伝承の類いを実績と言われても困るのだが。

 

「大丈夫、それだけでなくちゃんとしめ縄も用意した、これでこちらと、そちらを区切れば用意には加藤くんも近づけまい」

 

 本気でいってるんだろうかこの人?しかも加藤が怨霊となったとはまだ決まったわけではないのだが。

 

「それでは、女子二人は外に出てるから、あとは男子だけでよろしくね!芳一の二の舞にならないよう、ちゃんと全身くまなく書くんだよー♪」

「ちょっと、薫ちゃん...」

 

 会長はそれだけいうと御子をつれて広間の外に出ていってしまった。 僕は残された工藤と堀越を見るとため息をつく。

 

「仕方ない、やるか」

「おい、本気なのか!もっとほかに方法があるはずだ!」

 

 堀越は裸に写経されるのがよほど嫌なのか、抵抗の構えを見せる。当然だろう、全身となれば股関やら何やらにまで般若心経がかかれるのだから。

 これを好き好んでやるやつがいるとは思えない。

 

「まあ、平氏の怨霊にだって効果があったといういうし、他に手もないならこれでいくしかないんじゃないか」

 

 工藤はこちらを見て聞いてくる。僕に決めろってか。正直やりたくないが、これしか方法がないというのなら仕方ないだろう。

 外道といえ、見捨てるのも心がとがめるし。

 僕は机におかれていたバケツ工藤に手渡し水をいれてくるように指示する。

 

「まて、落ち着こう!絶対にこんなのじゃダメだって!」

「ならほかに方法があるのか?」

 

 堀越は僕の質問に悔しそうにだまりこんでしまった。どうやら、思い浮かばないらしい。そうこうしているうちに工藤が水をいれてバケツをもって帰って来た。

 そして硯に、墨汁をいれバケツの水を少量混ぜる。そうして完成した墨に毛筆をつけるとそれを持ったまま堀越に近づいていく。

 

「や、やめるんだ!考え直すべきだ、貴方だって野郎にこんなことしたくないはずだ!」

 

 全くもってその通りではあるが、それよりも会長に逆らう方が僕にとっては恐怖なのである。

 堀越は全力で逃げようとするが後ろに回り込んでた工藤に羽交い締めにされる。

 

「今だ、やれ白石!」

「ありがとう工藤!お前の献身しかと会長に伝えておこう!」

「なんなんだこの空気!待て、話せばわかる!....服を脱がすな!本当にやめて!あっ、アッーー!」

 

その日、館中に男の汚い悲鳴が響き渡った。

 

 

✺✺✺✺✺✺✺✺

 

 

「工藤ーそっちは書き忘れはないかー」

「ああ、ちゃんと耳の裏まで書ききったぜ。これで耳なしになることだけではないと保証するぜ」

 

 工藤はいい仕事をしたといわんばかりに親指を立てる。意外と、人体は広いもので、結局般若心経四周、時間にして二時間ほどかかってしまった。

 写経をすると徳を積めるというが、同じくらいいやそれ以上に業を積んでしまったのは気のせいだろうか。

 

「最悪だ、本当に股間まで書かれた、泣きたい。しかも般若心経が書かれた肌色パンツってなんだよこれ」

 

 堀越は蹲ってずっと僕らへの怨嗟を唱えている。

 流石にそのまま全身、そのまま裸だと女子二人が同席できないので、股間の部分にはテレビ番組で芸人が裸になる時、股間のあれが見えないように履いている肌色いパンツをつけている。

 どこで売ってるんだろこれ?

 

「覚えていろよ。効果がなかったら末代までたたってやる」

 

 堀越はそれこそ今にも呪われそうなくらい恨めしそうな顔でこちらを見つめてくる。

 

「そう言いなさんなって、あれでも会長は真剣に考えているだって...多分」

「もういいです。貴方達に頼った僕が悪いんですから」

「お前が悪いのは俺たちを頼ったことじゃなく、加藤を苦しめたことだけどな」

 

 工藤が忘れさせないぞ、と彼をじっと見つめながら。工藤は基本クズで下種だが意外と正義感で虐めとかは許せないタイプである。

 特に自分は悪くないなどという責任を、自分の罪をわかっていない人間は。

 

「...だったら、どうすればよかったって言うんですか。あそこで僕が加藤を庇ったところで虐められる対象が増えるだけですよ」

 

 堀越は唇を噛みながら、工藤を睨みながら言い放つ。

 

「だからといってお前がやったことが許されるわけじゃねーだろ」

「はたからならいくらでも正論はいえますよね。でもね、実際そんな正論実行できる人間がどれだけいるって言うんですか。

 みんな自分を守るあたりまで普通のことじゃないないですか。それのどこが悪いって言うんですか?」

「何も悪くない。だけど、加藤はその自分を守ることすらできなかったということだけは忘れるなよ。絶対に。

 それだけは約束しろ、じゃなければ、会長が何と言おうがここからたたき出してやる」

「分かりましたよ」

 

 堀越は小さく、頷き言った。それは怒られた子供が言うような拗ねた口調であった。当然、工藤は不満そうであったが、ここは収めてもらわないと、困ったことになる。

 険悪な雰囲気の中、長時間過ごすのはごめん被る。ここは適当な話題を振って空気を換えよう。

 

「...そういえば、部室で二人目までどうなったか聞いたが三人目はどうしたんだ?」

 

 自分でももっとましな話題転換があったと思うが今更ほかの話題にも代えられないので堀越の返答を待つが、堀越は怪訝そうな顔をしてこちらを見つめる。

 

「何言っているんですか?あそこにいて知らなかったわけじゃないでしょうに。大学中で騒ぎにもなったんですから」

 

 堀越が何を言っているのか理解できなかった。堀越の側もそんな僕の反応が理解できないという風に首をかしげる。

 

「まさか、本当に分からないんですか?聞いた話だと、貴方達も目撃者だったんですが。...吉野ですよついこの前、大学で自殺した吉野卓郎が僕らの三人目の仲間です」

 

 繋がってはいけない物が繋がり、どこかで歯車が動き出すような音が聞こえた。

 

 

✺✺✺✺✺✺✺✺

 

 

「まさか、あの吉野君がなあ。真面目そうな子だったんだけど人間本性はわからないな」

「別に長く過ごした友人だったわけでもないでしょうに。ほんの少しの時間で人間が理解できるなら今頃、世界平和よ」

 

 御子は僕のつぶやきに愛想のかけらもない返しをしてくる。そんなのは分かり切っているがやはり少しでもかかわった人物に対しては良い人間であってほしいと思ってしまう。

 もちろん、そんなのは僕の勝手な押し付けにすぎないのだが。

 

「それにしてもこの屋敷本当に広いわね。香ちゃんが言っていた倉庫ってどこにあるのかしら」

 

 なんで僕らが二人でこの屋敷をさまよっているかと言えば、会長がやることもないから、人生ゲームでもしようと提案してきたからだ。

 倉庫にあるからとってきて二人そろって追い出されてしまった。

 それで、黙ってただ、探索するのも寂しかったので話題作りというか情報共有ということで僕は先ほど堀越から聞いた話を御子にしていた。

 

「二階と言っていたが、部屋数が多すぎて全く、見当がつかん。もう手あたり次第開けていくしかないんじゃないか?」

「いいけど、普通にやってたら半時間くらいかかるわよ」 

 

 御子に言う通り、屋敷の廊下はとてつもなく長く、そこに並んでいる扉の数も半端ではない、まともにやっていられる数ではない。

 

「まあ、こういうとこの倉庫って大抵、突き当りの部屋にあるもんだよ」

「全く根拠のない憶測ね。外れていたら貴方、一万ドルのペナルティだから」

「いいぞ。人生ゲームなら、その位のハンデあっても巻き返せるから」

「...?何を言っているの。リアルペナルティに決まってるじゃない」

「こんなことで約百万円払えと!?」

 

 罪と罰の天秤が全くあってないどころか、罰の重さで罪が飛んでいくレベルなのだが。

 

「貴方は生きているだけで罪だからその分が加算されているの」

「いくら何でもひどくない!?というかまた心読まれた!?」

 

 超能力者云々は冗談だと思っていたが、あながち嘘とも思えなくなってきた。実はこいつの存在こそ、一番オカルトなのかもしれない。

 などとばかげた考えを頭の中で展開していると、いつの間にかつきあ当たりの部屋にたどり着ていた。

 照明が切れているか、設計上の問題か、なぜか他の場所よりもそこは暗く、よどんでいるように感じた。

 細かな装飾が施された、木製の扉に手をかけたその時だった―――

 

「そこは開けちゃあだめだよ」

 

 後ろから男性の声がした。あまりにも急だったのでビクッリして僕はのけぞってしまいそのまま床へと転倒してしまう。

 

「うー。痛い」

「一人で何やっているの?馬鹿なの?」

 

 そんな俺を見て御子は助けるでもなく、嘲るような視線を向けてくる。本当になんでこいつが大学で人気なのかが理解できない。

 御子の支持者は何らかの洗脳でも受けているのではないのではないだろうか?

 

「すまないね、びっくりさせるつもりはなかったのだけど」

 

 眼鏡をかけた、黒いスーツを着た黒髪の男性がこちらを覗きこんでくる。

 二十代後半ぐらいだろうか、全体ととしては若々しい顔だちをしているのだが、眉間刻まれた皺がどうにも彼から老獪な雰囲気を感じせていた。

 彼は僕に謝罪をすると手を差し出してきた。僕はその手を握り、体を起こす。

 

「いえ、こちらこそすいません。えっと?」

「光藤尊、香の兄だよ。君たちは香の友達かい?」

「はい、同じサークルの白石剣児といいます」

「同じく、市川御子といいます」

 

 おおよそあたりはついてたが、思った通り、この男性は会長の兄君らしい。

 妹のために警備会社から平気で鍵を拝借する当り、どんな奇人変人かと思ったが、見たところ、ごく普通の一般人という印象しか受けない。

 

「へえ、君たちが。香から話は聞いているよ。特に御子さんのことはね。香も友達を連れてくるならはやく言ってくれればいいのに。全く、手のかかる妹だよ」

 

 尊さんは苦笑しながら言う。部活では手のかかるどころか、手の付けられない暴君ですがね。

 そんな言葉が口から出かけたが、そんなことを兄君に言ったことがバレたら社会的にも物理的にも殺されかねないので必死に押しとどめた。

 

「君たちはなんでこんなところに?」

「ちょっと会長に頼まれて、倉庫に探し物を」

「なるほどね。残念だけど、倉庫は反対側の突き当りだ。そのまままっすぐ行くといい」

 

 尊さんは、廊下の向こう側の突き当りを指し示しそのまま向こうに行くように誘導する。

 僕は尊さんに礼を述べると、そのまま御子とともにこの場を立ち去ろうとする。が、御子がふと足を止めた。

 

「どうした、一万ドルなら払わんからな」

「あんなの冗談に決まってるじゃないそんなことも分からないの?」

 

 こいつには一度、本気で切れた方がいいのかもしれない。そう僕がひそかに決意していると、御子はそんな僕を気にもせず。尊さんの方を振り向く。

 

「あのう。失礼かもしれませんが、ここは何の部屋なんですか?」

 

 尊さんは一瞬考え込むような様子を見せるとこう答えた。

 

「僕の部屋だよ。親の仕事を手伝っているからね。色々とみられると困るものも多くてね」

「そうですか。すみません、ぶしつけなことを聞いてしまって」

「いや、いいさ。妹の友達だからね、これからも香と仲良くしてやってくれ」

 

 それだけ言うと、尊さんは自分の部屋だというその部屋へと消えていってしまった。

 

「真面目そうなお兄さんだったわね」

「会長の兄君というからどんな奇人変人かと思ったが思ったより普通でよかったよ」

「あなたどんなイメージ抱いてたのよ」

「シスコンで妹に近づく奴は全員ジェノサイドな感じ」

「そんなの漫画でしかいないわよ」

 

 そう吐き捨てるとそそくさ反対側の倉庫に消えていく。僕も遅れないように速足でついていった。

 

 

 

✺✺✺✺✺✺✺✺

 

 

 無事、倉庫から人生ゲームをもってきて大広間に戻ると、会長は工藤とともに肉まんを食べていた。

 

「あ、遅かったじゃないか。あまりに遅かったから、つい、外のコンビニでこんなもの買ってきしまったじゃないか」

 

会長は肉まん片手に僕らを見ながら言う。

 

「勝ってきたのは俺でですけどね。お前らの分ももちろんあるからな」

 そう言って、肉まんの入った袋を手渡してくる工藤。

 肉まんを受け取ると、こちらに恨みがましい視線が向けられていることに気づく。それはしめ縄の中で肌色パンツ一丁で座らされている、堀越のものだった。

 堀越は何を言うでもなくこちらを見ている。

 

「何あれ?」

「いや、芳一の話じゃあ、怨霊に見つからないためには話しても動いてもいけないって話だっただろ。だから、会長の命令でああしているんだよ」

 

 なるほど、それで、こちらを恨みがましく見ているわけか。それをわかっていて肉まんを買わせる会長も素直に買ってくる工藤もなかなかである。

 しかし、堀越も睨んでくるだけで何もしないのは一応をこれにかけているからだろう。知り合い四人が死んでるのだからすがれるものにすがるのは当然といえば当然だろう。

 

「で、会長。いつまでまで来れ続けるんですか?」

「もちろん、いつまでも。...というわけにはさすがにいからね、一週間ほどかな。大体、四人ともそのくらいの周期で死んでるからね。

 それ以上生き延びることができたら、呪いのくびきから逃れられたと考えていいんじゃないかな」

 

 そんな適当な、とはいえ、本業の方々は無理と匙を投げたという物に素人が立ち向かおうというのだからこうなるもの当然だ。

 というか、これから一週間ずっと堀越を見張らなければいけないのか。大学もあるだが。後、堀越の食事とかはどうするんだ。

 

「うん?ああ、大学のことなら心配ないよ?明日からは交代で見張る予定だし。堀越君の食事も気を見て取らせるつもりさ。監禁罪とかにはされたくないからね」

 

 僕の様子を察して、安心させるつもりなのだろう。会長はそんなことを言ってくれるがまったく安心できない。

 これ、ほかの人に見られたら多分監禁罪は免れないだろう。というかたぶん余罪もつく。

 

「取りあえず、今日はこれで楽しむとしようじゃないか」

 

 そう言って会長が人生ゲームを大広間に広げたその時だった。誰かのスマホの着信音が鳴り響いた。

 

「誰のだ?僕のじゃないぞ」

 

 僕はズボンのポケットからスマホを取り出し、その発言に嘘がないことを皆に示す。

 会長、工藤、御子も僕と同じようにスマホ皆にみせ、自分のではないことを主張した。

 となれば、当然、消去法でこの着信音の発生源となるスマホの持ち主が特定される。

 しめ縄の中ですわている堀越は無言で、自分の持ちものや服が置かれたソファーに顔をやる。

 僕たちに出ろということらしい。仕方がないのでソファーに置かれた荷物のをかき分け、堀越のスマホを見つけ出す。

画面に示された名前には加藤と書かれていた。それを見た瞬間、血液が凍り付いたような寒気を感じた。

会長たちに画面を見せると無言で出るように催促された。しばらく躊躇したものの、僕は意を決して、電話に出た。

 しかし、相手は何もしゃべらず、無言のまま通話時間の秒数だけが増えていく。たまらず僕はつい聞いてしまった。

 

「加藤茂明君ですか?」

 

 しばし、また無言の時間が続いた後――

 

「そ...う...だ...よ」

 

 短くではあったが返答があった。その声は地の底から響くようで、間違いなく人間の声のはずなのにそれ以外の何かに聞こえた。

つい 、スマホを落としてしまいそうになるが必死に震える手をもう片方のてで押さえつけ、通話を続ける。

 

「一体何の用かな?」

「堀越...君...見つからない...から...かけた」

 

 どうやら会長の芳一作戦は成功したらしい、昔話もバカにしたものではないということだ。しかし、怪異のたぐいすら、電子機器を利用する時代か。

 いやはや何とも。いや、元は現代人、当然ちゃ当然か。

 

「堀越君はここにはいないよ。それにもうあきらめた方がいいよ、君の犬もこんなことのぞんじゃ」

「うるさい...いい...そっちに...行って...探す」

 

 その言葉を最後に電話は切れツーツーツーという音だけが鳴った。

 

「おい、どうした顔色が悪いぞ。加藤はなんだって?」

 

 工藤が僕を心配してか、そんなことを聞いてきた。きっと、今の僕はひどい顔をしているのだろう。僕はゆっくりと今告げられた事実を伝える。

 

「加藤がこっちに来るって...」

 

 その言葉を聞いた皆の空気が一変する。特に堀越の顔は真っ青になっていた。それでも、騒がないのはまだ、芳一作戦の成功を願っているためだろう。

 そして、さっきの電話によればそれは正しい。

 

「いいか、堀越。まだ加藤はお前を見つけられていない。絶対に声も音も発するなそれで助かるはずだ」

 

 堀越は黙ってうなずいた。その時、だった。堀越としめ縄の前に何かがいることに気づいた。

 間違いなくさっきまでそこには何もなかったはずなのに、現れたそれは恐らく人間なのだろう。 

 いや、間違いなく姿かたちは人間なのだが、なぜか僕はこれを人間と断ずることができなかった。

 

「堀ぃ...越ぃ...君?...そこに...いる...の?」

 

 堀越は今にも泣き叫びそうだったが必死に声を殺し、震えを押さえっていた。

 大広間にいる他の皆にもそれは見えていたようだが、皆動くことができなかった。

 それは、そこにいるものの顔が見えてしまったからかもしれなかった。それの顔は普通ではなかった。

 目があるべき場所に何もなく、そしてその中に見えたのは虚空であった。

 本来は肉体の内部が見えるべきにもかかわらず、そこには何もなかった。

 それで、皆確信してしまった。ここにいるものは人間ではないと。

 加藤は何かの動物のように、しめ縄の前を右往左往していた。いまだに堀越を視認できていないようだった。

 そして、幸いなことに僕らには興味がないようだった。

 加藤はしばらく、しめ縄の近くをうろうろしていたが急に立ち止まった。

 

「そこぉ....にいるんでしょぉ....なんで....話してくれないの?....どうして....あんなことしたのぉ?」

 

 加藤の手が堀越の目の前の空を切った。もはや、堀越は我慢できず、今にも叫びそうだった。

 

「駄目だ!そいつはまだ君が見えてない!今声を出せばすべてが水泡に」

 

 会長はたまらず堀越を止めにはいるが、すでに時遅く彼は立ち上がり叫んでいた。

 

「うるさい!全部お前が悪いんだ!お前が愚図でのろまだから僕まで、巻き込まれて....。

そうだあの犬を刺したのだって強制されたんだ!お前が僕とかからなければ!そうだ、お前が、お前が悪....い?」

 

 刺した?僕は犬に暴行を加えたのは葛城だと思っていたがあの男は手を汚すことなく、忠誠の証として取り巻きに暴行を加えさていたのではないか。

 強制されたとはいえ、暴行という行為は否が応でも罪を感じさせ、葛城と自分が共犯であることを自覚させる。他者を縛るのにこれ以上ない鎖だ。

 だから、堀越はそのことだけは隠し通したかったのではないだろうか。しかし、そこで僕の思考は止まった。

 目の前で余りにも異常な光景が広がっていたからだ。手が...堀越の胸部が加藤の手を貫いていた。

 堀腰は一瞬何が起きたかわからなかったのだろう。不思議そうに自分に胸を見つめ、そして、叫び声をあげた。

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああ!

 痛い!痛い!なんで、なんで、僕がこんな、僕は悪くない!全部アイツが!アイツらが悪いんだ!僕は普通に..くら...」

 

 堀越の声は最初に叫び声こそ、大ききかったが、だんだんと、か細くなっていた。

 理由は言うまでもない。そして、堀越はしばらくすると何も発しなくなった。

 僕らは目の間で行われた惨劇に何もできず、ただただ立ちすくんでいた。そして、気味の悪い笑い声が屋敷を包んだ。

 

「あはははははははははははははははははははははは、ひぃっはははははははははははははははははは!!」

 

 それはとても長く長く続いた。明か人間の出せる声ではなかった。そして加藤がこちらを向いた。

 死んだ、そう思ったが加藤は僕たちには何もすることなく、堀越の死体とともに空中に浮いた。

 

「ስጥ택한तिन張西дныuniևմտوعليه فإن־לאַۆژاوایی」

 

 何語ともつかない奇怪で奇妙な言語を加藤は話し始める。それは聞いているだけ頭が痛くなってくるような発音で人が決して聞くべきではない音だと確信した。

 そして、その言葉が発せられるのと同時に堀越と加藤の姿げねじ曲がっていくまるで飴を伸ばしいくように細長くなっていく。

 やがて。それが渦の様な形になり、シュルシュルという音ともにまかれていくように消えた。

 

「みたか今の...?」 

 

 今見たものが現実なのか、信じられず、無事だった皆に聞いた。工藤も御子も震えながらであったがうなづいた。

 どうやら、今あったことは本当らしい。残念なことに幻覚でも僕の頭が生み出した空想でもなかったらしい。

 

「...。どうやら、残念なことに作戦は失敗といわざる負えないようだね」

 

 誰もいなくなったしめ縄の中を見つめ会長はつぶやく。そこには血、一つ残っておらず堀越がいた痕跡は何も残っていなかった。

 いや、それどころか、部屋を見渡すと彼の荷物も一切合切消えていた。まるでそんな人物は最初からここになかったように。

 しばらく、呆然とするしかなかった僕たちは結局その日は、会長の命で解散した。

 警察に堀越のことをいうべき迷ったが、こんな話をしたところで到底信じてもらえると思えなかった。

 事態が動いたのは次の日だった。堀越の遺体が見つかったのだ。それもあの、廃墟で。

 報道によれば死体はどうやったかすら分からないくらいバラバラで、身元の特定も近くにあった荷物からなされたとのことだった。

 そして、同じ日、加藤の遺体も見つかった。遺体は同じ廃墟に埋められていて死後一か月はたっていたという。

 結局、堀越は最後まで嘘をつき続けたということだろうか。加藤が一か月前に殺されていたというのなら間違いなく、下手人は葛城達たちだ。

 しかしどうにも僕にはそう思えない。まず、堀越が最後に発した事が犬のことだけだからだ。

 しかし彼が加藤も手にかけていたら間違いなくそのことも言っていたはずだ。

 それにこれは同じ学部の友人から聞いた話だが、葛城達は加藤を探し回っていたという。

 自分で殺していたならそんな馬鹿な真似はせず、死体を掘り起こしていただろう。

 

「結局、僕らは振り回されただけでしたね」

「そうだね。まあ、せめてもの収穫は呪いの実在が証明できたことかな」

 会長のその言葉には何の感情も籠っておらず、あの惨劇を悼むのでもなくただ事実を確認するような言い方だった。

 さて、僕らが今どこにいるかというと警察署である。なんでかといえばあの廃墟への侵入がバッチリとみられていたからだ。

 幸い、どちらの遺体も死亡推定時刻が僕等がいた時間と大幅にずれていたため警察の側も僕らを疑っておらず、どちらかといえば僕らが侵入したときの廃墟の様子を聞きたいようだった。

 

「警察の事情聴取なんてなかなかにレア体験だね。いやはや、容疑者にされるかと戦々恐々だったよ」

 

 会長はそう言うが、そんな焦りは微塵も感じさせなかった。工藤も御子もいまだ事情聴取中で僕は会長と二人っきりで警察署内の待合室で二人を待っていた。

 正直、昨日今日で感情の整理がついておらずいつもと変わらない会長の態度は僕にとって腹立たしく感じられた。

 

「あんなことがあった後でよくもまあ、いつも通りでいられますね会長は」

 

 つい、反感からそんな意地の悪い言葉が出てしまう。しかし、会長はそんなことは気にもしない風で。

 

「私が彼を悼んだところで何か変わるのかな?いや、呪いが存在するなら、彼の冥福を祈れば彼の地獄での罪科も減らされるのかな。まあ、でも私は彼を悼む気にはなれないがね」

「会長いくらなんでもそれは―――!」

 

 あまりもな会長の物言いについに声を荒げてしまった。だが、会長は慌てる様子もなく淡々とまた話し出した。

 

「君が気分をがしたというのなら謝るよ。だけど、私はこういう人間なんだそこは理解してほしい。

代わりといっては何だが私が調べた堀越君の話でもしようか。実はね、加藤君と堀越君は高校時代は友人関係だったらしい」

 

 まさかという言葉が出かけた。最後の瞬間、あれほど加藤を罵倒していた堀越が?加藤と友人だった?何の冗談だといいたいが、会長の情報が間違っていることなどまずありえなかった。

 

「信じられないという顔だね。だが事実だ。あの二人ははたから見ても親友と言える仲だったらしいよ。

 そんな二人の関係に変化が訪れたのが高校二年の時だったらしい。彼らは葛城と同じクラスになったんだ。

 葛城は、あの暴力的かつ刹那的快楽主義者の性格から、身体能力にややなんがあった加藤君に目をつけ、からかい始めた。

 最初は本当に些細なお遊び程度のものだったらしい、だが、彼が増長しその内容が陰惨な物になっていくのにそう時間はかからなかった。

 しかも、最悪なことに彼の父親は当時、市の教育委員会に勤めていた。それを知っていた教師は黙認し、彼を助けるものは誰もいなくなった。

 堀越君以外はね。堀越君は必死に加藤君を庇ったというよ、当然、加藤君と同じよういやそれ以上に彼には暴力が振るわれた。

 そしてある日、こう言われたそうだ、加藤を殴れ、そうしたらお前を開放してやると、その言葉に彼はどう思ったんだろうね?

 ボクには想像もつかないけど、どうあれ彼は選んだ、どちらかをというのは言うまでもないよね。

 でも、葛城は彼を開放することはなかった。むしろ、加藤君を痛めつけるための道具として重宝したそうだよ。

 逃げることもできず彼は元親友を痛め続ける事しかできなかったわけだ」

 

 昨日の堀越の絶叫が頭の中で繰り返された。全てを加藤の所為にしたあの言葉にどれほどの思いが込められていたのだろうか。

 

「で、だ。私はここで一つ疑問に思ったわけだ」

「一体何をです。もう全部終わったんですし、いまさら何を疑問に思ったところで」

「そう、それだよ」

 

 突然の会長の言葉に戸惑う。何がそれなのか僕には全く理解ができない。

 

 

「皆、昨日の一件で全部終わったと思っているけどその根拠は何だい?」

 

 何を言うのだろう、この人は。加藤の愛犬を暴行し殺した人間はもう全員、この世にはいないのだ。加藤の復讐は終わったのだ。これ以上彼が何を呪うというのか。

 

「加藤君が心底呪っていたのは愛犬を殺した五人だけと思うかい?そもそも高校時代のいじめさえなければこんなことにはならなかったはずだ。

 実はねさっきの話はね、高校時代加藤君をいじめていた一人から聞いたんだ。

 そうだ、加藤君をいじめていたのはあの五人だけじゃない。それに加藤君にとってはいじめを黙認した教師だって呪いたいほど恨めしい相手だったんじゃないかな?

 もっと言えば、いじめから助けてくれず放置し続けたクラスメイト達。いや、もしかしたらこの世界そのものだって加藤君にとっては滅ぼしたいくらい憎らしい存在だったんじゃないかな?」

 

 確かに、その通りだった。加藤の怒りが憎しみがあの五人だけに向けられた何て誰が言えるだろう。

 会長の屋敷で僕らに手は出さなかったのはただの偶然で、あの場で殺されていた可能性もあったのではなかろうか。

 しかし、その推論はあまりにも――

 

「そんなのあんまりじゃないですか。加藤の呪いはずっと残り続けるってことですか。だれにも救われることなく加藤はこれからもずっとこの世界を呪い続けるって言うんですか?」

「元来呪いというのはそういうものじゃないかな?それこそ将門公や崇徳院は千年近く、この世を呪っている。

 人を呪うということは未来永劫にのこる恨みをこの世に刻む行為だとボクは思うね。

 まあ、こんなのは適当に今、思ついた推論だ。君は気味だけの答えを決めるといい」

 

 そう言って会長は立ち去った。そして、だれもいなくなった廊下には静寂が訪れた。そして僕は会長の推察について考えた。

 もし会長の言う通りなら、これからも犠牲者は出続けるのだろうか、もしかしたら、いずれ僕の番が回ってくるのだろか。

 そう考えた時、誰かの視線を感じた。ふと振り向くと、そこにはあの屋敷で見た加藤の姿が――何てことなく誰もいない廊下が広がっていた。

 馬鹿らしい、いつ来るかもしれない呪いなど気にしても仕方ない。精々僕は誰かに恨まれないよう、呪われないよう気を付けて生きよう、そう決意したのだった。

 

 

 

 

 

 

「おっと、忘れていた」

「わあ!なんですか、会長。帰ったと思ったら!」

 

 僕は急に現れた会長に驚く。どうやらさっきの視線は気のせいではなく会長のものの様だった。

 

「失敬、失敬。言い忘れていたことというか見せ忘れていたものがあってね」

 

 会長が一枚の写真を見せてくる。僕はそれを見た瞬間息をのんだ。

 それは、木彫りの人形だった。とても上手とはいえず、かろうじて胴体と頭があるのだけがわかる代物だった。

 しかし、何より僕の目を引いたのはその顔だった。それは吉野君が最後に残したという紙に書かれた顔達にそっくりだった。

 

「これが、加藤君の遺体と一緒に見つかったらしい。恐らくあの社に入っていた御神体だろうね。あ、この写真をどこから手に入れたかは秘密だ。聞かないでくれたまえ」

 

 そんなの怖いので最初から聞く気はない。そんなことよりもこれは吉野君はやはり加藤に呪い殺されたということなのだろうか。

 いや、こんな簡単な顔誰も作れるかける。偶然の一致とも考えられる。だが、そうでなければ...。そこまで考えて考えを打ち切った。

 これ以上関わるべきでないと思ったからだ。オカルトは本や空想の中で十分だ。もうこれ以上関わってたまるものか。

 そして、僕は早く平穏な日常に戻れることを天に祈った。

 




次のテーマは一応超能力者の予定です。
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