地球に選ばれた家族~夏季休業で帰省中、冬の駒王町に転移させられガイアメモリが生えてきた~   作:しゃしゃしゃ

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 公式さんが、T2ガイアメモリ26本マキシマムで世界を永遠に破壊できるとか無茶な設定を出しおった………克己ちゃんが凄いんだよね。そういうことにしよう、うん。


 主人公は鈍感ではありません。娘たちが自分を肉食獣のような目で見ているのは察していながらスルーしています。





第4話「Tの異変/人を外れたもの達」

 

 

 ぱち、と目を覚ます。いつのまにか寝ていたらしい。寝ぼけ眼を擦りながら手探りでスマホを手に取り時刻を見る。

 

 7:20。

 

 寝坊といえば寝坊だが、そこまでじゃない。今から支度をすればホームルームには余裕で間に合う。

 

 

「………っ、あたまいてぇ…。あ~…昨日、どうしたんだっけ…? 」

 

 頭痛。

 昨日の夜のことが思い出せない。

 

 思い出せ。

 

 

 ………確か、昨日は―――そう、確か兵藤一誠の大立ち回りを家族みんなで観覧して鍋パーティーしたんだった。

 

 

 

 アーシアの「こんなこと主がお許しになるはずがありません! 」ってのが最高に爆笑だったね。

 

 

 うん、

 いや、それ貴方行っちゃうの? 「異教徒と怪物はぶっ殺せ! 」が教会の基本姿勢じゃない? って。

 

 なんていうか爆笑だよね。アーシアちゃん知らないわけじゃないはずなのにそんなこと言っちゃってさ。いや? もしかしたら本当に知らないのかもしれないけどさ。それでも聖書の勢力に侵略を受けた各地の神話生物が聞いたら激昂確実だよ。

 『地球の本棚』には、彼女の信じる神を奉じる天使や神父やシスターが行った筆舌しがたい凌辱がたくさん記録されている。

 主を信じないものは獣と一緒、悪魔と一緒じゃないの? て。

 それに比べればフリード神父の行為なんて、名目と手順をちゃんとしてる分まだましだよ。フリード神父にはヒューヒュー! だったね。

 ………救済したいなぁ。彼居ないと3巻があれだから6巻の最期で救出しようかな。

 

 

 

 

 

 そのあとは………記憶がないな。

 

 

 

 ………………………そろそろ現実逃避はやめようか。

 感覚を強化するまでもなく感じるこの匂い。汗と唾液と、…いろんな体液の混ざった独特の匂い。

 

 くんくん…全員か。そうか全員か。全員に襲われるのは久しぶりだな。

 

 

 

 なにはともあれ起き抜けで気持ち悪いのでシャワーを浴びることに。

 朝シャンでカピカピになったところとかを流して綺麗にする。

 鏡を見たら虫刺されのようなキスマークが首筋についていたので今日は首筋隠しておかないとな、としんどい気持ちになる。

 体洗ってさっぱり。

 匂いが落ち切らないので初風謹製 超強力消臭剤を全身にスプレーする。

 

 

 

 薬を盛ったのはナイちゃんかな。ナイちゃんにウーロン茶をもらって飲んだ後の記憶がないし。睡眠薬かなにか、改造人間(ぼく)の解毒機構で分解できない薬か………この頭痛は薬の副作用か。

 

 あえて副作用がある薬使ったのは「昨日なにかあった? 」とか「頭が痛い…」とかそういう反応を期待してか。

 期待されても僕は何も反応できないのになぁ…。

 

 

 

 朝食を用意するとき()()()ツヤツヤしていた6人の愛娘と挨拶をしたけれど、なんでもない風を装った。

 

 強化した僕の鼻は彼女たち(胎の中)から香る嗅ぎなれた匂いをキャッチして伝えてきたが、それも努めて無視した。

 

 

 

 

 

 

 無視。

 無視無視。

 

 うん。

 何もなかった。

 昨日も、その前も、なにもなかった。

 下半身がヌルヌルするとか、春なのに汗だくとか、起きたら全裸になっているとか、口の中変な味とか、筋肉が熱を持っているとか、そんなのは全部気のせいだ。

 

 僕ら親子の間に「父と娘」以外の関係はない。

 

 頭を撫でたり抱きしめたりキスしたり一緒にお風呂に入ったりしても、それ以上があってはならない。

 

 親子以上の関係になったら僕らは今の関係性でいられない。仲良し家族ではいられなくなってしまう。

 

 

 この街のためにも僕のためにも修羅場は起こすわけにはいかない。

 

 

 今日の朝食はご飯と鯖味噌と味噌汁と冷奴とほうれん草のお浸し。

 

「いただきます」 

 

 

 

 


 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 

 おいしかった。

 食べたら時間がやばくなったので急いで登校準備。

 

 

 

 

 準備完了。

 

 

 

 ネオガイアドライバー。

 

「ロード」

 

「ゾーン」

 

【変身】

 

 メモリがドライバーに挿入され、変身が完了する。

 

 ロード=ゾーン・ドーパント。

 

 ロード・ドーパントの異空間生成能力で“裏駒王”から表の駒王町への道を生み出し、ゾーン・ドーパントの座標転移能力で出口を駒王学園に繋げる。 

 

 

 

 

 

「行ってきます」

 

 

「「「「「「行ってらっしゃい! 」」」」」」

 

 

 

 

 

 


 

 放課後。

 

 僕が教室でゆっくりしていると、周りからキャーキャーなんて女子の黄色い悲鳴が聞こえてくる。

 

「君が塚土筬君かな?」

 

 声をかけてきたのは木場君だった。

 昨日の今日だというのに早速呼び出されるらしい。

 

「もしかしてオカルト研究部、グレモリー先輩からの呼び出し? 」

 

「うん。僕についてきてもらえるかな」

 

「わかった、荷物まとめるからちょっと待ってて」

 

 

 

 

 

 

「ここが…噂のオカルト研究部」

 

 金髪のイケメンに連れられて旧校舎に到着。

 念の為各種感覚器官の感度を上げておく。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう―――失礼します」

 

 扉を開けてくれた木場くんにお礼を言って入室する。

 

 

 部屋の中には3人の美少女が。イイね。

 目の保養、&、ナイススメル。いい匂いだ…。

 

「はじめまして、かしら。私はグレモリー家次期当主 リアス・グレモリー。貴方が昨日召喚したイッセーのご主人様ということになるかしら」

 

「駒王学園2年 塚土筬です。今回はお招きいただきありがとうございます」  

 

 

 促されたのでソファーに座り、対面の紅髪の上級悪魔さまに顔を向ける。

 リアス・グレモリーと会うのは二度目、言葉を交わすのはこれが初めてとなる。

 約4ヶ月前、彼女の寝込みを襲って血を採ったとき以来。………やっぱりおっぱい揉んどけばよかったな。ナイトメアで悪夢に閉じ込めてたから起きるわけなかったし、揉んでおけば…。

 強化された僕の目は彼女の大きな大きなおっぱいが、呼吸の度プルンプルンする揺れを捉え、むくむくと劣情を煽ってくる。

 

 

 

「どうかした? 」

 

「いえ、ちょっと緊張してしまって」

 

 危ない危ない。男のチラ見は女にとってガン見と同じというし、しゃーない。今は反射で我慢しよう。

 

「―――そういえば、兵藤のやつ今日休んでるんですけどどうしたんですか? ひょっとして僕の願いが…」

 

「それは違うわ。昨日、貴方の元を訪ねた後にちょっとね…」

 

 リアスさん悲痛な表情で顔を若干伏せる。

 周りの3人も同様に悲しげな顔だ。事情は知っているものの、「なんだろう…」みたいな不思議そうな表情を浮かべておく。その上でかぶりを振って真剣な表情を作る。

 

 

 

「…大丈夫なんですか? 」

 

「ええ、大丈夫。今日は大事をとって休ませただけだから問題ないわ」

 

「そうですか、よかった。

 それで今日僕を呼んだのは一体どういう要件なんでしょうか」 

 

 

「ええ。昨日イッセーから貴方の願い事のことも聞いたわ。そのためにも貴方や貴方の力を見せてもらおうと思って」

 

「………そういえば、昨日兵藤は僕の力が“セイクリッド・ギア”? とかいうものじゃないかって言ってたんですけど」

 

「イッセーがそんなことを? …確かにその可能性もあるわね。オサム? ちょっとじっとしていてもらえるかしら」

 

 そういうとリアスさんは前のめりになって、探るように僕を見つめた。

 おそらく僕が神器(セイクリッド・ギア)を持っているか見極めているのだろう。

 

 

 

「………どうやら違うみたいね。オサム、貴方のその力は神器とは別物よ」

 

「そうですか」

 

 知ってる。

 メモリを生み出す能力が神器にカテゴライズされないかは、人造悪魔兵士を生み出してから散々試して確認した。

 改造人間手術も、超常は一切使わず科学・物理100%で行った。

 

 人外の目では僕は「ただのどこにでもいる人間」としか感じられない。そう注意してここにいる。

 

 

 

「それでその、セイクリッド・ギアってなんなんですか? 」

 

 だから、僕は全く何も知らないという顔で質問をする。

 

 

「“神器”というのは―――」

 

 原作で読んだような説明台詞を吐き始めたので、相槌を打ちつつ目の焦点を「アイズ」の義眼に合わせる。

 

 

 

 思ったより木場くんが呼びに来るのが早かったから変身を解除することができなかったからね。

 今の僕は「ジーン」の力で変形させているものの、アイズ=ジーン・ドーパントのままなのよね。

 

“アイズ=ジーン・ドーパント”

 

 なぜ変身しているんだといえば、そりゃ兵藤一誠×アーシア・アルジェントのデートを出刃亀しているからですがなにか?

 いやー、他人のデートをこっそり覗き見するのは楽しい楽しい。

 なんだかんだメインヒロインなだけあってアーシアちゃんも可愛いし、金髪シスターがハンバーガーを頬張って笑みを浮かべるのとか心が幸せでいっぱいになるよね。 

 

 ちなみに今は夕暮れの中でベンチに座ってなんか話しているところ。耳は飛ばしてないから何を話しているかは二人の唇を読むしかないけど、そんな技術ないからね。

 多分アーシアの教会追放の話とかだろうと思う。

 

 そうなるとあとちょっとで痴女堕天使ことレイナーレさんが出てくるわけか。

 

 帰ったら皆を集めて、『初めての原作介入』作戦の最終ブリーフィングしないと。

 

 

 

「そもそも私たち悪魔は―――」

 

 聞いてないのに悪魔をはじめとする三勢力についても説明しだした。話したがりか この先輩。

 

 知っているから話半分で聞きながら相槌だけしっかり打っておく。

 

 

「―かくかくしかじか―」

 

「―まるまるうまうま―」

 

 

「少し話過ぎたかしら。後になったけど、オサムの変身というのを見せてもらおうと思うのだけどいいかしら」

 

 ようやくでござる。

 お茶も二杯目がカラになった。

 すかさず姫島先輩がお茶を注いでくれる。ありがとっす。

 

 ぐびり…、うまいっす。

 

 

「………わかりました。それならその、シャワー室をお借りしてもよろしいですか? 」

 

「あら、どうして? 」

 

 聞いてないのか。

 

「兵藤から聞いていると思うのですが僕の変身は異形の姿に変身するものです。だからその、制服を着たままだと服がビリっと………」

 

 察した様子の4人。

 

「そういうことなら使ってくれて構わないわ。朱乃」

 

「はい部長」

 

 姫島先輩がバスタオルをとってきて僕に手渡してくれた。

 使っていいということだろう。

 

「ありがとうございます」

 

 お礼を言ってシャワー室に。

 

 

 ………。

 監視カメラの類はなし。

 肉体内蔵式魔力センサーも反応なし。

 

 ジーンの肉体変化を解いて、変身解除。

 メモリとドライバーを体に戻して、脱衣。

 

 

「………」

 

 こうして見てもなかなかどうして良い体つきだ。うん。

 グッジョブ、僕。

 

 元の塚土筬は結構だらしない体してたものだけど、成り代わるにあたって、顔と体に手を加えるかは結構悩んだけど加えてよかった。

 

 いいカラダやで………。男からしても惚れ惚れするカラダやで…。

 ナルシーということなかれ。

 むしろダ・ヴィンチちゃん的な、自分の作品としての自画自賛だから。ナルシーとは若干違うから。うん。

 

 

 

 

 さてさて、自慢の暴れん棒がまろびでないようにバスタオルで下半身をガードして と。

 

「お待たせしました」

 

 

 

 ふっ、声も出ないか。みんな僕の体に見とれてしまっているようだぜ………。

 ………冗談はさておき。

 

「では初めます。

 ……変…身…! 」

 

 

 4人の悪魔が見つめる前で変身ポーズをとり、肉体の変身機構を作動させる。

 

 めきめきめきっ! と体が中から外から作り変えられ人から怪物へ、人間:塚土筬から改造人間:コブラ男へと変わっていく。

 

 

 

「………」

 

 うむ。

 言葉もない。さすがに驚いているようだ。小猫ちゃんもさっきまではジト目気味だったのに、今は目を大きく開けてじっとこちらを見ている。

 

 

 

「こんなかんじですが、どうでしょうか」

 

「………そうね。鱗とか、見た目は爬虫類みたいね」

 

「爬虫類というか、蛇っぽいんですよね。自分で調べたところ」

 

「蛇? 」

 

「ええ。そんで自分は初め蛇の呪いとかでこうなったのかとも思ったんですけど、僕自身も家族も思い当たる節はなくて」

 

「呪いですか…」

 

「朱乃、どう思う? 」

 

「そうですわね…、呪いで体が変化したというのは違うかと。人の形を変えるほどの呪詛であれば強い思念が残るものですが、そういう痕跡は感じられませんし、多分違う理由が変化の要因かと思われますわ」

 

 おっぱいでけぇなぁ…。

 今の僕の動体視力なら、姫島先輩のちょっとした胸の動きもコマ送りのごとく捕捉可能だ。

 匂いもね。

 美しい香り………。む? 木場くんも意外といい匂いしてるな。やるじゃん。

 

 

 

「そう…。オサム、申し訳ないけれど貴方の願いはすぐには答えは出そうになさそうだわ。私もあなたの変身に魔力などを感じることはできなかった。おそらくはあなたの血筋に人以外の何かがいて、それがあなたに遺伝したのだと思うのだけれど、それも仮定でしかないわ」

 

 

 うん違うね。

 でもまぁ、物理的に肉体改造で化け物になったとか思わないよね。

 

 科学文明で育った人間が、“未知”の説明に科学を用いるように、超常に囲まれてそれと共に育ったものはまず超常に理由を見出すよね。

 

 分かりやすく言うと『ゴルゴムの仕業』なわけだけど。

 ゲゲゲの鬼太郎で不思議な事件が起こったら「もしかして妖怪の仕業? 」っていうのと同じだよね。うん。

 

 

 

「そういえば五感が強化されていると聞いたけど、大丈夫なの? 」

 

 兵藤一誠の説明でどこまで伝わったのかは知らんけど心配そうにするリアスさん。

 お優しいことで。

 

「平気ですよ。そっちのコントロールは完璧ですし。じゃなきゃ生活できてませんよ」

 

「…どのくらい強化されているの? 」

 

 

 きた。

 

「そうですね…数値的なものは分かりませんが、異常ですね。

 例えば…、この旧校舎僕ら以外に誰かいますよね」

 

「! 」

 

「奥の部屋…いるのは………この匂いは男? …男にしては体重が軽い。…ずいぶん小柄ですね、年は僕らと同じくらい、高校生? 」

 

 

「結界が張ってあるのになんで…」

 

「結界? よくわからないですけど、同じ建物である以上空気は流れていますし、振動は感知できますからこれぐらいは」

 

 

「あらあら、塚土くんはすごいですわね」

 

「ここからそこまでわかるなんて信じられません」

 

 

「オサム、確かにこの旧校舎には私の眷属がもう一人いるわ。あなたが言い当てた通りの子がね。…小猫の言った通り信じられないくらいの感度ね」

 

 

「ええまぁ、だからこそ制御するまでは普通に生活することもままならなかったわけで…」

 

 

 

 

 

 

 

 ―――その後、

 リアスさん、僕の感知能力に悪魔的思考からレア度を見出されたようで眷属化を薦めてきたが、案の定駒が足りなかったので悪魔化ならず。(まぁ、なる気もなかったけど)(頭の中に『地球の本棚』もってるんだぜ? 転生させる気なら変異の駒持って来いっての)

 

 

 悪魔化は失敗だったものの、なんやかんやあってオカルト研究部に入部することになった。

 狙い通り。

 

 

 赤い蝙蝠が飛んできてパタパタしたら「今日は帰って」と言われたが、まぁそういうことなんだろう。

 

 僕の方も通信で「レイナーレに兵藤一誠ボコられ血だらけ」という感じの報告が届いたから察して帰った。

 

 

 味方sideとして、塚土筬としての目的は達成したことだし、今からは敵side、郷秋敏としてのパーティー開始だ。

 

 

 

 

 





 謝罪。
 最後のダイジェストは力尽きたためです。
 まぁ描写しても面白くなりそうになかったしね。

 いよいよ次回は原作1巻の佳境、廃教会バトル。
 秘密組織『GAIA』とグレモリー眷属初邂逅となる、かも。

 お楽しみに。
 

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