地球に選ばれた家族~夏季休業で帰省中、冬の駒王町に転移させられガイアメモリが生えてきた~ 作:しゃしゃしゃ
最近は「仮面ライダーエボル/夜は眠れるかい」のMAD見ながらテンション上げてます。
協会裏手、堕天使3匹と悪魔2匹がじゃれ合う其処より少し離れて、『GAIA』幹部六姉妹の一人である恐姫と彼女に従う改造兵士たちは観察を行っていた。
「結界の展開を確認。お父様に報告を」
「あ、ウグぁ うがぁ」
改造兵士がたどたどしくも確かな手つきで小型通信機を操り待機中の『GAIA』首領 郷秋敏に指示を仰ぐメッセージを送った。
「………それにしても、あんな弱くて愚かな気品だけの女が私達の母親だなんて信じられませんわ」
さながら地を這う虫を見る目で視界に移る
「―――いえ、いいえ。そうでした、私達に母親などおりません。私達にいるのはお父様だけ。お父様…お父様…」
あぁ…っ、とくねくねしだした恐怖の女帝に周りの兵士たちは誰も反応しない。
彼らは改造人間。脳を改造され、自我も何もかもを剥奪され、此度の新型コネクター手術により寿命すら奪われた戦闘機人。
命令に従うだけの木偶人形。
「うぅ…がうう」
「はっ! …こほん。ご苦労さまですわ。えー…ふむふむ。了解、それではこれより作戦行動に移ります。兵士No.01からNo.20まで、メモリ交換―――」
哀れ堕天使、哀れ悪魔。
すべてすべて手のひらの上。
騙され囚われ夢の中。
「嘘よ! こんなの嘘だわ! わ、私は究極の治癒の力を手に入れた堕天使よ! シェムハザさまとアザゼルさまに愛される資格を得たのよ! あ、あなたのような下賤な輩に、私は! 」
レイナーレが両手に光の鎗を作り出し、それを勢いよく投げ出してきた。
――ブゥン。
俺はそれを横殴りに拳で薙ぎ払った。さっきまでは触れることさえ辛かった光の鎗が嘘みたいに消し飛んだ。
それを見たレイナーレの表情がさらに青ざめる。
「い、いや! 」
バッ! 黒い翼を羽ばたかせ、レイナーレは今にも飛び立とうとしている。
逃げる気か。
おいおい。
さっきまで元気に俺を嘲笑っていたじゃないか。
少しでも勝てないとわかると撤退か? いいご身分だな。
だけど! 逃がさない!
(逃がすわけねぇだろ! )
俺はレイナーレに向かって駆け出し、その手を引く。信じられない速度が出た。レイナーレが反応できないスピードだ。
掴んだ腕は何とも頼りなく、弱々しく感じるほど細かった。
「逃がすか、バカ! 」
引き寄せる。
「私はッ、私は至高の! 」
「吹っ飛べクソ天使ッ! 」
右腕の籠手に全ての力を乗せて憎き敵の顔面へ鋭く、まっすぐ打ち込んだ。
ゴッ! ッガッシャアァァァン!!
俺の一撃で吹っ飛んだレイナーレが教会のガラスを突き破って吹っ飛んで行った。
「―――ざまーみろ」
思わず笑みがこぼれる。会心の一撃で、もうおきあがってくる気配はない。
けど、すぐに涙がこぼれた。
「…アーシア」
「部長。持ってきました」
木場に支えられながら、部長と朱乃さんに褒められていると、小猫ちゃんがずるずると何かを引きずって教会の中に入ってきた。
引きずってきたそれは黒い羽を生やした――堕天使レイナーレ。
気絶していたが、朱乃さんが魔力で生み出した水の塊をぶつけ叩き起こした。
「はじめまして、堕天使レイナーレ。私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ」
「…紅の髪、グレモリー一族の娘か」
「短い間でしょうけど、どうぞお見知りおきを」
部長を見上げ睨めつけていたレイナーレだが途端に嘲笑い叫んだ。
「アハハ! 残念。私にはまだ協力してくれている堕天使が―――」
「彼らは助けに来ないわよ」
レイナーレの言葉を遮り、部長はハッキリ言った。
「堕天使カラワーナ、堕天使ドーナシーク、堕天使ミッテルト、彼らは私が消し飛ばしたもの」
「嘘よ! 」
レイナーレは上半身をなんとか起こし、部長の言葉を否定する。
それを聞いて部長は懐から三枚の
「これは彼らの羽。同族のあなたなら見ただけで分かるわね? 」
羽を見て、レイナーレの顔が一瞬固まり、狂ったような笑い声をあげた。
「―アハハハハハハハハハ!! 何それ! 何を言っているの! それが! その作り物の羽が! 堕天使の羽ですって…?
―――アハハハ! 滑稽すぎて笑いが止まらないわ! 何よ、私を笑い殺す気?! それがグレモリー家の次期当主の秘術とでも言うつもり?! あぁ! だめだわ! 笑いすぎて負けちゃうぅ…! 苦しいわ! 苦しいわ! このままじゃ私、腹がよじれて死んじゃう…ッッッ!
…………っぷ。
…………ぷふっ。アハハハハハハハハハ? 」
なんだ? いったいなんなんだ? なんでレイナーレはこんなに笑っているんだ?
部長が出した羽は堕天使の羽じゃないのか?
「…何を言って…………ッ! 」
「―――あらあら? これは…? あら? 」
「部長? 朱乃さん?! 」
どうなってるんだよ! そうだ!
「木場! 小猫ちゃん! 何がどうなってるんだ!? 」
何が何なのかさっぱりわからない俺は悪魔の先輩である二人に問いかける。
「わからない…。ともかく、あの羽は堕天使のものじゃない。作りものだ」
そうなのか? ………いあy、でもだったらなんで―――。
「部長達がそれに気づかないわけがないんです。つまり、二人を騙した敵がいて、その3人の堕天使は消えていない…」
! それはっ、
「まだ何も終わってない、ってことだね」
「そうよ! 終わらない! 終わらないわ! 私はこんなところでやられない…私は、私は私は私はッ! 」
まずいっ! レイナーレの手に槍が、部長はまだ立ち直ってない! くっ!
「部長ッ! 」
「イッセー? 」
駄目、間に合わな―――ッ!
「いや、お前はここで終わりだよ」
「堕天使レイナーレ」
間に合わな………あれ………?
「イッセー…? 」
俺の目の前には不思議そうな顔をした部長がいる。
自分の体を見る。新しい傷はない。
周りを見る。木場と小猫ちゃんと朱乃さんが困惑した表情で立っている。
俺たちだけ。
レイナーレはどこにもいない。
―――パチ、パチ、パチ。
「! 」
どこからか拍手が聞こえ、俺たちはまたせわしなく周囲を見渡す。
いない…。
「上です…! 」
小猫ちゃんの声で視線を上向けると、壊れた十字架の上に一人の男が立っていた。
「ハロー♪ 」
「だ、誰だお前! 」
なんなんだよ一体!
「僕はソラ! ―――じゃなくて。改め改め、そういうわけで初めましてこんばっぱー! 僕は郷秋敏だよ―――今後よろしくお見知りおきをってところかな? 」
うけけけ! うけけうけけ!
なめらかな字自己紹介と特徴的すぎる笑い声。
俺たちはおかしな笑い方のこのパーカー黒マント男にどう対処していいかわからず固まるばかりだった。
「…そう、郷秋敏さん? 一体私たちに何のようなのかしら? 」
一番最初に立ち直ったのは部長だった。さっきの困惑した様子は立ち消え、そこには凛とした俺たちの主である部長の姿があった
「いやいや、用というほどのことはないさ。面白そうだったから首を突っ込んだだけ。あとはちょっとした収集にね―――ほら」
男が何気なく上を指差す。
「「「「「―――っ!? 」」」」」
俺たちはまたしても固まった。
男が指差した上―天井―には、レイナーレを含めた4人の堕天使が吊るされていた。
「あひゃひゃひゃひゃひゃ! そう! それそれ! やっぱり驚いた表情って面白ーい! 」
男の人を馬鹿にしたような笑い声が教会に響く。
「そんな、一体、どうやって………」
思わずといった様子で部長が小さく呟く。
「どうやって? 」
「――きゃあ!」
「部長! 」
「どうやって!? 」
―――「スパイダー! 」
「―むぐっ! 」
「小猫ちゃん?! 」
「こうやってさ! 」
「わっ! 」
「木場? ああ、くそっ! 」
それは一瞬の出来事だった。
十字架の上にいた男がリアス部長の背後に突然現れ、かと思えば小猫ちゃんの後ろに回り、銃のような武器から発射した糸でぐるぐる巻きにして、飛び掛かろうとしたら男のいたところには木場がいて、振り向けば男はもとの位置に戻っていた。
「瞬間移動…」
「エサクタ! 正解だっ! レイナーレも手元に引き寄せてこの――『我ァ学の結晶! ェエークセレント292946
な、なんなんだよ…なんなんだよこいつ…ッッッ!
圧倒されていた。
俺も木場も部長も誰もかれも、この男の迫力と勢いに圧されていた。次から次に入力される謎現象に思考はとっくにオーバーフロウ。
「おぉっと、そうだった。リアス・グレモリーだったかな? 君には悪いことをした」
「え? 」
沈痛な表情を浮かべたと思ったら、一転嘲りの表情で部長を指さして今日一番の笑い声を放った。
「まさか…ぷすす。あんなドヤ顔でっ、っ! ドヤ顔で赤い羽を見せるなんてっ、くはっ! 思ってなかったからさ! …ふひっ。ちょっとしたイタズラのつもりだったんだよっ? かはっ、くひっ、ちょっとした…ちょっとした…あーはっはっはっはっは! ひゃははははっ! 駄目だ! 笑い止まらねぇ!
あんな! あんなドヤ顔で!
――『これは彼らの羽。同族のあなたなら見ただけで分かるわね? 』
とか言っちゃって! ぷすすー! 超マヌケなんですけどー! こんなのが次期当主なんですかー?
――『堕天使カラワーナ、堕天使ドーナシーク、堕天使ミッテルト、彼らは私が消し飛ばしたもの』キリッ!
………ぷっ、ひゃははははははははっ! マジウケるー! キリッ! だって。キリッ! だって! 超絶キメ顔クールでちたねー? ………もう、まじ、あかんわ…っ! ヤメテー、ハラガヨジレルー。………、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ☆ 」
「ぶ、部長…」
恐る恐る部長の顔色をうかがう。
「…………」
ゴゴゴゴゴゴゴ…!
「ひぇっ…」
怒ってるー! 部長お怒りだ! なんか赤くてやばいオーラも出てる!
でも怒って顔を真っ赤にした部長も素敵です!
「私の可愛い下僕たち…」
ちらりと見れば朱乃さんはこんな部長を前にしても、あらあらうふふと余裕そうだ! すげぇ!
俺は超怖いのにッ!
「あの無礼者を消し飛ばしてあげましょう! 」
「「「はいっ! 」」」
部長の号令で構えをとって敵を睨む。
俺たちの敵意を受けた男はまたまたオーバーなアクションで反応した。
「ひぇぇ、怖いよー。怖いよー。化け物どもが睨んでくるよー。僕みたいなか弱く儚い人間にこんな敵意を向けるなんて、なんて危険な奴らなんだ! ああ、恐ろしい恐ろしい。
助けてー、みんなー! 」
―――ザッッ!!
何を言ってやがる、と思った。
弱くて儚いとかふざけるな、と思った。
部長を馬鹿にされた怒り、俺たちをおちょくる言葉に対する怒り、怒りが神器に力を与えてくれた。
みなぎる力、あふれる闘志。
そしてそれはすぐに消滅した。
―――ザッッ!!
―――ザッッ!!
―――ザッッ!!
瞬きをした間に、教会の椅子に誰かが座っていた。
5人や10人じゃない。
数十人の人の群れ。
さっきまでいなかった奴らが俺たちを完全に包囲していた。
「―――怖いから、仲間を呼ばせてもらった。ちなみに、そいつらは一人一人が素のままでも中級悪魔と戦える程度の戦闘能力を持っている。【変身】をすれば…まぁ、これ以上は言わなくても分かるかな? そして―――」
今までとは打って変わって真剣な表情と声色で戦力差を語る男。
俺にはわからないけど、部長や木場たちには現れた不気味な集団の力が分かるようで、緊張した面持ちで固まっている。
「ヘイッ! カモーン、マイ! ディアー! ドーターズ?! 」
「わぁ」
「ひゃ」
「にょろろーん♪ 」
また3人現れた。いや、声からして女の子!
女の子ですかッ?!
くっ! マントが邪魔だ! 顔も体もはっきりしない!
「はっはっは、えーっと? 確か兵士くんだったかな? そんなに目を見開いても見えやしないよ。この子たちのマントには認識阻害の魔術をかけている。いくら頑張ってもの子たちを捉えることはできないよ」
「くっ! このっ! うううっ! 」
俺は諦めず目を細めたり、態勢を変えたりしてなんとか正確にとらえようと試みる!
が、駄目!
「イッセー! ちょっと、止めなさい! 今そんなことに体力を使う場合じゃないでしょ! 」
そんなこと?!
そんなことですと?!
「部長! 『そんなこと』じゃないですよ! 俺の鍛え上げた直感が目の前の女の子たちは美少女であると訴えているんです! 確かめなきゃ死んでも死にきれません! 」
我ながら馬鹿なことを言っているとは思っている!
でも、俺は俺のスケベ心を抑えるような真似はしたくないんです!
「あらあら、兵藤くんったら」
「あはは…」
「兵藤先輩、やっぱりサイテーです」
うおおおおおお…!
くっ! たとえ軽蔑されても、俺は諦めない!
「はっはっは。―――分かったか。あれが“
「うえぇ…気持ち悪いぃ…お父さーん」
「最低ですわ」
「なるほどー」
「さて、兵藤一誠くん…でいいのかな? 君に一つ良いことを教えてあげよう」
いいこと?
「―――ヒトの娘をいやらしい目で見てんじゃねぇよ」
口調荒く、男が左手を上げる。
―――!
「ぐっ………ッッッ! がはっ! 」
「うぅぅぅ……」
「このオーラは…っ、上級悪魔以上…ッ……!? 」
空気が重い、息が苦しい、心臓が飛び出そうだ…。
とても立っていられない………!
“圧”が、違う! あの男じゃない…!
「くっ……、あなたたちは一体…」
「当ててみればー? 当たってたらー、正解って言ってあげる♪ 」
ねっとりと甘い声。
でも彼女が言葉を発する度にオーラが力を増して、意識が飛びそうになる。
「っ、はっ、はっ…七十二柱の断絶された上級悪魔も末裔…」
「はい、不正解♪ 」
「うっ…」
「部、長…」
俺は、俺は……俺は…
―――パン!
手を打つ音。
それと同時に圧が消えた。
「ここまで。手に入れるものは手に入れられたし、おちょくるのも楽しめたし、僕らは帰るよ」
「貴方たち………」
部長、もう怒る気力もないという感じにお疲れだ。
俺も、ちょっと疲れて何もする気になれない…。
「おっと、一つ…いや二つ忘れものだ。
まず一つ目は挨拶。『俺たちはGAIA、星の記憶を受け継ぐもの』よろしくな。
そして二つ目、ほらよ」
ひゅん、と俺の手元に何かが飛んできた。
それは緑色の指輪で―――ってこれ!
「返しておくよ。うちには必要ないものだからな。金髪シスターの形見にするなり自分らで使うなり好きにするといい」
アーシアの………。
「それじゃーなー」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 ロード 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「はははっ…」
もう笑うしかない。
俺たちを取り囲んでいた男たちが重なり鳴り響く音とともに怪物へと変わり、空間に孔を開けた。そしてそこを通って男たちが消えていく。
「カラダニキオツケテネ! 」
「お大事にぃ 」
「………」
「オタッシャデー♪ 」
奴らが消えてからしばらく、安心することはできなかった。
しばらくして部長がアーシアを悪魔として蘇らせてくれるということになり、アーシアが生き返った。
とても嬉しいはずなのに、それを喜ぶ気力が圧倒的に不足していた。
奴らは何者だったのか、何が目的だったのか。
部長は自分に任せなさいと言ってくれたけど、そういう訳にはいかないだろう。
いくつかの謎としこりを残したまま、俺の悪魔としての初めての実戦は幕を閉じた。
思うこと。→オリキャラ作りすぎた…。話に絡ませるのがむずい。ヒロインが0話以降全然出てこない…。これでは名ばかりヒロインに………。
次回、捕まえた堕天使さん達の使い道(素材)含めた原作第2巻番外0話。
お楽しみに。
第二巻のvsライザー・フェニックスのゲーム
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参加する?
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観戦する?
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全く関わらない。