ダンジョンで混じり子が戦うのは間違っているだろうか?   作:にわかDRPGプレイヤー

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7/20/21:12
魔法の位階が間違っていたので修正するついでにほかの部分も加筆修正。
だいたい400字くらいの追加なんで読み返さなくてもいいかもです
暑すぎて2時間未満の睡眠しか取れなかったので朝早くの投稿です
執筆してる途中に前書きにはアレかいて後書きにはアレを書こうとか思ってるんですが、だいたい忘れてしまっています。

ちなみに、前話の書き忘れは自分に刀に関する知識はないので全てでっち上げの適当理論であるということです。

今回忘れなかった前書きに書こうとしていたことは、ちょっと無双しすぎた感じがあるなってことですね


第9話

「ウィズ居ないなー」

 

 呟きながら、レベル5冒険者であるティオナは十三層を散策していた。

 朝起きればウィズの部屋。昨晩ウィズと同衾したことを思い出し、戦闘スタイルに見合わず乙女な彼女は赤面したりと百面相であったが、気を取り直してせっかくの休養日なのだからとウィズと親睦を深めるためにホームを探し回った。

 

 が、ウィズよりも起きるのが遅かったこともありウィズは既にホームを出ていたことを知る。

 オラリオは広い。宛もなく探し回るのならば広いとはいえ探索範囲が限られるダンジョンを探す方が可能性はある。

 ましては捜索対象は戦姫とも呼ばれるアイズの世界記録を一週間という短い時間だが更新した実績を持つ生粋の戦闘狂であるウィズだ。

 昨晩のウィズとの会話の内容――中層のモンスターの実地的な情報――を考えれば活動場所はさらに限定される。

 十三層程度ならばティオナは散歩感覚で探索できることもあり、とても気軽な感じでここへやって来ていた。

 

「もしかしてもう一個下に降りたのかな?」

 

 今日の十三層はやけにモンスターが少ない。

 いつもなら火を吹いてきて面倒臭い犬はおらず、アルミラージもほとんど見かけない。

 もしかしてウィズが全部倒しちゃった?

 などと思い始めた頃、ティオナの傍に下層へと続く縦穴から熱気が舞い上がった。

 

「暑っ! ちょっとヘルハウンドにしては熱量がありすぎるかな?」

 

 強化種だったら危ないよね、とティオナは中層を適正な狩場とする冒険者たちの為に一肌脱ぐことにした。

 

 縦穴から下層へと飛び降りると、通路を何本か挟んだ向こう側の大部屋で熱量を伴った赤い光が渦をまいていた。

 本格的に強化種案件かも、と気を引き締めたティオナはそちらへ足を運んだ。

 

◆◇◆

 

 そこで行われていたのはダンジョンの常識から外れたものだった。

 通常、ダンジョンの中ではモンスター同士が争うことは無い。

 例外として魔石の味を覚えた強化種が魔石を狙ってモンスターを攻撃するということはあるが、その程度である。

 しかし、十四層の中央にある大部屋ではヘルハウンドとアルミラージの戦争が行われていた。

 その数は合計で五十はくだらないだろう。

 怪物の宴(モンスターパーティ)すら可愛く思えるほどの数だ。

 その戦争の中、ティオナはウィズの姿を見た気がした。

 

 さすがに気の所為だよね? と自らの目を疑うが、目を擦ってもその姿は消えることがない。

 この数はレベル5の冒険者であるティオナをしてさすがに恐怖が先行する数である。

 いくらステイタスによって肉体が強化されていようと、その質量は変わらない。

 腕の数も、足の数も変わらないのだから、これほどの数に押し寄せられれば圧死は免れない。

 さながら数十匹のミツバチにのしかかられ、殺されるスズメバチのような状態になってしまう。

 しかし、ティオナの前で戦いを繰り広げるウィズは自身に飛びかかり、組み伏せようとしてくるヘルハウンドやアルミラージを空中でたたき落とし、足場にし、モンスターとその死体がひしめき合い足場も覚束無いそこで舞うように戦っていた。

 

 と、跳躍したウィズに向けて明らかに体のサイズがでかいヘルハウンドが炎を吐き出した。

 空中で炎に呑まれるウィズ。

 はて、彼は火精霊の護布(サラマンダー・ウール)を着用していただろうか。

 直前までの記憶が確かならば、ウィズの衣装は昨晩酒場で見たそれと同じだったはずだ。

 ウィズの部屋にあった胸当てすら装備しておらず、完全な無防備状態。

 

「ウィズ!」

 

 叫んで、ティオナは大剣を投擲する。

 本格的な狩りをするつもりもなかったために今日の得物は重くて頑丈なだけが取り柄の標準的なものだ。

 しかし、その大剣は達人がナイフを投げるが如く進行方向に刃先を固定したまま飛んでゆく。

 

 ヘルハウンド強化種を守るように自身の身を捧げた複数体のヘルハウンドによってヘルハウンド強化種へと大剣は届かなかったが、確実にヘルハウンド強化種の意識を誘導することに成功し、ヘルハウンド強化種は火炎放射を終了してティオナを睨みつけた。

 

 対して、アルミラージたちは複数体のヘルハウンドが倒れた今を好機と見たのかアルミラージ強化種を中心としてヘルハウンドの数を減らしている。

 三つ巴の戦争は混沌を極めていた。

 

 ティオナは出来るだけ早くウィズを回収するために部屋に踏みいろうとしていたが、モンスターの数が多くウィズの落下地点までルートを見いだせずにいた。

 突撃することは可能だが得物を投擲しリーチが短くなった今、複数体に囲まれれば勢いが削がれ、そのままタコ殴りだ。

 生きていれば回復が可能であるエリクサーであっても死んでしまえばそれまでだ。

 故に炎に呑まれたウィズは素早く回収しなければならない。

 

 そして、部屋の入口でまごついていることを嫌ったティオナは、突貫を選択した。

 ベート程洗練されてはいないが、無手の戦闘も可能であるティオナは鎧袖一触にヘルハウンドや時折交じるアルミラージを倒してゆく。

 しかし、素手の攻撃では魔石を破壊するには至らず、モンスターたちは絶命させてもなお死体としてティオナの行く手は遮る仕事を全うする。

 進退窮まる状況につい熱くなり、さらに一歩踏み込んだティオナを待ち受けていたのは巨大な肉体を活かしたヘルハウンド強化種の体当たりだった。

 死体が散乱する床は硬いのか柔らかいのかすらわからず、起伏に規則性すらない。

 レベル2冒険者が無防備にヘルハウンドの、それも強化種の炎を受けた場合のタイムリミットなどティオナは知らないが、それがとても短いものであるという現実的な思考。

 足場の悪さに加え、視野が狭まっていたティオナにとってヘルハウンド強化種の体当たりは不意打ちだった。

 通常のヘルハウンド(子牛サイズ)に倍するヘルハウンド強化種の体重で行われた体当たりを防御姿勢を取ることすらできずにティオナはくらってしまう。

 レベル5冒険者とはいえ十代の少女であり、ヘルハウンド強化種と比べればないも同然のティオナは吹き飛ばされ、壁に激突する。

 頑丈な体故にダメージこそないが、内臓や脳が揺れることは防げず、それによって受身を取ることができなかったティオナは力なく床に崩れ落ちる。

 そこを複数体のヘルハウンドに囲まれたティオナは散歩だからと気を抜いてサラマンダーウールを持ってこなかったことを心底後悔した。

 

 しかし、吹き付けられるのは強烈な熱量ではなくむしろ逆。

 何度もヘルハウンドが火を吹いたために上昇していた気温すらリセットする強烈な冷気がヘルハウンドたちを一瞬で凍結させ、絶命させた。

 一瞬何が起こったのかわからなかったティオナが都合よくリヴェリアが助けに来てくれたのかとすら錯覚する範囲魔法であった。

 しかし、よく考えてみれば威力はリヴェリアのそれに大きく劣るし、遠征の収支計算を行っているリヴェリアがここにいるわけが無いのだ。

 

「<リトフェイト>。自分の戦いなんで引っ込んでてください。<ディアル>」

 

 ティオナに何らかの魔法をかけて話しかけたのは炎に呑まれたはずのウィズだった。

 ウィズはシャツの腕部こそ消失させているが、それ以外の部位は僅かに煤が着いた程度であり、髪の先端が少々燃えた程度の負傷であった。

 それでも炎に呑まれたために若干の酸欠状態にあるようだが、脳震盪によって立ち上がることすら出来ないティオナと比べれば随分軽症である。

 

 ウィズがティオナの腕を掴んで部屋の出口へと放り投げると、ティオナはふわふわと重力を感じさせない動きで出口へと飛んでゆき、しっかりと両足で着地した。

 唱えられたふたつの魔法のうち、どちらかが重力を緩和する魔法、もう一方が回復魔法だったのだろう。

 直接的な傷以外には効果の薄い回復魔法だが、脳震盪などにも全くの無意味というわけでもなかったらしい。

 

◆◇◆

 

 ふう。とウィズは一息ついた。

 炎に呑まれたウィズは両腕に酷い火傷を負った。

 ティオナの援護がなければ何をする前にヘルハウンドに群がられて死んでいただろう。

 どうやらウィズの服は尻尾を隠すという目的のために防刃、防熱に優れた素材でできているらしく、ヘルハウンド程度の熱量では燃やすことが出来ないらしい。 

 尻尾を隠すという役割からすれば腕の部分は蛇足であるため、そこだけ通常の布地だったのだろう。とウィズは考えた。

 

 この服は初期からウィズの事情を知る四人からウィズに贈られたもので、デザイン、色が異なる同一素材、規格の服が複数枚ウィズのタンスには仕舞われている。

 むしろこれしかないのだからウィズのお洒落への関心の低さが見て取れるだろう。

 そもそも尻尾を無理なく隠せる大きなサイズの服自体少ないので仕方ないのかもしれないが。

 

 閑話休題。

 

 炎に呑まれたウィズは、腕の火傷を癒すために使用できる中で最高位の回復魔法である<ディアル>を使っていた。第三位階の回復魔法だ。

 

 

 レベルアップ直後こそ――と言っても昨日のことだが――第四位階の魔法は2グループあるものを1回ずつしか使えなかったウィズだが、ステイタスの更新によって今のウィズはグループにつき3回まで唱えられるようになっていた。

 既にカートリッジとして精神力が組み上げられているため、大技も反動無しで使える。だからこそ、ウィズは何を考えることもなく魔法を放った。

 

「<ダルト>!」

 

 ウィズの唱えた魔法名に呼応するように再び世界に冷気が吹き荒れる。

 ティオナを囲んでいたヘルハウンドを凍結させた魔法であり、第四位階の魔法である。

 ウィズが使える第四位階の炎と氷の攻撃魔法のうち、こちらは氷の魔法だ。

 

 冷気は部屋を巡り数体のヘルハウンド、アルミラージを絶命させ、そして床の大部分を占有していたヘルハウンドとアルミラージの死体を消滅させた。 

 魔石の回収は不可能となるが、戦闘区域の整備はそれよりも優先されるものだ。

 

 ちなみに、攻撃魔法が多くあるグループAの第四位階魔法は今回のダルトで弾切れである。 

 使用した二発のダルトと、ティオナにかけた浮遊の魔法、リトフェイトによってカートリッジを使い切ったからだ。

 

 強烈な魔法によって今まで二種族の戦闘に紛れる邪魔者という認識でしか無かった二体の強化種からのウィズへの認識が、優先撃破の対象へと変化した。

 彼らは群れへ号令をかけると、先陣を切って突撃する。

 

「<ディルト><カンティオス><マモーリス><ソピック><ポンチ>」

 

 ウィズの連続詠唱は無効化(レジスト)する者も多く存在したが、それぞれ視界を塞ぎ、混乱させ、恐怖させた。

 それによって群れの統率はメチャクチャとなり、その隙にウィズは自身の存在感を薄める魔法と敏捷にブーストをかける魔法を使ってその場を離脱する。

 強化種である二体にはいずれの魔法も無効化されていたが、ウィズはひとまずアルミラージの強化種の脇をすり抜け、アルミラージの群れの最後尾へと着く。

 混乱している群れはウィズを認識できず、まさに烏合の衆である。

 

 対して、ヘルハウンドの強化種はアルミラージの群れを無視してウィズへと炎を放射した。

 一時的に協力関係となった二種族ではあるが、そもそもが敵対関係。 

 本能に忠実なモンスターであるヘルハウンド強化種は一切の躊躇がなかった。

 そして、混乱したヘルハウンドの群れもリーダーに追随するようにアルミラージの群れへと炎を放射する。

 

 たった数十秒で群れを失ったアルミラージの強化種が激昂してヘルハウンド強化種へと攻撃を始めたのを見てウィズは安堵の息を吐いた。

 

「でかいのが戦ってるうちに小さいのの数を減らしておこう」

 

 ウィズは炎を浴びた時に落とした刀を回収してから目立たぬように斬撃による一撃必殺によるヘルハウンドの間引きを始めた。




アルミラージの群れが簡単にやられていましたが、それまでの戦闘では互角の戦いを繰り広げていました。
簡単にやられた理由は密集していて、かつ素早い動きを活かすことが出来ない状況(数々のバッドステータスによる足止め)があったからですね

あとミツバチによるスズメバチ殺害方法は圧殺と言うよりは体温で焼き殺している感じらしいです

ティオナが簡単にやられてる気もしますが気を抜いていたのと視野が狭くなってたからとかそんな感じで
レベル5冒険者が知り合いの危機程度で簡単に視野狭窄を起こすわけがない?
展開の犠牲になったのだ……

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