波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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転生したら波の尖兵だった件
プロローグ


「ん?」

 

 俺は紀伊国屋書店にラノベを買いにやってきていた。

 俺、菊池宗介は大学2年生だ。人よりも多少、オタクであると言う自覚はある。

 様々な漫画に小説、アニメ、オタク文化に出会ってから、人に【本の虫】と呼ばれるくらいには熱中して生きている。

 俺は絶賛一人暮らしをしており、漫研にバイトと忙しく暮らしていた。一応俺にも弟がおり、たまにLINEで連絡を取り合ったりする程度には仲が良い。

 弟は俺よりも勤勉で頭が良く、医学部を目指して絶賛勉強中である。そんな弟が、俺に紹介してくれた小説から、俺はオタク文化に染まっていったと言っても過言ではない。

 

「兄ちゃん、この小説面白いよ」

「ふーん、どんな?」

「盾の勇者の成り上がりってweb小説」

 

 当時はまだ連載中だったと思うが、今となってはアニメ化までされた有名な小説だった。それを読んでから俺はweb小説にハマっていった。

 そこからラノベにはまり、俺は見事にオタク文化に浸ったのだった。

 さて、話は脱線したが、その日、紀伊国屋書店にライトノベルを買いに来ていた。

【盾の勇者の成り上がり】の22巻が発売されたからなのだが、それを購入するためだ。

 バイトも塾講師をやっているので懐に余裕があるし、学費や家賃、水道光熱費は親が払ってくれているからな。お陰で趣味に使えるお金は自分でちゃんと稼いでいる。

 ネットゲームはPSO2ぐらいしかやっていないが、この時間に初めてもチームメンバーは誰もログインしていないからな。

 夏コミや冬コミは基本的に行かない質なので、基本漫研で小説を書いているかイラストを描いて漫研の同人誌の一ページに貢献するだけである。

 そんな充実した日常を送っている俺であるが、今日は珍しく1日何も無い日であった。他の部活も合気道サークルをやってたりするのだが、今日は稽古もなかった。

 そのため、絶賛リアルを持て余していた。

 で、問題はここからであった。

 事件はまさに、この後起こったのだった。

 俺は【盾の勇者の成り上がり22巻】を購入し、立ち読みをしながら帰宅の途についていた。これは俺の特技だが、本を読みながらでも周りをちゃんと見ることができる。真似してはいけないけれどね。

 だから、俺の不注意でトラックやダンプカーに引かれるなんて事は絶対ないし、むしろ車道を渡るときはちゃんと前を見て歩く。

 だから、俺は目の前を根暗な奴が歩いて車道に飛び出したのを、見てしまったのだ。

 

「おい、危ないぞ」

「は?」

 

 そいつは、車道を歩きながら俺に抗議した。

 

「誰テメェ超ウザいんだけど。俺様に話しかけないでくれるかな?」

 

 俺はそいつの言葉にイラッとした。

 しかし、次の瞬間にブブーっと音がした。振り向くとトラックが猛スピードでこちらに突っ込んできたのだ。

 

「おい、危ない!!」

 

 俺は思わずそいつを突き出した。それがいけなかったのだろう。

 そいつではなく、俺が、トラックに跳ねられたからだ。

 体に衝撃が走り、一瞬で意識が刈り取られたのだった。

 まさか、これが俺の不幸の始まりだなんて思っても見なかった。




読んでいただきありがとうございます!
リスペクトして書いていきたいと思います!

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