宗介は対人戦は強さに補正が入ります。
俺とレイファがウサピルを解体して内臓を焼き、肉を適当に切り分けて皮を剥いで、荷物として纏めた。
その間にも当然ながら襲ってくることがあるので、俺が撃退しながら、レイファが解体する感じになった。
と言っても、レイファは別に弱いわけではない。
単に俺がレベル上げのために動いているだけである。
実際、レベルは全く上がらないわけであるが。
取得経験値と必要経験値の差が激しいのだ。
ウサピル程度なら経験値が3しか入らず、オオウサピルで12程度なのだ。
渋いどころの話ではない。
「ソースケ、これ以上は持てそうにないから、残りは捨てるね」
「ああ、頼む」
皮は高値で売れるので、ほとんどは収集するが、肉は生肉なので、あまり高値で売れない。
なので、内臓以外は地面に埋めたりして自然に返す。
「さて、そろそろ戻るか」
「そうね、荷物はどうする?」
「俺が持つよ」
俺はそう言うと、紐で結んだウサピル達の皮を背負う。
骨と肉は全て埋めて処分した。
さて、俺たちは城下町に帰宅途中に奇妙な連中に遭遇してしまう。
ソイツは、世の中を舐め腐った目をしており、不快な笑みを浮かべて女を侍っている奴であった。
女冒険者を4人引き連れている。
「よぉ、お前、いい女連れてるなぁ」
「あ゛?」
第一声、俺たちが交わした言葉はそれである。
非常に不愉快な感じがして、意識しないと言葉が荒くなってしまいそうな感じがした。
「誰だ、テメェ……?」
俺が睨むと、ソイツは嘲るように返答する。
「ハッ! 名乗る時は自分からってのが礼儀だろうが!」
「そうよ! あんたから名乗りなさいよ!」
非常に不快な奴等だ。
本来であれば、俺は相手しないはずである。
しかしながら何故か、相手をしてしまった。
「は? いちゃもんつけてきたのはテメェだろうがスカタン! 要件と名前を名乗れよ」
ムカつく。
が、奴は俺の話など聞く耳が無いようであった。
レイファがぎゅっと俺の服の裾を掴む。
「ソースケ、怖いよ」
その言葉に俺はハッとした。
いくらムカつく奴とは言っても、いきなり暴言は失礼だろう。
それに、レイファを怖がらせてしまった。
俺は深呼吸をして、自分の顔をパンパンと両手で叩く。
「……すまない、失礼だった。戦闘後で気が立っていたみたいだ」
うーん、やっぱり、こいつらを見ていると不快である。
が、奴はもっと不快なことをほざくのだった。
「なら、お前の女を寄越せよ。お前ごとき雑魚に侍られるなんて可哀想じゃないか!」
「あ゛?!」
レイファは物じゃない!
レイファは俺の大切な妹みたいな存在だ!
俺の頭の中でブチンと音を立てて何かがキレる。
沸点が異様に下がっていることは、俺も自覚している。
だが、世の中には言っていいことと悪いことがあるだろうが!
「ふざけるな! テメェ!」
「お? やるのか? 良いぜ、かかってきなよ!」
ソイツは剣を抜く。当然ながら周りの女共もそれぞれ武器を装備した。
俺は剣と槍を装備する。
「レイファ、下がっていてくれ。コイツを俺は許せん!」
「う、うん、わかった」
レイファが怖がっているな……。
アイツらがどう言う実力か知らないが、1対多だ。
俺は呼吸を整える。
「行くぜぇぇぇ!」
一直線にアイツが見え見えの攻撃をしてくる。
正面打ちよりも無様な剣筋だ。
なので、剣を剣に合わせて、相手の振り下ろしに沿わせる形で転換をして切り払う。
む、腕を切り飛ばしたつもりだったが、あまり切れていない気がする。
「「「「──様!」」」」
四人の声が重なって、コイツの名前が聞き取れなかった。
どうでも良いけどね。
「ツヴァイト・アクアショット!」
「狙い撃ち!」
魔法と矢が飛んでくる。
しかし、俺は矢を槍で弾き、魔法は回避する。
別にウサピルばかり狩っていたわけではないのだ。
レベル差がありまくる野獣と戦うことだってあった。
だから、そんな攻撃は見える範囲内ならなんとか避けれるようになった。
「はああ!」
切りかかってくる女の剣を受け流し、俺は腕を取る。
そして、くるっと回転しながら巻き込み、地面に頭を強打するように叩きつける。
ゴシャッと良い音がした。
「1匹目」
後遺症は残るだろうが、俺を攻撃した罰だ。
「ライシャああああああ!!」
続けて攻撃をしてきたやつのナイフを槍で突き落とし、くるっと槍の穂先を回転させて腕を取る。
そして、遠距離攻撃してくる女共のところにぶん投げる。
「きゃああああああ!!」
ちょうど、遠距離組が攻撃を発射したタイミングに合わせたので、ナイフ女に攻撃が全て直撃した。
遠くに飛ばされて木にぶつかり、完全に気を失ったように見える。
「2匹目」
「サアヤああああああ!!」
女の名前を叫びながら突撃してくる阿保に、俺は槍を構えて迎え入れる。
槍版の小手返しと言うものを見せてやる。
振りかぶる剣に合わせて槍の穂先を沿わせる。
振り下ろしと同時に、槍をうまく操作して、力を流す。
流した方向に阿保が走るので、手元に引き寄せる。
あとは、くるっと転換して、手の甲に剣を持った手を沿わせて、人差し指を地面に向けて捻るだけである。
ゴキッと音がして、阿保の関節が外れる。
「ぎゃああああああああああああああああ!!」
「「──様あああああ!!」」
阿保を無力化したので、装備を矢に切り替える。
ビュッ、ビュッと矢を放ち、不正確ではあるが、杖と手元を狙い撃つ。
まあ、ど素人の弓が正確に射ぬけるはずもなく、魔法使いの足と、弓使いの腹部に命中したわけだが、問題ないだろう。
「貴様あああああああ!」
「あれあれ? どうしたのかな? レベル6の雑魚一人相手になんで君は地に付しているのかな?」
ムカつくので煽ってやる。
自分でも悪い顔をしているのがよくわかるが、まあ良いだろう。
「クソがああああああああああ!」
まだ叫ぶ余裕があるか。
俺は阿呆の腕を足で押さえつけているが、さらに圧力をかける。
メキメキっと関節が軋む音がする。
「がああああああ! ギブギブ!!」
「ギブアップは認められませ────ん!!」
なんだか楽しくなってきた。
なので、ついでにもう一本骨を折ることにした。
ぐりっと足を捻る。
ゴキンと骨が折れる音がした。
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」
「はっはっは! 良い声で鳴くな! もっとだ! もっと聞かせろ!」
ゴキキっと追撃をすると阿保は白目を剥いて気絶した。
ふん、つまらないやつだ。
「ソースケ様!」
と、魔法使いの女が俺の名前を言いながら擦り寄ってきた。
「私たちを許してください! ソイツに命令されていただけなんです!」
「そ、そうですわ! 悪どいその雑魚に、味方するように命令されていただけですわ!」
なんだコイツら??
と、ここでようやく、俺はこの阿保が波の尖兵であり、この二人の女がクソ女神の分霊である事に思い至った。
どうやら、レイファを物のように寄越せと言われた事に対して頭に血が上っていたらしい。
はぁー……。
クソ女神の分霊なら、俺には無下に扱うことはできないし、どうしようかな?
俺は悩んでしまうのであった。
追記:波の尖兵・勇者相手には性格が悪くなってしまうのは呪いのようなものです。
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