──なぜ殺さなかった。
……さてな、俺もわからん。
錬も尚文も、気に入っていたからか?
──剣の勇者は殺せたはずだ。
そうだな。
あの時はまるで、何かに止められたようだった。
俺の意思とは別の何かにだ。
あと少しで殺せたのにな。
──精霊か。
なるほどな。
投擲具は元々剣の聖武器の眷属器だったけかな?
あれ、槍だったか?
だから、止められたんだろう。
──くだらぬ。
くだらない。
まったくもってくだらない。
この世界を破壊すれば、メガヴィッチの思惑である経験値は入手できないのにな。
──まったくもってくだらぬ。
今回が実質最期のチャンスだった。
残念だ。
──お前もくだらないのだ。
はっ、悪かったな。
レイファは流石に、俺には殺せないよ。
無理なものは無理なのさ。
──世界を破壊する事は、あの女を殺すのと同じなのにか?
違いはあるさ。
あの子だけが希望だ。
パンドラの箱に残っている、かすかな希望の光がレイファなのさ。
──くだらぬ。所詮はその程度の人間か。
そうだよ。
俺は自分の大切なものを切ることは出来ない、情けのない人間さ。
そう言うお前は一体誰だ?
まさか、人間無骨に意思があるわけ無いしな。
──我は竜。竜帝のカケラの一つ。お主の前任者に殺された竜だ。
あー……なるほど。
じゃあ、この投擲具とおさらばすれば、アンタともおさらばなわけだ。
──そんな訳なかろう。我は既に貴様に巣食っているのだからな。
──貴様の憎悪が気に入った。
──故に、貴様自身に巣食うことにした。
え、やめてよね!
ドラゴンって勇者のカースと相性が良いけどさ、俺は波の尖兵だよ?!
──関係なかろう。我は貴様に期待しているのだ。
──故に、我を失望させるな。
はぁ?
勝手に期待して、勝手に絶望するのやめてくんないかなぁ?
俺は俺のやりたいようにやる。
俺の憎悪や俺の絶望は俺自身のものだ。
アンタにくれてやる気はないよ。
──それも良いだろう。
──貴様が、貴様の知る【盾の勇者の成り上がり】の世界をどう変えていくのか、楽しみにしているとしよう。
やめろスカタン!
俺は元々変えるつもりは無い!
破壊がもう無理な以上は元に戻すための方法を模索するだけだ!
──だが、剣は変わってしまったぞ?
──貴様との出会いが変えてしまったのだ。
──剣が強くなれば、次の【霊亀との戦い】での立ち回りも変わるだろう?
俺の記憶を読むな!
──ははは、なかなかの退屈しのぎにはなるな。まるで預言書を読んでいるようだ!
やめんか!
──また、適宜貴様に話しかけるとしよう。
おい、待て。
俺の記憶で【盾の勇者の成り上がり】を、ネタバレを読むなあああああああああああ!!!
──ははははははは!
あれ、この竜愉快なやつでは?
ガエリオンでは無いです。
ちなみにあの薬の影響で、竜帝の塊とは相性が悪いはずですが、宗介の憎悪と絶望が中和剤的な感じになっていると思ってもらえれば良いです。