波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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ここがレイファちゃんの家かぁ……

 私達は、私の家に到着した。

 長いこと開けて居たせいか埃がたまって居たけれど、掃除すれば問題なさそうである。

 なので、全員で部屋の掃除を行う事になった。

 ソースケは明らかに手足が呪いで真っ黒であるが、ピンピンしているのが不思議である。

 ソースケ曰く、3ヶ月程度の回復遅延のデバフだけだし平気と言っていたが、見た目が気になってしまう。

 

 部屋の掃除も終わり、片付いたところで、ノック音が聞こえた。

 

「ねぇ、ノックされているわよ」

「うーん? 来客なんてソースケが来たとき以来なかったはずだけれど……」

 

 私は玄関まで走っていく。

 そして家の玄関を開けると、何故か其処には槍の勇者様が居た。

 

「やあ、レイファちゃん。元気?」

 

 バタン

 思わず私は閉めてしまった。

 

「ちょっと! モトヤス様が訪ねて来たのよ! なんで締めるのよ!」

 

 すぐさまマルティ第一王女が開けてしまう。

 多分、私は顔が引きつって居たと思う。

 

「へぇー、ここがレイファちゃんの家ねぇー」

「あ、あの、どうしてここが……?」

 

 私が疑問を言うと、槍の勇者様はあっけらかんと答えた。

 

「ああ、ライシェルって奴が編隊組んでいるだろ? それで場所がわかったんだ」

「そ、そうなんですね。それで、なんのご用ですか?」

「ああ、レイファちゃんこれ、知っている?」

 

 槍の勇者様はそう言うと、3枚の指名手配書を私に渡した。

 其処には凶悪な目つきで盾の勇者様、ラフタリアさん、フィーロちゃんの人化形態が描かれている。フィーロちゃんの元の姿も描かれている。

 

「は、はぁ……」

「良かったら、一緒に尚文の野郎を探し出して、メルティ王女を助けないか? レイファちゃん」

 

 爽やかな笑みを浮かべてそう勧誘してくる槍の勇者様に、私はどうしたらいいかわからなくなってしまった。

 

「え、えと、その、ちょっと相談して来ます!」

 

 私は慌ててソースケ達のいる部屋に逃げた。

 

 

 

 俺の目の前に、元康が座っている。

 小さいソファーには、マルティとレスティが、エレナは腕を組んで柱に寄りかかっている。

 レイファは慌てた様子で、リノアは呆れた表情をしている。

 アーシャは、動じて居ない。

 ライシェルさんは、どっしり構えている。

 

「えーっと、元康。なんで来た」

「ちょっと! 何呼び捨てしてるのよ!」

「黙れスカタン! ……で、何の用だ?」

 

 ま、別に元康には恨みはない。マルティは即刻この場で斬首したいが、物語の登場人物なので押さえておく。

 どうせロクなことをしないのだろう? 殺して仕舞えばよかろうと、竜帝のカケラが囁いているが却下だ。

 

「ああ、尚文の居場所を探っているんだが、心当たりないかと言うことと、一緒に探さないかと思ってな!」

「……またなんで」

「人手が足りないんだ。もちろん、協力してくれたら、宗介、お前の嫌疑をなかった事にしてもらえるように王様に頼むつもりだ」

「ちょっと、モトヤス様?!」

 

 なるほどね。交渉材料としては正しい選択だ。

 恐らく、俺ならば半日とかからずに尚文を見つける自信はある。

 だが、人海戦術ならば、国の兵士で十分ではないか? 

 

「錬も樹も協力しているんだろ? アイツらそう言うの好きそうだし」

「ああ、錬は少しだけ説得したが、樹は喜んで協力してくれているよ」

「なら、勇者様総出で探しているんだったら要らないだろ?」

「いや、多い方がいいに決まっているじゃないか! 君は、メルティ王女がどうなっても良いのか? アイツは強姦魔なんだぞ!」

 

 チラッとヴィッチを見ても、白けた顔をしてやがる。良い度胸だ。気に入った。殺すのは最後にしてやる。

 

「お前は俺が尚文に協力するとは思わないのか?」

「なんで? お前は尚文を殺そうとしたんだろ?」

 

 どうやら、この元康には都合のいい情報だけが伝わっているようである。

 ふぅー……。やれやれ。道化だなぁ……。道化にもなりきれてないから、サーカスの雑用か? 

 

 どちらかにしても、元康にはつきまとわれそうである。

 諦めて乗るしかないか……。

 

「……わかった。協力しよう」

「「ソースケ?!」様?!」

 

 レイファ、リノア、アーシャが驚きの声を上げるが、仕方ないだろう。

 それに、俺が聞いた条件は【探す手伝い】だ。見つけられなくても約束は守ってもらう。

 

「よし! じゃあ、前金として、この最高品質の聖水をプレゼントだ。呪われたままだと、色々辛そうだしな」

 

 元康が投げ渡したボトルを受け取る。

 

「サービスとして受け取っておく」

 

 鑑定技能が働いて、この聖水が確かに高品質であることが確認できる。

 

聖水 最高品質

 

 俺は早速原液を飲み干す。

 結構痛いが、両手の黒アザがジュウウゥっと音を立ててみるみる引いていく。

 足も同じように痛かったので、足の呪いも引いたのだろう。

 ……ステータス上では10%程度軽くなったかな程度だけれど。

 まあ、痛々しい見た目が改善しただけでもマシだろう。

 

「それじゃ、依頼を受けた以上はやろう」

「じゃあ、人員を均等に分けた方が良いな!」

「……?」

 

 元康の意図の掴めない発言に、一瞬疑問が浮かんだ。

 

「レイファちゃんは俺たちが面倒見よう。宗介は残りの4人で探してく感じで」

 

 あー、コイツ、レイファを自分のハーレムに引き込みたいのか……。

 

「……却下だ。それならば、俺とライシェルさんが二人で組んで、残りはそっちの方がマシだな」

「俺は別にそっちでも構わないぞ。ただ、人数的には7人になるから、アーシャちゃんは宗介の方で持ってくれるとありがたいかな」

 

 俺はリノアを見るとリノアはうなづいた。

 レイファは不安そうな目で俺を見る。

 仕方ないだろう。引き受けないと言う選択肢がないのだからな。

 

「わかった。じゃあレイファとリノアを貸そう。ただ、レイファは一般人だからその点だけは注意してほしい」

「任せとけって! 俺は槍の勇者様だぞ!」

 

 不安しかないな。

 尚文よりも弱い現状を見るとね。

 まあ、俺も政治的な立場は雑魚すぎるからな。

 あんまり眷属器は使いたくないが、現状持っている武器がそれと腰の魔法鉄の剣しかない。

 

「先に色々と話しておきたいことがあるから、外で待っててくれないか? 5分程度時間をくれれば良い」

「? まあ、それなら構わねーよ」

 

 と言うわけで、元康が出て行った後、簡潔にレイファに意図と理由、そしてやってほしいことを伝えたのだった。


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