波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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割と大きい改変ですね。
イレギュラーが2人紛れていたので…。


イレギュラー

 戦闘が始まると同時だっただろうか。

 

「死ねぇ!」

「危ない!」

 

 剣を構えて切りかかってきた兵士の剣を、リノアさんがブーメランで受け止めた。

 

「きゃあああ!」

 

 思わず恐怖で声が出てしまった。

 

「アンタ達、どう言うつもりよ!」

「盾の悪魔に洗脳された貴様らに問答など不要!」

 

 兵士達が私を殺そうと、剣を向けてくる。

 

「何をしている?!」

 

 ザンッと私を切り捨てようとしていた兵士が逆に切られて吹き飛ばされた。

 

「お前たち、何をしている!」

「これはこれは剣の勇者様。その少女たちはすでに盾の悪魔に洗脳されたようでして、排除しようとしたまでです」

「なん……だと……?!」

 

 剣の勇者様は驚愕の表情を浮かべる。

 

「あ、あの時の村の奴らと同じ目だ……!」

 

 剣の勇者様の剣が震えだした。

 私とリノアさん、そして剣の勇者様が兵士たちに囲まれていた。

 

「さあ、剣の勇者様。彼女たちをこちらに引き渡してください」

「くっ……!」

 

 兵士たちが剣の勇者様を無視して私に攻撃してくる。

 散々ソースケからアイキドーを習ってきたはずだけれども、恐怖で体が動かなかった。

 

「だから、何をしている!」

 

 ギインと音を立てて、兵士と剣の勇者様が鍔迫り合いをしている。

 

「そもそも、彼女らは今は元康の仲間だろう!」

「ふっ、許可は下りているのだ! 邪魔をしないでいただきたい、剣の勇者様」

 

 剣の勇者様は防戦一方である。

 攻撃をしないのだ。

 

「やめろ! くっ、逃げるぞ!」

 

 剣の勇者様はそう言うと、私の手を引いて駆け出した。

 リノアさんも一緒に走り出す。

 

「待て! ええい! 剣の勇者を追え!」

 

 兵士達が私達を追ってくる。

 

「崖を降りるぞ!」

 

 剣の勇者様がそう言うと、崖を降りる。

 

「きゃあああああ!!」

 

 剣の勇者様に手を引かれるまま、盾の勇者様の落ちた地点まで滑り降りた。

 

「そこの娘を殺せえええ!!」

 

 崖の上から兵士が号令を出すと、崖下に待機していた兵士達が一斉に私に剣を向ける。

 

「くっ、一体何が起きているんだ?! 尚文を捕まえるんじゃなかったのか?!」

 

 剣の勇者様は困惑しながら、周囲を見渡していた。

 

「お前との因縁もこれまでだ! 喰らえ、アイアンメイデン!」

 

 盾の勇者様の声が聞こえる。

 

「まずい! 流星剣!」

「やはり貴方が悪でしたか! 流星弓!」

 

 咄嗟にはなった剣の勇者様の技と、弓の勇者の技が重なって、空中に出現した女性を模した処刑器具アイアンメイデンを破壊する。

 

「みなさん、今のうちに破壊しましょう」

 

 弓の勇者が音頭を取って、アイアンメイデンを破壊するように指示を出す。

 

「ひゃあ!」

 

 私とリノアさんはそんな光景を横目に、兵士の攻撃を回避していた。

 剣の勇者様はスキルを放ち終えると、すぐに加勢してくださる。

 すでに状況は二分されていた。

 あちらでは、マルティ王女にメルティ王女が捕縛されている。そして、槍の勇者様と弓の勇者が盾の勇者様と戦っているところだ。

 こっちは、剣の勇者様と私とリノアさんが兵士に囲まれて動けないでいる。

 

「レイファ、リノア、この場から脱出するぞ!」

 

 剣の勇者様がそう言うと、パーティ申請が私達に届く。

 私とリノアさんは顔を見合わせて、槍の勇者様のパーティを脱退して、剣の勇者様のパーティに加わる。

 

「逃すな!」

「転送剣!」

 

 こうして、あの混迷とした場所から私達は脱出したのだった。

 光に包まれて、再び目を開けると、北東の関所に一番近い村に来ていた。

 

「はぁ、はぁ、お前たち、無事か?」

「は、はい、ありがとうございます、剣の勇者様」

「助かったわ、剣の勇者様」

「錬で良い。宗介も名前で呼んでいるんだろう?」

 

 剣の勇者様はそう言うとへたり込んだ。

 

「尚文は気になるが、それよりも宗介の大事な人を失わせるわけにはいかないからな」

 

 剣の勇者様の手は震えていた。

 

「くっ、しかしどう言うことだ! あの兵士の目、宗介が強制離脱した時の村人の目と同じだった!」

 

 剣の勇者様は地面を殴る。

 

「その……。多分理由なら話せると思います、剣の勇者様」

「錬だ」

「レン様」

「……まあいい。一度宿屋に向かうぞ」

 

 私達は剣の勇者様……レン様に連れられて、村の宿屋にお邪魔する事になった。

 

「で、理由は何だ? なぜお前達が狙われるんだ?」

 

 レン様は早速話題を切り出してきた。

 

「それは、私が四聖教だと言う事、そして、レイファがおかしい事をおかしいと言ったことが原因ね」

「しせいきょう……?」

 

 レン様は首を傾げる。

 

「あれ、勇者様は宗教については詳しくない感じ?」

「ああ、そう言うNPCの事については興味が湧かなかったからな」

 

 確かに、レン様はそう言う事に興味なさそうだもんね。

 宗介曰く、【修羅道に行きたいチューニビョー患者だけどチューニビョーであるが故に修羅道には堕ちれない残念くん】【絶対あいつ、スコールとキリト混ぜてるだろ】と特徴を話していた。

 

「レン様、で良いのかしら? そのえぬぴぃしいとかよくわからない単語使うのやめてもらえないかしら? 意味としては勇者以外を指すで正しい?」

「……ああ」

 

 どうやら、正しかったようだ。

 

「それじゃあ、宗教について説明するわ。と言っても、基本的に勇者っていうのは神様の使いまたは神様そのものの化身とされているわね」

 

 これは、確か宗派の違いとかで解釈が変わってくる。

 三勇教は後者だったはずだ。それで統一されている。

 リノアさんは四聖教だけれど、前者の解釈をしている宗派に属しているらしい。

 

「で、この国は三勇教……盾の勇者を悪魔と同一視している宗教の国よ」

 

 リノアさんの言葉に、レン様は驚愕で目を開く。

 

「…………なるほどな。手のひらで泳がされていたのは俺の方だったか」

 

 レン様は愕然とした表情をする。

 

「なら、あの時に尚文が強姦の罪を裁判するまもなく決めつけたのは、そう言う宗教関連のイベントだった訳か」

「レン様? 一人で納得してないで、ちゃんと説明してくれないかしら?」

「……すまない。だが、もう少し話を聞かせてほしい」

「……まあ良いけれど」

 

 リノアさんは説明を続けた。

 三勇教の動き、今回の事態が変な点、様々だ。

 

「……なるほど。ならば、調べてみる必要があるな」

 

 テーブルの上に置かれた、私の三勇教のロザリオを見ながら、レン様は断言した。

 

「本当の悪はどっちかを、ちゃんとな」

 

 ただ、レン様の表情は冷静を装ってはいるものの、手は震えていた。

 その後、噂によると盾の勇者様は再びメルティ王女を取り返して再度逃亡を開始したらしい。




宗介が知ったら腸が引きちぎれそうだ!!

ちなみに、錬が不在なため、錬役は燻製が改悪してやっています。
尚文はロザリオを渡すために探しましたが、いなかったので諦めました。
なので、80%は原作まんまですかね。

どちらにしても、錬が樹を誘って三勇教の調査を開始するので、大きい変化はあまり無いですかね?

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