波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず

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次は、剣の偽勇者の浄化をしましょう!

 私達は、魔王の研究施設と思われる場所に到着した。

 

「……明らかに破棄されて久しいって感じかしら」

 

 リノアさんの指摘に、レン様はうなづいた。

 

「確かに、研究した痕跡がある。だが、遺棄されたのは相当前に見えるし、残っている資料も残して問題ないものしか残っていないようだ」

「レン様の仰る通りですね。資料もざっくりと目を通しましたが、企画書や計画書ばかりです。……私の信じていた宗教がこんな事をしていたなんて恐ろしいですね……」

 

 テルシアさんも私と同様に衝撃を受けているようである。

 施設を探索していくと、まるで誘導されるように奥へ奥へと道が続いていた。

 罠だと理解している私達は慎重に先に進んでいく。

 

「……こう、屋内に何も罠が無いと、逆に不安になってくるわね」

「罠が無いのは良いことでは?」

「こう言った施設には情報漏洩を抑えて、外からの侵入者に対して罠が仕掛けられているものよ。その証拠に」

 

 リノアさんが破壊された機材を持ち上げる。

 

「これ、結構旧式の罠なんだけれども、人為的に破壊されているわ」

「なるほどな。俺たちを奥に誘導したいと考えているということか」

「正直、ここで得られる情報なんて無いに等しいと考えているわ。他を探した方が賢明じゃ無いかしら?」

 

 リノアさんの提案に、レン様は少し考えて肯首した。

 

「……そうだな。優秀なスカウトのお前が言うのならばそれが正解だろう。わかった、調査はここで中断して撤退しよう」

 

 レン様がそう決断した直後であった。

 リノアさんとレン様が私とテルシアさんを守るように前に飛び出した。

 カンカンカンと金属音がして、地面に投擲ナイフが散らばった。

 

「何者だ!」

 

 シュババッと数人の人が出現した。

 

「影か!」

「偽勇者に答える筋合いは無い!」

 

 そう言うと、影と呼ばれる人達がレン様とリノアさんに襲いかかる。

 鍔迫り合いの音が施設に響く。

 殺陣が繰り広げられて、机や椅子が倒れ、紙が散らばる。

 

「レイファさん、援護しますわよ!」

「はい!」

 

 私達はすぐに魔法を唱える。

 

「ツヴァイト・ウォーターショット!」

「ファスト・エアーショット!」

 

 私たちが唱えた魔法をすぐさま返してくる。

 

「アンチ・ツヴァイト・ウォーターショット!」

「アンチ・ファスト・エアーショット!」

 

 それにテルシアさんは舌打ちをする。

 

「手練れですわね……!」

 

 テルシアさんはそう言うと、次の魔法を繰り出す。

 

「ツヴァイト・ウォーターソード!」

 

 テルシアさんは杖に水の剣を纏わせると、近接攻撃をしてきた敵の剣を受け止める。

 だが、テルシアさんは魔法使いの回復役だ。

 手練れの攻撃は受け止めるだけで精一杯だった。

 

 私の方にも来る。

 

「はああああ!」

 

 今度は冷静に対処できる。

 ソースケに教わった基礎通り、剣を振る速度に合わせて両手を斬り下ろす。

 

「?!」

 

 そのまま手をスライドさせて当身を入れると、体勢を崩すので、転換をして入り身投げを仕掛ける。

 何というか、上手く入った感じがした。

 地面に激突して、痛そうな音が鳴る。

 

「ファスト・エアーショット!」

 

 倒れて麻痺している敵に、私は魔法を使って吹き飛ばす。

 他の人たちは接戦という感じだった。

 

「……! 嫌な予感がするわ! 早く逃げるわよ!」

 

 リノアさんがそう指示を出すも、まるで逃がさないかのように敵に立ち回られる。

 

「そうは言っても、敵さんはこちらを逃がすつもりがなさそうですわ!」

「ああ! 普通に強いぞ……! さすがは影か!」

 

 私達は逃げるために、敵は私達を逃がさないために、戦う。

 その中で、一人の敵がレン様を挑発した。

 

「私の村はお前のせいで疫病で滅びかけた!」

「!!」

「盾の悪魔をのさばらせる原因になった! 許せない!」

「ぐっ!」

 

 途端に、レン様の剣の冴えが鈍る。

 あの噂に責任を感じているのだろう。

 ソースケ曰く、「ああ、あの件は全面的に燻製が悪いからな」と言っていた。レン様が魔物の肉を処分しようとしたところ、燻製とソースケが呼ぶマルドさんが「村のために残しておこう」と提案したため起きた参事らしく、そうなるまで放置した村の自業自得と言っていた。

 本来は責任感が強い人なのだろう。

 

 と、リノアさんが戦いを中断して、上を見上げた。

 

「!!」

 

 と、リノアさんがいつもは隠している尻尾を逆立てた。

 

「亜人?!」

「みんな! ヤバイのが来るわ!」

 

 リノアさんの声音は戦々恐々と言った感じだった。

 

「ヤバイの?」

「ああもう! こんなところじゃ絶対防げないわ! とにかく! 逃げるのよ!!」

「逃すか!」

「なんで逃げないの?! あんた達も死んじゃうのよ!!」

 

 リノアの様子に、鍔迫り合いをしている敵を蹴り、レン様は剣を掲げる。

 

「ならば、転送剣!」

 

 レン様はスキル名を叫ぶが、何も起きなかった。

 

「……転送不可範囲内のため転送できませんだと?」

 

 レン様の驚きに、敵がゲラゲラ笑いだした。

 

「ハハハハハ!! 正義は我にあり! 剣の偽勇者、異端者の女と異教徒の亜人諸共死ぬがいい!!」

 

 異端者の女……私のことだろうか? 

 テルシアさんが当てはまるとは思えなかった。

 

「なんだ?? 何が起ころうとしている! リノア!」

「ヤバイ魔法が来るの! 三勇教ということは、『裁き』?!」

「『裁き』ですって?!」

「知っているのか、テルシア!」

「高等集団合成魔法ですわ! 対軍用の殲滅神聖魔法です! 直撃範囲は何もかもが跡形も残りませんわ!」

「なんだと!」

 

 レン様がスキルを唱える。

 

「エアストソード! セカンドソード! 防御結界のスキル、ソードフィールド!!」

 

 レン様が生み出した剣が地面に突き刺さり、結界を生み出す。

 

「気休めね。無いよりはマシだけど!」

「させるか!」

 

 私達が結界に入るのを阻止するように動く敵。レン様は結界を維持するために動けなくなったのか、敵の攻撃を空いている手で払うようにしている。

 あたりが白んで行く! 

 

「早く!!」

「ハハハハハ、三勇者様に、教皇様に栄光あれ!!」

「いやあああああああ!!」

「うおぉぉぉおおぉぉおぉおおおお!!」

 

 私達は光に包まれた。




僕が書く錬って割りかしちゃんと勇者してますよね
樹は外道ですが

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