波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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ただ宗介が虐殺するだけのお話


血塗れの勇者

 ズンっと地面が揺れた。

 おそらく『裁き』が発動したのだろう。

 

「行こう、宗介」

「行きましょう。正義を執行する時です」

「……え、それ決め台詞なの?」

 

 俺たち3人……錬と樹、そして俺は西南の砦の近くまで到着していた。

 レイファはまあ、さすがにあの状態では連れて行くわけにはいかなかった。

 怖かったらしく、ラヴァイトのいる馬車で思いっきり慰めてあげたよ。ギリギリまでね。

 今は落ち着いて寝ているので、リノアとアーシャに任せている。

 

 光の柱は天高く伸びており、その威力は錬や樹、俺を消すために放たれたものとは威力がダンチなのははっきりと見て取れる。

 あれを耐え切れるのはやはり、盾の勇者である尚文しか居ないだろうな。

 光の柱はしばらくすると消えた。

 まだ少し到着まで時間がかかりそうである。

 なので、今の状況を説明するとしようか。

 

 まあ、無事に勇者達は影に助けられたそうだ。

 どちらもなかなかシビアなタイミングだったらしい。

 結果、二人の勇者は俺のところに案内されて合流したというわけだ。

 

 あ、元康、俺はお前を許さないからな。

 守り切れなかったどころか、守る対象から目を離してそっちのけした以上は俺から許されるなどと思わないことだ(ニッコリ)。

 ま、愛の狩人に堕ちる前まで責任を取らせるがね。

 樹も平然と味方ヅラしてるが、あとで泣かす。

 

 と、だいぶ近づいたところ、メルロマルク騎士が待ち構えていた。

 

「なっ! 剣の偽勇者、弓の偽勇者! 浄化されたはずでは?!」

「ふざけるな! 俺たちがあんなところでゲームオーバーになるはずがないだろう!」

「そうですよ。世界を救うために活動している僕たちに対してあの仕打ちですからね。これでは弁解の余地はありません」

 

 ……いやーん、死にそうだったのにまだゲーム感覚とか信じられない! 

 ふざけてないと呆れすぎて死んでしまいそうだ。

 

「ま、どうでも良いが、お前ら三勇教か? 違うやつは間違えて殺してしまわないように、この集団から出ていくことをお勧めする」

 

 勇者を押しのけて、俺は前に出る。

 

「《首刈り》……!」

「宗介さん、協力していただけるのはありがたいですが……」

「まあ、ここは俺に任せてお前ら先に行ってろ」

 

 死亡フラグ? 

 ははは、おかしな事を言う。

 人数の差など俺には関係ないね。

 

「……行こう、樹。宗介なら大丈夫だ」

「ですが、思いっきり死亡フラグですよ」

「死亡フラグはこういう台詞だろ。『別に倒してしまっても構わんのだろう?』」

「そうですそうです! よく知っていますね!」

 

 俺はため息をつく。

 

「とりあえず、勇者様二人は、先に行って教皇を倒してくれ。俺はこいつらを皆殺しにしてから行くからさ」

「皆殺し……」

レイファを殺そうとした罪はブラックホールよりも重い

「う、わ、わかりました。やり過ぎないようにお願いしますよ」

 

 俺の殺意に威圧されてか、樹は早々に従うことにしたらしい。

 

「任せた」

 

 錬は俺の事を信頼しているのか、サッと出発した。

 

「行かせると思うの──」

 

 錬達の行く手を阻もうとした騎士の首を切断する。

 首がどさりと落ち、立ったままの胴体は首から血を噴水のように噴出させて倒れた。

 

「……行きましょう」

「ああ」

 

 錬達は出発した。

 首を容赦なく刎ねた事にリアクションは無いのか。そうですか。

 俺は、メルロマルク騎士団に向き直る。

 

「ひっ!」

 

 誰かが恐れる声を上げた。

 俺は醜悪な笑みを浮かべ、すしざんまいのように両手を広げて、死亡宣告を告げる。

 これからこいつらに八つ当たりが出来ると思うと、嬉しくて仕方なかった。

 

「さあ、レイファを、リノアを、勇者どもを己のエゴによって殺そうとした罪深い罪人共! ここから先は死だ! R-18G、ゴア表現マシマシの地獄を、お前達の屍によって作り上げよう! お前らの未来はたった今ここで尽きた!」

 

 俺は投擲具のナイフの刃の部分を舐める。

 さっき切り飛ばした罪人の首の血の味がする。

 

「さあ、死の始まりだ!」

 

 俺は早速、『タイム・フリーズ』を使う。

 そして、全力で首を刈っていく。

 時間を戻す度に、10人近くの首が跳ぶ。

 

「ひ、怯むな! 奴は一人だ! たお──」

「分団ちょ──」

「なんだ、なにがおこ──」

 

 タイム・フリーズのクールタイムは、使用時間×10秒。

 時が動いていても、俺は関係なく首を刎ねる。

 俺を殺そうとする武器を持つ手首を刎ねる。

 

「ぎゃああ──」

 

 俺を撃とうとする弓を持つ奴の目を、投擲で潰す。

 

「ぎゃああああああ!! 目が! 目が!」

 

 首を刎ねる。手首を刎ねる。直接刈る、投擲して刈る。刈って刈って刈りまくる。刎ねて刎ねて刎ねまくる。

 

「はははははははははははははは!!」

 

 このゴミクズ共が1分1秒足りとも長生きしていることが許せない。

 

「あああああああああ! 助け! 助けて! 勇者様ああああ──」

「おお、神よ、本物の悪魔が──」

 

 くだらない事を言う。だから、俺がちゃんと教えてやらねばならない。

 

「悪魔はお前たちだ♪」

 

 我ながら、良い笑顔だったと思う。

 

「他所の世界から勝手に勇者を召喚したくせに、差別する理不尽!」

「ぎゃああ──」

「ひぃぃ──」

 

 ああ、説教って心地いいんだな。

 

「思い通りにならなかったら偽物だと断定する独善性!」

「や、やべ──」

「腕がああああ──」

 

 なるほど、当麻さんが敵に説教するのもわかる。

 

「あまつさえ、自分が神になり代わろうだなんて言う救いのなさ!」

「あああああ──」

「お母さん! おかあ──」

 

 ああ♪ 気持ちいい。

 

「お前らこそが悪魔! 悪鬼羅刹の魑魅魍魎共だ! お前らは悪! 俺も悪! 悪が悪を裁くのもまた道理! 悪はより強い悪に屈するのが定めなんだよ!」

 

 平原の草は血で染められ、そこら中に刎ねた首や手首足首胴/体が転がっている。

 おっと、ここにいる連中は全員殺してしまったか。

 少しは気分が晴れると言うものだ。

 

「んんー、やっぱやりすぎか? でもまあ、勇者様を殺そうとした、この世界にとっての裏切り者だ。だから大丈夫だよね♪」

 

 時間としては、20分ほどしか経っていない。

 それだけで一個師団を皆殺しにした俺がすごいのか、勇者武器が強いのか……。

 ちなみに、すでに弓の強化方法は解放されている。

 その分の強化はすでにしているのだ。

 

「しっかし、お前もまあ、アクセサリーが破壊されたのに、なんで逃げないんだ? いいけど」

 

 俺は投擲具を装備から外す。

 わはははは、さすがは血塗れの勇者! 清々しい殺し具合だったな! 

 いちいち話しかけるのをやめてくれない? 

 カースを使わずともこの強さ。勇者とは恐ろしいものよ。

 地の文じゃなくてだなー……。

 

「とりあえず、錬たちを追いかけますかね。あいつらだけじゃやっぱり心配だしな」

 

 俺は、そう独りごちると、錬たちの向かった方角に走り出した。




ちなみに、錬から問い詰められたので、カースシリーズの解放方法は話してはいます。

錬「おい、宗介。チートコードを教えろ」
宗介「え、なんで?」
錬「あの禍々しい武器の出し方だ!尚文も使えると言うことは、俺も使えるはずだ!」
宗介「隠しパラメータであるカルマ値を一定以上貯めたら出るよ」
錬「は?隠しパラメータ?」
宗介「好感度なんて普通数値化されないだろう分かれよ」
錬「隠しパラメータ…。それは確かに盲点だった」

こんな感じです。

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