バキッ!
俺は元康をぶん殴っていた。
ちなみに、ヴィッチは女王が回収した後なので、お察し。
「ぐはあ!」
渾身の一発なので、まあ吹き飛ぶよな。
「これで今回のことは水に流してやる。守ると言うなら最後まで守り通せよスカタン!」
「う、ぐ、すまなかった」
元康は土下座して謝る。
「レイファちゃんも、リノアちゃんも、本当にすまなかった!」
元康は女の子には誠実らしい。
レイファは困惑した表情をしている。
現状、俺は女王に従ってメルロマルク城下町へと戻って来ていた。移動して2日、尚文は眠ったままである。
ラフタリア、フィーロ、メルティ王女は尚文に付きっ切りで看病しているあたり、本気で慕っていることがわかるだろう。
「ま、まあレン様のおかげで難を逃れられましたし、良いんですけれどね」
これで許すレイファはやっぱり天使だなぁ。
ぶん殴ったのは俺だけである。
呪いを受けていた俺、レイファ、元康……傲慢のカースを発動しており、MP回復が遅延する呪いを受けていた……は儀式魔法『聖域』で尚文とともに呪いの浄化をされて解呪してもらったりしていた。
尚文の呪いは『聖域』ですら解呪が不可能だったらしく、HP回復遅延、MP回復遅延の呪いのみ解呪されたと言った感じであった。
樹や錬の仲間は、半数の助けられた方はレイファとリノアを守ってもらったが、半分の捜査していた方は北西の砦で待機していたようだった。
むしろ、兵士の大半は北西の砦で待機していたのを考えると、三勇教は初めから南西の砦を決戦の地に選んだようにも思える。
南西に配備した人数よりも北西の方が圧倒的に多いのだ。
三勇教の連中は国家反逆罪および国家転覆罪未遂の容疑で捕縛されている。俺が殺した連中も全員その容疑がかかっていたらしい。ま、誤差だよね。
ちなみに、あまりにも凄惨な光景で、処理が(精神的な意味で)大変だったらしい。
尚文が目覚めるまでの間、俺たちはメルロマルク城下町内での休息が許可された。俺は、今回の教皇討伐に協力した報酬としてこれまでの全ての殺人による罪を免除された。
なお、俺もしばらくはメルロマルクに滞在してほしいとライシェルさんに言われたので、半分強制なのだろうな。
勇者枠ではなく、冒険者枠だから期待はしてないが。
「ほんっと、お疲れね。ソースケ」
「……良い運動になった程度だったんだがなぁ。むしろ、金剛寺の方が怖いわ」
「まあ、アンタの場合は戦いよりもそれ以外の場面でお疲れって事よ」
俺とリノアはお茶をしていた。
レイファは、メルロマルク城下町の人たちに無事を伝えるために、店を回っている。
アーシャは、面倒なので情報収集をさせていた。
当然、国外の情報である。
これから、カルミラ島でのイベントが発生するが、俺たちのいく先はまだ決まっていないのだ。だからこそ、アーシャに任せた。対価を払うつもりはないけどなー。
「しかし、レベル105なんて初めて見たわ。人間の限界って100までじゃなかったっけ?」
「ああ、あの生意気な冒険者から奪ったこのナイフ、七星武器の投擲具だからな」
「あ、なるほど……え!」
驚いた表情をするリノア。気づいてなかったのか?
「いやー、それっぽいよなーっては思っていたけれど、やっぱりそうだったんだ……。はぁ……。あの噂が本当だったなんてね」
「ああ、七星武器の奪い合いって話か」
「そうそう。本来であればありえない事なんだけれどね。雲隠れした本来の投擲具の勇者様、それに、あんたの話によるボコボコにした斧の勇者様も、現在行方不明らしいわ」
タクトに殺されたか?
相性悪そうだし、仕方ないだろうが……。
今の俺ならば、斧の偽勇者程度ならそこまで時間をかけずに殺すのは難しくないだろうな。
「現在無事が確認されている七星勇者は、杖、爪、鞭の3つね。小手はまだ所有者が居ないし、投擲具はソースケが持っているのがわかっているから、行方が分からない勇者は斧と槌になるわ」
タクトが現時点で持っている七星武器は4つと言うことか。
鞭、爪、槌、斧。
つまり、現時点でタクトのターゲットは俺と言うことになる。
面倒だな。やはり運命は俺を逃してくれないらしい。
「……面倒だな」
「そうね。ソースケが持っていることが判明したら国際問題よ。出来るだけ隠した方がいいわ」
「そうだな。まあ、どこまで効果があるかは分からないがな」
すでに散々、俺はメルロマルク国内で投擲具を使っている。
人の口には戸をたてられないからな。いずれタクトの耳にも入り、簒奪しに来るのだろう。
タクトの女は全員クズしかいないから、皆殺しにして問題ないけれどな。
ステータスを開示すると、すでに槍の強化方法と、投擲具の強化方法が開示されていることがわかる。
投擲具の強化方法は、それこそ国家予算ほどの金が必要なので実行はしないがな。金銭によるオーバーカスタムってなぁ……。
「ま、これ以上は人殺しなんてしなくて済めばいいわね」
「いや、必要ならするぞ?」
「え?!」
リノアが驚く。
「この世界を荒らそうとしている奴は、容赦なく殺すさ。間違いなくそれが俺の役目だからな」
「……ふーん。まるで勇者ね」
「今はな。どうやら運命ってやつは、俺を逃がすつもりはないようだしな」
俺がため息をつくと同時に、伝令の兵士が俺の元にやって来た。
ライシェルではないようだ。
「冒険者、《首刈り》のソースケ殿。いや、投擲具の勇者様。女王陛下がお呼びです。ご同行願えませんでしょうか?」
この、原作とは少し異なる世界で、俺は何をすれば良いのだろう?
間違いなく、人殺しではないのは確かではあるが。
まあ、もはや皆殺しは趣味みたいなところもあるのは否定はしないが。
俺はため息をついて、同行することにした。
「わかったよ。行くぞ、リノア」
俺は、メルロマルク城に足を向けてのだった。
これにて、槍の勇者編完結です!
次回は裁判とかになりますねー。
大幅に変わっているわけではないので、基本的に同じ流れですが、宗介はどうやってタクトの魔の手から逃れるのか!
ご期待ください。
次はほんへはカルミラ島編!宗介たちはどうする?
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カルミラ島行き
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世界に出る
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メルロマルク国内で残党狩り