波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず

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エピローグ

「さて、今後の方針について話し合うとしますか」

 

 俺がそう提案すると、部屋にいる全員がうなづいた。

 メンバーはもちろん、レイファ、リノア、アーシャ、ライシェルだ。

 

「と言っても、我々は基本的にソースケくんに着いて行くので、話し合う意味はないかと思うのだが……」

「んー、まあそうだよね。とりあえずは勇者達と共にカルミラ島に行って、レイファとリノアの特訓をする事になると思う」

 

 特に、レイファにはちゃんと動ける必要がある。

 一応、合気道の稽古はつけているけれども、逃亡生活やら何やらで腰を据えてやってきてはいなかったので、魔物との戦い方も含めて練習する必要があった。

 

「特訓って、私、人を殺したいなんて思わないんだけれど……」

「ああ、まあ基本的にレベル上げだよ。勇者のパーティメンバーだと経験値に補正が入ってレベルが上がりやすくなっているから、カルミラ島の上限である80までは普通に頑張れば届くと思うし」

「そ、そうなんだ。まあ、魔物なら問題ないわ。レイファも一緒に上げるの?」

「ああ。俺だって強いけれど万能じゃない。今回みたいにパーティを分ける必要がある場合が起きたら、俺じゃ守りきれないからな。だから戦い方を含めて、二人には特訓してもらうつもりだ」

「うん、わかった! 頑張るよ!」

 

 レイファの意気込みがすごいな。

 やる気のある事は喜ばしい事だ。

 元々ドラルさんと共に狩りもやっていたし、魔物を殺すことにも抵抗がないしね。

 どっちみち俺は波とも戦う必要がある。絆の世界には行かないだろうが、他の世界には行く必要があった。その為にも仲間にはちゃんと力をつけてもらう必要がある。

 

「うん、で、レイファには俺と共に新しい魔法を覚えてもらうことになる」

「新しい魔法?」

「そう、魔物の魔法である竜脈法だ」

「魔物の……魔法……?」

 

 まあ、嫌な顔するよね、うん、わかっていた。

 

「と言っても、昔の人は使えたらしいんだけれどね。失われた魔法と言った方が正しいかな」

 

 普段の魔法がオドを使う魔法ならば、竜脈法はマナを使う魔法だ。人間ならば竜帝からの祝福を得て使用できる魔法である。

 

「これは俺も習得する予定だから、レイファにも覚えて欲しいんだ」

「うーん……、そう言う事ならわかった」

「私は?」

「リノアも覚えたいなら」

「それなら私も付き合うわ」

「ソースケ様、私はどうでしょうか?」

 

 アーシャは正直、今のままでも十分強い気がする。

 だが、この勇者の成長補正も期間限定だ。

 

 隠密の娘はあまり得意にはならないだろう。地ではなく天の属性を持つゆえにな。

 

 なるほど。

 

「アーシャはどうやら習得難易度が高いらしい。だからアーシャには戦い方をレイファに教えて欲しい」

「わかりましたわ。ソースケ様の命ずるままに」

 

 うーん、なんでこうなった。

 正直、アーシャにここまで忠誠を誓われる謂れはない。

 

「ライシェルさんは、リノアの方を見て欲しいかな。熟練の騎士だし前衛の知識をうまく教えれる気がする」

「良かろう。で、ソースケくんはどうするのかな?」

「うーん、俺はこのチームでの連携の練習かな。と言っても、俺は中衛向きの性格しているし司令塔をしながら適宜動くことになりそうだな」

「……そうだな。ふむ、ならばボス戦……と勇者達が言うが大物と戦う時にでもその連隊を確認して、小物は俺たちで戦ってレベルを上げるのがいいだろうな」

 

 俺はうなづいた。

 俺がオールラウンダーなのはそうだが、それ以外のメンバーは役目がある程度決まっている。

 ライシェルとアーシャが前衛、リノアが中衛、レイファが後衛兼後方支援となる。

 ならば、チームの連携を確認するのは重要だろう。

 

「オッケー。それじゃあカルミラ島でやることは決まったな。後はレイファとリノアは装備の新調が必要になりそうだから、親父さんの店に行こう。アーシャは、……今のところ必要な情報は国外の、それもフォーブレイの皇子であるタクトの動きぐらいだな。こいつをメルロマルク国内で軽めに集めてきてくれ。最長でロラに4日後に到着してればいい。最短で今日中だ。盾の勇者の尚文が出発した後に俺らも出る」

「わかった!」

「いいわ」

「かしこまりました」

「ライシェルは……そうだな、仕事があるだろうし、引き継ぎが終わったら合流という感じで」

「私は既に引き継ぎは終えているんだがな。……そうだな、元部下の様子を見に行くとしよう。現在は治療院にいるはずだから、見舞いに行くことにするか」

「うん、それじゃあメルロマルク出発は15:00予定だ。それまで各自必要な準備をしてくれ。解散」

 

 そんな感じで俺たちは、各自行動をすることになった。

 眷属器は四聖に近づいても経験値が入らないという弊害は無いんだよね。だから、どの島で経験値を稼いでも問題はない。

 ただ、樹や元康と一緒に狩るのは俺の精神衛生上ダメだろう。

 樹には燻製が居るし、そもそもあいつらは横取りするからな。

 元康のそばにはヴィッチが居る。

 すなわち、近くに居るべき勇者は決まっているだろう。

 

 さて、親父さんの店だが昨日来たばかりだな。

 

「いらっしゃい。あんちゃんか。今日はどんな用だ?」

「仲間の武器を見繕って欲しくてね」

「いいぜ。ブーメラン使いの嬢ちゃんと、お嬢ちゃんだな」

「私はリノアよ。よろしく」

「レイファです! ソースケがいつもお世話になっています」

 

 レイファ達がそれぞれ自己紹介をする。

 

「おう、それじゃ、手を見せてみな」

 

 親父さんに言われて、リノアとレイファはそれぞれ手を見せる。

 

「ふーん、なるほどね。ブーメランの嬢ちゃんはそれなりに熟練、お嬢ちゃんは武器すら握ったことが無いと。ならば、ブーメランの嬢ちゃんは店売りだがこっちのブーメランを使った方がしっくりくるかもな」

 

 親父さんはそう言うと、大型の魔法鉄製ブーメランを取り出す。

 

「エアウェイク加工がしてあるから、軽いし扱いやすいはずだ」

 

 俺が受け取ると、装備が投擲具に切り替わりウェポンコピーが作動する。

 詳細は伏せるが、なかなかいい装備のようだ。

 まあ確かに、ブーメランって投擲具だしね。

 

「ふーん、やっぱり親父さんは腕がいいんだな」

 

 俺が渡すと、リノアは軽く振って見て、驚く。

 

「確かに……すごくしっくりくるわ!」

 

 親父さんは次に魔法杖を取り出した。

 赤黒い木が複雑に、意味ありげに絡み合い、先端にエメラルドの宝石が取り付けられている。絡み合っている木にはそれぞれ紋様が刻まれており、魔力をブーストする機構なのだろうということを予測させる。

 結構スマートな見た目をしており、インテリアとしてもおしゃれな感じだ。モダンアートみたいな造形をしている。

 

「んで、お嬢ちゃんにはこっちの魔法の杖なんてどうだ? 魔法屋の婆さんのところでも取り扱っているが、ここで作っているんでね。木の絡み具合と先端の宝石が魔法をブーストする仕組みになっている。エメラルドを使っているから、風魔法と相性が良いはずだぜ」

「ありがとうございます!」

 

 うーん、レイファが途端に魔法少女に見えてきた。

 服装は村娘のそれなんだけれどね。

 

「後は、軽めに防具を着たらいいだろう。サイズを教えてもらえれば、調整しておくぜ」

「それじゃあお願いするわ」

「おうよ」

 

 リノアは親父さんにサイズを言うと、新しい防具を購入した。

 要所要所は固く守られているが、かなり動きやすそうな防具である。

 

魔法鉄の胸当て

 

「もうちょっとレベルが高くなるとオーダーメイドが良いんだけれどな。カルミラ島に行くんだろ? 時間がある時にでも注文してくれよな」

「ああ、いつもありがとう」

「良いってことよ。それじゃあお代を頂こうか」

 

 俺は親父さんに今回の料金を支払い、武器屋を後にした。

 防具やブーメランは、リノアから下取りに出して良いと言われたので(あっても荷物だしね)引き取ってもらう。

 

「ありがとよ。またのお越しを待ってるぜ」

 

 次は、龍刻の砂時計に向かった。

 そこで砂をもらい入れると、スキル、ポータルスローが内包された龍刻シリーズが解放される。

 こうして俺たちは、カルミラ島へ向かう準備を進めたのだった。




こんな感じで一旦区切りにします。
しないと章的に長くなりそうですしね笑
次回からカルミラ島編です。

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