波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず

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マッスルとフィトリア

 俺たちは勇者達の1日遅れで港町ロラに向かって出発した。

 ラヴァイトの首にはチョーカーがついており、変身するとここから服が出現する。

 いや、うん、なんでラヴァイトが屈指のネタキャラになっているんだろうか? 

 何だろうあのナマモノ変化は?? 

 俺はラヴァイトの引く馬車に揺られながらそんなことを考えていた。

 フィロリアル・キング形態のラヴァイトは素直で大人しい。

 それが、あのマッチョでオイラァ! ……。

 レイファも、あの記憶を無かったことにしたいのか、何も語らない。

 

 ちなみに、あの件についてリノアには白状させたところによると、どうやら一緒に寝ていた際に勃っていたらしく、それでサイズを知ったそうな。触ったけれどもズボンは下ろしてないと本人証言だがね。

 気をつけようと思いました。

 

 ロラまではなかなかの距離があるので、だいたい夕方には途中の村に泊まる予定だったが、時間がないため夜8:00ごろまではラヴァイトに働いてもらうことにした。

 そんな移動中のこと。

 

「ゴシュジンサマー、ソースケー。近くに行くよって」

 

 とラヴァイトが起き上がって反応した。

 なるべくあのふざけたナマモノの姿は見たく無かったのでフィロリアルでいろと言ったら、「わかったー。オイラもほんとうの姿の方が好きだし、いいぜー」と言っていたため基本的にはラヴァイトにはフィロリアル・キングの姿でいてもらっている。

 

「あー……、フィトリアか」

「多分そう」

「フィトリア……? 知り合いなの?」

「ああ、以前死にそうなところを助けてくれたフィロリアル・クイーンだ」

「それじゃあお礼を言わないとね」

 

 俺としては、尚文から聞いているのであんまり会いたくない相手だった。

 しばらく進んでいると、周囲に霧が立ち込める。と同時にフィロリアルの鳴き声が周囲から聞こえてくる。

 

「はぁ……」

 

 俺は、いつのまにか馬車の中で座っていたフィトリアを見つけてため息をする。

 

「久しぶり、ソースケ」

「ああ、まさかまた会う事になるとは思っていなかったよ、フィトリア」

 

 俺が返答をすると、全員が彼女……フィトリアを見て驚く。

 

「ええ?! 女の子?!」

「い、いつの間に?!」

「気配すら感じさせませんでしたわ!」

 

 フィトリアは相変わらずのマイペースな感じで、トンッと馬車から降りる。

 俺たちもフィトリアに習って馬車から降りた。

 外には、フィトリアの武器である馬車が待機していた。

 

「はじめまして、投擲具の眷属器の勇者一行。わたしはフィトリア。フィロリアルの女王。そっちは?」

 

 自己紹介をしろと言うことらしい。

 

「わ、わたしはレイファです!」

「リノアよ」

「アーシャです」

「ライシェルだ」

「オイラはラヴァイト! ゴシュジンサマとソースケのフィロリアルだぜ」

 

 ボフンとマッチョに化けるラヴァイト。

 さすがのフィトリアも、そのラヴァイトの容姿に驚いている。

 

「……そ、その、もう少し普通の格好は出来ない?」

「普通ー? オイラはこの姿が好きでなってるんだぜ?」

 

 サイドチェストをキメるラヴァイト。

 うーん、キレてるよキレてるよ! 眠れない夜もあっただろう。

 

「そ、そう……。へんなフィロリアル・キング。フィトリア、困惑してる」

 

 想像するに、きっとドラルさんになりたいのだろうか? 

 ドラルさんも筋肉ムキムキのマッチョマンだった。

 で、ラヴァイトはレイファの保護者のような感じで守っている。

 だから、本来の容姿である幼い顔のしたが筋肉ムキムキマッチョマンの変態になってしまったのではないだろうか? 

 

「フィトリアは、ラヴァイトも王候補としての試練を与えに来たのか? フィーロもそうだったように」

「そう。そのつもりで来た。ラヴァイト。フィトリアと一対一で戦って。もちろん、この姿で」

 

 ラヴァイトがチラリとレイファを見る。

 

「ラヴァイトならば大丈夫だよ」

「ラヴァイト、合格すればレイファをがっちり守れるぞ」

「うん、オイラやってやるぜ!」

 

 俺がそう指摘すると俄然やる気を出すラヴァイト。

 フロントダブルバイセップスをしながら、フィトリアと対峙する。

 大胸筋が歩いてる! 

 と同時に、フィトリアが風の結界を張る。邪魔するなと言うことだろう。

 

「それじゃあ始める。ラヴァイトが負けたら、……特に何もない」

 

 チラッと俺を見るフィトリア。何だって言うんだ。

 

「いくぜぇ! オイラの強さを見せてやる!」

 

 ラヴァイトは、やはりあのマッチョなボディとは到底思えないほどの速さで動く。あれはハイクイックだろうか? 

 

「遅い」

「まだまだ!」

 

 ラヴァイトのマッスルな両腕から繰り出されるラッシュパンチ。

 それは、拳の壁であった。ヒェ……。

 

「当たらない」

「うわぁ!」

 

 それもフィトリアに回避されて蹴り飛ばされる。

 ズササッと耐えたラヴァイトの足から土煙が出る。

 

「はあ!」

「ふんっ!」

 

 そこには、幼い子供がマッチョマンを責め立てる異様な光景が繰り広げられていた。

 マッチョマンとは思えないスピードと、マッチョなボディを生かした野性味溢れる攻撃のラヴァイトに対して、フィトリアの冴え渡る無駄のない攻撃は、何というかやはり異様な光景である。

 俺たちは何とも言い難い表情で、その光景を眺めていた。

 

 しかし、ラヴァイトが殴った地面は抉れている……。

 戦い方は徒手戦闘といった感じか。

 

「ツヴァイト・ダークネス」

 

 ラヴァイトは魔法を唱える。闇魔法だろうか? 

 イメージはガッシュベルで言うところのリオル・レイスのような感じで、両腕から闇ビームで周囲を薙ぎ払う。

 その合間を縫って、フィトリアがラヴァイトに近づき殴る蹴る。ラヴァイトも回避をするが、結局ボコボコにされていた。

 

「ツヴァイト・ダークブースト」

 

 ラヴァイトは闇をまとって攻撃をする。

 おっと、なかなかえぐい攻撃だな。殴った地点に魔力の残滓が残っている。あれが地雷みたいになるのだろう。肉体強化でもあるのか、能力も補正がかかっているようだ。

 だが、それでも傷つけることができないフィトリアは間違いなく化け物なのだろうな。

 俺だったら、当てるだけならば……出来そうだけど……。

 

「どうした? その程度では守れない」

「オイラは! オイラァ!! オイラは負けない!」

 

 バカアンと激しい殴り合いが勃発する。

 もはや見た目がフィロリアルの戦いではない。

 筋肉マンが幼女に負ける異様な光景だ。

 

「オイラはゴシュジンサマを守るんだああああああ!」

 

 ラヴァイトの渾身の一撃が、フィトリアに入る。

 掠っただけに過ぎなかったが、一撃は一撃だった。

 ラヴァイトは拳を振り上げたポーズのまま膝をついた。

 

「ふっ、合格」

 

 こうして、幼女になぶられる筋肉マンと言う異様な戦いは終了した。

 いや、正直ビビったね。ラヴァイトの強さにだけれど。




ちょっとギャグテイスト研究中なので遅くなるかもです。

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