波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず

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マッスルと仲間交換

 元康はヴィッチに連れられて、元のテーブル席に戻って行った。

 しかし面倒なことになったな。仲間交換などと面倒くさい状況だ。Web版の展開だっけ。いや、あっちの方は強制だったが。

 まあ、実際錬は意味がないし、樹の場合は俺と燻製の殺し合いが勃発するので実行できないだろうが、現状元康パーティーと俺には蟠りはない。

 俺に旨味がないこと以外は断る理由がないのだ。

 ……俺のパーティ、普通に男もいるんだけどなぁ? ライシェルとラヴァイトの一人と一羽だが。

 

 ふむ、そろそろ退散するかな。

 

 そう思っていると尚文達が入ってきた。

 夜のレベル上げにでも行っていたのだろう。

 そこにはラルクやテリスの姿が見える。やはり基本は書籍版進行なのだな……。

 

「ふふふ……いいきぶーん」

「なんでソースケは私を女の子として扱ってくれないのよー!」

 

 レイファはすでに出来上がっている。

 チェイサーを注文していたけれど、ワインサワーをごくごく飲んでしまったらしい。

 リノアは俺の腕に纏わり付きながらグダを巻いている。バシバシ俺を叩くので地味に痛い。

 うーん、俺はまだほろ酔いなんだけどなぁ……。

 

「……やっぱりもう帰るか」

 

 俺はそう言うと、アーシャに指示を出す。

 アーシャは酔っているようには見えない。俺と同様に飲み方を心得ているのだろう。

 

「アーシャ、宿に戻るぞ。レイファを頼む」

「わかりました。ほら、レイファ。宿に戻るわよ」

「リノアも行くぞ、ラヴァイトは……?」

「オイラはもうちょっと聞いていくぜ」

「そ、そうか……」

 

 ラヴァイトは結局普通の魔物紋のままだったりする。

 我が儘も言わないし、放置していたが、高位魔物紋に直すのもありだなとふと思った。

 

「まあ、あまり遅くならないようにな」

「もちろんだぜ」

 

 という感じで、結局尚文達と絡む事無く俺たちは酒場を後にすることになったのだった。

 どうやらラヴァイトが居たことによるズレがあったらしいが、そこは気にしてもしょうがないだろう。なんと言ってもあのマッスルは目立つからな……。

 そんな感じで俺たちは、1日目を終えたのだった。

 

 

 翌日、午前中に軽めに稽古と龍脈法の訓練をした後、俺たちは元康のパーティと合流した。

 

「よ! 来たんだな」

「あの後ルコルの実を食べて大変な目にあったという割には元気そうじゃないか」

「あはは……。まあ、ま──アバズレ達の看病のおかげだな! ……朝はキツかったけれど」

「あん?」

 

 後半の方がよく聞き取れなかった。まあ、表情を見れば言いたいことは想像がつく。昨日の急性アル中の状態よりはマシになったのだろう。

 よく見るとまだ若干顔が青い。

 

「それじゃあ、仲間交換だな。ま──アバズレ、レスティ、エレナだ」

「ん、よろしく頼む」

 

 レイファとリノアが不機嫌そうな表情でヴィッチを見ているのが気になるな。

 まあ、王位剥奪されたし、以前のように権限はないから有害度は現時点では物語上一番低い状態だろう。有害度は霊亀編後に極大になるわけだが……。

 今のうちに始末してしまいたい気分になるが、俺が自分の意思で破棄するわけにはいかないだろうから抑えておく。

 

「よろしくお願いしますわ、勇者様」

「よろしく」

「よろしくお願いします」

 

 明らかに作り笑な三人。

 ミナと同じような扱いで問題ないだろう。

 

「まあ、こっちは知っての通りだとおもうが、レイファ、リノア、アーシャ、ライシェル、ラヴァイトだ。ラヴァイトはフィロリアルだが、マッスルだ」

「ええ?! フィロリアルだったのか……。ショタ顔にマッスルなんて、あの漫画を思い起こさせるな……」

 

 ダンベル何キロ持てる? 

 今の俺ならベンチプレスで120キロは行けそうだけど。

 

「よろしくです、槍の勇者様」

「よろしくね」

「……よろしくお願いしますわ」

「よろしく頼む、勇者殿」

「オイラはラヴァイト! よろしく頼むぜ、槍の兄ちゃん!」

 

 しかし、ずいぶん賑やかになったなぁ。

 フルメンバーでの戦闘経験自体はあまりないけれども。

 

「ああ、よろしく頼むぜ」

 

 と言うわけで、俺はヴィッチ達にパーティ申請を出す。無事承認される。

 

「それじゃ、夕方までレベル上げだな。お互いがんばろうぜ」

「そうだな」

 

 と言うわけで、俺と元康は別の島で狩る事になった。ヴィッチは完全に猫を被った態度である。

 

「勇者様はどうされる感じですか?」

「……普段はどうしているんだっけ?」

「私たちはモトヤス様の応援をしていますわ」

「ふーん、じゃあそれで良いよ」

 

 別に俺は連携する必要もない。

 投擲具でなら、ここにいる魔物は全員一撃で仕留められるからだ。

 投擲具を縛っても余裕なので、軽く肩慣らしをする程度で良いだろう。

 俺は、早速狩りを始める。

 スキルは縛っても問題なさそうだった。まあ、複製スキルである『エアストスロー』は使うがな。

 

「エアストスロー、セカンドスロー、トリッドスロー、コンボ、サウザンドスロー」

 

 俺は基本的にナイフを投げまくる戦法が主なので、大量の投擲具が必要になる。

 トルネードスローもコンボスキルであるが、俺はもっぱらサウザンドスローを使用する。

 複製したナイフを、魔物の首や心臓、頭を目掛けて投げる。

 

「つ……強い……」

「これが七星勇者様……」

 

 レスティとエレナが驚いている。

 俺としてはただの肩慣らしに過ぎないんだがなぁ。

 

「すごいですわ、さすがは勇者様ですね」

「ん」

 

 しかし、ヴィッチの様子は猫被ったミナそのものだな。

 特に俺に害はないから無視で大丈夫だろう。

 元康が書籍でどれだけレベルを上げていたか知らないが、それぐらいまでならあげても良いかな。

 ちなみに、投げて戦うと言う概念がある武器ならばなんでもコピーできる。

 槍しかり、斧しかり、チャクラムしかりだ。

 

「さて、どれだけレベルが上がった?」

「5ですわ」

 

 レスティの回答に、全員がうなづく。

 

「それじゃまあ、全員が70行き程度まで上げておきましょうかねー」

 

 俺はそう言うと、作業を再会する。

 結局、俺は大して運動量もなく、レベルも上がることはなかったが、ヴィッチ達をレベル70近くまで上げておいてやったのだった。

 ほとんど本気なんて出してないので、ヴィッチは俺の強さの秘密を盗むなんてできなかっただろうけれどね。

 どちらにしても、勇者とその仲間はこの島でレベル80になるのはどうしようもないのだ。だから、レベルを上げてやっても問題はないだろう。そう思わないとやってられなかった。




遅れて申し訳ない。

少し追記しました。

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