カルミラ島ではちょくちょく勇者連中を見かけるが、特にこれと言って特筆するようなことはなかった。
温泉の時間も修行でずらしていたのもあるし、兵士としての仕事もあるのかライシェルの表情に疲れが見えてくる。
「どうしたんだ、さすがに疲れて来たか?」
「いや、勇者たちが各地で問題行動を……特に弓の勇者殿とその仲間が問題行動を起こすので、その対処に追われてな」
「あ、あはは……」
きっと、ライシェルは本来の流れでもカルミラ諸島での問題に対応していた兵士なのだろうな。最近はリノアの訓練が終わったら兵士としての仕事のほうに向かうことがほとんどであった。
「剣の勇者殿はほとんど一人で戦っているので問題はなく対処は楽なんだが、盾の勇者殿はよくわからない商品を売り出して、そのクレームの対応が起きている。槍の勇者殿はナンパだな。それで苦情が来る。弓の勇者殿に至っては、他の冒険者の狩っている魔物の横取り、狩場の荒らし行為、それに市場でも権威や脅しを使った弓の勇者殿の仲間の強引な値切りと言ったことに対して苦情が乱発していてな……。すでに兵士の手が足りてない現状でな、私も駆り出されてしまっていると言った感じなのだ」
まあ、錬は問題を起こしようがないだろうな。
やっぱり、詐欺商の問題は苦情が来るよなと思った。
だって、目利きをすればあのアクセサリーにろくな効果もないことがわかるのだ。
レイファやリノアには買わないように伝えてあるので、購入していない……はずである。リノアがアクセサリーをしていたのは無視することに決めた。
「……俺は?」
「ソースケくんはそもそもレベル上げと訓練しかしていないだろう? 特に問題になってはいないぞ」
「そりゃよかった」
ちなみに、樹のいる島には冒険者が行かないように規制がかかるようであった。
そんなんだから弓の勇者には悪い噂しか存在しないわけで……。
やれやれだな。
ちなみに、龍脈法については俺はようやく水を浮かせることに成功した。
レイファに至ってはすでに習得完了しており、竜帝はレイファには才能があるなと関心をしていた。
「で、ソースケくんは今日はどうするんだ?」
「これからレベル上げをしてから、午後から訓練だな」
カルミラ島に来てから基本はこんな感じである。レベルも、ラヴァイト以外はすでに74になっているが、経験値の入りは悪くなってきているようである。
ちなみに、レベルの上昇が34も上がっていることにリノアは驚いているが、勇者の仲間の特権であることは伝えておいた。
ライシェル曰く、レベル40から俺のペースでレベル上げをすると、56まで上げて良いほうらしい。
経験値収集装置の影響だろうけれどもさ。
「そうか。リノアくんの動きもかなり良くなってきたし、今日は私は仕事のほうに集中させてもらおうと思う」
「ん、そうなのか」
「ああ、龍脈法……だったか? 私はそれを覚えることができないようだしな」
龍脈法は竜の加護を得られない者は習得できなかったっけか。
俺は龍脈法を使えるみたいだけれど、果たしてどちらの加護を得るのやら。
ちなみに、フィロリアルシリーズは一応全部開放されている。
「なら、仕事を頑張ってくれ。今日か明日あたりに盾の勇者が例のものを見つけるだろうから、それもよろしくな」
「ああ、水中神殿だったか? 一応は調査させたが見つからなかったが……」
「まあ、期待してろって。それじゃ、レイファ達と訓練に行くからよろしくな」
今日は狩場の奥の方に行く予定だ。集中特訓したおかげかとレイファの合気道も2級レベルまで習得することができているし、パーティの連携もだいぶできるようになった。リノアの技量が上がり、前衛がかなり安定感のある動きができるようになったのはかなりの進歩だろう。
カルミラ諸島を出たら俺は、メルロマルクを出て旅をする予定だ。
グリフォンと狐を確保するためにも、シルトヴェルト方面に向かう必要がある。
……東、なんだよなぁ……。霊亀国も東……。確実に巻き込まれそうではある。
いや、今ネガティヴなことは考えないようにしよう。今考えてもどうしようもないしな。
と、そんな感じで訓練をしていると、慌てた様子の伝令の騎士が訓練施設に飛び込んできた。
「投擲具の勇者様! 投擲具の勇者様は居られますか?!」
「……あ、俺だった」
普段ソースケ呼ばわりなので、自分が投擲具を持っている事を忘れがちである。
だいたい、投擲具を装備した状態で合気道を素手ですると、バチッと弾かれるから普段から装備しないようにしているのもあり余計にね。
「どうしたんだ?」
「盾の勇者様から急ぎの報告があるとの事で勇者様方は集まってほしいそうです!」
ああ……やっぱり、この世界は基本的には書籍・アニメ版が中心なんだな。
見つけた時間から考えれば、残り48時間ぐらいだっけか?
俺はレイファ達と顔を見合わせる。
「ソースケ!」
「わかった。案内してくれ」
「畏まりました!」
俺は騎士……若い騎士に案内されて、尚文達のところに向かったのだった。