ようやく捻り出せたので、更新します。
さて、尚文は波の準備のために東奔西走し、勇者達もそれぞれ準備をするのだろう。
俺たちはと言うと、もう一度ラヴァイトを連れて水中神殿まで行き(ポータルで移動)ラヴァイトのクラスアップをしてから再度ラヴァイトのレベル上げをしていた。
「オイラを舐めんじゃねぇ!」
マッスルパンチが魔物を粉砕する。
うむ、ナイスバルク。
「しかし、ポータルスキルってのは便利よね。ちょっと沖合まで行かないと使えないみたいだけれど」
「活性化中は転送無効地域になるみたいだからな」
転送不可なのは、サンクチュアリ系統の魔法の範囲内、儀式魔法の効果範囲内、活性化中の地域範囲内だったか。行きはホイホイ帰りは不可能って感じか。
「しかし、あのようなところに龍刻の砂時計が存在するなんてな……」
「うん、気付いてよかったですね」
俺は知ってはいたが場所までは把握していない。
描写もされていなかったしな。
ちなみに、実際の位置はかなり沖合で深い場所であった。よくもまああんな場所を見つけられたなと思うような場所である。
明確な人工物だったので、地殻変動でも起きて沈んでしまったのだろうか? 謎は尽きないがこの二日間は波に向けて準備をすることが先決だろう。
実際、この辺りの謎は書籍では放置されているしな。
とりあえず、俺たちは波に向けて準備を進めた。
せっかく使えるのだから、勇者のドロップ機能を利用してメンバー全員の装備を一新する。
まあ、基本的にはカルマー系統になってしまうわけであるがそれは仕方のない事だろう。
俺も一応勇者判定をもらっているので、投擲具で戦うことになってしまう。
仕方のない事だけれども、やはり使い慣れた剣や槍、拳や弓で戦うのがやりやすいと思うのであった。
使えないにしても、一応装備しておくことに越したことはないだろう。
そんな感じで、俺たちの準備は整ったのであった。
2日後、俺たちは勇者たちと共に船に乗り、戦場に立つことになった。
ウサウニーの着ぐるみを着て「ウサウニーだぴょん♡」とやっても良かったけれども、やっぱり却下されてしまったので仕方がない。
とりあえず、俺はどう動こうかな、なんて事を考えながら周囲を見渡すと、冒険者で賑わっている。
レイファたちもこの波の戦いに参加するつもりらしくやる気に満ちている。
──00:20
尚文達のパーティは女王様のいる船にいるのだろう。
俺がいるのは比較的冒険者の多い船であった。
他の勇者は兵士がいる船であるという事を考えれば、七星勇者に対する扱いの差と言うものだろう。
「おおー!」
遠くから士気の高揚する声が聞こえる。
チラッと周囲を見ると、みんなの目線が俺を期待するように見ていることに気づく。
……あれ、俺もやるのか?
レイファを見ると、うなづき返してくるし、リノアを見ると「期待しているわよ」と微笑んでくる。
……ええい! ままよ!
「お前ら、この波を乗り越えて稼ぐぞ!!!」
「「「おおー!」」」
冒険者が多いということもあり、俺はこのセリフを選んだ。
参加すればメルロマルクで報奨金が出るし、活躍したものにはさらに報奨金が出るのだ。
勇者が5人もいる現状、他の冒険者にとってもこの波は稼ぎ時だったし、カルミラ島でのレベル上げの成果を試す場でもあった。
だからこそ、こんな言葉でも士気が上がるのだろう。
00:10
「それにしても、海での戦いね……。私の攻撃って通用するのかしら?」
リノアが不安そうにそう呟いた。
リノアの武器は巨大なブーメランである。
水中の敵を葬るには直接ブーメランで切りつける接近戦闘が有効なのだろう。
「ああ、大丈夫。基本的には俺たちは船の上で戦うことになるはずだからな」
今回出てくる敵はサハギンのような水陸両用の敵がほとんどだったはずである。
海に引き摺り込もうとしてくるので、その攻撃を警戒して戦えば良いのだろう。
「そうなの?」
「ああ、水中に引き摺り込もうとしてくるから、それに注意すれば良い。まあ、雑魚散らしは他の冒険者と協力してやれば良いさ」
「ソースケはどうするの?」
「俺は、期待されている仕事がこの波の大ボスを倒すことだろうけれどね。尚文達の邪魔をするわけにもいかないから、後方でレイファ達を守るさ」
グラスとの因縁だとか、勇魚の討伐だとかは最低限砲撃の協力さえすれば十分だろう。
ここでのグラスと尚文達の戦いは、今後の大きなフラグになるだろうし、アニメでいえばエンディングテーマが流れるようなボス戦である。
遠くから傍観者のように眺めるならともかく、あまりわって入るのは俺の好みではないのだ。
ラルクやテリスとも因縁を持たないために、わざと避けてきたわけだしね。
やられ役になるのもゴメンだし、それならば俺にとって優先順位が高いレイファやリノアを守るのは当然と言えるだろう。
「それに、この投擲具は本当の勇者から預かっているものだしな」
俺はあの気弱な少女の顔を思い出しながら、その時を待つのであった。