波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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マッスルと次元ノ勇魚

 

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 その瞬間、景色が切り替わり、一瞬だけ身体が宙に浮く感覚を覚える。

 ギシッと船が音を立てた。

 俺はまっすぐと次元の波を見遣る。

 世界と世界がぶつかる際の反応であるぶつかっている部分がバイオレットに染まる現象から、改めて次元の波である事を再確認する。

 

「勇者様は他の勇者様と合流されないのですか?」

 

 メルロマルクの兵士の一人にそう問われる。

 前方にある大きな帆船に勇者のパーティが集まっているのが見える。

 

「ああ、あっちは四聖勇者様に任せて、七星の俺は他の連中の支援をするとしよう」

「なるほど! わかりました!」

 

 まあ、四聖勇者がいれば常識で考えると火力は十分だからな。

 一番の問題は、防御力以外がヘナチョコすぎるという事だけれどね! 

 錬ですら、強化方法を実践しているようには見えないのが哀しいポイントだ。

 

「ソースケ!」

 

 俺はすぐさま短剣に切り替えて、目の前の魔物を切り刻む。

 投擲具なだけあってリーチが短いのは仕方ないだろう。

 すれ違いざまに敵の急所を斬り、戻ってくる特性を生かして投擲具を急所を狙って投擲する。

 頭に当たれば攻撃力の差から魔物の頭部が破裂していたりするが、まあ気にしてもしょうがないだろう。

 尚文達の方を見ると、大型の帆船の上で戦っているのが見える。

 そして、別の船の上では鎌を持った冒険者が魔物を蹴散らしているのも視認できる。

 

 ──ブオォォォォォ

 

「ルコル爆弾が来るぞー! 一帯から避難しろー!」

 

 螺貝のような音がなると、兵士が海に向かって冒険者に叫ぶ。

 と同時に樽が海に投擲される。

 爆発音と同時に海の周囲が紫色に染まったと思ったら、波の魔物の死骸がプカリと浮かぶ。

 急性アルコール中毒で死亡したのだろうか。

 そう考えると恐ろしい兵器である。

 

 しばらく船に上がってくる魔物を船を移動しながら勇者達と合流しないように掃討していると、突然船が揺れ出した。

 

「な、なんだ?!」

「船が揺れてるぞ!」

 

 すると、突然船の地面を突き破って角が飛び出してきた。

 冒険者の一人が腹部を貫かれているのを目の当たりにしてしまう。

 と同時に船体が持ち上がり、船が破れて俺たちは空中に投げ出された。

 

「っ!」

 

 どうやら、俺が移動して戦っている最中に勇魚の犠牲になるはずの船まで移ってきていたらしい。

 ──ブオオオオオオォォォォォォォォ!! 

 

「ラヴァイト!」

「うん!」

 

 ラヴァイトがマッスルモードからフィロリアルに戻り、俺と近くの冒険者数名を確保して近くの……レイファ達に任せていた船へと飛び移った。

 

「ソースケ! ラヴァイト! 大丈夫だった?」

 

 レイファとリノア、アーシャが駆け寄ってくる。

 

「ああ、だが他の冒険者が巻き込まれてしまったみたいだ」

 

 勇魚が出現した影響か、船はかなり揺れていた。

 特に近いこの船は他と比べても小型のため、足場がかなり不安定になっていた。

 

次元ノ勇魚

 

 全長でおよそ50メートルのマッコウクジラをアルビノのように真っ白に染め上げて、船を貫き破壊したドリルのような角が頭部に生えている見た目をしている。

 所々にコブができているのか、そのせいで輪郭が歪んでおり、化物感が出ている。

 まあ、今の俺にとっては倒すというのはわけない事だろう。

 

「すごい……」

「ちょっと、ソースケ! あんなのどうやって倒すのよ!」

 

 レイファは勇魚を唖然として見上げており、リノアは慌てた様子でおれの服の裾を摘む。

 

「ん、ああ。四聖に任せておけば問題ないだろうさ。俺たちは海に落ちた冒険者達を助けるとしよう」

「え……盾の勇者様以外弱いんじゃないの? ソースケが協力した方が早く終わらない?」

 

 早く終わってもらっても困るんだけれどね。

 ここはちゃんとラルクとテリスに向こうの世界に帰ってもらわなければならないのだ。

 そうでなければ意図的にラルクを避けてきた意味がなくなるからな。

 

「ま、そうかもしれないが、ここでちゃんとフラグを回収しておきたいからね。俺の出る幕ではないのさ」

「……何か考えがあるなら良いけれど」

「そういう事。それじゃあ、あの船に乗ってた冒険者を助けに行こう」

 

 リノアの指摘を流しつつ、俺とラヴァイトは海に潜って海に投げ出された冒険者を回収していく。

 魔物をラヴァイトに蹴散らしてもらいつつ、小型船に乗ったレイファとリノアに回収した冒険者を託しながら回収して回った。

 ちらりと勇魚の方を見ると、尚文が盾で勇魚の突撃を受けているのが見えた。

 いやー、物理法則なんてあったものじゃないですね。

 そんな感想を漏らしつつ、水中で襲いかかってくる魔物を三枚に卸す。

 

 いやだって、片腕でツノを掴んだ尚文に対して巨大な勇魚が海中でジタバタしている光景はどう考えてもギャグの類だろう。

 

「流星槍! ライトニングスピア!」

「てい! えい! やあ!」

 

 元康とフィーロがそれぞれ各々で攻撃をしているが、遠くから見ても明かにフィーロの攻撃の方がダメージが入っているように見える。

 と、鎌を構えた(激ウマギャグ)ラルクが他の船から飛び降りて、スキルで勇魚の尾をぶった斬る。

 

 ──ブオオオオオオォォォォォォォォ!? 

 

 続けてフィーロも左側のフリッパーを蹴り飛ばすと、ブシュッと音を立てて吹き飛ばしてしまう。

 そして、ラルクとテリスが合体スキルを、フィーロが強力な技で勇魚にとどめを刺したのだった。

 

 ──ブオオオオォォォォォ……! 

 

 軋むような鳴き声を上げて、勇魚は絶命する。

 バシャーンと水しぶきと波を立てて、勇魚は大海原へその巨体を横たえたのだった。




ラヴァイトくんあまり活躍書けてないっすねー
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