波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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6巻の内容の開幕です。
あと少し原作に沿った動きになりますがご了承下さい。


残念勇者ってそれは無いでしょう?!
プロローグ


 思えば、この世界に来てから明確な休暇と言うものは存在しなかった。

 思い返すとずっと戦い続けてきた記憶しかない。

 こうして、ゆっくりと波の音を聞きながらやわらかい椅子に体を任せてゆったりする機会なんて、転移前でも存在しなかったけれどね。

 転移前だったら、きっとスマホで携帯小説を読んだり、ラノベを読んだり、合気道の稽古をしたりと忙しくしていたのだろうけれども、今は何か気が抜けてしまって何もする気が起きなかった。

 

 しかし、プライベートビーチねぇ。

 

 まるで富豪にでもなった気分である。

 元の世界に帰ることができたのならば、俺は元の生活に戻れるのだろうか? 

 人を殺すのに何のためらいもなくなってしまったし、むしろ悪辣な奴なら嬉々として殺せる自信があるような今の俺が、現代日本社会に帰ったところで社会適合できるのかどうかは正直不安しかない。

 だからと言って、元の世界に残してきた両親や兄弟は絶対に心配しているだろうし……。

 

 こう、何もすることがなくただ漫然と休んでいると余計な事ばかりが思い浮かんで俺を悩ませる。

 

「……はぁ」

 

 血濡れの勇者、何を悩んでおるのだ? 

 

 脳内にオモシロドラゴンの声が響く。

 

「ああ、何もすることがないといろいろと考えちゃうんだよ」

 

 実際、海は沖のほうが折れているのが目視できるし現状メルロマルクに戻るというのは難しいという話だった。

 

 そうか。我は長い時を生きている故に定命の者の考えを理解するのは難しいが、貴様のように生き急ぐものの憐憫には共感を覚えるな。

 

「そうかい」

 

 まあ、なぜこうぼんやりと休んでいるかと言うと、勇者を集めた反省会をこの後やるということで招集されていて、時間までの間の微妙な空き時間をどう過ごそうかと悩んだ結果であった。

 レベル上げをしようにも、現状カルミラ島で上がる上限値の80に全員が近いので別に経験値を稼ぐ必要もないうえにそんな時間もなく、かといって修行をしようにもそこまでの時間はない。

 レイファもリノアも自由時間にしているが、勇者である俺だけは招集に応じて集まる必要があったのだ。

 アーシャ? 彼女は近くにいると性的アピールをしてくるので、離すためにも情報収集をさせている。

 他の勇者のメンバーが何をやっているのかとか、そういう内容だけれどね。

 

「しかし、アイツと遭遇するタイミングがいつになるのかなぁ? 俺から向かったほうが手っ取り早いか?」

 

 正直、投擲具はさっさと手放したかった。

 勇者認定されてしまっている以上、この投擲具以外を武器として扱うというのは憚られるのだ。

 俺の戦い方が完全に制限されてしまっており、得意の合気道も、流水系の必殺技も使えないというのは不便でしかなかった。

 ラルクと戦ってみて思ったのだが、槍とボウガンが使えれば勇者のステータス補正がなくても有利に戦えた印象があった。

 ガントレットも防具ではなく武器扱いされて装備できない現状、投擲具で戦うほうがリスクであると言わざるを得ないなと、改めて思ったのがあの戦いだった。

 改めて、俺には投擲具は適正武器ではないのだなと感じる。

 

「どちらにしても、アイツと会うならば、ライシェルさんしか連れていけないわけだが……」

 

 タクトはたとえ夫が居ようと洗脳して強引に自分の妾にする危険人物だ。

 そして、従わない女性はごみのように消してしまうのも、事前知識として知っている。

 俺が倒すべき敵ではないが、洗脳術を使う狐には気を付ける必要があるのは言うまでもなかった。

 

 あと、最近原作の知識が記憶が薄れつつあった。

 重要なところはしっかりと記憶しているが、やはり書籍版独自展開なんかはだいぶ記憶がおぼろげになってきている。

 これはまあ、仕方のないこととはいえども下手な動きをすれば致命的なことになりかねないということを指していた。

 少なくとも、霊亀戦までの展開ははっきりと記憶しているので、それまでに勇者武器を手放して、表舞台から退場できればいいかななんて思ってはいるけれどね。

 

「おお、ソースケ君。ここにいたのか」

 

 色々と考えていた俺に声をかけたのは、ライシェルさんだった。

 

「あ、ライシェルさん。そろそろ時間か?」

「ああ、ソースケくん、陛下と勇者様がお待ちだ」

 

 俺はよいしょと身を起こすと、投擲具を装備する。

 体の中から投擲具のナイフが出てきて、身体に張り付く。

 なので、腰の鞘にナイフを突っ込む。

 伝説の武器は身体から離すことができない制約付きの面倒臭い武器だ。

 挙句に他の武器が使えないまであるため、特典はあれど俺にとっては迷惑でしか無い。

 

「それじゃ、着替えるからちょっと待っててくれ」

「ああ」

 

 俺は一応、今のグラサンにビーサンなアロハな格好から普段の冒険者然とした格好に着替える。

 鏡を見て思ったが、そろそろ髪を切りたいぐらいには伸びてきていた。

 床屋は王都で探せばあるんだろうけれどね。

 今まで犯罪者として逃げ回っていたので、前の方はナイフでざっくり切れていたが後ろは見えないので紐でまとめてポニーテールにしていた。

 メルロマルクに戻ったらちゃんと髪を切って整えたいものである。

 

 装備一式を見に纏い、武器は投擲具一つで俺はライシェルさんに案内されて勇者達が待つ会議室に通されたのだった。




とりあえず、かけるところは書きながらプロット立てていきます。
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