波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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女王陛下からの依頼

「……俺は知っていた」

「何だよ突然」

 

 錬が別れる前に俺にそう宣言した。

 

「レイファから聞いていたからな」

「ああ、そう……」

「俺は知っていたからな!」

 

 錬はそう宣言すると、自分のパーティのいるはずの部屋とは別方向にスタスタと去ってしまった。

 一体何なんだろう? 

 俺は疑問に思いつつ、自分にあてがわれた部屋に戻ったのだった。

 

 それから、俺は少しした後に女王陛下に呼び出しをくらう。

 ライシェルさんに案内されて、簡易の謁見の間のような場所で俺は女王陛下と謁見する。

 アーシャが同伴しているのは、仕方ないだろう。

 簡易の王座には女王陛下が座っており、近くにはメルティ第二王女、周囲には護衛の騎士(全員女性)がいる。

 

「投擲具の勇者様、お越しいただきありがとうございます」

「いえ。陛下、何用でございますか?」

 

 俺は早速、用件を聞き出す。

 余計なことを勘繰られたくなかった。

 

「ええ、投擲具の勇者様には近隣の国で発生しそうな波の対処を依頼したいと思いまして、呼び出させていただきました」

「なるほど、それは確かに勇者案件ですね」

 

 女王陛下はうなづく。

 

「ご存知の通り、現状盾の勇者であるイワタニ様以外の勇者様方は、忌憚なく言うと伝承の四聖勇者と比較して明らかに弱いと判断しております」

 

 だろうなと思う。

 普通の冒険者よりは強いレベルでは、はっきり言ってこの世界で言う『勇者』と名乗るのもおこがましいだろう。

 正直言って、四聖武器の強化方法と投擲具の強化方法全てを実践している俺よりも弱いのは明確である。

 ラルクには完全に相性負けだが、正直殺そうと本気になれば殺せるのは間違いなかった。時を止めて首を跳ねれば終了だからな。

 

「これでは、四聖勇者を派遣したところで我が国は『偽物の勇者を派遣した』との罵りを受けるのは火を見るよりも明らかと言うのが現状でございます」

 

 これは原作でも尚文に言っていた事である。

 現状、メルロマルクは盾の勇者が改革中、他の四聖勇者を盾の勇者が鍛えていると言う状況なのだろう。外国に対する建前という意味で。

 俺に関してはどうなんだろう? 

 本来の投擲具の勇者はコーラに殺されているだろうしね。

 そのコーラを俺が殺したから、俺が投擲具保有者になっているわけだが。

 

「なるほど、わかりました。それでは私が他の四聖勇者に変わり他国の波を抑えるよう努めることにしましょう」

「ええ、ありがとうございます。我が国としても依頼する以上、支援と報酬をお支払いいたします。メルロマルク金貨150枚と、戦力としてライシェル=ハウンドを連れて行くことを許可します」

「ありがとうございます」

「場所は、メルロマルクより東側、霊亀国の南の国のウォーランになります」

 

 俺は、霊亀国と聞いて顔が引きつったと思う。

 運命はどうやら俺を本編に絡めたがるらしかった。

 

「おや? どうされました?」

「い、いえ。承りました」

「ありがとうございます。対処を確約していただき、こちらとしてもありがたい事でございます。では、報奨金の前払いをさせていただきます」

 

 女王陛下がそう言うと、ライシェルさんが金貨袋を俺の前に出す。

 俺はそれを受け取る。

 

「では、お願い致しますね」

 

 女王陛下はにこやかな笑みを浮かべて、俺に依頼を出した。

 その笑顔はさすが美人だなと思うには十分なものであった。

 

 俺がライシェルさんとアーシャを連れて部屋に帰ると、レイファとリノアとラヴァイトが待っていた。

 

「あ、ソースケ、お帰り」

「勇者会議はどうだったのかしら?」

 

 うん、レイファの笑顔は眩しいな。

 守りたい、この笑顔。

 

「ああ、まあ、相変わらずだったよ。盾の勇者だけが強くなり、他の勇者は弱いまま据え置きって感じ」

 

 俺は遠慮なくそう言うと、ライシェルさんがため息をついて同意する。

 

「ああ、ソースケくんの言う通りだ。正直言うと、私は彼らの思考が理解できないよ。何故、強くなる事に興味があるにもかかわらず、実際に強くなった盾の勇者様の結果報告を受け入れることをしないのか……」

「まあ、あの性格だしね。極悪王女のビッチ、だっけ? そいつが仲間の槍や胸糞悪い弓はまあ、痛い目合えばいいけれども、剣の勇者様が受け入れないことについては若干疑問が湧くけれどもね」

 

 リノアはビッチの名前を吹き出しつつそう言った。

 もはや様がついているのは錬だけであった。

 それほど、他国出身のリノアにはそう見えるのだろう。

 

「錬は変にプライドだけは高いからな。……敵からのアドバイスは受けたく無いんじゃ無いの? そもそも、あいつらお互いをライバルだと思っているみたいだしね」

 

 俺がそう言うと、リノアは鼻で笑う。

 

「ふーん、くっだらないプライドね。頭悪いんじゃ無いかしら?」

 

 リノアの忌憚なき言葉に俺やレイファは苦笑する。

 

「あ、ソースケ。そういえばお土産買ってきたんだよ。このアクセサリーなんだけど……」

 

 レイファがそう言って取り出したのは、どこかで見たようなアクセサリーだった。

 

「なんか、これを身につけてカルミラ島で魔物を倒すと経験値が増えるお守りなんだって!」

 

 ……あの詐欺商か。

 早速レイファ達は引っかかってしまったらしい。

 俺が鑑定スキルを使うと、粗悪品と出る。

 いやまあ、そう言う事だよね。

 だが、俺はレイファの思いやりを無碍にすることはできなかった。

 

「ああ、レイファ。ありがとう、大切にするよ」

 

 俺はにこやかにそれを受け取ると、ポケットに仕舞う。

 

「それじゃあ、アーシャ、調べたことを報告してくれ」

「はい、わかりました。ソースケ様」

 

 俺はアーシャから勇者の仲間連中が何をしていたかの報告を受けるのだった。




アンケートの結果、波の場所が霊亀国のちかくになりました!
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