時間になり、俺たちと兵士たちは波の現場へと飛ばされることになった。
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この時間の表記が出た瞬間に俺たちは波の発生場所に飛ばされる。
同時に、空がワインレッドに染まり、世界にヒビが入る。
どこの世界と接続したのだろうか?
まあ、そんな事はどうでも良かった。
「……このタイミングでか」
俺は呆れつつも、武器を構える。
そう、目の前には少し長めの癖なしの金髪にバンダナを巻き、黒い革ジャケット・ジーパン、レザーブーツといった、米国ドラマによくいそうなアウトローバイカーめいた服装をした偽物勇者である、タクト=アルサホルン=フォブレイがそこにはいたからだ。
もちろん、獣っ子っぽいタクトの取り巻きもいることが確認できる。
「お前が俺様の武器を持つ偽勇者だってな?」
転移と同時に俺とタクトは睨み合っている。
「あ、あんた、いったい誰よ!」
リノアがそういうと、タクトはイケメンぶった感じの仕草をしながらこう答えた。
「俺様か? 俺様はタクト=アルサホルン=フォブレイ。フォーブレイの天才王子様で、真の勇者様だ。よろしくな、お嬢さん達」
ウインクをするタクト。
いや、本物を見るのは初めてだけど、なんかウザいな。
「鞭の勇者様?! いったいどういう事なのよ?!」
リノアが困惑する。
この時期はゼルトブルの闘技場で戦っているイメージだったが、なんでこんなところにいるんだろうか?
「わからんが、あいつも勇者武器争奪戦の参加者じゃないのか?」
俺はとぼけつつも、全員を守るように前に出る。
「どういう事だ……?」
ライシェルさんの言葉に、俺は周囲を見回す。
分隊はすでに解散しており、兵士たちは俺たちを取り囲んでいる。
これは……!
「ハメられたか……!」
一緒に転移してくる状況と言い、そうとしか考えられない状況だった。
「投擲具の偽勇者め! 帝を騙すとは言語道断だ! 今すぐ死をもって償うといい!」
兵士の先頭に立つ男がわざとらしくそう宣言する。
近くに村があるだろうに、それを守らずに俺たちに矛先を向けているのは、そういう事なのだろう。
「ど、どうするのよ!」
「逃げるしかないだろ。なんとかしてね」
「ソースケ様……!」
「ライシェルさん、レイファを頼む。ラヴァイトに乗って脱出してくれ。俺は鞭の勇者どもをなんとかする。リノア、アーシャはライシェルさんと一緒にこの場を脱出してくれ」
俺は最低限の指示を出す。
「君一人で鞭の勇者の軍勢をか?」
「あれは、俺でも苦しいかもしれない連中だ。敵対する以上ライシェルさんもレイファも命はないだろう。洗脳されるかもだがな。だったら逃げる以外ないだろう?」
「……わかった」
ライシェルさんはそう言うと同意する。
「でも、ソースケ、私も手伝った方が……」
「いや、撤退だ。俺も機を見て撤退するからな」
「……わかったわ」
リノアは反論しようとするも、俺の焦りの表情から不満はあるが飲み込んでくれる。
「作戦タイムは終わったか? なら、始めようか!」
タクトはそう言うと、武器を禍々しい爪に切り替える。
……来る!
「ヴァーンズィンクロー!」
俺はリノアを突き飛ばし、タクトの攻撃を回避する。
黒い呪いの爪が俺とリノアの間を通り抜ける。
「行け!」
俺は指示を出すと、タクトのところに駆け出す。
これは俺の宿命だ。
「へぇ……やるじゃねぇか。おい、エリー!」
「わかりました。鉄砲隊!」
銃を持ったメイド部隊が銃を構える。
この世界ではレベルとステータスによって銃の威力がダイレクトに影響してくるわけだが……。
──ドンッ!
音がすると同時に、現実世界での鉛玉のスピードと変わらないスピードで発射される弾。俺はスキルを使って時間をとめて、それを全て避けて移動する。
「なっ?!」
銃を持ったメイド部隊が困惑する。
まあ、そりゃ時が止まった側からしてみればおどろくことだろう。
俺は投擲具をチャクラムに変化させ、スキルを発動させる。
「エアストスロー、セカンドスロー、タイフーンスロー!」
俺は死なない程度にメイド部隊を風で吹き飛ばす。
その際切り刻まれるが、手加減を加えた攻撃だ。死ぬ事はないだろう。
「エリー! みんな! クソ! 卑怯だぞ!」
「?」
卑怯も何も、攻撃してきたから仕返しただけだが……。
ああ、そう言うやつだったな。
なら、この言葉を送ろう。
「出てこなければ、やられなかったのに!」
そう言いつつ俺はチャクラムを投げて、メイド部隊の銃を切り落としていく。
銃にチャクラムが命中すると、使えないように真っ二つに切り裂かれていく。
「タクト、あやつには遠距離攻撃が通用しないようだ」
「レールディア?」
「それに、奴は竜帝のかけらを取り込んでいる。故に我が相手をしよう」
「わかったぜ。俺らはサポートしよう」
俺はそう言って出てきたレールディア……竜帝に足を止める。
レールディア……現在竜帝に最も近い竜だな。
お前の体内の我を狙っているようだぞ!
「知ってる。手加減しないといけないが、手加減なんてできる相手じゃないこともね!」
レールディアは手を竜の形に変化させると、襲いかかってくる。
「勇者武器ならず、竜帝のかけらまでも……! 全て没収してやる!」
ギャンっと音を立てて、ナイフに変化させた投擲具と竜の爪がぶつかる。
物語上殺せない相手なので、死なない程度に痛めつけるしかないのが辛いところだ。
「やってみろよ……な!」
俺とタクト軍の戦いは始まったばかりだった。
タクト登場です。
ラスボスと言ったな、あれは嘘だ。
うわああああああああああああああああああああああああ!
ラヴァイト忘れてたので追記w