波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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vs槍の勇者

「元康ぅ……!」

 

 俺は元康を睨みつける。

 

「こう言うシチュエーションは2度目だが……。宗介、お前何やったんだ?」

 

 案の定元康は状況が分かっていなかったらしい。

 うーん、この。

 なので、クソビッチ王女が元康に説明をする。

 

「元康様、彼は偽勇者だそうですわ! 勇者を騙るのはこの世界では許されざる罪です!」

「偽勇者ぁ? 確か、宗介は投擲具の勇者じゃあ……?」

「彼は鞭の勇者様が正統なる勇者でないことを詳らかにした偽勇者でございます! 勇者を侮辱する愚か者は、倒さなければなりません!」

 

 余計な事をほざくウォーレン兵士。

 

「くっ……槍の勇者殿に説明をしようにも、彼の頭では理解が難しいだろうな……!」

 

 ライシェルさんは元康を阿呆扱いをする。

 本来はあそこまで阿呆じゃあ無いんだけどなぁ……。

 まあ、俺もやり直しの吹っ切れた元康を基準としてついついみてしまうが……。

 

「とにかく、捕まったら面倒だ! なんとか切り抜けるぞ!」

 

 俺は普通の槍を構えながらみんなに指示を出す。

 

「ライシェルさんはラヴァイトとレイファを守ってくれ! リノアは逃走経路の確保! アーシャは俺と共に元康どもを抑える!」

「任せてくれ!」

「わかったわ!」

「了解しましたわ」

 

 流石に、元康はタクトほど容易くならないだろう。

 

「来るか! 向かってくるだけ尚文とは違うな!」

「元康様! 援護しますわ!」

「させないわ」

 

 ほぼ同時に、俺と元康の槍が撃ち合い、クソビッチを守るために商人ビッチのエレナが前に出て、アーシャのナイフと撃ち合う。

 

「なんで私が前に出なきゃならないのよ!」

 

 エレナはそう悪態をつきつつも、アーシャとの近接戦闘を始める。

 俺の方も、元康に集中する必要がありそうだった。

 撃つもよし、切るも良し、突くも良しの万能武器の槍だ。

 狂う前の元康ならば、純粋な技量による近接戦闘ならばなんとか対処できるはずだ。

 元康にとっては槍は武器だが、俺にとっては手の延長だ。

 勝利条件はリノアの逃走経路の確保とラヴァイトの立て直しまでの時間を稼ぐ事。

 ならば十分対処できるだろう。

 元康の攻撃は、正直言って鋭い。下手な素人よりは上手いだろう。

 だがしかし、人を殺す訓練を受けた兵士よりは劣るし、そもそも槍に殺気は篭っていなかった。

 

「うげ、気持ち悪い槍捌きだな……!」

 

 俺は槍を元康の槍に合わせて全て受け流していた。

 

「しかし、槍を普通に使っているってことは、本当に勇者武器をなくしたんだな!」

「元々俺は、投擲具なんて使い勝手が良くなかったのさ!」

「そうかよ!」

 

 しかし、改めて久しぶりにまともな日本語を聴くと奇妙な気持ちになってくるな。

 

「乱れ突き!」

 

 元康はスキルを放つ。

 例え殺気が乗っていないにしても、そのスキルは殺すためのものだ。

 だから、正確に打ち払い、流す必要があった。

 

「流水合気杖術」

 

 スキルなのか、特に口にするつもりもなかった技名が口から漏れる。

 スキルとして認識されたのか? 

 俺は元康の槍を全て自分の槍で捌き切る。

 流れた攻撃は全て、俺ではなく別の方向に逸れていき、地面を抉る。

 

「なんて奴だ! 少し本気を見せる必要がありそうだな!」

「やってみろよ」

「エアストランス!」

 

 聞いたことがないスキルだった。

 普段使うエアストジャベリンは槍を複製して投擲するスキルだったはずだ。

 こんな近接で使うスキルじゃない。

 

「お、驚いてるな? これは一時的に攻撃力を上げるスキルなんだ。こんなふうにな!」

 

 元康が槍を突いてくる。

 俺は咄嗟に受け流そうとしたが、槍の実態とは別の槍が逸らす前の方向に飛び出してきた。

 

「何?!」

 

 俺は咄嗟に身体を捻って回避する。

 つまり、エアストランスは実体の槍と重ねることにより、攻撃力が増加するスキルらしい。

 だからこそ、実態を逸らしたとしても、複製したエネルギーが俺を攻撃してきたわけだった。

 

「なんて厄介な……!」

 

 その効果に、元康自身も驚いている様子だった。

 

「へぇ……そんな効果もあるのか! なかなかに便利なスキルだな」

「チッ!」

 

 俺も、勇者は殺せない。

 だが、防戦一方と言うわけにはいかなくなってきたようだった。

 俺は腰から剣を抜く。

 元康相手には距離を取るのは圧倒的に悪手なのだ。だからこそ、前に出る。

 

「うおぉぉおおぉぉ!」

 

 元康の攻撃を身体を捻りながら回避しつつ、懐まで接近する。

 

「うおっ!」

「喰らえ!」

 

 俺は元康を容赦なく斬りつける。

 

「ガッ!」

 

 ダメージは受けたように見えたが、やはりと言うか傷ついたように見えなかった。

 中に着込んでいる鎖帷子に刃が当たったのを感じた。

 

「くっ! PvP得意か?」

 

 元康が横凪に斬りつけてくる。

 流石にそれをやられると間を取らざるを得なかった。

 

「元康様! ツヴァイト・ファイヤ!」

 

 クソビッチが俺に向かって炎を放ってくる。

 

「すまない、マイン!」

 

 ツヴァイト程度の炎、俺は気を巡らせた槍で受け流す。

 穂先に炎を纏った槍を回転させながら構える。

 

「私の炎を……!」

「利用させてもらう!」

 

 本来ならば、合成スキルなのだろうが、口から出たのは別のスキル名だった。

 

「火炎飛影槍!」

 

 勢いよく突くと、炎が穂先から飛び出す。

 

「炎の槍か……。俺も得意だぜ!」

「ツヴァイト・ファイヤ! そして単独合成スキル、炎の流星槍!」

 

 炎を纏った槍が空間に複数出現する。

 そして、流れ星のようにそれらが俺を襲撃してきた。

 厄介であることには変わりないが、こんな短調な攻撃は流石に俺に当たるはずがない。

 俺は地面を蹴って、元康に接近を試みる。

 

「マジかよ! あの中を駆け抜けてくるのかよ!」

 

 ギャリン! 

 剣と槍の刃が当たり、火花を散らす。

 

「おおお! 乱れ突き!」

「っらああああああぁあぁぁあぁああ!!」

 

 元康の槍と俺の武器が何度もぶつかり合う。

 その度に金属音が鳴り響く。

 今度は防ぐためではない、殺すつもりで元康に攻撃していた。

 

「ゆ、勇者様と対等に戦うなんて……! なんて奴だ……!」

「良いから! 元康様に加勢なさい!」

「あ、あんな戦いに我々程度ではとてもじゃないけど手出しできませんよ!」

 

 外野がうるさいが、俺は乱れ突きの合間に何度か元康にダメージを与えた。

 逆にこっちも、防御を捨てた分小さいダメージを負ってしまったが、仕方がないことだろう。

 

「グフっ!」

 

 先に膝をついたのは元康だった。

 少し、流血しているが、問題ないだろう。仲間(笑)が回復してくれるだろうしな。

 

「ふぅー! ふぅー!」

 

 俺は荒げている呼吸を整えつつ、周囲を見渡す。

 リノアはまだ、脱出経路を確保できてなかったし、ラヴァイトはまだレイファから回復魔法を受けている最中だった。

 あの戦い、そう時間がたっていなかったのだった。




土曜日の分ね、遅れて申し訳ない

最終章は盾の勇者が加勢する?

  • 加勢する!
  • オリキャラだけでやれ
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