波の尖兵の意趣返し   作:ちびだいず@現在新作小説執筆中

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元康の提案

「つ、強い……!」

 

 元康はそう言うと、槍から回復薬を取り出して飲み干す。

 

「チッ、しまった!」

「勇者同士のPvPってのも熱いが、俺たちもイベントが始まりそうだから急ぐんでね。悪いが遊びはここまでだ!」

 

 元康は槍を構え直すと槍の形状を変化させた。

 まるで火炎を象ったような槍は、その赤い鎧と見た目の統一感が良いように見えた。

 そして、変化した瞬間から炎を纏っていた。

 

「こいつは俺のとっておきの槍だ。フレアランス。魔物からのレアドロップだが、武器専用の特殊効果が俺と相性がいいんだ。本当は尚文とのリベンジマッチに使うつもりだったが、ここで使わせてもらう!」

 

 原作には無い展開に武器。

 俺は驚愕するしか無かった。

 まだ大筋は歪んでいないことを感謝するほかないだろう。

 

「行くぞ! 死んでも恨むなよ!」

 

 元康が突進してくる。

 俺は槍を合わせて受けようとするが、俺の槍がドロリと溶ける! 

 

「ッ!?」

 

 俺は咄嗟に、身をかがめて回避する。

 頭の上を掠めた槍は、かなりの高温を纏っており、ヤバいのがわかる。

 

「防御無視効果付きかよ!」

「へっ当たりだ!」

 

 手にした槍の穂先は完全に溶けてしまい、使い物にならなそうだった。

 勇者武器なら受け止められただろうが、ただの鉄の塊である俺の武器では、溶かされてしまうだけだろう。

 なので、俺は槍を捨て、剣を捨てて構える。

『魔王』は流石に使うわけにはいかなかった。

 勇者を殺すわけにはいかないからだ。

 そして、俺は構える。呼吸を整える。

 

「おいおい、武器なしで俺と戦おうってのか?」

「──コォォォォォォォォォ……」

 

『気』を両腕に纏わせるイメージだ。

 

「ビビっちまったか? 素直に投降するって言うんだったら、勘弁してやってもいいぜ?」

「来い!」

「──ああもう! このぉ!」

 

 元康は槍で突いてくる。

 このまま何もしなければ、土手っ腹に穴が開くであろうことは確実な突きだった。

 俺はその槍を両手で捉える。

 ジュウウウウウウゥゥゥゥ!!! 

 肉の焼ける音がするが、俺は気にせずに槍を受け流す。

 ステータスのHPバーは多少減った程度だった。

 

「なっ?!」

 

 そのまま流した勢いのまま突っ込んでくる元康の顔面に当身を入れる。

 

「ブフゥ!」

 

 かなりいいのが入ったらしく、吹っ飛ぶ元康。

 

「ま、マジかよ……!」

 

 俺の焼け爛れた両手を見て、起き上がりながら引いた顔をする。

 両手から肉を焼いた匂いがするが、気にしている場合じゃ無い。

 素の世界じゃ治せないだろうが、ここは異世界でHPがある世界だ。

 それに、手はまだ十分に動く。表面が焼けただけだった。

 

「行くぞ!」

「ま、待った待った! 俺の降参だ!」

 

 槍を元に戻しながら、元康は待ったのポーズを取る。

 どうやら、マジでビビっちまったのは元康自身だったらしい。

 

「元康様?!」

「いや、マイン。仕方ないだろ? 流石に人間を殺す……それも、別の世界とはいえ同じ日本出身の奴だ。な?」

「……仕方がありませんわね」

 

 一瞬舌打ちをしたよな、コイツ。

 

「なら、逃してくれるってか?」

「いや、そいつはできないかなぁ。ただ、代案がある」

「代案?」

 

 また、元康は碌でも無い事でも考えているんだろうか? 

 

「最近、変な魔物が出るだろ? 亀みたいな甲羅を背負った化け物だよ」

「……ああ」

「俺、それの原因知ってるんだよねぇ。宗介、手伝ってくんね?」

 

 元康は、まるでMMORPGで別のパーティに協力を依頼するかのような気安さで俺にそう言ったのだった。

 

「……なんでまた」

「イベントだよ、イベント。どうせ知ってるんだろ? 討伐イベント」

「……ああ」

 

 俺はそれから逃げているんだがな。

 あんな化け物、ただの人間じゃあ倒すことなど到底難しいだろうからな。

 まだ、勇者じゃ無い時に使える技の確認は終わってないが、俺でも霊亀の体の一部を吹き飛ばせる技を持っている。

 使ったことはないが。

 だが、レイファを危険な目に遭わせるのはダメだ。

 だからこそ逃げているのだ。

 

「俺たち勇者さえいれば問題ないと思うが、宗介、お前もプレイヤーなら戦力になるだろう? それにほら、この問題を解決すれば前みたいに恩赦が貰えるかもしれないしな!」

 

 断ろうと声を出そうとした時、後ろからライシェルさんの声が聞こえてきた。

 

「ソースケくん、いい案だと思うがどうだろうか? このままでは、我々もジリ貧だった。槍の勇者様とソースケくんの戦いが中断したから戦闘が止まっているのだ」

 

 ライシェルさんにそう言われたら、断ることは難しいだろう。

 ……あまり乗り気ではないが。

 

「だったらさ、お前のその両手も治してやるぜ?」

「……ああもう、わかった!」

「元康様、本気?!」

 

 ビッチが驚いている様子だったが、他の二人は、特にエレナはホッとしているように見えた。怠け豚め。

 

 結果、俺の両手は元康が槍から取り出した回復ポーションをかけて完治した。

 回復薬をかけたら、時が戻るように怪我が治っていくのはやはりビビる。

 

 こうして、ウォーレンの追跡を回避した代償として、元康に同行することになったのだった。




若干のジョジョ要素は許してください!
最近第五部見てハマってしまったんです!
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